このアルバムの収録曲は、イタリアのオルガン奏者トマディンが、オルガン演奏に向いているモーツァルト作品を編曲したもので、壮大な「コジ・ファン・トゥッテ」序曲(トラック14)と「魔笛」序曲(トラック8)から、ツィンベルシュテルンの鈴のような響きが美しいコントルダンス(トラック13)に至るまで、モーツァルト時代に製作された楽器の多彩なストップを駆使したサウンドを満喫できます。
驚くのはモーツァルトが9歳のときに書いた「ロンドン・スケッチブック」の小さなソナタ(トラック2)が大迫力の音楽に変容していることで、トマディンの編曲が実に見事。
ブックレット(英語・12ページ)には、演奏者のトマディンによる編曲概説と各曲の解説、およびストップ・リストや楽器(コンソールとパイプ)の写真などが掲載。表紙は録音会場の北イタリア、マントヴァ近郊にあるゴヴェルノロ教区教会の天井写真です。
モーツァルトのオルガン独奏曲
モーツァルトはザルツブルクの宮廷オルガニスト出身で、亡くなる2年前の1789年にはライプツィヒの聖トーマス教会で即興演奏もおこなっています。
モーツァルトは、オルガンを「楽器の王」とも呼んでいましたが、オルガン独奏曲の作曲機会にはあまり恵まれず、よく知られているのは自動オルガンのための作品くらいです。
しかし、モーツァルト研究者のハンス・デナーライン[1901-1986]は、オルガンと明記されていないものにも実際にはオルガンのために書かれたものもあるはずだと考え、小品を中心とした二十数曲についてその可能性を論じています。しかし異なる見解も諸説あり、現在でもまだ結論は出ていません。ちなみにこのアルバムでは、K.397(トラック3)とK.395(トラック12)がデナーラインのリストに該当。
オルガン編曲
17世紀以降、オルガンは単独で大音量が出せるだけでなく、多段鍵盤、足鍵盤、ストップまで駆使して様々な音を出せる楽器としても注目され、協奏曲や交響曲、オペラから声楽、室内楽、独奏曲など多くのジャンルの作品がオルガンのために編曲されています。
トマディンの取り組み
モーツァルトのオルガン演奏は、楽器の能力を最大限に活用し、1、2曲のソナタを即興で聴かせたりしていたことから、トマディンは、C.P.E.バッハの鍵盤楽曲の場合と同じく、楽譜のキーとダイナミクスを調整することで、モーツァルトの場合もオルガンに適応させることが可能であるとし、その結果、生まれたのがこのアルバムです。
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