協奏曲は、17世紀末に器楽の様式と言語の進化に大きな役割を果たし、18世紀には高い人気と重要性を増していきました。ヴィヴァルディは、合奏協奏曲や協奏曲を確立した作曲家ではありませんが、18世紀前半に器楽曲の最高傑作と言われる作品を多数作り上げたことをみても、このジャンルに大きな刺激を与えたひとりと考えて間違いありません。多くの協奏曲は、チェンバロやオルガンを中心にしたもので、他に編曲作品でも、多くの聴衆に人気を博しました。
このディスクでは、ヴィヴァルディの『ラ・ストラヴァガンツァ』作品4から、オルガン用に編曲されたヴァイオリン協奏曲を紹介します。これらの作品は、マンチェスターのヘンリー・ワトソン音楽図書館に所蔵されている「アン・ドーソンの本」と呼ばれるコレクションに収められているものです。1720年頃に編纂されたこのコレクションには、声楽と通奏低音のためのアリアに加え、鍵盤楽器のための楽曲が多数含まれています。ヴィヴァルディの10曲を含むさまざまな作曲家の協奏曲の編曲もいくつか収録されています。これらの曲は原曲に忠実で、鍵盤楽器の大きな可能性と編曲作品の持ち合わせた音楽という点で、高い完成度が見てとれます。
オルガニストのルカ・スカンダーリは、イタリアを代表する研究者であり鍵盤奏者です。ブリリアント・クラシックスでも多くの作曲家のオルガン曲全集を残しています。イタリアのアルバシーナにある聖ヴェナンツォ教会の1774年製ガエターノ・カリド・オルガンを使用しています。(輸入元情報)
【収録情報】
ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲集 Op.4『ラ・ストラヴァガンツァ』より
〜オルガン編曲版、アン・ドーソンの本(c.1720)より〜
● 変ロ長調 Op.4-1, RV.383a
● ト長調 Op.4-3, RV.301
● イ短調 Op.4-4, RV.357
● イ長調 Op.4-5, RV.347
● ニ短調 Op.4-6, RV.316a
● ハ短調 Op.4-10, RV.196
● ニ長調 Op.4-11, RV.204
ルカ・スカンダーリ(オルガン)
録音時期:2022年5月
録音場所:イタリア、アルバシーナ
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)