19世紀の最後の数十年から20世紀初頭にかけて、弦楽合奏のレパートリーの黄金時代が現れます。音の密度、ダイナミック・レンジの広さ、長いフレーズの柔らかい描き方、楽器の妙技など、オーケストラの編成の典型的な要素を含んだ音楽と言えるでしょう。この時期、豊かな民俗文化にインスピレーションを求め、多くの名曲が誕生します。
極めて有名なチャイコフスキーの『アンダンテ・カンタービレ』、そして、そのチャイコフスキーの影響を強く受けた作曲家でピアニストのアレンスキーによる『チャイコフスキーの主題による変奏曲』。この曲は、1894年にチャイコフスキーの死を悼んで書かれた弦楽四重奏曲第2番の第2楽章を作曲者自身が弦楽合奏のために書き下ろした作品です。続くエルガーの『弦楽合奏のためのエレジー』は、その痛切な美しさと暖かい郷愁が響く弦楽曲の名曲と言えるでしょう。そしてロベルト・フックスは、ウィーン・ロマン派音楽の伝統を受け継いだ作曲家。ブラームスから「素晴らしい音楽家」と評価されたフックスは、ウィーン音楽の新鮮で優雅なスタイルと、ポピュラー音楽から得たメロディをうまく統合しているのが特徴です。
オルフェオ管弦楽団(オーケストラ・オルフェオ)は、2020年に若く意欲的な指揮者ドメニコ・ファマによって設立され、重要なコンサート・ホールやフェスティバルで演奏しながら、急速に国際的なキャリアを築き上げつつある注目の団体です。(輸入元情報)
【収録情報】
● チャイコフスキー:弦楽四重奏曲第1番 Op.11より『アンダンテ・カンタービレ』〜チェロと弦楽合奏のための編曲版
● アレンスキー:チャイコフスキーの主題による変奏曲 Op.35a
● エルガー:弦楽のためのエレジー Op.58
● フックス:セレナード第3番ホ短調
オーケストラ・オルフェオ
ジュリオ・ニコロージ(チェロ独奏)
ドメニコ・ファマ(指揮)
録音時期:2022年1月〜2月
録音場所:イタリア
録音方式:ステレオ(デジタル/セッション)