Top 100 Albums - No.10

2004年5月14日 (金)

連日お届けしているカウント・ダウン企画「Top 100 Album」も佳境に入りいよいよ本日のご紹介分も含め10枚を残すのみとなりました。
本日ご紹介する第10位に登場するのは作曲家、プロデューサーとマルチな才能を発揮しているトッド・ラングレンの1972年発表の名盤『サムシング/エニシング』です。

トッド・ラングレンの活動は違う名義などでのリリースやプロデュース活動なども含めるととても複雑でややこしい。デビューはナッズというバンドで(現在ではパワー・ポップ・バンドの元祖的な見方をされ再評価されている)、その後ソロ・アルバムをリリースするのだが、ライヴ用のバンドとしてユートピアを結成。ソロ活動を一旦休止してまで本格的にバンド活動にのめりこみアルバムを量産している。

トッドは自身が参加した作品とは別に多くの作品のプロデュースも手掛けている。1969年頃にバター・フィールド・ブルーズ・バンド(『Live』、『Golden Butter: The Best Of The...』)をプロデュースしたのをきっかけにバッド・フィンガー『Straight Up』『Ass』)、ホール&オーツ(『War Babies』、『No Goodbyes』)、グランド・ファンク・レイルロード『We're an American Band』『Shinin' On』)、パティ・スミス『Wave』)などスタイルの異なるこれだけのビッグ・アーティストのプロデュースを行なったトッドはプロデューサーとしての名も上げていった。そしてプロデューサーとしてのトッド・ラングレンの名を絶対的にしたのが1985年のXTC『スカイラーキング』だろう。

また、元祖宅録派アーティストと呼ばれるトッドは多重録音した実験的なアルバムやデジタル楽器のMIDI機能を駆使した単独演奏によるコンサートを開催したり、マッキントッシュのコンピューターを使ったアプローチをいち早く行うなど常に先取りした活動を行っている。

その実験的なことやる先駆けとなったのが独りマルチ・プレイの多重録音による2枚組大作『サムシング/エニシング』だ。
オーヴァーダビングを駆使してヴォーカルと楽器を重ね、これまでに影響を受けてきた音楽をうまい具合に消化したこの作品はトッド・ラングレンの音楽におけるポップ・サイドが全開となった。

トッド最大のヒット曲となったナッズ時代に作った“ハロー・イッツ・ミー”のニュー・ヴァージョンやキャロル・キング的メロの“瞳の中の愛”やローラ・ニーロに影響を受けたというトッドのブルー・アイド・ソウル・フニャフニャ・ヴォーカルと美しいメロによる早すぎたAOR風ナンバーあり、ガレージっぽいサウンド、モータウンっぽいのあり、早すぎたテクノ・ポップ、チョイ実験サウンドあり、問答無用のパワー・ポップありとメロディ炸裂の百花絢爛的サウンドが完成度の高さをうかがわせている。
ワンマン・レコーディング王、トッドの独特の音像(ココでは60’sシングルっぽい中音域が強調された音)が本作をユニークなものにしているのも見逃せない点だろう。

このアルバムは全米20位を記録しトッド・ラングレンを初めて名乗った作品として、また彼の存在を一躍重要なものとした初期の傑作として認知されるようになった。

なお余談ながらこのアルバムは日本では一枚分のLPに纏められ、グラム・ロック風のジャケットに変更されて ハロー・イッツ・ミー というタイトルでリリースされた。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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Something / Anything?

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Something / Anything?

Todd Rundgren

ユーザー評価 : 5点 (12件のレビュー) ★★★★★

価格(税込) : ¥3,960
会員価格(税込) : ¥3,643

発売日:1999年09月22日

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