Top 100 Albums - No.34

2004年4月20日 (火)

レディオヘッドが97年にリリースした通算3作目となるアルバム『OK コンピューター』は90年代のロックを代表する1枚であり、これから先も語り継がれていくであろうロック史に残る不朽の名盤である。

93年2月にリリースされたレディオヘッドのデビュー・アルバム『パブロ・ハニー』はメンバー自身がその仕上がりに満足しておらず、「本当のデビュー・アルバムは『ベンズ』だ」と語る位置づけの難しい作品。確かに未消化の部分が多く詰めの甘さが認められるが、曲自体は悪くない。現在も人気の高い“クリープ”が収録されていることもあり、ファンからはどこかしら特別なアルバムとして扱われていることも確かだ。

2作目の『ベンズ』は前作から約1年後の94年3月にリリースされた。たったの1年でバンドというものはここまで成長できるのか?という程に著しい成長が窺える名作。 “クリープ”のヒットによる周囲からのプレッシャーも相当のものであったに違いない。しかし彼らは第2の“クリープ”ではなくまったく新たな道を選んだ。トリプル・ギターのアンサンブル、エキセントリックな演奏、繊細な歌…いかなる点においても前作を軽く上回っている。バンドのポテンシャルの高さを証明して見せた作品。

・・・しかしその素晴らしい『ベンズ』も所謂ニルヴァーナ以降のギターロックと呼んで差し支えない音楽性であり、「革新的」と呼べるほどのものではなかった。同時期にデビューした無数のブリット・ポップ・バンドとは比べるまでもないが、レディオヘッドが現在のような確固たる評価と地位を獲得したのは間違いなく『OK コンピューター』の発表以降である。

アルバム『OK コンピューター』は全世界でのセールスは600万枚を超え、発売から6年が経過した今現在もその数を伸ばし続けている。本国イギリスではリリースと同時にチャートのNO.1に輝いた。プロデューサーには共同プロデュースという形で『ベンズ』の制作時にエンジニアとして携わっていたナイジェル・ゴッドリッチを迎えている。

以前にも増して実験的な試みが採り入れられ、アブストラクト・ヒップホップ(当時はまだトリップホップという呼称が残っていたかも)やポスト・ロック(こちらも当時は「音響派」と呼ばれていた)、果てはブラジル音楽、ダブなど様々な音楽のエッセンスが随所で飛び出してくる。当時先端とされていた音楽からの影響も認められるが、『OK コンピューター』におけるそれは、新しモノ好きによる目配せや容易に表面をそっとなぞったような生易しいものではなく、骨の隋までシャブりつくした徹底的なものである。そこには容赦や妥協のようなものは一切感じられない。自分たちの思い描いた音を表現するためにはあらゆるものを利用し尽くす・・・そんな貪欲でハングリーな意志すら伝わってくる。

細部にまで拘った音響感覚と繊細かつ大胆なサウンド構築も圧倒的、正に脱帽ものである。全体的な響きとしては「プログレ的」と表現できるかもしれない。因みに当時音響派として世間を騒がせていたトータスのジョン・マッケンタイアや現在はソニック・ユースにも籍を置くジム・オルーク『OK コンピューター』を絶賛した。

『OK コンピューター』は音響というものにとことん拘りながらも自家中毒に陥ることなく、音楽を通して人に何かを伝えるという一番大事な事を忘れてはいない稀有な作品だ。彼らはしばしば「最も進化したロック・バンド」と呼ばれることがあるが、そのことに異論を挟むものは居ないだろう。この圧倒的なまでの説得力と完成度の前では。

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発売日:1997年06月16日

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