Top 100 Albums - No.8

2004年5月16日 (日)

良く言えば「何でもあり」悪く言えば「まとまりがない」。
真っ白いアルバム・ジャケットには「The BEATLES」という控えめなロゴがポツンと置かれており、隅っこに通し番号が印刷されているだけ。その佇まいから『ホワイト・アルバム』という愛称で親しまれているビートルズが68年暮れに発表した2枚組のアルバム『ザ・ビートルズ』『アビイ・ロード』とともに後期のビートルズを代表する作品であり、ロック史に残る名盤だ。

『ホワイト・アルバム』が発売される68年の11月末までビートルズの4人は多忙を極めていた。前1年の主な出来事として以下の事柄が挙げられる。

67年1月:アルバム『サ−ジェント・ペパーズ』を発売。
67年6月:衛星中継で新曲“オール・ユー・ニード・イズ・ラヴ”を発表。
67年8月:マネージャーのブライアン・エプスタインが死去。
67年9月:映画『マジカル・ミステリー・ツアー』の制作とレコーディング
67年12月: 『マジカル・ミステリー・ツアー』のサントラを発表。BBCで放映された映画は驚異的な視聴率を記録。
68年2月:インドのマハリシ・ヨギのもとで瞑想旅行を行う。
68年5月:自らの会社アップルの設立を発表
68年5月: 『ホワイト・アルバム』のレコーディングを開始する。

5ヶ月間に及んだレコーディング・セッションの間には、 ジョージラヴィ・シャンカールの映画に出演するためにアメリカに出向いたり、 リンゴが一時的に脱退したり、プロデューサーのジョージ・マーティンが突然の長期休暇をとったりと様々な出来事が起こった。 ジョンはこのときのセッションを「ある部分は僕とそのバック・バンド、また違う部分ではポールとそのバック・バンド」と表現した。このことからも分かるとおり、 『ホワイト・アルバム』は4人がバラバラに作ったアルバムとされることが多い。

前記したように、 『ホワイト・アルバム』のセッションでは4人が揃ってスタジオで顔を合わす場面は少なく、それぞれのイメージ/個性をそのまま反映させたであろう楽曲ばかりが並んでいる。ポールが一人ですべての楽器を多重録音して仕上げた曲もいくつかある。収録された30曲のスタイルもてんでバラバラ。全30曲のうち、レノン=マッカートニーの作品が25曲、ジョージが4曲、リンゴが1曲という内訳になっている。整合性という点では『アビイ・ロード』には足元にも及ばないが、 『ホワイト・アルバム』の持つ雑多性は多方面に影響を与えている。特に音楽を聴き込んだミュージシャンやロック・マニアから高い評価を得ているようだ。

LP時代のA面(Disc-1の1〜8)にはキャッチーでポップな曲、B面(Disc-1の9〜17)にアコースティックな曲、C面(Disc-2の1〜7)にロックな曲、D面(Disc-2の8〜13)に実験的な曲を軸に構成されている。“バック・イン・ザ・USSR”はチャック・ベリーの“バック・イン・ザ・USA”のパロディで、ビーチ・ボーイズを模したコーラスがアメリカンな雰囲気を醸し出している。“オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ”はスカとカリプソを掛け合わせたような曲。キャッチーなリフレインが印象的で、日本ではシングル・カットもされた。ユッスー・ンドゥールのカヴァーも有名。“ホワイル・マイ・ギター〜”はジョージ作の名バラードでエリック・クラプトンが参加している。EC必殺の泣きのギターが沁みる!“ドント・パス・ミー・バイ”はリンゴ初の書き下ろし。曲調はカントリー。地味な曲ではあるがこの曲があるとないとでは本作への印象も変わってくるはず。“ヘルター・スケルター”は元祖ヘヴィ・メタル的なギターの激しいナンバー。“サボイ・トラップル”はジョージ作のファンキー・ソウル。踊りださずにはいられないほどにファンキー&グルーヴィー!“レボリューション9”はジョンが出会ったばかりのヨーコに影響され作り上げた前衛的な作品。サウンド・エフェクトのテープをつなぎ合わせて逆回転させるなどの処理を施したサウンド・コラージュで、ポールジョージ・マーティンは収録を猛反対したそうだ。

ある人が聞けば白いジャケットは極彩色にもなるし真っ黒にもなる。
『ホワイト・アルバム』は聴き手によってどんな姿にも形を変える魔法の宝箱だ。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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The Beatles (White Album)

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The Beatles (White Album)

The Beatles

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価格(税込) : ¥3,845
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発売日:1998年03月11日

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