Top 100 Albums - No.55

2004年3月30日 (火)

85位の『こわれもの』に続く2作目のランクイン!
55位はイエスが1972年に発表した『危機』(原題:Close To The Edge) !

シングルにもなった“ラウンドアバウト”や“燃える朝やけ”といった名曲を生み出す一方で、各メンバーのソロ・パートを活かした実験的な楽曲を収録した『こわれもの』で一躍トップ・バンドの座に躍り出たイエス
ジョン・アンダースンクリス・スクワイアービル・ブラッフォードスティーヴ・ハウリック・ウェイクマンという『こわれもの』と同じ最強の布陣で臨んだ『危機』は壮大な組曲で構成された大作志向のアルバムである。

プロデュースはエディ・オフォードとイエス の共同プロデュース。アルバム・ジャケットのアートワークは前作同様にロジャー・ディ−ンを起用している。おなじみのバンドのロゴはここで初めて登場。ジャケットを開くと現れる幻想的なイラストもロジャー・ディーンによるもの。イギリスでの4位、アメリカ3位の チャート・アクションは前作『こわれもの』を凌ぐもの。

アルバムの構成は(アナログ盤時代)A面1曲、B面2曲の計3曲となっており、収録時間にして37分46秒。
18分以上にも及ぶ1曲目の“危機”はアナログ盤A面の全てを費やす大作だが、全編にわたりある種の緊張感が持続しており冗長に感じることはない。小鳥のさえずりと小川のせせらぎから一転してギター、ベース、ドラム、オルガンが複雑な変拍子でもってドロドロと絡み合うイントロは圧巻の一言。iii)「盛衰」後半でのリック・ウエイクマンのチャーチ・オルガンの音色はまさに天にも昇るような多幸感…。最後は再び小鳥のさえずりと小川のせせらぎで幕を閉じる。前述したロジャー・ディーンの幻想的なイラストは、この曲のイメージにピッタリとマッチしている。
因みにこの曲のテーマは「自己解明への危機状態」というもので、ヘルマン・ヘッセの『シッダールタ』という本が元ネタになっている。

続く“同志”も10分を越す組曲。スリリングな“危機”と比べるとこちらははるかに牧歌的。果てしなく続く緑の高原や、厳かな教会、はたまた宇宙までを感じさせる壮大な曲。目を瞑りながらこの曲を聴いていると、何処か遠く飛んでいってしまいそうな錯覚に…。

ラストの“シベリアン・カートゥル”は本作品中最も「ロック」なノリを味わえるナンバー。スティーヴ・ハウによるギターのイントロ、リフが印象的。アルバムではラストに配されているが、ライヴではオープニング・ナンバーとして定番になっている。

リアル・タイムで『危機』を体験していないロック・リスナーにとっては、80年代に入ってからのヒット・ナンバー“ロンリー・ハート”などのせいもあって商業的なプログレ・バンドのイメージが先行しているきらいもある。が、『危機』は掛け値なしの傑作であり、プログレッシヴ・ロックの金字塔である。メンバーの5人それぞれが個性を主張しながらも壮大なひとつの物語りを作り上げていく奇跡の瞬間とでも言おうか、おそらく二度と起こらない最初で最後の奇跡がここには確かに存在する。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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Close To The Edge

CD 輸入盤

Close To The Edge

Yes

ユーザー評価 : 4.5点 (112件のレビュー) ★★★★★

価格(税込) : ¥1,694
会員価格(税込) : ¥1,134

発売日:2003年08月23日

  • 販売終了

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