Top 100 Albums - No.5

2004年5月19日 (水)

いよいよ残り5作品の発表を残すのみとなったカウントダウン企画の第6弾「Top 100 Albums」。本日発表の5位は、1970年に発表されたニール・ヤングの名作サード・ソロ・アルバム『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』である。

1968年、バッファロー・スプリング・フィールドを解散させたばかりのニール・ヤングは同年に2枚のソロ・アルバムを発表し、翌69年にはかつてのバンド仲間スティーヴン・スティルスが席を置くクロスビー・スティルス・ナッシュ(CS&N)に参加した。これによってかつてないほどのスーパー・グループ、 CSN&Yが誕生し70年3月には『デジャ・ヴ』を発表した。 『デジャ・ヴ』はスーパー・グループの名に恥じない素晴らしい作品で、たちまちミリオン・セラーを記録。全米チャートNo.1にも輝いた。ニール・ヤングはこの時期CSN&Yの活動と並行して、ソロとしての活動も並行して行っており、クレイジー・ホースを率いてコンサート活動も頻繁に行っていた。そして件の『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』は70年の8月に発表された。

70年のアメリカといえばヴェトナム戦争が泥沼化。アメリカ各地で反戦運動が盛んだった時期でもあり、ケント州立大学で州兵の手で4人の学生が射殺されるという事件が起こった。それニュースを聞いたニール・ヤングはプロテスト・ソングの“オハイオ”をシングルで発表した。同じ年に発表されたアルバム『アフター・ザ・ゴールド・ラッシュ』もそういった時代背景が反映された内省的な作品となっている。「絶望」「孤独」「喪失」など次から次へとヘヴィなキーワードが浮かんでくる作品だが、絶望を抱えながらも前向きに生きていくという強い意志も感じ取ることができる。

アルバムにはダニー・ホイットン、ラルフ・モリーナ、ビリー・タルボットといったクレイジー・ホースの3人に加え、スティーヴン・スティルス、グレッグ・リーヴス、ニルス・ロフグレンらが参加した。緊張感に溢れたCSN&Yの演奏と比較すると、ここでの演奏は幾分リラックスしたのびのびとしたものになっている。因みにアルバムの音楽的なコンセプトは、古いスタイルのカントリー&ウェスタン風のポップなアルバムとのことだ。確かに振幅の激しいことで知られるニール・ヤングの活動の歴史の中でもかなり親しみやすくポップなアルバムと言えるだろう。

1曲目の“テル・ミー・ホワイ”は自分自身と折り合って生きていくことの難しさを歌った引き語りのアコースティック・ナンバー。繊細極まりない歌声にいきなりノックアウトされる。

アコースティック・ピアノをバックに歌い上げる表題曲の2曲目は、イヤな始まり方をした70年代への絶望を歌っており、ヤングの住んでいたパンガ・キャニオンを舞台にした同名のの映画に感銘を受けて作られた曲とされている。

3曲目の“オンリー・ラヴ”はシングル・カットされ、ヒットを記録したナンバー。人間関係について歌ったもので、これまたテーマはヘヴィだが、後にセイント・エティエンヌもカヴァーしたスウィートなメロディと美しい歌声にウットリ…。

そしてこのアルバムのハイライトとも言える4曲目の“サザン・マン”。この曲は米国南部人の保守性を皮肉っぽく歌ったもので、後に南部を代表するロック・バンド、レナード・スキナードからアンサー・ソングを頂戴することになる。内向的なこのアルバムにおいて最も攻撃的なナンバー。ギター・ソロが強烈で、非常にアツイ!!

インタールード的な役割を果たしている5曲目の“やがて朝が…”のメロディの美しさも特筆すべき。

6曲目の“オー・ロンサム・ミー”はドン・ギブソンが1958年に放ったヒット曲のカヴァー。言われなければ彼のオリジナルに聴こえるほどピタリとハマっている。

7曲目の“ブリング・ユー・ダウン”はイギリスを訪問した際に、ロンドンの街の寂しげな空気に触れて出来上がった曲。言いようのない孤独感が漂うが、力強さも同時に感じることができる。

8曲目の“バーズ”はピアノをバックに歌うシンプルなナンバー。「朝になればまた陽が昇る。明日になれば今日見えなかったものが見えるようになる」という歌詞がグッとクる。

9曲目の“アイ・キャン・リアリー・ラヴ”は作品中最も明るい印象を与えてくれるナンバー。ギターとピアノが中心となった勢いのある曲。

10曲目の“アイ・ビリーヴ・イン・ユー”は美しいラヴ・ソング。後にリンダ・ロンシュタットリタ・クーリッジがカヴァーしている。

そして11曲目の2分にも満たない“壊れた渡し舟”でこのアルバムは幕を閉じる。
「イヤな事ばかりが続くこんな時代だけど、それでも前に進まなければならない」というポジティヴな姿勢をうっすらとだが伺う事が出来る。ある意味このアルバムを象徴するナンバーとも言えるだろう。

ボブ・ディランとともに決して避けることの出来ないロック界の巨人、ニール・ヤング。遅かれ早かれロックを聴く者ならばいつか必ずに彼に辿り着くだろう。

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After The Gold Rush

CD 輸入盤

After The Gold Rush

Neil Young

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発売日:1987年07月07日
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