Top 100 Albums - No.12

2004年5月12日 (水)

“アイルランドのU2”から“世界のU2”へ。
初期の尖った感性を感受性豊かに表現していた時代から、よりストイックに、よりどっしりとロックを追及しはじめたU2が、1987年にリリースした歴史的名盤『Joshua Tree』が本日発表の12位です。

まさに中期U2を代表する、80年代ロックを代表する名盤として名高い今作。当時「“渋すぎる」「歌詞が難解」という意見もあったようですが、その後のド渋い『Ratte & Hum』を思えば、初期からのサウンドと、前作『焔』あたりから追求しはじめたアメリカ音楽巡礼(または黒人音楽への敬意)が結実した今作は聞き応え十分。虚飾のない剛毅なU2の音世界の頂点といえましょう。

さて、アルバム内容ですが、プロデューサーは『焔』に続いて、ブライアン・イーノとカナダ出身のエンジニア、ダニエル・ラノアで、録音も同様に故郷のアイルランドで行われている。基本的にこの時期のU2は、まさにアメリカ音楽を目指した深みのあるロックサウンドが特徴で、彼らの内に熱いものが妙〜にみなぎっている。このネイキッドな熱い感性と、イーノの鎮静剤のようなサウンド・ワークにより、なんだかわからないが熱くて渋いコンセプト・アルバムのように仕上がったのが今作である。また4曲だけだがミキシング・エンジニアとしてスティーヴ・リリィホワイトが参加。イーノとダニエル・ラノアと共に作った音を、リリィホワイトがコントラストの強いミックスを施すという、究極の音が完成している。

気になるタイトル『ヨシュア・トゥリー』ですが、一般的にはアメリカの砂漠などに生えている“ユッカの木“のことだそうである。(旧約聖書にでてくるベモーゼの従者、ヌンの子”ヨシュア“にちなんだものという話もありますが、よくわからないのでカット…)さらに歪んだジャケはネバタ砂漠で撮影。と、”砂漠“繋がりですが、さらに”ホエア・ザ・ストリート・ハブ・ノー・ネーム“、”神の国“、”トゥリップ・ヒル・マイニング・タウン“などの歌詞でも”Desert“という言葉がでてくる。意外にもこの作品には、この”Desert“という言葉がキーワードとなっており、「不毛の地」を甦らせたいボーノの気持ちの表れだろうか、「荒んだ世の中」を甦らせたいのか、アルバム全体に色濃くあらわれています。

そんな今作、頭3曲で、もうお腹いっぱいに満足できること請け合いですが、その後も渋みのあるサウンドと力強いロック・サウンドで、まさに聴き込むほど味の出るアルバムに仕上がっている。もちろん全米1位を獲得した”ホエア・ザ・ストリート・ハブ・ノー・ネーム“、”ウィズ・オア・ウィズアウト・ユー“の2曲をはじめ、濃密なサウンドを聞かせる”ブレット・ザ・ブルー・スカイ“、神秘的なまでに壮大なラストソング”マザーズ・オブ・ザ・ディサピアード“など、アルバム通して聞かせどころが多い。強いドラムと、“燻し銀“といいたくなるジ・エッジの抑揚の効いたギター、ボーノのハーモニカも時にいい味付けとなっている。が、もちろん他の作品に比べると最初の印象は渋いですが。しかし!全米英1位を獲得したうえに、9週連続全米No.1という素晴らしい記録も持つ。まず、U2を聞くなら今作!そして音楽巡礼の旅に出るにはうってつけの作品である。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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Joshua Tree

CD 輸入盤

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ユーザー評価 : 4.5点 (101件のレビュー) ★★★★★

価格(税込) : ¥2,629
会員価格(税込) : ¥2,419

発売日:1990年06月04日

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