Top 100 Albums - No.98

2004年2月16日 (月)

若き日のアラン・ドロンのジャケットがなんとも印象的なこの作品、'80年代のUKインディ・ロック・シーンを引率していたスミスの最高傑作にして名盤の誉れ高い1986年発表の4枚目のアルバムクイーン・イズ・デッド

1983年のシングル・デビューで世間に姿を現したスミスは、モリッシーによる鋭い感覚とそれを具現化した歌詞、コンポーザーであるジョニー・マーの書く伝統的な音楽的素養に満ちた楽曲の良さからデビュー後即座に当時の英国若者層から一種熱狂的ともいえる歓待を受けた。
‘87年にバンドは解散をしてしまうが、4年間という短い活動期間の中である種カリスマ的な役割を果たし、現在活躍する多くのUKバンドに影響を与え、フォロワーを数多く生み出した。このスミスというバンドがなければ現在UKロック・シーンで活躍する殆どのバンドは今存在していなかったかも知れない。

80年代といえば華やかなエレクトロ・ポップが盛んだった時代の中で、モリッシーの文学的で内向気味な歌詞や捉え方によっては嫌煙されてしまうかもしれないルックス、対照的にジョニー・マーのロック的スタイル、バンドの王道4ピース・スタイルなどすべてが時代に逆らっていたかもしれないが、これらすべての要素が重なり合い名盤と呼ばれる作品を作り出してきたのではないだろうか。

このクイーン・イズ・デッドは2枚のオリジナル・アルバムとスタジオ・ライヴやシングルで構成されたコンピレーション的アルバムの後に制作。 もともと英国特有の風刺に満ちた歌詞と扇動的な発言、パフォーマンスで有名なモリッシーだったが、ここで遂に正面きって英国王室に喰って掛かった。ブラック・ユーモアたっぷりでよく言えば繊細、あえてキツイ言い方をするならば自虐的としか思えない歌詞がこのアルバムの中には多く散りばめられている。

いつになく実験的で凶暴なサウンドが合体した過激なタイトル曲にはじまり、“フランクリー、ミスター・シャンクリー”、“ボーイ・ウィズ・ザ・ソーン・イン・ヒズ・サイド(邦題:心に茨を持つ少年)”、そしてスミス的なラヴ・ソングとしての名曲と言われる“ゼア・イズ・ア・ライト”とシニカルなものからひどく切ないものまで広いエモーションで構成されていている。

この作品ではモリッシーの綴る鋭くてユーモア溢れる文学的な詩とジョニー・マーのサウンド・プロダクションの化学反応が最高潮に達し、イギリスの多くの若者から支持を得て、UKチャート最高2位を記録した。

この80年代UKロック最高傑作を生み出した後、スミスモリッシージョニー・マーの不仲や人間関係により空中分解をしてしまう。
'80年代英国最大のインディ・バンドであったスミスジョニー・マーの持つ幅広いポピュラー・ミュージックの知識とシングル曲などに見られる3分間のポップ・フォーマットへの拘りといった要素、そしてモリッシーの文学性、カリスマ性が見事に融合した、いわば古典的なバンドらしいバンドだった。彼らの作品にはジャケットと楽曲の完成度が噛み合ったトータルな芸術品といえるような美しさがあった。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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