Top 100 Albums - No.23

2004年5月1日 (土)

ロックが好きな方で“マイ・ジェネレーション”を知らないという方はおそらく少ないだろう。ザ・フーのオリジナルを聴いたことはなくともベテランから若手まで多くのアーティストがカヴァーしているのだからどこかで必ず耳にしていると思う。時代超えて愛されるこのロック・アンセムは60年代に誕生している。

60年代イギリスのユース・カルチャーとして最も広く知られているモッズ・ムーヴメント。イタリア・メイドの細身のスーツをカッコ良く着こなし精一杯お洒落をしてヴェスパを乗り回す・・・というモッズたちに愛されていたバンド、それはスモール・フェイセズとザ・フーだった。モッズ出身のスモール・フェイセズに対しザ・フーは意識的にモッズになったのだがモッズたちからは絶大な支持を得たのだからモッズ・バンドと呼んでも遜色はないだろう。

64年にシェル・タルミーのプロデュースのもとシングル『アイ・キャント・エクスプレイン』でデビューしたザ・フーはこのシングルを全英8位に送り込み大ヒットを記録、続いてリリースした『エニウェイ、エニハウ、エニホエア』も全英10位とヒットを記録しすでに成功していた。そしてこのシングルの成功によりアルバムのレコーディングが始まった。プロデュースはシェル・タルミーが担当。ちなみにこのレコーディングにはジミー・ペイジも立ち会っている。初めのころはR&Bナンバーのカヴァーを中心にセッションをしていたのだがレコーディングが進むにつれピート・タウンゼントが書いたオリジナルをレコーディングし65年12月にデビュー・アルバムとしてブランズウィックから『マイ・ジェネレーション』がリリースされたのだった。

このアルバムはファースト・アルバムながらも他のバンドを圧倒すると同時にピート・タウンゼントのソングライティングがいかに凄いかというのが明らかになった。 ピートの書く曲のグレードの高さと驚異的なアンサンブルを醸し出すサウンドはステージの迫力をそのままレコードに録音できないものかと考えたほど圧倒的なものだったという。

アルバムのオープニング曲でピートのギター・リフからはじまる“アウト・イン・ザ・ストリート”は突然ギターのカッティングが出てきたりするのだがロジャー・ダルトリーのシャウトも含めR&Bの匂いがする。そしてR&Bの大御所ジェイムス・ブラウンのカヴァー曲“アイ・ドント・マインドへと繋がる。ギター・リフがキンクスの“シー・マイ・フレンド”に触発されたという“グッズ・ゴーン”。ポップなサウンドやピアノが小気味よい“ラ・ラ・ラ・ライズ”、イントロのコーラスワークとポップなメロディがビーチ・ボーイズに負けていない“マッチ・トゥ・マッチ”ときてこのアルバムのハイライトともいえる“マイ・ジェネレーション”がくる。

シンプルに刻まれるピートのギターとジョン・エントウィッスルのベース、そしてキース・ムーンの迫力のドラミングにロジャーの突っぱねたような歌い方が示すとおり当時の若者が納得のいかない社会を作った大人へ向けたメッセージ・ソングとしてイギリスで若者たちのアンセムとして歌われた。

そしてこのアルバムの中で一番ポップな“キッズ・アー・オールライト”わかりやすいメロディーとコーラス、ブリティッシュ・ビートの王道ともいうべきこの曲は個人的にはとても好きなのだがシングルとしてリリースされた際には全英41位までしかいかなかったという。しかし、時が経つにつれ“マイ・ジェネレーション”と並びモッズのアンセムとして語り継がれている。
この後には“イッツ・ノット・トゥルー”、“ジ・オックス”、ピートがヴォーカルを取る“リーガル・マスター”などどれもデビュー・アルバムとは思えないほどのクオリティの高い楽曲が収録されている。

アルバムにはジェイムス・ブラウンの“アイ・ドント・マインド”と“プリーズ、プリーズ、プリーズ”、ボ・ディドリーの“アイ・アム・マン”(米国盤には収録されていない)の3曲のカヴァー曲が収録されているのだがこれはモッズ・ファンに受けることを狙って収録されたそうだ。

前でも触れたが『マイ・ジェネレーション』は1965年12月にイギリスのレーベル、ブランズウィックからリリースされたのだが67年にレーベルが閉鎖されてしまったためわずか2年あまりの発売となった。その後コーラル・レーベルから再発をしようという働きもあったのだが、マスター・テープがバンドと決別したプロデューサーのシェル・タルミーの下にあったため80年にヴァージンからリリースされるまでイギリスでは本国にもかかわらず廃盤状態が続いていた。その後こちらの盤も消えてしまうと唯一『マイ・ジェネレーション』を聴くことができたのは89年にアメリカMCA盤でリリースされた『Sings My Generation』だけとなった。この米盤は英盤オリジナルとは収録曲も微妙に違ううえにモノ・ヴァージョンとなっていて若干低音部分が弱いようにも聴こえる。

そしてイギリスや日本でCD化されていなかった『マイ・ジェネレーション』のオリジナル・ヴァージョンが02年42年の歳月を経てようやくステレオ・ヴァージョンでリリースされた。これは今まで多くの人が聴いてきたものと違うヴァージョンとなったものもありリリース時に大きな話題となった。

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