Top 100 Japanese pops Artists - No.83

2003年9月9日 (火)

日本におけるダブ・ポップ/ロック・バンドといえば、まずフィッシュマンズだろう。
ボーカル佐藤伸治を中心に、地味ながら勢力的に活動していた彼らも、皮肉なことに 佐藤の死後、その絶大な評価が一般的には広まった感すらある。

彼らの結成は1987年。当時のメンバーは佐藤伸治(ボーカル・ギター)、茂木欣一(ドラム)、柏原譲(ドラム)の後期メンバーに、小嶋謙介(ギター)、ハカセ(キーボード)を加えた5人であった。

91年にメジャーデビューアルバムチャッピードントクライでデビュー。プロデュースはMute Beatとして知られる小玉和文。この作品から、ネオ・ヤンキース・ホリデイ(93年)、オレンジ(94年)と、後のフィッシュマンズの活動を思えば楽曲&録音ともに、ポップスとしての機能が高い。もちろん、その中に冴え渡る浮遊感やダビーな味付けもはずすことはできない要素だが、やはりどちらかというとポップバンドとして機能が強く現れている。

そんな中、彼らが彼ららしく、まるで魔法のようなサウンドを創り出したのは、名作空中キャンプからだろう。

一聴した感覚は、シンプルに。しかし、そのダビーな効果と反復するビートとリズムからは、果てしない空間は広がる。ひとつひとつの音粒が優雅に動き回り、異空間的磁場を作り出す。
その極みともいえる35分強のワントラック・アルバムLong Season。レゲエ、ダブ、ポップス、ロック、テクノ...とあらゆる要素を飲みこみながら、強烈なヴァイブで放たれたこの作品は、いつ聴いてもまったく色褪せることのない名盤に仕上がった。そして佐藤の声。穏かでいながら、強い意思を持ったその声は、時にダビーに時に力強く、我々を後押しする。

さらに、97年の宇宙 日本 世田谷では、現実にいながら宇宙へと意識を持ち去られるほどの驚異的な世界観を披露。前述の要素に加え、アンビエント、ドラムンベース、ジャズなどサウンドの幅は広がるばかりだか、ますますシンプルに、ポップに進化を遂げた。すでに若者を中心に絶大な支持を集める、が...

98年、ゆらめきIn The Airをリリースし、柏原が脱退。
99年には、まさかの佐藤が急逝。

突然のバンドの翳りを迎え、バンドは空中分解となった。
フィッシュマンズを偲ぶファンはいまでも数多い。それは、彼らにはまだまだその先があっただろうから...そして、メンバーはそれぞれの道を歩む。

後期メンバーハカセは、Hakase-Sunとしてソロデビュー。さらに、数々のバンドのバックメンバーとしても活躍。
お馴染みの茂木欣一は、Mari MariとMari Mari Rhytmliller Machingunとして活躍後、(ライブではその歌声でフィッシュマンズの楽曲を披露!)、現在はスカパラの一員として、ドラムを叩きながら、シングルでは歌声も披露。
さらに、柏原譲もPolarisを結成し、独自のポップス路線を継承。ダブや、レゲエのサウンドと、ゆまめく歌声と、今最もフィッシュマンズを継承しているバンドともいえる。

彼らの残した偉業。それは、日常空間にゆらめいているささいないことながら、時に輝かせる力。日常から宇宙へ、愛から狂気へ、なにものも飛び越えて、どこでもない孤高の世界へと導くサウンド・マジックは、逆に日常という原点へと回帰させる。

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