Top 100 Japanese pops Artists - No.24

2003年11月7日 (金)

遂にUtada名義で全米デビューが決まった宇多田ヒカル。世間をあっと言わせた衝撃のデビューから、日本を代表するアーティストに成長するまで。その長いようで短い歴史をご紹介します。

1983年1月19日、ニューヨークで生まれる。1990年藤圭子、宇多田照実(Sking U)、宇多田ヒカルで「U3」を結成。こうして親子3人のユニット誕生。それから、1993年9月17日、ポニーキャニオンよりU3としてアルバム「THE STAR」で日本デビューを果たす。父親の勧めで曲作りを始める(10歳)。1995年、ヒカルが父親に代わってヴォーカルになりcubic U名義で12インチレコードをインディーズレーベルよりヨーロッパ及びアメリカで発売。翌年にかけて合計3枚のレコードとマキシシングル1枚を発表する。1996年9月26日、日本で母娘共演、藤圭子with cubic Uで「冷たい月〜泣かないで〜」(日本クラウン)を発表。

そして、1997年 1月、アメリカでCubic Uとして、「CLOSE TO YOU」(東芝EMI Free Baseレーベル)を発表。続いてアルバム「Precious」を発表。レニー・クラヴィッツから高い評価を得たのは有名な話。1998年 1月16日、「CLOSE TO YOU」が日本でも発売。引き続き1月28日に「Precious」も日本盤発売。当時の出荷枚数は8000枚。その年の12月9日、いよいよ宇多田ヒカルとしてのデビューシングル「Automatic/time will tell」の8cm盤及び12cm盤を発売。1999年 2月17日、2ndシングル「movin'on without you」を発売。

そのおよそ1ヶ月後、1999年3月10日に発売されたアルバム「First Love」。リリース当初はそれほど騒がれていたわけでもなかったが、話題が話題を呼び、とんでもない新人が現れたと注目されるようになり、アルバムは想像を遥かに超えるセールスを記録した。今でもその数はとどまることなく、800万枚を裕に超え、若者から年配まで全てのリスナーに届く音となった。しかし、日本国民全員の目が彼女に向けられる中、テレビ出演はおろか紙面にもほとんど姿を見せず、存在はミステリアスなまま。

その後、同年11月10日にジャム&ルイスプロデュースの「Addicted To You」、翌年4月9日発売の「Wait & See - リスク -」、6/30発売の両曲A面シングル「For You /タイム リミット」、木村拓哉主演の高視聴率ドラマのタイアップ曲となった「Can You Keep A Secret」とコンスタントにシングルがリリースされ、3/28遂に2ndアルバム「Distance」が発売される。発売日を同じくして浜崎あゆみ初のベストアルバム「A Best」がリリースされ、ともに1週間で400万枚を超えるセールスを記録。後にシングルカットされた「Final Distance」も、記録的ロングヒット作となっている。

Misia嶋野百恵といったシンガーがにわかに世の中に浸透し始め、彼女達ディーバの到来によって、和製R&Bはひとつのスタイルとして一般的な音楽ファンの間でも注目を集めるようになった1998年。もちろんそれまでにも、Love Tambourinesなど70年代Soul、R&Bをルーツに持つ女性シンガーは存在する。しかし、その活動範囲はクラブシーンなどごく限られたコアなファンに向けられたもので、多くの人々にとってはまだまだ日常的な音ではなかったのが現状である。

MisiaをはじめとするR&Bシンガーに共通する特徴は、作品のなかの日本語詞の意義にある。それは、他のジャンルと同じフィールドで展開する、詞がPOPSの領域内であるという点。言葉をあやつり、音としての言葉遊びで詞を構築するのではなく、その詞の意味を膨らませ、最大限に表現していくなかに、作品としての世界観を作っていく。これまでに触れてきた多くのヒット作と共通する歌のスタイル、そこに前人未到の歌唱力がプラスされ、間口の大きな音楽となって和製R&Bは広まっていった。

なかでも宇多田が少し異なっていたのは、その歌における言葉の意義ではないだろうか。宇多田の詞は一文としてよりもむしろ、独特な譜割りによって生きてくる。そして本人が歌うことによって、それらのフレーズはまるで命を吹き込まれたかのように自由にグルーヴを編み出してくる。宇多田は、自ら楽曲を手掛ける。日本語と英語とを巧みに操り、いとも簡単に複雑なリズムに絡ませてゆく。メロディーもコードも、その譜割りに対し必然性のある、ごく自然な展開であると感じさせられる。

シングルクリップを集めた「Uh1 Single Clip Collection Vol 1」に続く、9/27リリースの「Single Clip Collection Vol.2」「Utada Hikaru Single Clip Collection + Vol. 3」に見られるように、音としてだけではなく、映像としても注目される宇多田ヒカル。今作では、映像の制作にあたってもアイディアを出しているようだ。作詞・作曲だけでなく、アレンジ、映像にまで興味の幅を広げ、よりアーティストとしての才能を伸ばしていきそうだ。2002年11月にはDVD「Utada Hikaru Unplugged」、シングル「Traveling」がリリース。話題になったクリップは2002年1/30にシングル・DVDとして発売された。そして3/20に「光」、5/9に「Sakura ドロップス」と大型タイアップの付いたシングルを立て続けにリリースし、それらを収録した待望のDeep Riverを発売。そして2003年内面的な世界からまた新たな一歩として生み出されたシングル・DVD「Colors」や20歳を迎えた記念ライヴの映像を収録したDVD「Uh Live Streaming 20代はイケイケ!」をリリース。 躍進的な宇多田ヒカルの進化は、これからも止まることなく、果てしなく続く。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

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