ヴィヴァルディといえば『四季』『調和の霊感』などヴァイオリンを中心とする協奏曲の作曲家として語られることが多いですが、近年では声楽作品、特にオペラに対する注目度が高まり、作品の上演・録音が頻繁に行われています。この『オリンピーアデ』もヴィヴァルディのオペラの代表作のひとつとして注目を集めています。
『オリンピーアデ』の台本は、ウィーンの宮廷詩人であった当代随一の劇作家ピエトロ・メタスタージオが、1733年に神聖ローマ皇帝カール6世の皇后エリーザベト・クリスティーネ(マリア・テレジアの母)の誕生日のために書きおろしたもの。アントニオ・カルダーラが作曲し、上演されました。オリンピアの地で主神ゼウスに捧げる競技大会であった古代オリンピックを題材に、過去の恋愛や友情でつながる4人の男女が、勝ったものには王女を与えるという競技に巻き込まれるという波乱の恋物語は大ヒットし、この後、この台本を基に70人以上もの作曲家が音楽を付けたのでした。ヴィヴァルディの作品はその3作目に当たり、1734年にヴェネツィアのサンタンジェロ劇場で初演されると話題を呼んで大ヒットとなりました。男同士の友情、男女の恋愛、成り代わりが生む悲劇、死んだと思われた王子の登場、そして大団円という劇的な展開をヴィヴァルディの音楽が巧みに盛り上げています。
2023年のインスブルック古楽音楽祭での上演では、冒頭のシーンでトレーニング・ジムが舞台に再現され、さながら現代のオリンピックのような演出となっていました。ラファエレ・ペとベジュン・メータという優れた歌唱技巧を要する実力派カウンターテナーが、性格を異にしながらも親友同士である2人を見事な歌で演じています。音楽祭の芸術監督デ・マルキの下、腕利きの古楽奏者が集ったオーケストラも迫力満点。ヴィヴァルディのオペラ作曲家としての再評価をさらに加速させる画期的な演奏です。
ジャケット画はエドムント・ヴォディック[1816-1886]の「オリンピアの祝祭会場」(習作)(輸入元情報)
【収録情報】
● ヴィヴァルディ:歌劇『オリンピーアデ』 RV.725 全曲
クリスティアン・ゼン(バリトン:クリステーネ/シキュオンの王)
マルゲリータ・マリア・サラ(アルト:アリステーア/クリステーネの娘)
ベネデッタ・マッツォカート(ソプラノ:アルジェーネ/クレタの貴婦人)
ラッファエレ・ペ(カウンターテナー:メガークレ/リチーダの親友)
ベジュン・メータ(カウンターテナー:リチーダ/クレタ王の王子とされている。メガークレの親友)
エレオノーラ・ベッロッチ(ソプラノ:アミンタ/リチーダの養育係)
ルイージ・デ・ドナート(バス:アルカンドロ/クリステーネの腹心の部下)
コーロ・マギーニ(合唱団)
インスブルック古楽音楽祭管弦楽団
アレッサンドロ・デ・マルキ(指揮)
録音時期:2023年8月1,4,6,8日
録音場所:オーストリア、インスブルック、チロル州立劇場
録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)
インスブルック古楽音楽祭