ドイツ古楽界の雄、ケルン・アカデミーがメキシコ・バロックのクリスマス音楽を録音!
バッハやヘンデルらが活躍していた18世紀前半、スペイン統治下のメキシコでは、ホセ・デ・ネブラやフランシスコ・コルセッリといったスペイン宮廷の作曲家の作品と並んで、メキシコ生まれのマヌエル・デ・スマヤやイグナシオ・ヘルサレムといった作曲家の作品も演奏されていました。
1713年から1738年までメキシコシティ大聖堂の楽長を務めたマヌエル・デ・スマヤのビリャンシーコは、メキシコの民俗音楽を取り入れた聖母マリア賛美やクリスマスのための音楽で、スペイン語で歌われ、独特のリズムや色彩感を持っています。スマヤの跡を継いでメキシコシティ大聖堂の楽長となったイグナシオ・ヘルサレムはヴァイオリンの名手としても知られたイタリア出身の作曲家で、当時のメキシコで最も成功した音楽家の一人でした。ヘルサレムの朝課(Matin、早朝の礼拝で歌われる教会音楽)は、メキシコのグアダルーペで1531年に顕現した聖母、通称「グアダルーペの聖母」に捧げられた曲集で、メキシコ的な色合いに加えイタリア音楽の影響が色濃く表れており、時にオペラ・アリアを思わせる流麗さが特徴です。その音楽はバロックを超え、ハイドンと間違えられるほどの先進性を持っていました。
イタリア出身でスペインに移住し、マドリード王室礼拝堂の楽長を務めたフランシスコ・コルセッリの詩篇曲『主は言われた』は、短いながらも2本のトランペットを伴う祝祭的な音楽です。イタリア語のオペラやスペイン語のサルスエラといった劇場音楽の分野で活躍したスペイン人作曲家ホセ・デ・ネブラのポリコラール・ミサは、劇場音楽の要素をふんだんに取り入れた華麗なミサ曲で、クリスマスの祝祭的な雰囲気にふさわしい音楽となっています。
4人の独唱者を中心とする合計9人の声楽アンサンブルは、的確な歌唱技術に加え、音楽のリズミカルな部分も際立たせ、ラテンのノリも感じさせる歌唱を披露。ルネサンスからロマン派までの音楽を当時の楽器と演奏法で演奏し、HIP(歴史的知識に基づく演奏)をリードするケルン・アカデミーの古楽器オーケストラは、一部でスパニッシュ・ギターやスパニッシュ・ハープまで加え、鮮やかな色彩感でラテン・アメリカのバロック時代のクリスマスの雰囲気を盛り上げています。ヨーロッパとはまた趣を異にする18世紀メキシコのクリスマスを彩った音楽を、素晴らしい演奏でお楽しみください。
ジャケット絵画:フアン・ゴンサレス(17世紀):キリストの生誕 1662年(輸入元情報)
【収録情報】
1. イグナシオ・ヘルサレム[1707-1769]:天球を砕け!
2. マヌエル・デ・スマヤ[c.1678-1755]:朗報だ、死すべき運命のものよ
3. ヘルサレム:大地、海、星々が
4. フランシスコ・コルセッリ[1705-1778]:主は言われた
5.ヘルサレム:この地を選び、聖別した
6. デ・スマヤ:賛美し、宣言し、唱え、歌え
7. ヘルサレム:夜明けのように昇りゆくのは
8. マヌエル・デ・スマヤ:天の軍勢よ
9. ホセ・デ・ネブラ[1702-1768]:ポリコラール・ミサ ト長調
エレナ・ハルシャーニ(ソプラノ)
カロリーヌ・マルソー(アルト)
アンドレ・クルス(テノール)
トマス・ボンニ(バス)
ケルン・アカデミー(古楽器オーケストラ)
マイケル・アレグザンダー・ウィレンズ(指揮)
録音時期:2024年11月5-9日
録音場所:ケルン、ドイツ放送室内楽ホール
録音方式:ステレオ(デジタル)