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シャルル・ミュンシュの芸術1000(40点)

Thursday, October 19th 2006

BMGジャパンによって1998年に発売され絶賛を博した「不滅のシャルル・ミュンシュ(25タイトル)」をプライス・ダウンし、未CD化だった音源も加えて全部で40タイトルというかなりの増量となった大型シリーズの登場です。
 モノラルですら音質鮮烈というRCAならではの優れた録音技術が捉えたミュンシュ&ボストン響の素晴らしい演奏の数々。定評あるきわめつけの名盤から意外なレパートリーの意外な名演まで多彩なアルバムが、丁寧なCD化作業によって見事に現代に蘇ります。ジャケットには、基本的にLP発売時のオリジナル・アートワークが使用されているのもポイント。なお、15枚以上の購入特典盤として、日本未発売音源を含む特製CDがメーカーよりプレゼントされます。初回プレス限定盤となりますのでお早めにどうぞ。

【特典盤収録予定曲】
・モーツァルト:歌劇「フィガロの結婚」序曲
 [日本未発売/世界初CD化]
・ラロ:歌劇「イスの王」序曲
 [日本未発売/世界初CD化]
・サン=サーンス:歌劇「黄色い皇女」序曲
 [日本初CD化]
・ラヴェル:ラ・ヴァルス
 [ボストン響との第1回目録音・日本未発売/世界初CD化]
・ラヴェル:スペイン狂詩曲
 [ボストン響との第1回目録音・日本未発売/世界初CD化]
・ラヴェル:亡き王女のためのパヴァーヌ
 [ボストン響との第1回目録音/世界初CD化]
 (以上1951年〜1952年録音)

【ミュンシュ・プロフィール】
(1891年9月26日、仏ストラスブール生〜1968年11月6日、米ヴァージニア州リッチモンド没)
 20世紀最大の名指揮者の一人。ストラスブールの音楽一家に生まれ、同地の音楽院で父からヴァイオリンを学ぶ。パリではリュシアン・カペーに、ベルリンではカール・フレッシュに師事している。第1次大戦の混乱の後、ストラスブールで音楽院の教授およびオーケストラのコンサートマスターとして活動をはじめ、1926年には名門ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団に招かれ、フルトヴェングラーおよびブルーノ・ワルターのもとでコンサートマスターに就任。
 ナチスの台頭に伴い、1932年にはパリに移り、自費でオーケストラをやとって指揮者としてデビュー。その後、パリ・フィルハーモニー協会管弦楽団首席指揮者、エコール・ノルマル教授、国際現代音楽協会指揮者、パリ音楽院管弦楽団首席指揮者を歴任、第2次大戦中もフランスに留まってレジスタンス活動を支援した。
 1946年にはボストン交響楽団を指揮してアメリカ・デビューを果たし、欧米各地のオーケストラへ積極的な客演活動を開始した。
 ミュンシュが前任者クーセヴィツキーを引き継いでボストン響の音楽監督となったのは1949年のこと。ピエール・モントゥーが確立したフランス式の演奏様式の伝統を継承し、ボストン響をフランス音楽の演奏にかけては類のないアンサンブルに仕立て上げた。その一方で、ドイツ音楽の演奏においても本領を発揮し、RCAにはベートーヴェンからワーグナーにいたるドイツ音楽の本流の作品の録音が数多く残されている。同時代の作曲家に作品を委嘱するというボストン響の伝統も継承し、フランス時代から親しかったプーランク、オネゲル、イベールだけでなく、例えばボストン響75周年に際しては、バーンスタイン、デュティユー、マルティヌー、セッションズ、W.シューマンに新作交響曲を依頼している。チャーミングで気取らないミュンシュは聴衆からも(特にリハーサル嫌いな点は)楽員からも愛され、1回1回の演奏会が即興性に溢れ特別な体験となった。音楽監督の地位を離れる1961-1962年シーズンまで、1400回以上(1シーズン平均125回)の演奏会を指揮し、1951年からはタングルウッド音楽祭にも毎夏登場した。ミュンシュ時代に、初の海外公演(1960年の極東への演奏旅行をふくむ)が実施され、青少年向けのコンサートも開始されている。
 ボストン響を離れてからは故国フランスに戻り、欧米各地のオーケストラに客演を重ねた。1967年には、パリ管弦楽団の創設に関わり大きな成功を収めたが、翌年の同管とのアメリカ・ツアーの途上、リッチモンドで死去した。(BMG)

BVCC38422(2CD)
シャルル・ミュンシュの芸術1000[1]
J.S.バッハ:ブランデンブルク協奏曲

ミュンシュ&ボストンによるバッハを集成。タングルウッド音楽祭期間中に録音されたブランデンブルク全曲では、指揮者を入れて40人弱というアンサンブルながら、第5番ではピアノが用いられ(作曲家でもあるルーカス・フォスが担当)、フルート、オーボエ、トランペットなど管楽器はモダン楽器によっているなど、特にバロック様式を意識することなく、明朗なバッハ像が描かれていきます。ヴァイオリン協奏曲では名手ラレード若き日のソロが聴きもの。
 ミュンシュは、ボストン響時代には毎年受難節にヨハネもしくはマタイを取り上げていたが、録音としては、当アルバム以外には、第2次大戦前のパリ時代に、ピエール・ベルナックと録音したソロ・カンタータがあるのみ(偽作)。また、ボストン響自体もバッハ録音がほとんどないオーケストラであるため、これらの録音は貴重な存在です。(BMG JAPAN)

J.S.バッハ:
1.ブランデンブルク協奏曲第1番ヘ長調 BWV.1046(MONO)
2.ブランデンブルク協奏曲第2番ヘ長調 BWV.1047(MONO)
3.ブランデンブルク協奏曲第3番ト長調 BWV.1048(MONO)
4.ブランデンブルク協奏曲第4番ト長調 BWV.1049(MONO)
5.ブランデンブルク協奏曲第5番ニ長調 BWV.1050(MONO)
6.ブランデンブルク協奏曲第6番変ロ長調 BWV.1051(MONO)
7.ヴァイオリン協奏曲第1番イ短調 BWV.1041(STEREO)
 ジェームズ・スタリアーノ、ハリー・シャピロ(ホルン)(1)
 ラルフ・ゴンバーグ(オーボエ)(1,2)
 リチャード・バージン(ヴァイオリン)(1,2,4,5)
 ロジャー・ヴォワザン(トランペット)(2)
 ドゥリオ・アントニー・ドワイヤー(フルート)(2,4,5)
 ジェームズ・バッポートサキス(フルート)(4)
 ルーカス・フォス(ピアノ)(5)
 ハイメ・ラレード(ヴァイオリン)(7)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1957年7月8,9日(1-6)、1960年12月24,25日(7)
 録音場所:タングルウッド(1-6)、ボストン、シンフォニー・ホール(7)
BVCC38424
シャルル・ミュンシュの芸術1000[2]
ハイドン:『太鼓連打』、『ロンドン』
世界初CD化

ミュンシュによるハイドンとヘンデル作品の録音は数少なく、ボストン響とのこされたものは当アルバムの3曲が全て。ハイドンの2曲は『ロンドン交響曲集』の最後を飾るもので、いずれもハイドンの円熟した書法による充実した響きの名作です。アイルランドの作曲家・指揮者ハーティ編曲による『水上の音楽』は、ピリオド楽器による演奏が隆盛となった現在では顧みられることが少なものの、編曲といっても優雅で敬虔な趣きをたたえた見事なもので、20世紀後半までは通常の交響楽団の演奏会では頻繁に使われていました。3曲ともミュンシュのボストン響時代初期の録音で、過度にロマンティックになることなく、きびきびと引き締まった響きが快いものです。
 LP初出は、第104番『ロンドン』は単独で、第103番『太鼓連打』はベートーヴェンの第1番とのカップリングで、『水上の音楽』は、『フィガロの結婚』序曲と『ゲノヴェーヴァ』序曲との不思議なカップリングで発売されていました。(BMG JAPAN)

1.ハイドン:交響曲第103番変ホ長調『太鼓連打』(MONO)世界初CD化
2.ハイドン:交響曲第104番ニ長調『ロンドン』(MONO)世界初CD化
3.ヘンデル / ハーティ編:組曲『水上の音楽』(MONO)世界初CD化
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1951年(1)、1952年(2,3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38425
シャルル・ミュンシュの芸術1000[3]
ベートーヴェン:交響曲第3番『英雄』&第1番

フランスの指揮者でありながら、ミュンシュのドイツ音楽は高く評価されていました。そのベートーヴェン解釈は、オーケストラを開放的に鳴らし、気宇壮大なスケールと情熱を併せ持っています。『英雄』では、冒頭の引き締まった2つのトゥッティから終楽章のコーダに至るまでを一気に聴かせてしまう圧倒的なエネルギーに満ちている。『葬送行進曲』の悲哀の深さ、そしてモノラルの第1番の若々しい推進力もミュンシュならでは。
 ミュンシュは、ボストン響時代に、第2番と第4番を除く7曲のベートーヴェンの交響曲を録音している(第1番と第7番以外はステレオ録音)。全集が完成しなかったのは残念ですが、いずれの録音にもミュンシュ独自のベートーヴェン観がくっきりと刻印されています。当アルバムの第1番は、もともとハイドンの交響曲第103番『太鼓連打』とのカップリングでLP発売されていました。『フィデリオ』序曲は、『レオノーレ』序曲第1番〜第3番、『コリオラン』序曲とともに『ベートーヴェン:序曲集』のLPに含まれていたもの。なお『英雄』については、10月にNHKクラシックスより、1960年ボストン響来日公演時の映像がDVD化されています。(BMG JAPAN)

ベートーヴェン:
1.歌劇『フィデリオ』序曲 Op.72b(STEREO)
2.交響曲第3番変ホ長調 Op.55『英雄』(STEREO)
3.交響曲第1番ハ長調 Op.21(MONO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1956年2月26,27日(1)、1957年12月2日(2)、1950年12月27日(3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38426
シャルル・ミュンシュの芸術1000[4]
ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』&第6番『田園』

ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターをつとめていたミュンシュは、フルトヴェングラーやワルターのもとでドイツ音楽の神髄に触れることになりました。第1楽章主部のリピートさえ省略し、たたみかけるような速いテンポで全曲を押し切るドラマティックな『運命』、自然への賛歌を大らかに歌い上げる、人間味溢れた『田園』など、ミュンシュならではのベートーヴェン解釈を堪能できます。超快速の『コリオラン』もユニークな解釈で際立っています。
 『運命』はもともとシューベルトの『未完成』とカップリングされて発売されたもので、LP時代に流行した『運命』『未完成』のカップリングのおそらくはしりの1枚となったもの(RCAはこのあと1968年に小澤=シカゴ響でもこのカップリングのLPを発売)。『田園』はタングルウッド音楽祭期間中に録音されたもの。『コリオラン』は1956年に発売された『ベートーヴェン:序曲集』が初出。(BMG JAPAN)

ベートーヴェン:
1.交響曲第5番ハ短調 Op.67『運命』(STEREO)
2.交響曲第6番ヘ長調 Op.68『田園』(STEREO)
3.序曲『コリオラン』 Op.62(STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1955年5月2日(1)、1955年8月16日(2)、1956年2月26,27日(3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38427
シャルル・ミュンシュの芸術1000[5]
ベートーヴェン:交響曲第7番、第8番
世界初CD化

ミュンシュによるベートーヴェンの交響曲録音のうち、長らくCD化されなかった第7番と第8番がついに登場。第7番は、1949年のミュンシュのボストン響音楽監督就任後、RCAへ行われた最初の録音の一つで、『舞踏の聖化』と称されるこの交響曲のダイナミズムを最大限に引き出したミュンシュらしい演奏。1958年録音の第8番は、当初第9番とのカップリングで2枚組で発売されたもので、その後第9番が1枚ものとして発売されるにいたったため初出以後は単独での再発売が行われませんでした。ベートーヴェンの偶数交響曲の典型を思わせる陽気な外見の下に隠された、作曲者の不敵なまでに大胆な数多くの仕掛けを鮮烈に表現した、ミュンシュらしい豪胆さが光る名演。(BMG JAPAN)

ベートーヴェン:
1.交響曲第7番イ長調 Op.92(MONO)世界初CD化
2.交響曲第8番ヘ長調 Op.93(STEREO)世界初CD化
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1949年11月19日(1)、1958年11月30日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38428
シャルル・ミュンシュの芸術1000[6]
ベートーヴェン:交響曲第9番『合唱』

全曲約62分、LP時代『最も速い第9』の一つとして高い評価を得ていた名盤。細部まで温かい血の通ったオーケストラの有機的な響きが聴かれ、再現部における怒涛の迫力が見事な第1楽章、弦と管の暖かな音色が印象的な第3楽章、そしてプライスをはじめとする豪華ソリスト陣と優秀な合唱団をしたがえて人類の平和を希求しつつ情熱的に高揚していく第4楽章は、まさにミュンシュ芸術の神髄。『レオノーレ』第3番におけるホルンやトランペットによる木管パートの補強もこの時代ならでは。
 『第9』は同じメンバーで行われた演奏会の直後に収録されたもので、当時RCAが力を入れていたレオンタイン・プライスがソプラノ独唱として参加しているのが聴きもの。ライナー&シカゴ響とのマーラー『大地の歌』録音での名歌唱でも知られるコントラルトのモーリン・フォレスターは、この録音の1週間後にマーラーの『さすらう若人の歌』『亡き子を偲ぶ歌』をミュンシュ=ボストン響と録音しています。『レオノーレ』第3番は、『ベートーヴェン:序曲集』のLPからで、同日に『レオノーレ』第1番、第2番も録音されています。(BMG JAPAN)

ベートーヴェン:
1.序曲『レオノーレ』第3番 Op.72a(STEREO)
2.交響曲第9番ニ短調 Op.125『合唱』(STEREO)
 レオンタイン・プライス(ソプラノ)
 モーリーン・フォレスター(コントラルト)
 デイヴィッド・ポレリ(テノール)
 ジョルジョ・トッツィ(バス)
 ニュー・イングランド音楽院合唱団
(合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1956年2月26,27日(1)、1958年12月21,22日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38429
シャルル・ミュンシュの芸術1000[7]
シューベルト:交響曲第2番、ベートーヴェン:序曲集
世界初CD化

シューベルトの交響曲第2番は、意外なことに、ミュンシュが好んで取り上げた作品で、RCAにも1950年ごろのモノラル録音と、その10年後のステレオによる再録音(当盤所収)の2種類が残されています。普段の豪壮でドラマティックな芸風よりもむしろロマンティシズムの香り溢れる音楽作りが印象的(特に第2楽章)。初出LPのカップリングはベートーヴェンの『プロメテウスの創造物』からの3曲。
 1956年録音の『レオノーレ』序曲第1番と第2番は、もともと『ベートーヴェン:序曲集』として1枚のLPにまとめられていたもので、こちらは荒々しいまでの迫力に満ちた『怒れるベートーヴェン像』を提示しています。(BMG JAPAN)

1.シューベルト:交響曲第2番変ロ長調 D.125(STEREO)世界初CD化
2.ベートーヴェン:『プロメテウスの創造物』より(STEREO)世界初CD化
 序曲
 第5曲『アダージョ』
 フィナーレ
3.ベートーヴェン:『レオノーレ』序曲第1番 Op.138(STEREO)世界初CD化
4.ベートーヴェン:『レオノーレ』序曲第2番 Op.72a(STEREO)世界初CD化
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1960年3月7日(1,2)、1956年2月27日(3,4)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38430
シャルル・ミュンシュの芸術1000[8]
シューベルト:『未完成』、『ザ・グレイト』

スケール雄大でドラマティックなミュンシュのシューベルト。『ザ・グレイト』では、冒頭のホルンから速めのテンポが採られ、力強く骨太の音楽が展開されてゆきます。リズムの鋭い切り込みと躍動感に溢れ、感傷的なシューベルト像とは無縁ながら、第2楽章中間部や第3楽章トリオでの優美なロマンティシズムは、ミュンシュ=ボストンならでは。ぶっきらぼうなまに豪胆な響きによるユニークな『未完成』にもミュンシュの個性がくっきりと刻印されていると言えるでしょう。
 ミュンシュのシューベルト録音はこの2曲のほかには、ボストン響時代に2回録音している交響曲第2番があるのみ。シューベルトの淡いロマンティシズムは、豪快なミュンシュの芸風とは相容れないように思えますが、実際には相性は抜群で、作品に含まれるドラマ性を見事に引き出しています。『未完成』はもともとベートーヴェン『運命』とカップリングされていたもので、この大曲2曲を1日で収録。(BMG JAPAN)

シューベルト:
1.交響曲第8番ロ短調 D.759『未完成』(STEREO)
2.交響曲第9番ハ長調 D.944『ザ・グレイト』(STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1955年5月2日(1)、1958年11月19日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38431
シャルル・ミュンシュの芸術1000[9]
ベルリオーズ:幻想交響曲(1954年録音)

ミュンシュといえばベルリオーズの『幻想』!ミュンシュの極めつきとされた『幻想交響曲』の、ボストン響との最初の録音。ベルリオーズの音楽の灼熱的な情感と夢見るような幻想が、オーケストラの華麗な色彩を添えて見事なまでに音化されています。当時のボストン響のフランス風の響きを生かし、細部まで明快なミュンシュの表現は、作品の冒頭から聴き手を、阿片を飲んで自殺を図った芸術化の白昼夢の世界へと連れ込んでゆきます。1954年から開始されたばかりのRCAのステレオ最初期の優秀録音。カップリングの歌劇『トロイ人』からの『王の狩りと嵐』では、壮大なスケールで嵐の様子を描写しています。
 この1954年録音の『幻想』は、初出LPはモノラル録音でしたが、翌年録音の『ダフニスとクロエ』同様、後に並行して収録されていたステレオ録音が発売されました。当時はメインのモノラル・セッションをリチャード・モアとルイス・レイトンが、実験的なステレオ収録をジョン・ファイファーとジョン・クロフォードが担当する形で、オーケストラの録音が進められることが多かったそうです。最初期のステレオ録音にもかかわらず、各楽器の立体感やバランス、ホールの空気感の再現性も含め、完璧にしあがった名録音である。『王の狩りと嵐』は、最初は同じベルリオーズの4曲の序曲とのカップリングで発売(BMG JAPAN)

ベルリオーズ:
1.幻想交響曲 Op.14(STEREO)
2.歌劇『トロイ人』〜王の狩りと嵐(STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音場所:1954年11月14,15日(1)、1959年4月6日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38432
シャルル・ミュンシュの芸術1000[10]
ベルリオーズ:イタリアのハロルド、序曲集

イギリス出身の名ヴィオリスト、プリムローズと組んだ『イタリアのハロルド』の古典的名盤。プリムローズにとって3回目のスタジオ録音で、最円熟期を迎えていたこの巨匠の豊麗な音色と抜群のテクニックを堪能できます。全曲に渡ってのミュンシュの雄弁なバックアップも素晴らしく、最後の壮絶なクライマックスまで、聴き手を一瞬たりとも飽きさせることがありません。併録の序曲集では、ボストン響の鮮やかな色彩感を駆使して、短く凝縮されたドラマを克明に描き出しています。
 プリムローズは、SP時代にクーセヴィツキー&ボストン響ともRCAに『イタリアのハロルド』を録音、さらにモノラル時代にはビーチャム&ロイヤル・フィルとの録音も残しています。クーセヴィツキー、ビーチャム、ミュンシュの3人ともベルリオーズの演奏には一家言を持つ大家ですが、全体の演奏の巧みさという点では、このミュンシュ盤が随一。4曲の序曲は、初出LPでは『王の狩りと嵐』とカップリングでした(BMG JAPAN)

ベルリオーズ:
1.交響曲『イタリアのハロルド』 Op.16(STEREO)
2.序曲『ローマの謝肉祭』 Op.9(STEREO)
3.歌劇『ベアトリスとベネディクト』序曲(STEREO)
4.歌劇『ベンヴェヌート・チェリーニ』序曲(STEREO)
5.序曲『海賊』 Op.21(STEREO)
 ウィリアム・プリムローズ(ヴィオラ)(1)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1958年3月31日(1)、1958年12月1日(2,3,5)、1959年4月6日(4)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38433(2CD)
シャルル・ミュンシュの芸術1000[11]
ベルリオーズ:ロメオとジュリエット(1953年録音)

ミュンシュ&ボストン響のベルリオーズ・チクルスの発端となった1953年録音の歴史的な『ロメオとジュリエット』がついに単独で登場。ボストン響が史上初めてこの大曲の全曲を取り上げた演奏会と並行してRCAへの録音が行われたもの。その年の秋に発売されたLPは大きな反響を巻き起こし、モノラルながらも『ハイ・フィデリティ』を標榜し、オーケストラの響きや独唱・合唱のバランスを見事に家庭の装置で再生することのできた名録音が高く評価されました。1961年のステレオ再録音盤とは独唱者も合唱団も異なりますが、ミュンシュの情熱溢れる音楽作りは変わりません。
 この録音の商業的な成功を受けて、翌年からミュンシュ=ボストン響による『ファウストの劫罰』をはじめとするベルリオーズの大曲・管弦楽曲が次々に録音され、現在に伝わる一連の名盤が生み出されることになったのでした。(BMG JAPAN)

・ベルリオーズ:劇的交響曲『ロメオとジュリエット』 Op.17
 マーガレット・ロッジェーロ(メゾ・ソプラノ)
 レスリー・チャペイ(テノール)、他
 ハーヴァード・グリー・クラブ
 ラドクリフ合唱協会
 (合唱指揮:G.ウォーレス・ウッドワース)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音:1953年2月22,23日、ボストン、シンフォニー・ホール(MONO)
BVCC38435(2CD)
シャルル・ミュンシュの芸術1000[12]
ベルリオーズ:ファウストの劫罰

ミュンシュが録音した唯一の『ファウストの劫罰』。ゲーテの名作を元にしたオペラとも大規模なカンタータともとれるこの破天荒な音楽の本質を、明快な筆致で表出、ダンコを始めとする独唱者陣の名歌唱、黄金期のボストン響のフランス風の響きをたたえたヴィルトゥオーゾぶりとも相俟って、発売以来古典的な名盤として高く評価されています。RCAでのミュンシュによるベルリオーズ主要作品録音の先鞭をつけた1954年の録音で、細部まで明晰なモノラル・ハイファイ・サウンドは、この名演を味わうのに不足はありません。
 ミュンシュによる『ファウストの劫罰』のステレオ録音は実現しませんでしたが、実はこの1954年の時点でステレオ録音が行われていたものの(当時ステレオ録音の開発と実験に力を入れていたRCAは、オーケストラのセッションではメインのモノラル収録と並行して、別のプロデューサーとエンジニアによってステレオ収録を進めていました)、現在ではテープが失われ、第4部の『奈落への騎行』の一部が残されているのみ。(BMG JAPAN)
・ベルリオーズ:劇的物語『ファウストの劫罰』 Op.24(全曲)
 シュザンヌ・ダンコ(ソプラノ:マルグリート)
 デイヴォッド・ポレリ(テノール:ファウスト)
 マルシアル・サンゲル(バリトン:メフィストフェレス)
 ドナルド・グラム(バス:ブランデル)
 マッケンリー・ボートライト(バス:地上のエピローグ)
 ハーヴァード・グリー・クラブ
 ラドクリフ合唱協会
 (合唱指揮:G.ウォーレス・ウッドワース)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音:1954年2月21,22日、ボストン、シンフォニー・ホール(MONO)
BVCC38437(2CD)
シャルル・ミュンシュの芸術1000[13]
ベルリオーズ:レクイエム、夏の夜

ベルリオーズ『レクイエム』はステレオ初期の決定盤として高く評価されていた名盤。合唱、テノール独唱、16台のティンパニを含むオーケストラに加えて別働隊の4群のブラスを含む膨大な編成に託した作曲者の情熱を気宇壮大に歌い上げています。『サンクトゥス』におけるカナダノ名テノール、レオポルド・シモノーの清澄な名唱も印象的。リチャード・モア(プロデューサー)、ルイス・レイトン(エンジニア)の名コンビが手がけた、ボストン・シンフォニー・ホールの空気感までをも伝える優秀録音。併録の『夏の夜』でのロス・アンヘレスの可憐な歌声も大きな魅力。
 この『レクイエム』の録音は、ボストン・シンフォニー・ホールの客席を取り払い、そこにオーケストラを置き、合唱はステージ上に、また4群のブラスはバルコニーに配置して2日間をかけて行われました。初出時は、木製の丸背付きの布張りによる特別製カートンボックスに収められたソリア・シリーズの一つとして発売。ミュンシュは、この録音の8年後に、バイエルン放送響ともこの大曲を録音していますが、なじみのないオーケストラを相手にした老境の解釈に比べて、オーケストラのうまさ、合唱の立体感、そしてなりよりも作曲者の破天荒な発想を現実の音としている点において、このボストン響盤の価値は揺るぎ無いところ。ロス・アンヘルスとの『夏の夜』は、ドビュッシーの『選ばれた乙女』と同時に収録され、1枚にカップリングされて発売されたものです。(BMG JAPAN)

ベルリオーズ:
1.レクイエム Op.5(STEREO)
2.歌曲集『夏の夜』 Op.7(MONO)
 レオポルド・シモノー(テノール)(1)
 ニュー・イングランド音楽院合唱団(1)
 (合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン)
 ヴィクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)(2)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1959年4月26,27日(1)、1955年4月12,13日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38439(2CD)
シャルル・ミュンシュの芸術1000[14]
ベルリオーズ:キリストの幼時

ベルリオーズの声楽付き作品録音のうちでも、ドラマ性ではなくオーケストラや合唱・独唱の簡素な美しさで知られる名オラトリオの、ミュンシュ唯一の録音。ミュンシュがボストン響での同曲の初めての全曲演奏を行った直後に録音されたもので、録音のさほど多くないこの曲の名演盤として、発売当初から高い評価を受けていたものです。ミュンシュはこの録音の10年後、1966年にボストン響に最後に客演した時もこのオラトリオを取り上げている(演奏会の映像が残されており、VAIよりDVD化されている)ことからも、彼の作品に対する愛情と共感が計り知れます。ミュンシュもいつもの激情をおさえ、ボストン響の名手たちの美演を引き立たせながら、作品の美しさを丹念に紡ぎ出しています。フランスの名バリトン、スゼーを始めとする歌手たちも、美しい歌唱を繰り広げています。(BMG JAPAN)

・ベルリオーズ:宗教的三部作『キリストの幼時』 Op.25
 チェーザレ・ヴァレッティ(テノール:語り手、百人隊長)
 フローレンス・コプレフ(コントラルト:マリア)
 ジェラール・スゼー(バリトン:ヨセフ)
 ジョルジョ・トッツィ(バス:ヘロデ、ポリュドルス、家の主人)
 ルシアン・オリヴィエ(バリトン)
 ニュー・イングランド音楽院合唱団
 (合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン)
 ドゥリオ・アントニー・ドワイヤー(フルート)
 ジェームズ・バッポートサキス(フルート)
 バーナード・ジゲラ(ハープ)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音:1956年12月23,24日、ボストン、シンフォニー・ホール(STEREO)
BVCC38441(2CD)
シャルル・ミュンシュの芸術1000[15]
ベルリオーズ:ロメオとジュリエット、幻想交響曲(1962年録音)

ミュンシュにとって2度目、そして唯一のステレオ録音となった『ロメオとジュリエット』。緊張をはらんだ明晰な音が燦然と解放されるクライマックスの素晴らしさは、合唱の華麗で明晰な表現を加えてまさに文字通りドラマティック。壮麗な悲劇としての作品の本質を一瞬の緩みもなく完璧に表出しています。『幻想』はボストン響音楽監督在任中最後のスタジオ録音となったミュンシュ3回目の録音で、1954年盤にスケールの雄大さを加味した空前絶後の名演。
 『幻想』は、『ダフニスとクロエ』と並び、ボストン響時代に2種類のステレオ録音が残された数少ない例。一方、『ロメオとジュリエット』は、1953年のモノラル録音以来2度目の録音となったもので、初出時は豪華仕様のソリア・シリーズでのリリースでした。(BMG JAPAN)

ベルリオーズ:
1.幻想交響曲 Op.14(STEREO)
2.劇的交響曲『ロメオとジュリエット』 Op.17(STEREO)
 ロザリンド・エリアス(メゾ・ソプラノ)(2)
 チェーザレ・ヴァレッティ(テノール)(2)
 ジョルジョ・トッツィ(バス)(2)
 ニュー・イングランド音楽院合唱団(2)
 (合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1962年4月7日(1)、1961年4月23,24日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38443
シャルル・ミュンシュの芸術1000[16]
メンデルスゾーン:『スコットランド』、『イタリア』

両交響曲ともLP時代から高い定評のあった名演。特に木管やホルン・パートがまるでフランスのオーケストラを思わせる明るく軽いソノリティを持ち、そこにほのかな憂愁をあじえて演奏される『スコットランド』、躍動的なダイナミズムと鮮やかな色彩感に彩られ、終楽章の熱狂的なサルタレッロで高揚する『イタリア』。ミュンシュの本領であるドラマティックな演出が最大限に発揮された名解釈を聴くことができます。
 メンデルスゾーンは、ミュンシュがコンサートマスター(1962年から1932年)をつとめていたライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の指揮者もつとめており、その演奏についてはいわば直伝の解釈を受け継いでいるとも言えるでしょう。ボストン響時代には、交響曲第3番〜第5番のほか、ハイフェッツとの有名なヴァイオリン協奏曲、グラフマンとの『華麗なカプリッチョ』をなどを録音。『スコットランド』はもともと八重奏曲からのスケルツォとのカップリングで、『イタリア』は『宗教改革』とのカップリングで発売されていたもの。(BMG JAPAN)

メンデルスゾーン:
1.交響曲第3番イ短調 Op.56『スコットランド』(STEREO)
2.交響曲第4番イ長調 Op.90『イタリア』(STEREO)
3.八重奏曲〜スケルツォ(STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1959年12月7日(1)、1958年2月18日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38444
シャルル・ミュンシュの芸術1000[17]
シューマン:『春』、メンデルスゾーン:『宗教改革』

シューマンの交響曲の一般的なイメージとは大きく異なる、明るく輝かしい響きに彩られた『春』。ここには春の訪れに狂気せんばかりの圧倒的な歓喜の表現があり、それは黄金期のミュンシュ&ボストンにしてはじめて成しえた大胆な解釈でしょう。『宗教改革』は、モノラル期のトスカニーニ盤と並ぶLP時代の名盤で、忘れられがちなミュンシュの緻密な造形感覚を見事に示しています。
 シューマンの『春』はミュンシュの愛奏曲の一つで、RCAには1951年ごろ録音されたモノラル盤もあります。当アルバムに収録されているのは1959年のステレオ再録盤で、オリジナルLPは『マンフレッド』序曲とのカップリングでした。『ゲノヴェーヴァ』序曲は、LP初期の録音で、ヘンデルの『水上の音楽』組曲、モーツァルトの『フィガロの結婚』序曲とのカップリングで発売。『宗教改革』は同じメンデルルゾーンの『イタリア』とのカップリングで発売されていたもので、ローマの遺跡の写真を使ったジャケットは有名です。(BMG JAPAN)

1.シューマン:交響曲第1番変ロ長調 Op.38『春』(STEREO)
2.シューマン:『マンフレッド』序曲 Op.115(STEREO)
3.シューマン:『ゲノヴェーヴァ』序曲 Op.81(MONO)
4.メンデルスゾーン:交響曲第5番ニ長調 Op.107『宗教改革』(STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1959年10月5日(1,2)、1951年1月18日(3)、1957年10月28日(4)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38445
シャルル・ミュンシュの芸術1000[18]
ワーグナー:管弦楽曲集
世界初CD化(ジークフリートのラインへの旅)

生涯を通じて歌劇場での活動とはほとんど無縁だったミュンシュによるユニークなワーグナーの世界。オペラからの抜粋でありながら、シンフォニックな立体感と造型を基本に、フランスのオーケストラを思わせるような華麗で色彩的な木管(特に『タンホイザー』のバッカナールや『魔の炎の音楽』に顕著)、輝かしさを十分備えながら重くなりすぎないブラスなど、当時のボストン響の特性を生かした明快なワーグナー解釈です。当時のアメリカを代表するドラマティック・ソプラノ、ファーレルの歌唱も貴重。
 ボストン響はミュンシュの次のラインスドルフ(メトで盛んにワーグナー上演に関わった指揮者)の時代になって、『ローエングリン』全曲盤を録音しますが、ミュンシュ時代以前にはこのアルバムに含まれたLP2枚分の録音がそのほとんどすべてでした。基本的にオペラ上演と接点を持たないオーケストラであるため、かえってワーグナーのオーケストレーションの見事さやその響きの面白さが際立つことになった、とも評されています。(BMG JAPAN)

ワーグナー:
1.歌劇『タンホイザー』〜序曲とヴェーヌスベルクの音楽(STEREO)
2.楽劇『トリスタンとイゾルデ』〜前奏曲と愛の死(STEREO)
3.楽劇『ワルキューレ』〜魔の炎の音楽(STEREO)
4.楽劇『神々の黄昏』〜ジークフリートのラインへの旅(STEREO)世界初CD化
5.楽劇『神々の黄昏』〜ブリュンヒルデの自己犠牲(STEREO)
 アイリーン・ファーレル(ソプラノ)(2,4)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1957年4月1日(1,3,4)、1957年12月25日(2,5)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38446
シャルル・ミュンシュの芸術1000[19]
フランク:交響曲、デュカス:魔法使いの弟子

フランクの交響曲は、ミュンシュ&ボストン響の最高傑作の一つ。豪快な力強さ、緊張感が漲りながらも、どこまでも開放的な情熱が横溢しておりドイツ的な構成感とフランス的な色彩を合わせ持ったフランクの本質に相応しい名演。併録のデュカスとイベールにおいても、当時のボストン響の充実度を裏付ける豊麗な響き、現在は失われてしまったフランス的な特質を堪能させます。
 ベルギー人だったフランクは、構成感や重厚さを重視するドイツ的な作風を持ち、その意味でミュンシュの音楽性にぴったりの作曲家でした。この交響曲にフルトヴェングラーやメンゲルベルク、ザンデルリンクなど、ドイツ系の指揮者の名演が多いのもそのためで、むしろ生粋のフランス人指揮者の演奏には不満が残ることが多い、とさえ言われるほど。その意味でミュンシュの解釈は理想的。彼は1945年(パリ音楽院管弦楽団)、1957年(ボストン響、当盤)、そして1966年(ロッテルダム・フィル)と3種類の録音を残しており、ミュンシュによる同一曲録音回数記録では、『幻想』の5回、ラヴェル『亡き王女のためのパヴァーヌ』『ボレロ』『ラ・ヴァルス』『スペイン狂詩曲』の4回に次ぎ、ビゼーの交響曲、ドビュッシー『海』、イベリア、オネゲルの交響曲第2番、ラヴェル『左手のためのピアノ協奏曲』、チャイコフスキー『ロメオとジュリエット』と並ぶものです。
 『魔法使いの弟子』は『フレンチ・タッチ』という有名なLPに収録されていたもので、『寄港地』は『海』とのカップリングが初出。(BMG JAPAN)

1.フランク:交響曲ニ短調(STEREO)
2.フランク:交響詩『呪われた狩人』(STEREO)
3.デュカス:交響詩『魔法使いの弟子』(STEREO)
4.イベール:交響組曲『寄港地』(STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1957年3月11日(1)、1962年2月26日(2)、1957年11月4日(3)、1956年10月10日(4)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38447シャルル・ミュンシュの芸術1000[20]
ブラームス:交響曲第1番、悲劇的序曲

ミュンシュのドラマティックな表現力が極限まで発揮された『ブラ1』の名演。ボストン響のパリッと冴えた輝かしい金管の響きを効果的に生かしながら、凄まじい推進力で全曲を聴かせてしまう勢いを備えており、有名な最晩年のパリ管弦楽団とのEMI録音とはまた別の味わいを持つ、より剛毅な迫力に満ちた男性的な解釈といえます。指揮者の手足と化したオーケストラの充実ぶりと相俟って、『悲劇的序曲』における一気呵成の進行も聴きもの。
 ミュンシュは、ベートーヴェン同様、ブラームスの交響曲全集も完成していない(第3番は、同時期にライナー&シカゴ響がRCAに録音していたせいか、未録音)。ボストン響時代には、第3番を除く交響曲、悲劇的序曲、2曲のピアノ協奏曲の録音があるのみ。ドイツ風な重厚さよりも直線的なダイナミズムを重視したその解釈は、陰鬱なブラームス像を好まない音楽ファンから熱狂的に支持されていますが、当アルバムの2曲にもその特徴がはっきりと現われています。(BMG JAPAN)

ブラームス:
1.交響曲第1番ハ短調 Op.68(STEREO)
2.悲劇的序曲 Op.81(STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1956年11月19日(1)、1955年12月5日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38448
シャルル・ミュンシュの芸術1000[21]
ブラームス:交響曲第2番、第4番

ブラームスは、ベートーヴェンと並んで、ミュンシュが最も得意としたドイツ音楽のレパートリー。ボストン響の緻密で洗練されたアンサンブル、特に美しい弦と輝かしい金管パートを基本にして、明快なブラームス像を描いています。作品に真正面から取り組み、激しい燃焼度で突き進んでいく若々しさと、壮大なスケールで音楽を高潮させてゆく手腕はミュンシュの真骨頂。特に両交響曲のフィナーレで沸騰点に達するパッションは、他からは聴くことが出来ないものです。
 第4番は、シューベルトの第2番、シューマンの第1番と並んで、ミュンシュがボストン時代にモノラルとステレオで録音を残した交響曲の一つ。録音という行為そのものが今日のように手軽でなかった時代に、再録音を行うということは尋常なことではなく、レコード・セールスへの期待もさることながら、演奏者の側にも強いこだわりがないと実現できませんでした。その意味で、この第4番にはミュンシュの作品に寄せる愛情がにじみ出た演奏になっており、聴き応え満点です。(BMG JAPAN)

ブラームス:
1.交響曲第2番ニ長調 Op.73(STEREO)
2.交響曲第4番ホ短調 Op.98(STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1955年12月5日(1)、1958年10月27日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38449
シャルル・ミュンシュの芸術1000[22]
ブラームス:ピアノ協奏曲第1番

アメリカを代表するピアニストとして、またカーティス音楽院院長(在任1995-2005)として若手の指導にも力を入れているゲイリー・グラフマン(1928年生まれ)若き日のミュンシュとの共演が復活。グラフマンは1950年代から60年代にかけてコロンビアとRCAという2大レーベルに数多くの録音を残しており、協奏曲ではセル、オーマンディ、バーンスタインら大物指揮者との名演に枚挙がありません。このミュンシュとのブラームスはその代表盤のひとつで、全曲43分あまりの超快速でこの大曲を演奏しています。
 併録のメンデルスゾーンは、もともと同じミュンシュと共演したショパンのピアノ協奏曲第1番とカップリングされていたもの。初期ロマン派の鮮やかなヴィルトゥオジティを的確に再現した美演。(BMG JAPAN)

1.ブラームス:ピアノ協奏曲第1番ニ短調 Op.15 (STEREO)
2.メンデルスゾーン:華麗なるカプリッチョ ロ短調 Op.22 (STEREO)
 ゲイリー・グラフマン(ピアノ)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1958年4月9日(1)、1960年3月14日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38450
シャルル・ミュンシュの芸術1000[23]
サン=サーンス:『オルガン付き 』、序奏とロンド・カプリチオーソ

ミュンシュ&ボストン響によるサン=サーンスの作品のステレオ録音を集大成。交響曲第3番『オルガン』は、このコンビによる最良の遺産の一つで、ボストン・シンフォニー・ホールを揺るがすパイプオルガンの壮麗な響きを捉えた、ステレオ初期の優秀録音としても最も名高いもの。豪快でスケールが大きく、この曲のロマンティックでスペクタキュラーな持ち味を完璧に描き尽くしています。名曲『序奏とロンド・カプリチオーソ』は、ロシアの名手オイストラフがアメリカ・デビューを果たした時期の録音で、彼の豊かな音色による雄弁なソロをたっぷり味わえます。
 『オルガン』はLP初出時に『サウンド・スペクタュラー』と題されたいたことからもわかるように、発売当時から名録音をうたわれた演奏。ボストン・シンフォニー・ホールのステージを背にして撮影されたミュンシュのポートレートが使われたジャケットは、いわばミュンシュ=ボストンのトレードマーク的な存在となりました。『オンファールの糸車』はこれまた名録音LPとして名高い『フレンチ・タッチ』が初出。(BMG JAPAN)

サン=サーンス:
1.交響曲第3番ハ短調 Op.78『オルガン』 (STEREO)
2.交響詩『オンファールの糸車』 Op.31 (STEREO)
3.序奏とロンド・カプリチオーソ (STEREO)
 ダヴィッド・オイストラフ(ヴァイオリン)(3)
 ベルイ・ザムコヒアン(オルガン)(1)
 バーナード・ジゲラ、レオ・リトウィン(ピアノ)(1)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1959年4月5,6日(1)、1957年11月14日(2)、1955年12月4日(3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38451
シャルル・ミュンシュの芸術1000[24]
チャイコフスキー:交響曲第4番、ヴァイオリン協奏曲

ミュンシュのチャイコフスキー解釈は、この作曲家の音楽に付きまといがちな感傷を排し、粘ることなく、むしろ明るく開放的に歌い上げるのが特徴。1955年録音の交響曲第4番でも、ゼクエンツが長く続く第1楽章の中間部や第2楽章のテーマはどは比較的あっさり仕上げている。一方で金管を華麗に鳴らしたクライマックスには壮絶な迫力が感じられます。
 1959年録音の、ヘンリク・シェリングとの共演によるヴァイオリン協奏曲では、若いシェリングを盛り立てるべく緊密な伴奏ぶりが印象的。ミュンシュにとっては、1953年3月のミルシテインとの共演盤以来、2度目の録音。(BMG JAPAN)

チャイコフスキー:
1.交響曲第4番ヘ短調 Op.36 (STEREO)
2.ヴァイオリン協奏曲ニ長調 Op.35 (STEREO)
 ヘンリク・シェリング(ヴァイオリン)(2)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1955年11月(1)、1959年2月9日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38452
シャルル・ミュンシュの芸術1000[25]
チャイコフスキー:交響曲第6番『悲愴』、『ロメオとジュリエット』

いたずらに咽び泣きの感傷に走ることなく、チャイコフスキーの音楽の普遍的な美を描き出したミュンシュの『悲愴』。作品のドラマティックな起伏を存分に生かしながら、ロシアの広大な大地を思わせる雄大なスケールで歌い上げています。『ロメオとジュリエット』では楽想を鮮やかに描き分け、運命に翻弄される愛の悲劇の本質に迫っています。
 ミュンシュがボストン響時代に録音したチャイコフスキーは、交響曲第4番、第6番、弦楽セレナード、『ロメオとジュリエット』(2回)、『フランチェスカ・ダ・リミニ』、それにヴァイオリン協奏曲(ミルシテインおよびシェリングとの共演)があります。面白いのはRCAがこれらの録音と並行して、モントゥー指揮ボストン響と交響曲第4番〜第6番の録音を1955年~1959年にかけて行なっていることで、第6番でいえば、モントゥー盤が1955年1月、ミュンシュ盤がその7年後の1962年3月に収録。オーケストラの配置の違いだけでなく、モントゥーとミュンシュの個性の際立った違いが演奏にも現われています。(BMG JAPAN)

チャイコフスキー:
1.交響曲第6番ロ短調Op.74『悲愴』 (STEREO)
2.幻想序曲『ロメオとジュリエット』 (STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1962年3月12日(1)、1961年4月3日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38453
シャルル・ミュンシュの芸術1000[26]
チャイコフスキー:弦楽セレナード、バーバー:アダージョ

チャイコフスキー『弦楽セレナード』、バーバー『アダージョ』、エルガー『序奏とアレグロ』の3曲は、もともと1958年に発売された1枚のLPに収録されていたもので、弦楽合奏のみによる名曲集。自らもゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターをつとめるほどの腕を持ったヴァイオリニストだったミュンシュは、ボストン響の上質のシルクを思わせる見事な弦楽セクションから豊麗な音色と幅広いダイナミック・レンジを引き出しています。哀切感のにじみ出たチャイコフスキーとバーバー、高貴なエルガー、いずれもミュンシュ唯一の録音。
 1947年にマーサ・グラハムのために作曲されたバレエから編まれたオーケストラ用の組曲『メデアの瞑想と復讐の踊り』は、プロコフィエフのピアノ協奏曲第2番とのカップリングでLP発売されたもの。ミュンシュは主人公メデアのさまざまな感情の変化が濃密に織り込まれたスコアを見事に音化しています。(BMG JAPAN)

1.チャイコフスキー:弦楽セレナード ハ長調 Op.48 (STEREO)
2.バーバー:弦楽のためのアダージョ Op.11 (STEREO)
3.バーバー:メデアの瞑想と復讐の踊り Op.23a (STEREO)
4.エルガー:序奏とアレグロ Op.47 (STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1957年3月13日(1)、1957年4月3日(2,4)、1957年4月10日(3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38454
シャルル・ミュンシュの芸術1000[27]
ドヴォルザーク:交響曲第8番、チェロ協奏曲

ミュンシュが録音として残したドヴォルザーク作品を網羅したアルバム。交響曲第8番では、スケールの大きな音のキャンバスを背景に、メランコリックな旋律を心ゆくまでたっぷりと歌わせ、民族主義的な要素を普遍的な絶対音楽に昇華させています。ロシア出身で戦前のフルトヴェングラー&ベルリン・フィルの首席奏者をつとめた巨匠ピアティゴルスキーと組んだチェロ協奏曲では、豪快で骨太なソロをバックアップする緻密さが光ります。黄金期のボストン響の色彩豊かな響きも印象的。
 ミュンシュとピアティゴルスキーは、その豪放磊落な音楽作りの傾向が似ているだけでなく、フルトヴェングラーが関わった戦前のドイツの2大オーケストラの首席奏者とつとめていた、という共通点があります。2人の共演は、録音ではこのドヴォルザークのチェロ協奏曲のほかに、ウォルトンのチェロ協奏曲(世界初録音)、ブロッホのシェロモ、それにR.シュトラウスの『ドン・キホーテ』があります。(BMG JAPAN)

ドヴォルザーク:
1.交響曲第8番ト長調 Op.88 (STEREO)
2.チェロ協奏曲ロ短調 Op.104 (STEREO)
 グレゴール・ピアティゴルスキー(チェロ)(2)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1961年3月13日(1)、1960年2月22日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38455
シャルル・ミュンシュの芸術1000[28]
ショーソン:交響曲、詩曲

ミュンシュ指揮のショーソンの交響曲は、パレー&デトロイト響などとは正反対の特質を持ち、LP期の決定盤として高く評価されていました。この作品の本質である豊かな色彩感と独特の抒情性を十全に表現し、ワーグナーの影響を受けたと言われるショーソンの情熱的な側面をも捉えた名演。ダンディの作品では、ボストン響の鮮やかな色彩感を生かして、胸のすくような爽快な解釈を披露しています。オイストラフの艶のある美音は『詩曲』でも健在。
 ショーソンとダンディのぞれぞれ唯一の交響曲をカップリング。ダンディの『フランス山人の歌による交響曲』は、当初ラヴェルのピアノ協奏曲とのカップリングで発売されたもので、ピアノを弾いているニコレ・アンリオ=シュヴァイツァーとはミュンシュは何度も共演を重ねている間柄。オイストラフの『詩曲』は、サン=サーンスの『序奏とロンド・カプリチオーソ』と同日に収録され、そのカップリングで発売された。当時の雪解けによって、ソ連の演奏家が徐々に西側に登場しはじめたころの文化的状況を背景にした歴史的な録音。(BMG JAPAN)

1.ショーソン:交響曲変ロ長調 Op.20 (STEREO)
2.ショーソン:詩曲 Op.25 (STEREO)
3.ダンディ:フランス山人の歌による交響曲 Op.25 (STEREO)
 ダヴィド・オイストラフ(ヴァイオリン)(2)
 ニコール・アンリオ=シュヴァイツァー(ピアノ)(3)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1962年2月26日(1)、1955年12月14日(2)、1958年3月24日(3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38456
シャルル・ミュンシュの芸術1000[29]
マーラー:さすらう若人の歌、亡き子をしのぶ歌

カナダの名コントラルト、モーリン・フォレスター(1930生まれ)とミュンシュの共演になるマーラー歌曲集が復活。フォレスターは、1956年のニューヨーク・デビューに際してワルターの薫陶を得、交響曲第2番『復活』の録音や『大地の歌』の演奏で共演し、そのマーラー歌唱は大きな定評があります。歌手としては、ドイツ語の発音のしごく正確なことで、また劇的な感覚に非常に優れていることで定評があり、このためリート歌手としても高い評価を得ていました。
 ミュンシュのマーラー録音はこのアルバムが唯一。ボストン響がマーラー・オーケストラとなるのはミュンシュの後任ラインスドルフや小澤征爾の時代ですが、比較的室内楽的な書法が目立つこれらの歌曲において、オーケストラの各セクションの妙技が光っており、マーラーとの相性の良さを先取りしているようです。(BMG JAPAN)

マーラー:
1.さすらう若人の歌 (STEREO)
2.亡き子をしのぶ歌 (STEREO)
 モーリン・フォレスター(コントラルト)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1958年12月28日(1)、1958年12月29日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38457
シャルル・ミュンシュの芸術1000[30]
R.シュトラウス:ドン・キホーテ、ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯

ミュンシュによるR.シュトラウス作品の録音は当アルバムに収録された2曲が全て。ピアティゴルスキーは、ベルリン・フィルの首席奏者時代に作曲者の指揮で何度も演奏した経験を持ち、その解釈はまさに作曲者直伝といえるもの(共演のパスクワーレとバージンは当時のボストン響の首席奏者)。この1953年録音の『ドン・キホーテ』はピアティゴルスキーにとって唯一の録音であるだけに貴重な記録。1961年録音の『ティル』は、ミュンシュの軽快な棒さばきが目に見えるような鮮やかな演奏で、発売当初はチャイコフスキーの『ロメオとジュリエット』との組み合わせでした。(BMG JAPAN)

リヒャルト・シュトラウス:
1.交響詩『ティル・オイレンシュピーゲルの愉快な悪戯』 Op.28 (STEREO)
2.交響詩『ドン・キホーテ』 Op.35 (MONO)
 グレゴール・ピアティゴルスキー(チェロ)(2)
 ジョゼフ・ド・パスクワーレ(ヴィオラ)(2)
 リチャード・バージン(ヴァイオリン)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1961年3月20日(1)、1953年8月17日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38458
シャルル・ミュンシュの芸術1000[31]
ドビュッシー:『海』、牧神の午後への前奏曲、映像

作品に求められる色彩感覚を十分に発揮させながら、大きなうねりを持たせて雄大に描いた『海』、細部へのデリケートで緻密な配慮が生きた『牧神の午後への前奏曲』、エキゾティシズムを存分に満喫させる『イベリア』、生命の胎動を活写した『春のロンド』など、いずれもドビュッシーの音楽のエッセンスを満喫させてくれるミュンシュ&ボストン響黄金期の名演。
 ミュンシュの描くドビュッシーは、曖昧模糊とした響きではなく、ラヴェルの音楽を思わせる明晰でくっきりとした音楽作りが特徴で、太目の鉛筆によるくっきりとしたデッサンの上に、華麗な色の音がちりばめられていく趣があります。このアルバムに収録された3曲はそうしたミュンシュのドビュッシー解釈を優秀なステレオ録音で刻印したもの。『海』は、当初イベール『寄港地』とのカップリングで『THE SEA』というタイトルで発売。『映像』は全曲盤としては、おそらく世界初のステレオ録音となったもの。(BMG JAPAN)

ドビュッシー:
1.交響詩『海』 (STEREO)
2.牧神への午後への前奏曲 (STEREO)
3.管弦楽のための映像 (STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1956年12月9日(1)、1956年1月23日(2)、1957年12月16日(3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38459
シャルル・ミュンシュの芸術1000 [32]
ドビュッシー:聖セバスティアンの殉教&選ばれた乙女/

ドビュッシー晩年の神秘劇の劇音楽と、初期の名カンタータをカップリング。「聖セバスティアンの殉教」は、イタリアの詩人ダヌンツィオのテキストに作曲された神秘劇で、ローマ軍の親衛隊長だったセバスティアンの殉教を描いたもの。ここではドビュッシーの作曲した音楽と、音楽に重ねて語られるセバスティアンの語りのみが収められている。「選ばれた乙女」は、ドビュッシーがローマ大賞授賞後、ローマ滞在中に構想されたオラトリオで、イギリスの画家ロセッティのテキストに基づく。いずれも、ミュンシュによる唯一の録音であり、ロス・アンヘレスを始めとする厳選された独唱者とともに、ドビュッシーの音楽語法を熟知した充実した演奏が展開されている。「聖セバスティアン」では、語り役であるセバスティアンをミュンシュ自身が演じているのも聞きもの。
 「選ばれた乙女」は、初出LPは同じくロス・アンヘレスと共演したベルリオーズ「夏の夜」とのカップリングで発売されていた。
クロード・ドビュッシー(1862-1918)
1.神秘劇「聖セバスティアンの殉教」
2.カンタータ「選ばれた乙女」
[演奏]
1.フローレンス・コプレフ(コントラルト)、キャサリン・エイコス(コントラルト)、フィリス・カーティン(ソプラノ)
シャルル・ミュンシュ(聖者:語り)、ニュー・イングランド音楽院合唱団(合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン)
2.ビクトリア・デ・ロス・アンヘレス(ソプラノ)、キャロル・スミス(コントラルト)、
ラドクリフ合唱協会(合唱指揮:G.ウォレス・ウッドワース)
ボストン交響楽団
指揮:シャルル・ミュンシュ
[録音]
1956年1月29日(1)、1955年4月11日(2)[MONO]、ボストン、シンフォニー・ホール

BVCC38460
シャルル・ミュンシュの芸術1000[33]
ドビュッシー、ラヴェル:管弦楽曲集(1962年録音)

1962年3月、ミュンシュのボストン響音楽監督としての最後のシーズンに一気に録音されたドビュッシーとラヴェルの名管弦楽曲を1枚にカップリング。ドビュッシーの『春』『夜想曲(合唱の入るシレーヌは除かれている)』以外は、ミュンシュ&ボストン響にとって再録音にあたるもので、『牧神』『ボレロ』は2度目、『ラ・ヴァルス』は3度目となるもの。文字通りフランス音楽の体現者としての地位を確立した自信に溢れた文句なしの名演ぞろいで、ミュンシュの定番として発売以来カタログから消えたことがありません。
 初出は、ドビュッシーの3曲は1枚のLPで、ラヴェルの2曲は同日に録音された『亡き王女のためのパヴァーヌ』との組み合わせで発売されました。(BMG JAPAN)

1.ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲 (STEREO)
2.ドビュッシー:夜想曲〜『雲』『祭り』 (STEREO)
3.ドビュッシー:交響組曲『春』 (STEREO)
4.ラヴェル:ラ・ヴァルス (STEREO)
5.ラヴェル:ボレロ (STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1962年3月13日(1-3)、1962年3月26日(4,5)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38461
シャルル・ミュンシュの芸術1000[34]
ラヴェル:ダフニスとクロエ(1955年録音)、他

『ダフニスとクロエ』はミュンシュ=ボストン響にとって第1回目の録音で、ステレオ最初期の名演奏・名録音として知られるもの。ボストン響のヴィルトゥオジティを駆使して、ひそやかなピアニッシモからフルオーケストラによる豪快なフォルティッシモにいたるまでダイナミズムを完璧にコントロールし、ギリシャ神話に基づく音楽劇を壮大なスケールで描き出しています。冒頭や『夜明け』の精妙な色彩感、『海賊たちの踊り』における明快なリズム感、そして『全員の踊り』における前身全霊を捧げた圧倒的なクライマックスなど、無数の聴き所を備えた名盤。1962年録音の『亡き王女のためのパヴァーヌ』の美演をカップリング。
 1955年録音の『ダフニスとクロエ』は、最初モノラル盤が発売され、1959年になってようやくステレオ録音が発売されました。欧米では1961年の再録音盤よりも高く評価され、CD化も優先して行われてきたもの。合唱指揮をロバート・ショウが担当。『パヴァーヌ』は、ミュンシュにとって2枚目となった1962年録音のオール・ラヴェル・アルバムに含まれていたもの。(BMG JAPAN)

ラヴェル:
1.『ダフニスとクロエ』全曲 (STEREO)
2.亡き王女のためのパヴァーヌ (STEREO)
 ニュー・イングランド音楽院合唱団&OB合唱団(1)
 (合唱指揮:ロバート・ショウ、ローナ・クック・デ・ヴァロン)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1955年1月23,24日(1)、1962年3月26日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38462
シャルル・ミュンシュの芸術1000[35]
ラヴェル:ボレロ、ラ・ヴァルス、スペイン狂詩曲

ミュンシュ&ボストン響のフランス音楽の演奏はいずれもに後世に受け継がれるべき名演ぞろいであるが、その中でもベルリオーズと並んで最も数多く残されているのがラヴェルの作品。色彩的な音感、明快でパリッと冴えた響き、そして圧倒的な高揚感など、ミュンシュ独特のラヴェル解釈のすべてがここにあるといって過言ではありません。『ボレロ』『ラ・ヴァルス』は、ミュンシュ&ボストン響にとって2度目の録音となった1955年〜56年の録音。早めのテンポによる情熱的な演奏が繰り広げられています。
 『ボレロ』『ラ・ヴァルス』『スペイン狂詩曲』は、ミュンシュ=ボストン響のステレオ録音による最初のラヴェル・アルバム。『ラ・ヴァルス』『スペイン狂詩曲』に関しては1952年にモノラル録音していることを思うと、わずか4年間での再録音となり、いかにミュンシュ=ボストンのラヴェルが定評があったか、またステレオという新しいメディアでのこのコンビの録音が待ち望まれていたかの証左となるでしょう。それに対して『マ・メール・ロア』は、『魔法使いの弟子』『オンファールの糸車』とともに、『フレンチ・タッチ』と題されたLPに含まれていたもので、優秀録音として高い定評を得ていたものです。(BMG JAPAN)

ラヴェル:
1.ボレロ (STEREO)
2.ラ・ヴァルス (STEREO)
3.スペイン狂詩曲 (STEREO)
4.組曲『マ・メール・ロア』 (STEREO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1956年1月23日(1,3)、1955年12月5日(2)、1958年2月19日(4)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38463
シャルル・ミュンシュの芸術1000[36]
ラヴェル:ダフニスとクロエ(1961年録音)、ピアノ協奏曲
世界初CD化(ピアノ協奏曲)

『ダフニスとクロエ』はミュンシュ&ボストン響にとって第2回目の録音で、第1回目の録音から6年後の再録音となったもの。基本的なコンセプトは同じものの、円熟味を増しスケールが大きくなったミュンシュの解釈が、より鮮明なステレオ録音によって克明に記録され、微弱なピアニッシモによる冒頭から圧倒的なクライマックスを築く『全員の踊り』まで、息もつかせぬ緊張感が持続します。
 1958年録音のピアノ協奏曲は、ニコール・アンリオ=シュヴァイツァーとの共演。アンリオはシュヴァイツァーの甥と結婚したフランスのピアニストで、第2次大戦中レジスタンス活動に参加し、その頃からミュンシュとは旧知の中。演奏会でも録音でも共演は多く、ラヴェルのピアノ協奏曲も3種類残されている。当盤は2度目の録音で、初出はダンディの『フランス山人の歌による交響曲』とのカップリング。特に、ラヴェルの作品の中でも最も美しい第2楽章の味わい深さは格別です。(BMG JAPAN)

ラヴェル:
1.『ダフニスとクロエ』全曲 (STEREO)
2.ピアノ協奏曲ト長調 (STEREO)世界初CD化
 ニュー・イングランド音楽院合唱団(1)
 (合唱指揮:ローナ・クック・デ・ヴァロン)
 ニコール・アンリオ=シュヴァイツァー(ピアノ)(2)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音:1961年2月26,27日(1)、1958年3月24日(2)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38464
シャルル・ミュンシュの芸術1000 [37]
プロコフィエフ:ロメオとジュリエット(抜粋)&ピアノ協奏曲第2番/

ミュンシュによるプロコフィエフ作品の録音も数は少ないが、残されたものはいずれもミュンシュらしい個性が溢れた名演。このアルバムは、1957年2月11日と13日のセッションで収録されたプロコフィエフ作品を2曲カップリングした。「ロメオとジュリエット」は、バレエ全曲版からではなく3つのバレエ組曲から抜粋されミュンシュによって独自の順序で再構成されたもので、いきいきとした情景描写とシンフォニックな迫力を兼ね備えた演奏。ピアノ協奏曲第2番は、シュヴァイツァーの甥と結婚したフランスのピアニスト、ニコレ・アンリオ=シュヴァイツァーとの共演で、初出はバーバーの「メデアの瞑想と復讐の踊り」とのカップリングだった。

セルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)
1.バレエ音楽「ロメオとジュリエット」組曲Op.64bis/Op.64ter/Op.101より
(1)情景(第1組曲、第2曲)
(2)朝の踊り(第3組曲、第2曲)
(3)少女ジュリエット(第2組曲、第2曲)
(4)無言劇(第1組曲、第5曲)
(5)モンタギュー家とキャプレット家(第2組曲、第1曲)
(6)踊り(第2組曲、第4曲)
(7)僧ローレンス(第2組曲、第3曲)
(8)タイボルトの死(第1組曲、第7曲)
(9)別れの前のロメオとジュリエット(第2曲、第5曲)
(10)朝の歌(第3組曲、第5曲)
(11)ジュリエットの墓の前のロメオとジュリエットの死(第2組曲、第7曲/第3組曲、第6曲)
2.ピアノ協奏曲第2番ト短調Op.16
[演奏]
2.ニコレ・アンリオ=シュヴァイツァー(ピアノ)
ボストン交響楽団
指揮:シャルル・ミュンシュ
[録音]
1957年2月11日&13日(1)、1957年2月13日(2)、ボストン、シンフォニー・ホール
世界初CD化(1-5、6、8、9を除く) 

BVCC38465
シャルル・ミュンシュの芸術1000[38]
オネゲル:交響曲第2番、第5番、ルーセル:バッカスとアリアーヌ

1941年に書かれ、オネゲルのヒューマニスティックな情熱の結晶である交響曲第2番、クーセヴィツキー財団の依頼でボストン響のために作曲され、ミュンシュによって初演された交響曲第5番の世界初録音とは、作曲者から指揮者として最も敬愛されていたミュンシュならではの歴史的名演。全編に厳しい緊張感が漲り、作品に込められた痛切なメッセージを極めてストレートに再現しています。ボストン響とは唯一の録音となった『バッカスとアリアーヌ』組曲もミュンシュが初演しており、作品を極め尽くした者のみに許される壮絶な表現が聴きもの。パリ時代から同時代の作曲家の作品を積極的に取り上げ、ボストン響時代も前任者クーセヴィツキーの方針を受け継いで、世界的な作曲者たちに新作を委嘱し続けたミュンシュの功績を刻印したアルバムです。
 当初は、オネゲルの第2番は、メノッティのヴァイオリン協奏曲との組み合わせで、第5番は『バッカスとアリアーヌ』との組み合わせで発売されました。オネゲルの第2番は、3種類あるミュンシュの録音のうち2番目に位置するもの。1942年にパウル・ザッハーによって世界初演されたあと、同年にパリで行われた世界初録音が最初の録音で、パリ管との1967年録音が3種類目。第5番はミュンシュ唯一の録音で、ルーセル『バッカスとアリアーヌ』組曲は、ボストン響を離れたあと、フランス国立管との再録音があります。(BMG JAPAN)

1.オネゲル:交響曲第2番 (MONO)
2.オネゲル:交響曲第5番『3つのレ』 (MONO)
3.ルーセル:バレエ組曲『バッカスとアリアーヌ』第2番 (MONO)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1953年3月29日(1)、1952年10月27日(2)、1952年10月27日(3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38466
シャルル・ミュンシュの芸術1000[39]
ミヨー:世界の創造、プロヴァンス組曲
世界初CD化(カルタ遊び)

ミュンシュによるミヨー、プーランク、ストラヴィンスキーの録音を集大成したアルバム。ジャズのエレメントを取り入れたバレエ『世界の創造』、プロアンス地方の民族色豊かな『プロヴァンス組曲』、いずれもミヨーならではのウィットに富んだ楽しい作品であり、ミュンシュはそうした特質を大らかに歌い上げています。プーランクのオルガン協奏曲では、ザムコヒアンの多彩なソロが聴きもの。
 ミヨーの2曲はLP時代に豪華仕様ジャケットを採用したソリア・シリーズの1枚として発売され、表紙にはフランスの巨匠画家フェルナン・レジェの絵が使われていました。プーランクはストラヴィンスキー『カルタ遊び』とのカップリングで発売。いずれもミュンシュ唯一の録音。なおプーランクの協奏曲でティンパニ・ソロを受け持つエヴァレット・ファースは小澤時代までボストン響の首席ティンパニストをつとめた名手で、現在ではサイトウ・キネン・オーケストラに参加するため毎夏来日して日本のファンにもお馴染み。(BMG JAPAN)

1.ミヨー:バレエ音楽『世界の創造』 Op.81 (STEREO)
2.ミヨー:プロヴァンス組曲 Op.152b (STEREO)
3.プーランク:オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲ト短調 (STEREO)
4.ストラヴィンスキー:カルタ遊び (STEREO)世界初CD化
 ベルイ・ザムコヒアン(オルガン)(3)
 エヴァレット・ファース(ティンパニ)(3)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1961年3月13日(1)、1960年11月21日(2)、1960年10月9日(3)、1960年11月7日(4)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
BVCC38467
シャルル・ミュンシュの芸術1000[40]
マルティヌー:交響的幻想曲、ピストン:交響曲第6番
世界初CD化(ピストン、メノッティ)

マルティヌーの交響的幻想曲(交響曲第6番)とピストンの交響曲第6番は、いずれも1955年のボストン響創立75周年を記念して委嘱された作品で、ミュンシュによって初演されている。前者はミュンシュの即興的な音楽作りに魅了されたマルティヌーが、ミュンシュの指揮を念頭において作曲した作品。後者は、アメリカ音楽界のアカデミズムを代表するピストンらしく、4楽章制による緊密な作風が聴きもの。初出もこの2曲のカップリングで、同時代の音楽を積極的に支援したミュンシュならでは。
 1952年にジンバリストとオーマンディによって初演され、ロマンティックな作風で知られるメノッティのヴァイオリン協奏曲で共演しているのは、オデッサ出身のヴィルトゥオーゾで、ナチス以前にフルトヴェングラー時代のベルリン・フィルでコンサートマスターをつとめたこともあるトッシー・スピヴァコフスキーによる唯一のRCA録音。初出はオネゲルの交響曲第2番とのカップリングでした。(BMG JAPAN)

1.マルティヌー:交響曲第6番『交響的幻想曲』 (STEREO)
2.ピストン:交響曲第6番 (STEREO)世界初CD化
3.メノッティ:ヴァイオリン協奏曲イ短調 (MONO)世界初CD化
 トッシー・スピヴァコフスキー(ヴァイオリン)(3)
 ボストン交響楽団
 シャルル・ミュンシュ(指揮)
 録音時期:1956年4月23日(1)、1956年3月12,14日(2)、1954年(3)
 録音場所:ボストン、シンフォニー・ホール
⇒シリーズ情報
* Point ratios listed below are the case
for Bronze / Gold / Platinum Stage.  

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