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風信子 さんのレビュー一覧 

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/10/28

    待ってましたと声を掛けたくなった 真正ピリオド・クァルテットは貴重なのだ 楽器 絃 弓がピリオドである楽団あるいは奏者は実は稀なのだ 多くが折衷であり 有り体に言えば使えない 弾きこなせないものだから 絃の一部に時代を違えた弦を張り より力の加えやすい弓を用いたりして それらしく装っているものが多いのだ このLHQは本物である また有ったメンバー交代のためにOp.64は随分待たされた そして待った甲斐があった これまでに聴いた”雲雀”の記憶が嘘のように消し飛んだ いやいや ハ長調第一楽章冒頭の1st Vnの全音符でもう快感なのだ この中膨らみのロングトーンこそハイドンだ ついつい力が入ってしまった それにしてもハイドンを聴いていつも驚かされるのは”ハ長調”の神秘の力 その無限とも言える創造性の広さだ 例えばト長調第三楽章Adagioがハ短調の中間部を持つハ長調だが 随所に周辺の調性を垣間見せることによって 全体としてしめやかなそれでいて温かな情趣を漂わせる逸品となっている これを聴かなければ始まらない あなたも如何 

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     2018/10/26

    月清かに秋深まる宵 シベリウスが身に染みる 美しいメロディー・ラインに誘引されながらいつの間にかシベリウスの世界を歩んでいる これがフィンランドの風情なのかは知らない 訪れたこともない遠い国の風土を感じ取りようもないけれど 何故か懐しい念いが沸き起こる自分の心の不思議に見とれているだけだ 劇付随音楽を中心に収録されたシベリウス音楽はシンフォニー以上に心親しいものを感じてしまう そのドラマの筋も知らないから具体的な物語や情景を思い浮かべようもないにも拘わらず 聞き耳を立て心寄り添ってしまうのだ シベリウスの音楽は無限に想像力を掻き立てる いつしか幻想の霧の中で己が見つめていたのが自分自身だったことに気づく そうだ優れた音楽はどれもそういうものだった セーゲルスタムとトゥルクpoというフィンランドのオーケストラは人の心を温める歌と響きを届けてくれる あなたも如何 

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     2018/10/25

    コスモポリタン足らんとしたラウタヴァーラからフィンランドの風土性を聞こうとしても詮無い 二曲とも彼が教育を受けたアメリカのオーケストラからの委嘱作であれば尚のことだ どちらも晩年の作品であり静謐な気風がより支配している 音楽はホモフォニーに拠るロマンチックなものだ 世界がこんなに静かに推移したかといえば答えは逆だろう 問わなければならないテーマは社会にも個人にも無数に生まれている だがどこかで音楽は能天気なノンポリの頭がなければ生まれないのかもしれない 何のために音楽を書き何を求めて音楽を聴くのか ここで敢えて口説く”音楽”なる語を繰り返したかといえば 音楽の名に託けて音楽であり得ないものを売っている”アーティスト”と自称する輩が騒がしく闊歩している それを思えば 毒にも薬にもならないかもしれないが ラウタヴァーラとその音楽は真っ当な音楽であり音楽家だと思う 一度聴いた後に再び聴きたくなるかどうかで道は分かれる 一度はあなたも如何 

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     2018/10/25

    もう30年近く前にシューマンの未来性を実証した演奏だ シューベルトからマーラーへ続く道にシューマンがいたことをはっきり意識させてくれた そういえばシューベルトの大きなハ長調交響曲を発見したのはシューマンだったし マーラーはシューマンを定番の演目にしていたっけ オーケストレーションが下手とレッテルを貼られマーラーの真似をしたかしないか知らないがあらゆる指揮者が加筆してバランスを変え演奏するのが20世紀の常識になっていた そのシューマンの真正スコアが価値あるオリジナル性あるものだと知らしめた ピリオド演奏がもたらした最も大きな成果だろう ノン・ヴィブラートや中膨らみ奏法によって管楽器と弦楽器の相対バランスや音色の融合と変化から生じる生命感と推進性が明瞭になった この独特の魅力はこうした演奏で初めて聴き取れるものだった マーラーやフランス印象派に通ずる色彩感覚の繊細さはシューマンの最大の魅力なのだ これは価値ある一枚だ あなたも如何  

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     2018/10/24

    ラトルにとってマーラーは何時迄も帰って行きたい故里なのだろう 己の心情を仮託できる音楽はマーラーなのだ 何よりもそこに出て来た音楽が寛いでいる 身も心も預けてしまえるのだろう 表現や主張よりも伸びやかに歌い愉しんでいる それが人生の悲哀であろうと諦観であろうと生きて感謝する肯定感に包まれている そんな生半可な生っちょろい哀感など”マーラー”じゃないと言われても ラトルもマーラーも音楽で表現できる歓びを捨てやしない 先ず音楽がある人生の幸福の上に二人はいる だから音楽が美しく輝いてわたしたちに語りかけてくるのだ 音楽は聴く人が自分の身に惹きつけて味わえばいい それが慟哭の悲しみだろうが 甘やかな諦めだろうが それは聴く人の心の中で生まれる 人は聴きたいように聞くのだ 作品はもう作者の手を離れた ラトルは何にもしていないといえばしていない だがそこには紛れも無い”大地の歌”が鳴っている 好悪を超えて耳傾けたい あなたも如何

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     2018/10/24

    これは面白い まぜこぜなのだ ハンガリー・ダンスとワルツとが交互に演奏されるにとどまらず No.も順番も分配も全く自由に組み合わされ演奏されていく カツァリスとメルシエのDuoだが ファーストを分けて担っているので両曲種の特徴が際立つ それはハンガリーとオーストリアの国風や民族文化の違いを感じられるようでもある 政治上の対立や統合を繰り返しながら 多くの国と民族が肩を寄せ合い生きる東ヨーロッパの歴史と生活がこれらの音楽に映し出されている カツァリスの転がるピアノとメルシエのステップを踏むピアノと両者の個性差は明らかなのだが セカンドに回った時はどちらも相方のリードに添って弾く鷹揚さを見せ見事なアンサンブルを構成している しかもそれを愉しんでいる様子が伝わってくるから 聴くわたしも心寛いでいく あれよあれよと言う間に全37曲を聴き切ってしまった ハンガリー舞曲全曲をピアノで聴くのはちょっとと思う向きには このワルツを混ぜたアイディアはヒットだ あなたも如何

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     2018/10/23

    何よりも”八重奏曲”だろう ピリオド楽器による演奏を待っていた その弦と弓のタッチの違いは音楽の響きそのものを変えてしまう 案の定ここに聴くソノリティは現代ヴァイオリン属では生み出せない 奥深い余韻もさることながら心地よい緊張感と軽快な推進力はメンデルスゾーンの音楽に不可欠の要素だ オーケストラ・メンバーによるアンサンブルは緊密さと裕な協調性を発揮して心愉しくなる 久しく味わえなかった幸福感に包まれている 最も愛すべきメンデルスゾーンの姿が見える ”Vn協奏曲”は耳慣れた流暢さは影を潜め 地声のメクデルスゾーンを聞くようだ ゴツゴツもそもそ時に嗄れ声まで聞こえるようだ ヴィルトゥオーソの自己アピールに使われて来た音楽がやっとメンデルスゾーンという人間に戻って来たような 不器用だが生身の人間の味が感じられて嬉しかった でもコンチェルト・ファンには不興をかうだろう それでも あなたも如何

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/10/22

    そうか まだこれがあったかと膝を打った 勝手にもう新たなガーディナー・サウンドは聴けないだろうと思い込んでいた節がある シューベルト 願ったり叶ったりだ ORRの成熟したソノリティがコンセルトヘボウの堂宇に響く心地よさを存分に味わった これを古楽器演奏だから如何の斯うのという人がいたらお目にかかりたい 水戸の小ホールでベートーヴェンを聴いた頃とは正に隔世の感がある 日本の音楽シーンが世界の片田舎に追いやられた感が否めない シューベルトの第5以上に意表を突かれたのがブラームスだ これも交響曲全集で終わったと思っていた そうだ セレナードなど管弦楽曲はやっていなかった しかも渋い第2番と来た これはモダン・オーケストラでも滅多に取り上げられない逸品だ ヴァイオリンを省いたオーケストラという編成で勝負できる楽団はそうそう無い ディスクも少ない これはわたしの宝物になった さあ あなたも如何 

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     2018/10/22

    眠れぬ長い夜を過ごしているような音楽だ 渦巻き始めた矛盾の螺旋を滑り落ちていくようなフラストレーションをそのままに描いたようだ 全くもってエンターテイメントになり得ていない個人感情に過ぎる 発表に四半世紀を要したはずだ 発表後も評価の高さに人気が伴わない どうしても演奏も鑑賞もその機会に恵まれない だが無性に聴きたくなる時がある それでも一時間を超える陰鬱な大曲である おいそれと手が出ない フェドセーエフのライヴとあって聴けば 如何にも彼らしい 何しろ平衡感覚に優れた人だから見得を切って大向こう受けするような演奏はしない ショスタコーヴィチの本然の姿を事も無げに描出してしまう これが恐ろしい ショスタコーヴィチの無聊を一緒に託つことになる 愉しくはない それでも精神が洗われ神経が研ぎ澄まされていく 幸福なことではないが 人間が失っては生きていけない感覚である 他所の国の他人事として聴くことができない音楽だが あなたも如何

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     2018/10/22

    バッハ ヘンデルから2年遅れで生まれヘンデルより3年長命だったジェミニアーニはヘンデルと同じようにイングランドでそしてアイルランドで活躍したイタリア人 バロック晩期の作曲家というよりもロココあるいは感情過多派へ最接近している ソナタ形式を主体とする古典派の一歩手前をトリッキーな姿まで晒しながら颯爽と駆け抜けている あのバッハの器楽曲集で瞠目を集めたカフェ・ツィマーマンの演奏は水際立っている ハイドン モーツァルトに至るまでのギャラント様式時代の諸作品を拾い紹介してくれることを期待する このOp.7のコンチェルト・グロッソは6つある内の最後の合奏協奏曲集で59歳の時に作曲刊行されている 作品辞典では弦楽合奏となっているが カフェ・ツィマーマンは一部にトラヴェルソを加えている 音色の変化は愉しく聴く援けとなった 録音も優れている あなたも如何  

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     2018/10/21

    胸打たれた 巧まざるしてギターの美しさを直截心に伝える演奏 バッハから得た霊感が生んだ音楽集と銘打って バリアス グノー タンスマン ヴィラ=ロボスらを奏するこの若い奏者ガルシアの才能が眩しい 冒頭バリアスの”大聖堂”を聴くだけで彼の技巧と音楽性は信頼に値すると知れる バッハ作品も四曲入っていて凡てガルシアの編曲なのだが 余分な装飾や色付けをしないギター・アレンジは音楽の佇まいを正す趣がある 音楽を自己表現の道具にせず 本来その音楽が持っている気の流れをこそ捉えている だから聴後感には余情が尾を引く 一抹の寂しささえ醸し出す余韻を残す演奏に久しぶりに出会った プロクラミングも優れている ソプラノが共演する二曲に挟まれたタンスマンの作品が最も美しく忘れられない いや 最後のバッハ二曲”目覚めよと呼ぶ声あり” と”主よ、人の望みの喜びよ”のコラールを聴くためだけにわたしは何度もDiscを取り出すことになるのかもしれない さあ あなたも如何  

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     2018/10/20

    残りの半分はapexから出ているのだろうか 二枚組の前半だけだが十分に愉しめた 冒頭の”幻想曲 へ短調”で衷心に入り込まれてしまう ケフェレックとクーパーの協奏は拮抗と融合を繰り返しながらシューベルトの夢幻なる広野を駆け回る 開け放たれた扉を出てシューベルトが見上げた空は広く その下へ歩み出すステップは軽やかで希望を疑うよすがは感じられない ここに収められた4曲は孰れも彼の短い人生の晩期のものだが 死を予感させる僅かな片鱗すら見られない もしそこに悲哀の影を見るなら それは生きるが上に老若にかかわらず生き物すべてが内包している本源のかなしみなのだ 光あれば影が付きまとうが如し シューベルトは死が訪れるその瞬間まで生を謳歌し生き生きとした脈動を音楽に伝えていた ”人生の嵐” ”6つのポロネーズ” ”変奏曲 変イ長調” どの曲も聴き飽きない あなたも如何   

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     2018/10/19

    30年近く前の録音だが大変優れたものだ ロストロポーヴィチが如何に名手だったかを伝える逸品でもある フランス六人組のミヨーとオネゲルの曲が面白い以上に わたしが知らないホディノットの”夜の馬”と題するチェロ・コンチェルトの魅力に惹きつけられてしまった 音楽辞典を繰ってもホディノットなる人物の情報を得られなかった 戦後の作曲家なのだろうか 表情に富み思索の森を歩み深い洞察性すら感じさせるその音楽に魅了された 第一次大戦後の作であるミヨーとオネゲルとは世界を異にしていると思う ミヨーの楽天性と夢幻性も好きだし オネゲルが抱えた焦燥感と抵抗心を根底としたテーマ性に共感するも 三者の音楽が立つ位置の違いに最も興味を惹かれた 違う音楽の姿を見事に描き切ったロストロポーヴィチとナガノ&LSOの爽演にただただ聴き入った 貴重な演奏記録だ あなたも如何

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/10/18

    都響に戻ってくれた大野和士が長く活躍した欧州に片足を残していた それがスペインであることに驚く しかもバルセロナと聞き 若き日彼がザグレブでタクトを握っていたことを思い出した 孰れも民族対立のある土地だ そして初Discがショスタコーヴィチの ”バビ・ヤール”でまた驚いた ソリストはロシア人だが カタルーニャ人がどんな演奏するのか興味が尽きなかった 蓋し名演である 作曲者が歓ぶ演奏だろう やはり明るさと軽やかさを失っていない これはショスタコーヴィチ好みだ だから終楽章”出世”が出色の出来だ 勿論大野の指揮の下 畏れ慄き怒り虚しさを表す剛の響きを忘れてはいない 第一楽章に打ち付ける鉄槌突き刺さる楔の響きには胸が鷲掴みにあったように痛い 人間の滅びざる悪心が作り出す諸相を刻み込んだ音楽だ その初演版をアメリカのエヴェレスト・レーベルの輸入盤で御茶ノ水から求めてきて聴いた少年の日を忘れない これがわたしのショスタコーヴィチとコンドラシンとの出会いだった 分からないロシア語の向こうから恐怖と憤怒を聴き取った あなたも如何 

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2018/10/17

    ラヴェルへの愛を思い出させてくれた 仄暗い小部屋で独り4枚のラヴェル全集を聴きむさぼっていた真冬の少年の日 青白い炎が薄闇の中を飛び回っているようだった心持ちを思い出した エキセントリックであったりヒステリックであったりするラヴェルを否定する リッツィ&オランダpoが奏でるラヴェルは冷涼で柔和だ 品やかで麗しい音彩からは弛まぬ命の鼓動が聞こえている 演奏と録音の見事さを越えてプログラミングに膝を打った ”ラ・ヴァルス”と”ボレロ”を対峙させて 中に”マ・メール・ロワ”と”ツィガーヌ”を挟んでいる ラ・ヴァルスとボレロは発想を同じくする音楽 一個の動機と一個の旋律を繰り返すだけで音楽を作っている ラ・ヴァルスは渦の中心へ収斂し ボレロは渦の外へ飛び出すことで完結する 後のミニマム・ミュージックの先駆けとなった 囲われた二曲にはラヴェルのメロディスト性とオーケストレーションの特性そして彼の血に流れる音楽が披瀝された エピローク或いはアンコールとなった”パヴァーヌ”は美しい Blu-ray Audioの素晴らしさと一緒に あなたも如何  

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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