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Pianist さんのレビュー一覧 

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/12/27

    今年夏にアムステルダムの有名店FAMEで入手。1983年にキングレコードからLP化され、1959年のステレオ・ライブ録音ながら実に良好な音質、ダイナミックで自然な音であったのに驚かされ、また伝説としてのみ聞かされていたデル・モナコの名唱がどういうものであったかを真に思い知らされた名演奏だった(発売直前にNHK-FMでも放送された)。デル・モナコとしての「オテロ」としても最高のコンディションであり、あの時代のステレオ録音としても文句なしの記録。CD時代の初期に三枚組のLPより高価格でCD化され、その後一度標準プライスで再発されたが、長らく入手不可能だったので、オランダで見つけた時は「ようやく」という思いが強かった。キング盤と比べても音に遜色はなく、概発売のDVD(モノラル)とは比べ物にならない良好なステレオなので、多くの人たちに聴いて欲しいセット。この調子でNHKイタオペのシリーズを恒常的に出してもらいたいし、59年61年に行われた特別演奏会も最初にLP二枚組で出たままを全てCD化してほしい。デル・モナコの「オー・ソレ・ミオ」の絶唱は聴く前と後とで聴き手の音楽への思い入れが変わったかと思われるほどの力を持っているのだから。同時発売の「カルメン」より水準は高い。

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 8人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/12/27

    忘れもしない1983年にキング(セブンシーズ)から登場した伝説的NHKイタリアオペラの良好なステレオ録音。CD初期に一度発売されたが、「オテロ」「道化師」は再発されたものの、このカルメンは入手不可能なままだった。このアンドロメダ盤はこの夏にオランダで入手したが、この度国内取扱いが始まったのは歓迎。NHKイタリアオペラのシリーズは指揮者の力量に多少の出来不出来はあるが、往年の名歌手の珍しい競演、絶頂期の気合のこもった熱演が多く、こういうものは恒常的に入手できるようにしてもらいたいもの。オケは全てNHK響で、時折聴かれるアンサンブルの怪しさはともかく、今よりもはるかに集中度が高くて響きの勢いが違うように思うのは単なるノスタルジー? このカルメンはとにかくデル・モナコが聴き所。同時期のメトのライブ(ミトロプーロス指揮)の方が燃焼度は高いし、モスクワ公演盤にも惹かれるが、終幕の役柄への入れ込みは凄まじい。同1959年の「オテロ」と同水準には置けないが、貴重な録音の良好なステレオ録音のCD再発を喜びたい。この勢いで特別演奏会や、他の演目も系列的にリリースして欲しい。「カルメン」を代表させる演奏…とまでは言えないが、日本における演奏史と時代のドキュメントとして見るなら、それ以上の感動を与えてくれるであろう記録。少々身びいきかとも思うが、デル・モナコの絶唱に対して五つ星。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 14人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/12/24

    聴き手が期待するものを十分与えてくれる一枚。あの当時のパリ管の発足当時の勢い・期待がどういうもので、ミュンシュが亡くなる直前にもかかわらず突如若返ったかのようなものすごい気迫で聴衆を圧倒したに違いないと思われる演奏の記録。それを今実際に聴くことができるのだから、最近の発掘の徹底さにはただただ感謝あるのみ。ただし実演は文句なく凄かったろうと思われるが、こうして繰り返し聴くことのできるCDとなると「その場では生きたであろう」即興性やアゴーギグの極端な動きが耳につき出し、やがては鼻につく…ようになるのも事実。最近の凄演・爆演好みの聴き手にはたまらないだろうが、これも今となっては記録としての価値が勝るディスクではないだろうか?「幻想」がEMI盤より優れている…のは事実だが、力で押し切られ、犠牲になっている音符があるのはやはり気になるし、「海」もデリカシーを重視した演奏ではないので、文句なくダイナミックでシンフォニックではあるが、「海」という作品を万人に紹介する時に、最初にノミネートできる演奏ではない。ミュンシュはラヴェルの方が肌に合うタイプだったのかも。無い物ねだりだが、このコンビの実演によるブラームス一番があれば、さぞかし熱い演奏になった事だろう。改組前の、第一楽章の欠けたDVDはあるのだが。興奮度・スリル感は確かに満点、しかし総合感銘度は普通。ミュンシュのファンとして素直にこのCDの登場には感謝。

    14人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/12/15

    国内盤のベストクラシック100の盤で聴いてきた。最近の70枚コンプリートボックスでの同曲が目の覚めるような音に変わっているものが多く、この現役盤も旧盤と同じマスターを使っているのなら、このコンプリートボックスの方をお勧めする。ショパンのワルツ7番など、終演後の拍手まで入っていて、明らかに別マスターによるものであり、音質も国内盤かヴェールを取り去ったような明快さである。この他にもフランスSonyなどからも別マスタリングが出ているが未聴。ただロマンティックなだけでなく、曲によってはホロヴィッツ独特のフレージングや誇張が耳につく曲もあり、そうした場面では他のピアニストの適度なロマン性がなつかしくなるものの、体系的なショパンの全曲集を残さなかった(バラード全曲、ノクターンやマズルカ全曲など)ホロヴィッツの(ある意味たまたま)選び抜かれた作品群。傾聴に値する。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/12/07

    この曲としては多少デモーニッシュに過ぎるかな…とも思うが、楽譜の指定よりもはるかに自由なテンポ設定には説得力もあり、この曲の魅力を引き出し、新鮮に聴かせているという点では見事。オケもふんわりとした抑制と音の美しさがあり、怒号しないフォルテが心地よい。バーンスタインがマーラーに取り組んだのと同じ姿勢で描き出したフランクという所か。この曲を愛する人であれば聴いておいてほしい演奏。何しろカメレオンのように演奏スタイルによって変幻、フォームや印象を変えてしまう曲なのだし。ちょっと身びいきかとも思うが、一応五つ星。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/30

    ルツェルン祝祭管はたしかに凄いが、常設オケではない弱みもあるし、いかにも力づくで弦の厚みや美しさはやはりVPOに敵うものではない。G線でワンフレーズを弾ききるなど、アバドのアイデアで鳥肌が立つような音が聴こえてくるのは面白いが、全体にリラックスしすぎて、感心はするが感動にまで至らないように思われる。バーンスタインのアクの強い名演を聴いてきたからかとも思ったが、気迫や瞬発力の鋭さはアバドの二種類の旧盤のそこここが勝っているし、ボーナストラックに入っている他のDVDの宣伝、同じルツェルンとの7番や5番の方が、指揮ぶりからして気合・意気込みが違うように見える。「復活」や六番、五番と違って、三番はアバドが割と後期になってからのレパートリーだし、ロンドン響でのチクルスでも三番はハイティンクか誰かに任せたのでは…といった事柄ばかりが思い起こされてきたのは、この技術的には見事な演奏とアバドのマーラー作品への共感度が、交響曲によって異なるのを感じたからでもある。フィナーレのティンパニはこのDVDも控え目。最初のVPO盤のコーダがあまりにも物足りなかったが、どうやらこのバランスがアバドの理想のようだ。ルツェルン祝祭管にはフォーグラー、ゼーガスといったBPO-OBのティンパニストが全く出てこないが、アバドの好みに合わないということなのかもしれない。そういえば「静寂…」のドキュメンタリーでフォーグラーと「田園」の音量でモメてたな…と、また余計なことを思い出した。イヴェント性は凄いと思うし、一期一会というのも分かる。しかしこの三番の成功率は他のDVDに比べてやや低いというのが正直な感想。表現のこなれというよりもサラサラとした(晩年のアバドに特有の)スムースすぎる流れ。汗ダラダラで黒髪を振り乱し、捨て身の集中力で振ったいた時期の映像があれば良かったのに…

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/27

    CDとしての条件に色々議論もあろうが、LP時代にはこのディスクよりもはるかに劣る音質の、蚊の鳴くようなでしか聴けない「往年の大家・未発表初出ライブ」のレコードが廉価盤以上、フルプライス以下の値段で売られていた。それから考えればこのセットの音は(1971年時点でのモノラルという点を差し引いても)ヒストリカルものとしては十分水準以上にあると言える。Hi-Fi音に慣れ「70年代のモノ録音」に抵抗を覚える世代になってきたのか、という実感。さて演奏内容は興味の持てるもので、序曲・協奏曲ともにクレンペラーのなかなかの覇気と、晩年特有の重々しさを残しながらもダイナミックで流れのある(流れの良い…とまでは言えないか)演奏を聴かせてくれる。ピアノ独奏もなかなかの美音を聴かせる。ブラームスは収録音が前二曲よりも多少劣るが、それでも骨太でクレンペラーらしい仕上がり。ライブで聴いたらさぞかし感動的だったろうと思われるが、別録音にさらに説得力のあるディスクがあり、それを超える感動とまではいかなかった。「ラストコンサート」は結果としてそうなっただけの事であり、告別演奏会…のような感傷は確かにあまり意味が無い。しかしファンならば冷静ではいられなくなる… 聴き手次第、そして聴き手の期待次第。決してクレンペラーの信奉者ではないが、これは立派に好印象のディスクだった。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/20

    なんと穏やかで暖かく、底に秘められた力と情緒の美しさが全体を包み上げるスケールの大きな表現… これほどロマンティックで美しい40番は他に…と言い切ってしまいたくなる大傑作。マックルーアのマスタリングでワルターのCDが初めて出た時(1983年末だった)、同じく新マスタリングによるLPも出たが、その時にこの40番をレコードで聴き、感激した。いわゆる通の間ではVPOとのライブの評価が高いが、普通に聴いてみるとこのコロンビア響の方がよりポピュラリティーのある名盤だと思う。この40番に限らず海外ではステレオ再録音のモーツァルトの交響曲群は冷遇されているような気がするが(アメリカ盤のSBMシリーズでもNYPなどのモノ録音がセット化されて、ステレオ版は出ずじまいだった)、古典的・歴史的・一般的と、あらゆるニーズに応え得る名盤。40番を愛する人に絶対に聴いて欲しい一枚。但し、最近のDSDマスタリングには少々辟易。あまりにもグロテスクでハイ上がりの音になってしまっており、音楽を聴きこむ前に耳が疲れ、イライラしてくる時さえある。最近のDSD盤を聴いた後、かつてどのレコード店でも何気なく見かけた90年代初めの「ベストクラシック100」シリーズの旧マスタリングを中古で探し出した。こちらの方がはるかに自然な音。単にハイを抑えるとかどうとかで調整できる問題ではなさそう。ノスタルジーと言われても仕方ないが、上記マックルーアの最初のリマスター版LPの音と感激が懐かしい。五つ星は演奏について。最近のDSD盤の音にはちょっと賛同しかねる。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/20

    なんと穏やかで暖かく、底に秘められた力と情緒の美しさが全体を包み上げるスケールの大きな表現… これほどロマンティックで美しい40番は他に…と言い切ってしまいたくなる大傑作。マックルーアのマスタリングでワルターのCDが初めて出た時(1983年末だった)、同じく新マスタリングによるLPも出たが、その時にこの40番をレコードで聴き、感激した。いわゆる通の間ではVPOとのライブの評価が高いが、普通に聴いてみるとこのコロンビア響の方がよりポピュラリティーのある名盤だと思う。この40番に限らず海外ではステレオ再録音のモーツァルトの交響曲群は冷遇されているような気がするが(アメリカ盤のSBMシリーズでもNYPなどのモノ録音がセット化されて、ステレオ版は出ずじまいだった)、古典的・歴史的・一般的と、あらゆるニーズに応え得る名盤。40番を愛する人に絶対に聴いて欲しい一枚。但し、最近のDSDマスタリングには少々辟易。あまりにもグロテスクでハイ上がりの音になってしまっており、音楽を聴きこむ前に耳が疲れ、イライラしてくる時さえある。最近のDSD盤を聴いた後、かつてどのレコード店でも何気なく見かけた90年代初めの「ベストクラシック100」シリーズの旧マスタリングを中古で探し出した。こちらの方がはるかに自然な音。単にハイを抑えるとかどうとかで調整できる問題ではなさそう。ノスタルジーと言われても仕方ないが、上記マックルーアの最初のリマスター版LPの音と感激が懐かしい。五つ星は演奏について。最近のDSD盤の音にはちょっと賛同しかねる。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/20

    なんと穏やかで暖かく、底に秘められた力と情緒の美しさが全体を包み上げるスケールの大きな表現… これほどロマンティックで美しい40番は他に…と言い切ってしまいたくなる大傑作。マックルーアのマスタリングでワルターのCDが初めて出た時(1983年末だった)、同じく新マスタリングによるLPも出たが、その時にこの40番をレコードで聴き、感激した。いわゆる通の間ではVPOとのライブの評価が高いが、普通に聴いてみるとこのコロンビア響の方がよりポピュラリティーのある名盤だと思う。この40番に限らず海外ではステレオ再録音のモーツァルトの交響曲群は冷遇されているような気がするが(アメリカ盤のSBMシリーズでもNYPなどのモノ録音がセット化されて、ステレオ版は出ずじまいだった)、古典的・歴史的・一般的と、あらゆるニーズに応え得る名盤。40番を愛する人に絶対に聴いて欲しい一枚。但し、最近のDSDマスタリングには少々辟易。あまりにもグロテスクでハイ上がりの音になってしまっており、音楽を聴きこむ前に耳が疲れ、イライラしてくる時さえある。最近のDSD盤を聴いた後、かつてどのレコード店でも何気なく見かけた90年代初めの「ベストクラシック100」シリーズの旧マスタリングを中古で探し出した。こちらの方がはるかに自然な音。単にハイを抑えるとかどうとかで調整できる問題ではなさそう。ノスタルジーと言われても仕方ないが、上記マックルーアの最初のリマスター版LPの音と感激が懐かしい。五つ星は演奏について。最近のDSD盤の音にはちょっと賛同しかねる。

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/19

    ジョリヴェ初期の傑作「弦楽四重奏曲」の全く久しぶりの新盤登場。ディスコグラフィによればSP録音があったが、以後復刻されることもなく新録音もされなかったので、ジョリヴェの傑作の呼び声高いこの作品にやっと触れることができる。演奏はよく楽譜を再現していると思う。ただ第二楽章は、これまでに「弦楽合奏のアンダンテ」として、より重厚なサウンドの演奏を聴く機会が多かったので少々物足りない。しかし何にせよこの一枚の資料的価値は高い。研究者には見逃せない一枚。ジョリヴェの愛好家にとっても喜ばしいディスク。ジョリヴェに批判的な矢代秋雄でさえその書式の完全さに「好感が持てる」と評したのだし。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/18

    EMIのスタジオ録音盤よりもすぐれた演奏ではないか…とは初発売のKingのLPを聴いた時からの印象だったが、AltusのCDを聴いてもやはり同じ感想。但し今回の発売のポイントであるステレオ録音については残念ながら期待を下回る。同時期のベルリオーズ「幻想」のような水準を考えていたのだが、音のピントが甘く冴えない音場感で、これならばモノラルのままでも構わないと思った。60年代のNHKのステレオには時折こういうピンボケ・ステレオが(マタチッチN響のベートーヴェンなど)あり、1959-61年あたりのイタリアオペラのステレオ水準を下回る記録がある。発掘された事は嬉しいが、正直なところ「モノのままでもいい」と感じた。モノラルの新マスタリングも好みの差。中低音域膨らまし加減で、豊かな音を狙ったのかもしれないが、これまでの盤を圧倒的に上回るとは思わなかった。逆に古びの付いたドンシャリ、AMラジオ的な音の方が、弦楽器の高音部など独特の香気が感じられ、より魅力的に思えるのはこれまでの盤を聴き次いで来たせいか。星二つはステレオバージョンへの期待はずれに対して。演奏そのものはもちろん五つ星。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/17

    現在出ているこの曲のディスクの中では、録音・演奏水準を兼ね合わせてベストに数えられる名演。難渋で取っ付きにくい作曲作品の多いフルトヴェングラーだが、この曲は別。良い意味での通俗性、(割と)すぐに覚えられるメロディー、いく分感傷性なハーモニー… 特に第二楽章は名曲で「更に深刻なラフマニノフ」といった趣の、特殊な美しさを持った音楽となっている。フルトヴェングラー自身がこの二楽章のみを戦前のHMV録音の(VPOとの田園を除いた)最後に、オマケのようにこの曲をレコード録音しているのは興味深いし、1939年という(RRGのマグネトフォン以前の)時期のBPOライブの全曲が残っているというのも凄いが(なぜこの曲に限って録音され、いく十枚の音盤が保存され、復刻にまで至ったのか。あの当時の大曲のライブが残っている例は決して多くない)、曲についても、こんもマルコポーロ盤についても、とにかくお薦め。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/16

    ワルターにもマスタリング合戦があるとは…と思いながら聴いてみたが、この国内盤96年セットは大変に音が自然で良い。最近のDSD盤はあまりにグロテスクに思えるが、このセットとの比較でそれがハッキリする。あんなギラギラでハイ上がりの音ではすぐに聴き疲れしてしまい、音楽に集中できない。マスタリングは技術系の(数値的な)研究成果発表ではない。元テープの情報をあくまで音楽的に処理し、当時ワルターが聴き、OKを出した(と感じられる)音をよみがえらせて欲しい。演奏は定評あるものだが、今こうして聴き返してみると老齢ゆえの緊張感の持続や盛り上がりに多少のムラがある事も分かる。但しそれは全体の感銘度を左右するような物ではないし、時に聴こえる実にパワフルなサウンドには圧倒されもする。第二の豊饒さ、第三の均整、第四の陰影… ワルターの解釈云々よりも音楽そのものの魅力をしっとり聴かせてくれるスタイル。だからこそ今日では第一に少々物足りなさも感じてしまう。ワルター・ファンで、音にこだわりを持つ方、これから聴き始める方にはこの国内盤をお勧めしたい。LPで聴いた音が豊かになり、最近の造り物めいたマスタリング盤とは全く別物。こうした歴史的遺産に評価などおこがましいので、五つ星は音質に対して。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/11/09

    こうしてケーゲルの数々の記録が落葉拾いのように出てくるのは嬉しいが、そのどれもが決定的に優れているかというと少々疑問。シューマンの4番は無骨な表出力が無駄な力みとなって響き・流れに現れ、これといった魅力の感じられない平板な演奏になっている。これだったらNHK響との演奏の方がよほど水準の高い、ケーゲルらしい聴き所の多い演奏に仕上がっている。どちらか選べと言われたら間違いなくN響盤。ブラームスも至る所に美しい響きが聴かれるが、晩年ゆえの誇張か気持ちの込めすぎか、来日公演のベートーヴェンのような凄さはない。別レーベルで1971年のライブがあったが、それが先にチョイスされるべきではなかろうか? 但し重厚(そう)な感覚や録音状態はこのWeit盤が優れているので、ファンならば聴き比べが楽しかろう。いつもながらの解説執筆者、ケーゲルに惹かれるのは分かるが、時に誇大妄想的な思い入れをケーゲルの演奏に投影してしまうのはどうだろう? 聴き手の「演奏に対する捉え方」を限定してしまい、ただあやふやな信者的ファンだけが増えてゆくのでは、本当の聴き所を見失ってしまうと思うのだが。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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