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HMVインタビュー:locofrank

ROCK NEXT STANDARD

Tuesday, June 8th 2010

interview

locofrank

locofrank、2年ぶりの待望ニューフルアルバム『STANDARD』がいよいよ6月16日にリリースされます。新作『STANDARD』についてはもちろんのこと、一足早くリリースされた限定シングルのことや、楽器を始めてからlocofrankが誕生するまでの話など色々聞いてみました。それではlocofrankインタビューをお楽しみ下さい。

---ニューアルバム「STANDARD」の完成おめでとうございます。さっそく、このアルバムについてお聞きしていきたいと思います。この「STANDARD」というタイトルを付けた意味と作品のコンセプトからお話いただけますか?

木下:コンセプトはないです。今までコンセプトありきでCDを作ったことは一回もないです。「STANDARD」というタイトルは、俺たちの今のあり方です。今だからこそ言えるようになったんでしょうね。何かを吸収して自分達の中でろ過して出す、俺たちだからこそ出来ること、locofrankらしさってどこだろう、そういうことをずっと繰り返しやってきた。人生は繰り返だと思っているので。そうしてきた中で、3人が向き合って、ライブをやるために日頃から自分達の意識の高みをもっていくことが、やっと自然に出来るようになったんですね。口で言うと簡単ですけど、各々持っているものが違う3人集って、一つのバンドをやることの難しさも痛感させられてきたので、それをやっと駄目なものは駄目、かっこ悪いものはかっこ悪いとお互いが言い合えるようになったのが最近なんですよね。前作出してツアー回らさせていただいて、それが終わったぐらいだと思います。今までがふらついてたという訳ではなくて、今回に関してだけガッチリしたって訳じゃないかもしれません。ただ、今、自信を持ってこの3人だからこの音が出せましたってブレずに言える。これからまた新たに積み重ねていく準備が出来たっていう、locofrankとしてのSTANDARDが出来たっていうことかもしれません。だから「STANDARD」と付けさせていただきました。

---アルバムの前に限定シングル「TIME AFTER TIME / HAPPY」がリリースになりましたが、シングルは初になりますね。今回は、なぜシングルをリリースするに至ったんでしょうか?

笹原:僕ら今まで、アルバムかミニアルバムしか出していなかったんです。世の中の流れで昔は当たり前だったことが今は当たり前じゃなくなってきている。俺らは当たり前のことをやるのが面白くないなと思っていて、昔は7インチのレコード出したりしてきた。だから、今はあまりないシングルを出すってことを、今やるのが面白いんじゃないかなって限定でやることにしました。

---そのシングルでは「TIME AFTER TIME」を、そしてニューアルバムでは「Desperado」をカバーしてらっしゃいますが、それぞれの曲を選曲した理由はなんでしょう?

笹原:今まで色々とカバーしてきたんですけど。僕らの好きな音楽で好きな曲をカバーしてみたら、原曲知らない人が「え?これ、ロコじゃなかったんや?」っていうくらいのほうが、やっている側からしたら嬉しい。そこから原曲ってどんなんなんやろうって聴いてくれるのが僕らの狙いでもある。そうやって、触れたことのない音楽を好きになるっていうひとつのツールとなってくれたら嬉しいなって思いでずっとカバーをやってきたんです。今回は、シングルでタイトルにもなる曲だし、いろんな意味で僕らを知ってもらうっていうことで、誰もが知っているであろう曲、シンディー・ローパーの「TIME AFTER TIME」が一番マストな曲だった。今まで誰もが知っている曲をCD音源ではカバーしたことがなかったから、聴いた人がどう思うのか知りたいし、自分らがどこまで出来るかやりたかった。聴く人に対してパンクやからとかじゃなく、原曲を聴いただけでどんな曲か分かるような選曲をしたかった。それがこの曲に辿り着いた理由です。

---「Desperado」のほうはどうでしょうか?

笹原:「Desperado」は単純に好きやったからです(笑)。俺らも好きなバンドがカバーしてる曲が、あとからカバーだって気が付くことが多くて。無理してそういう選曲をしているわけじゃないんですけど、自分が聴いてて好きな曲を意外と人が知らなかったりすると余計にやりたくなる。色々候補はあったんですけど、これだったらカバーとしてロコとして作り上げられるだろうというのが今回は「Desperado」だったっていう。ならず者ですからね、Desperadoって(笑)。

---カバーする曲はみなさん全員で決めているんですか?

笹原:そうです。候補曲を何曲も挙げた中で、みんなでこの曲がやってみたいっていう意思統一が出来た時に始めてカバーします。誰かが一方的に決めてやることはないです。

---もちろん今後もカバーは続けていくんですよね?

笹原:そうですね、機会があればやっていきたいです。locofrankの曲を作る時ってゼロから自分らの全てで作り出すんですけど、カバーって自分らが好きで聴いている、何かしら惹かれるメロディーがあるわけじゃないですか。それをカバーするっていうことは、このメロディーを生かすためにはどうやったらええんやろうとか、自分らにしても良い刺激になるんですよね。ゼロから作り出すのとは違う楽しさがあるんですよ。そいう意味でもチャンスがあればどんどんやっていきたいです。

locofrank

---シングルでは「HAPPY」がPVになりましたが、アルバムではどの曲がPVになるんでしょうか?

木下: 1曲目の「CROSSOVER」です。

---どのようなPVになるんでしょうか?

笹原:汚い大人にツバをはきかけるようなPVです。違うかな(笑)?

木下:たぶん違います。歌詞の内容にはあまりリンクしない映像になってます。もちろん演奏シーンありきですけども、今まで撮ったことないような感じになっています。前半はドキュメンタリータッチ、そして演奏が始まる感じ。

笹原:僕らのスタイルを映像化したような感じですね。考え方とか、思っていることを分かりやすく映像にしたらこうなるかなっていう感じのPVです。

---仕上がりを楽しみに待ちたいと思います。そのPVにもなる「CROSSOVER」ですが、曲の解説をしていただきたいです。

木下:「CROSSOVER」っていうタイトル通り積み重ねるってことです。記憶がないくらいの子供時代は、何かを叱られたり言われても分かんないじゃないですか。だからやりたいようにやるし、食いたいもん食うし、寝たい時に寝るし、そういう元々持っている本能というものが、物心ついてからもあるんでしょうね、ガキっていうのは。だから、遊びたかったらずっと遊んでるし、キライなものは一切食わない。だけど、何かを選ばないといけないという選択肢のある年代に差し掛かった時、初めて矛盾を感じる年頃ってあると思うんですよね。夢を持てって昔は散々言われたけど、何かを選ばないといけない時には夢を見るなってことを言われたり、生きていく上での矛盾に差し掛かった時に自分自身で掲げてきたものが、間違ってたのかなっていう時がある。俺らは多々あったんですよ。でも、やっぱり俺たちは音楽が好きで、まだ何も成し遂げていないし通過点に過ぎないっていう中で、やっぱりガキの頃に持っていた自分に素直になって衝動に駆られるってことが大切なんだなと思ってね。俺たち今年29歳になりますが、バンドをメンバーも変らず12年やってきて、俺たちの一つの夢でもあったレーベルを立ち上げるということもやって、一つ納得して俺たちはやっぱりこれが好きなんだって今思う。生々しい話をすれば利益なんてそんなもん考えたこともあまりないですし、好きなことをやるに対してのリスクも伴います。でも何かを達成した時のガキの頃に持っている喜びだけは、唯一今も一緒なんですよね。これが自分達でやりたかったことだ、それが出来たっていう時のあの達成感ですね。やってきて良かったって思えることをずっと忘れなければ、自分に嘘をついていたものがすっきりして、出来ることが自分の存在価値を認めるってことなのかな、って思ったので俺はそういう詞を書かせてもらって、そういう曲をみんなでやらせてもらっています。

---他の曲についてもお聞きしたいのですけど、「HOPE」はシングルで聴いた時に、アルバムを期待させる良い曲で個人的にツボだったんですけど。

木下:「HOPE」はある人に向けて書いた曲です。俺たちのPA(音響)を5年くらいやっていただいていた人が、色々な事情でやめざるを得なくなってやめたんです。一緒にlocofrankとして歩んできた5年間、いい光も浴びてきましたし、暗い光も一緒に感じてきましたし、いっぱいいろんなものを貰ったんですよね。俺たちも与えさせてもらったと思ってます。こういうことがなかったら思い返せないであっただろう感情も出てきましたしね。そんな大切な気持ちをいざという時にしか感じられない自分が情けなくて。今回のことだけじゃなく、一番当たり前に誰かと接しているってことが実は当たり前じゃないということ、その一瞬一瞬を大切にしていくということに目を向けたら、俺たちで言えば歌うことが、ものすごくかけがえのないものになるんだなっていう、改めて思い知らされた感謝の歌です。

---作るのに一番大変だった曲はなんですか?

笹原:全編苦労しましたけどね。色んな意味で一番苦労したのは「Desperado」ですよ。カバーって毎回苦労するんですよね。元々あるメロディーに曲を付けるって、いい意味で方法がいっぱいあるんですよね。曲に対する捕え方、価値観、聴き方がちょっと違ったりするだけで、みんな少しずつ意見がずれていたりするんですよ。出た意見を取り入れてやっていくうちにどんどん訳が分からなくなってきて原曲が原曲じゃなくなる。カバーがカバーじゃなくなる。それで何回も作り直す。毎回なんですよね、「TIME AFTER TIME」もそうだったし。「TIME AFTER TIME」は1回出来上がったものをゼロにしてもう一回作りましたからね。

---それはなにが駄目だったんですか?

笹原:感覚がなんか違うって言って、木下が。

:木下がスタジオに来なかった時に、2人で5時間ぐらいガチで頑張って作ったんですよ。

笹原:これ、絶対ええやん!って2人で納得して、8割9割出来たのを、木下が無理って。だったら、スタジオ来いや!

(一同笑)

木下:カッコ良かったんですけどね。難しくて弾けなかったんです。ただそれだけです。もうちょっと易しいのにしてくれへんかって。

:180度変わったけどね。

笹原:最初に作ったほうは、パンクっぽい感じじゃなかったんですよ。安い言葉で言えばおしゃれな感じ。ポストロック的なニュアンスのね。今みたいなガチガチのパンクチューンじゃなかった。俺らの中では、これめっちゃカッコええやん、曲のイメージともめっちゃあってるんちゃうん?とは言うてたんですけど。

木下:全然グッとこんへんかったんですよ。難しいことばっかりやってたんですよ。

笹原:あれ、マジでちゃんとレコーディングしたら良かったよ!?

---そっちのバージョンも気になっちゃうんですけど。

笹原:ぶっちゃけなんですけど、そのバージョンほう、まったく覚えてないです。闇に葬られました。

アルバムの話の続きは次のページへ。
他にも楽器を始めるきっかけから、locofrankへの改名などなど・・・

profile

Vo/Ba:木下 正行
Gt/Vo:森 勇介
Gr/Cho:笹原 達也

大阪在住の木下 正行(Vo/Ba)、森 勇介(Gt/Vo)、笹原 達也(Gr/Cho)の3人で1998年に結成。2003年前身バンドのバンド名から同メンバーで現在の“locofrank”に改名。同年10月にリリースした1st MINI ALBUM『Starting AGE』以来、ミニアルバム2枚、フルアルバム3枚、7inch EPや海外バンドとのスプリットなどもリリースしている。また、国内外を問わず数多くのライブをこなし、FUJI ROCK FESTIVAL、SUMMER SONICやROCK IN JAPAN FES.などの大型フェスへも参加。2006年には念願であった自主レーベル“773Four RECORDS”を立ち上げ、CDリリースからマネジメントまで自主で行い、マイペースながらも次代に流される事のない活動を続けている。

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