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『死化粧師 オロスコ(完全版)』 釣崎清隆 インタビュー 第5回

Monday, March 10th 2008

無題ドキュメント 『死化粧師オロスコ』 釣崎清隆
 


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『死化粧師オロスコ』
2008年3月22日(土)アップリンクXにて、レイトショー!
★上映終了後、釣崎監督と日替わりでゲストによるトークショー開催
★イベント情報の詳細は、こちらより



第5回 「僕の“信念”、“映像”」


--- 釣崎さんは、本当に命懸けで危険な国に行かれて、作品を撮られているんですもんね・・・。

釣崎  そうそう。命のリスクを冒して撮ってきたものに対して、よくそんな言葉が言えるなって思いますよね。それって、1500年間続いてきた”裸まつり”を、「あれはセクハラだ」って言うのと同じですよ(笑)。何の疑問もなく言いますからね、いい歳した大人が。
 だから、”想像力の欠如”っていうのは、このことだって思いますね。まあね、全く想像出来ない場所に行って撮ってるっていうことは事実なんですけど、だったらそれは普通に、人は観たいものだろうし、観ておもしろいものだとも思うし・・・。「その観る機会を、観る目を自分が摘んでどうするんだ」って思いますね。
 条件反射的にそうなってるんでしょうね、だから”条件反射”ですよ。「そう言っとけば間違いない」っていうのがあるから、実際。「人権とか、俺が考えないで撮ってると思ってんのか?」っていうね。確かに考えないで撮ってる人は多いですよ。戦場カメラマンも含めて、メキシコとかタイとかのパパラッチというかイエロージャーナリズムの人たちっていうのは、不謹慎な人もいるし、金のためにやってるっていう人もいるし、まあ人それぞれですけどね。でも僕は結構、その辺は真面目に考えながらやっているつもりでいるんで。

--- そういう目は、わからない人はいつまで経ってもわからないと思いますか?

釣崎 うん(笑)。どうしようもなく観れない人はいますから。それだけパワーのある被写体だから僕は、魅力的に感じてるわけで。「絶対嫌だ」って言う人がいるのは当然だし。だから、100%納得させる表現なんていうものはないし。そういう意味では、そういう人がいるっていうのは悲しいとは思わないですけど。「それぐらいすごいものを扱ってるんだ」っていうのは思ってますよ。

--- 先ほどのお話しの続きなんですが、身の危険を冒してまで、危険な国に行って撮影されているわけですが、そこまで釣崎さんを突き動かすもの、「撮りたい」と思わせるものは何だと思いますか?

釣崎 やっぱりね、「そういう場所に行ったら、行っただけのものがそこにある」っていうことをもうわかっちゃったから、どんなことをしても行きますよね。なんて言うのかな・・・”表現者の宿命”っていうんですかね。それを知っちゃったらね、それをやらない人は”嘘つき”ですからね。そのへんは正直でありたいかなって思うし。
 「ちょっと勇気を振り絞って一歩を踏み出すだけで、すごいものが観れるんだ」っていう。やっぱり、「世界って広い」っていうかね。そういうものに出会えるんだったら、一歩踏み出すし。そこに行くにはお金、そんなにいらないんですよ。で、別に普通のホームビデオで撮っても、その価値を減らすってこともなく。
 『オロスコ』は制作費300万くらいなんですけど。3年間で300万ですからね。だから壮大なスケール感のある作品が、ちょっと勇気を振り起こして一歩踏み出しただけで、その表現が手に入ると思ったら、僕はやりますよね。それだけのことだと思いますよ。

--- その”わかってしまった”っていう感覚というのは・・・。

釣崎 まあ、最初からあったかもしれないですね。だから続けてきたんだと思いますね。この先に何があるとかなんてわからないし。でもそうですね、そういう感覚って、初めからあったんだと思います、今まであんまり意識したことなかったんですけど。

--- 撮るものも、90年代のいわゆる”悪趣味”ブームを代表するエログロ雑誌『TOO NEGATIVE』を刊行しようとしていた編集者である小林さんに出会って、彼の薦めるままに、タイにスチールの撮影をしに行かれたというのが、死体を撮るきっかけだったと伺いましたが、そのお話しがなくても死体を撮っていたと思いますか?

釣崎 うーん、それはちょっとわかんないですね。でも撮ってないかな、たぶん。そっち系の文化は好きだったし、ほんとに彼に「撮って来ない?」って言われたら、二つ返事で「はい」って言って、その話に飛びついて、撮りに行ったのは事実なんですけど、その話しがなかったらどうなってたかっていうのはほんとに自信なくて。
 まあAVやってたけど、シネマジックっていうメーカーにいたんですけど、ドラマものが結構有名というか、持ち味のメーカーで。僕自主映画とか撮ってても、もう全部フィクションだったし、ドキュメンタリーやるなんてもう全然考えてなかったんですよね。それにさっきもお話しした通り、スチールをやるなんてことも全く思ってなかったし。最初から、「死体を撮る場合は動画はないだろうな」っていう風に思ってたし。だからそう考えると、極めて可能性は少ないですよね。

--- 今の釣崎さんがいるのは、その小林さんとの出会いが大きかったんですね。

釣崎 27から、だいぶそこで、人生1回変わってるんですよね。変わりましたけど、ただのスチールカメラマンじゃなくて、やっぱり映像に戻ってきたっていうのは、僕の”信念”っていうか、「映像をやっていきたかった」っていう風に小っちゃい頃から思ってたし。そういうものを曲げずに出会いもありながら、人生転がっていくっていうのがいいのかなって思いますけどね。


第6回へつづく…

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