『死化粧師 オロスコ(完全版)』 釣崎清隆 インタビュー 第5回
Monday, March 10th 2008
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『死化粧師オロスコ』 第5回 「僕の“信念”、“映像”」
釣崎
そうそう。命のリスクを冒して撮ってきたものに対して、よくそんな言葉が言えるなって思いますよね。それって、1500年間続いてきた”裸まつり”を、「あれはセクハラだ」って言うのと同じですよ(笑)。何の疑問もなく言いますからね、いい歳した大人が。 --- そういう目は、わからない人はいつまで経ってもわからないと思いますか? 釣崎 うん(笑)。どうしようもなく観れない人はいますから。それだけパワーのある被写体だから僕は、魅力的に感じてるわけで。「絶対嫌だ」って言う人がいるのは当然だし。だから、100%納得させる表現なんていうものはないし。そういう意味では、そういう人がいるっていうのは悲しいとは思わないですけど。「それぐらいすごいものを扱ってるんだ」っていうのは思ってますよ。 --- 先ほどのお話しの続きなんですが、身の危険を冒してまで、危険な国に行って撮影されているわけですが、そこまで釣崎さんを突き動かすもの、「撮りたい」と思わせるものは何だと思いますか? 釣崎 やっぱりね、「そういう場所に行ったら、行っただけのものがそこにある」っていうことをもうわかっちゃったから、どんなことをしても行きますよね。なんて言うのかな・・・”表現者の宿命”っていうんですかね。それを知っちゃったらね、それをやらない人は”嘘つき”ですからね。そのへんは正直でありたいかなって思うし。 --- その”わかってしまった”っていう感覚というのは・・・。 釣崎 まあ、最初からあったかもしれないですね。だから続けてきたんだと思いますね。この先に何があるとかなんてわからないし。でもそうですね、そういう感覚って、初めからあったんだと思います、今まであんまり意識したことなかったんですけど。 --- 撮るものも、90年代のいわゆる”悪趣味”ブームを代表するエログロ雑誌『TOO NEGATIVE』を刊行しようとしていた編集者である小林さんに出会って、彼の薦めるままに、タイにスチールの撮影をしに行かれたというのが、死体を撮るきっかけだったと伺いましたが、そのお話しがなくても死体を撮っていたと思いますか? 釣崎 うーん、それはちょっとわかんないですね。でも撮ってないかな、たぶん。そっち系の文化は好きだったし、ほんとに彼に「撮って来ない?」って言われたら、二つ返事で「はい」って言って、その話に飛びついて、撮りに行ったのは事実なんですけど、その話しがなかったらどうなってたかっていうのはほんとに自信なくて。 --- 今の釣崎さんがいるのは、その小林さんとの出会いが大きかったんですね。 釣崎 27から、だいぶそこで、人生1回変わってるんですよね。変わりましたけど、ただのスチールカメラマンじゃなくて、やっぱり映像に戻ってきたっていうのは、僕の”信念”っていうか、「映像をやっていきたかった」っていう風に小っちゃい頃から思ってたし。そういうものを曲げずに出会いもありながら、人生転がっていくっていうのがいいのかなって思いますけどね。
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