今年のLOUD PARKで初日のトリを務める、ドイツ産ハードロックの大御所の大名盤。なにしろ40年前の作品だし、今聴いても新鮮さはないかもしれない…が、やっぱりすごい！ほかの国の、ブルースやクラシックからの影響が色濃いサウンドとはまた一味違った、ドラマティックかつ熱いハードロックだ。ウリ・ジョン・ロート（こちらは2日目に出演）の超絶技巧ギターも耳を掴む。現代のメタルの源流のひとつがここにあるのだ。

昨年初来日を果たした、フランス産エクストリーム・メタルの雄の新作。これまでにプログレッシヴなデスメタルの要素を残しつつ、今回は密教的な雰囲気や、民族音楽を思わせるメロディを導入。より酩酊感のあるサウンドへとシフトした。激しさが減退したように感じられるかもしれないが、表面的な激しさや複雑さではなく、内側で煮えたぎるような激しさと、じっくり体と脳に染み込ませていくかのようなサウンドのすごみを評価したい。じっくりとむきあうべき、エクストリーム・メタルの新しいステップだ。

メンバー脱退による活動休止、新メンバー加入を経ての復活アルバム。ホーン隊が3人に増えたことで、ハーモニーがより豊かになるだけでなく、サウンドそのものがさらに重厚になっている。かつタイトルの通り、これまでよりもシリアスな方向へと舵を切り、バンドの新しいスタートをアピール。とはいえメタリックなリフや親しみやすいメロディ、軽快なスカ・ビートは健在だ。一時は解散の危機もあったようだが、むしろパワーアップして帰って来るという稀有な例。再び快進撃が始まる。

前作でやっと日本盤リリースとサマソニ来日、単独公演も実現した、デンマーク産メタルバンドの新作。スラッシュ以降のメタルを基調に、カントリーやロックンロールの要素を融合させた、人呼んで「エルヴィス・メタル」は健在。メタルにありがちなダークさや邪悪さではなく、ロックンロール本来の楽しさと男の哀愁を思い切り体現。今回は日本盤の予定がないの残念だが…それとは関係なしにマストチェックな1枚だ。

先日来日公演を行ったものの、マット・タック（vo,g）の体調不良により、東京公演が中断となってしまったBULLET FOR MY VALENTINE。サマソニ出演も決まっているので、そこでリベンジを果たしてくれるはず。この1stリリース前に実現したサマソニでの初来日も東京がキャンセルとなったけど…それでも本作は名盤。伝統的なメタルの要素を中心にしつつ、スクリーモやメタルコアとも接点を持つサウンドは、ありそうでなかった新鮮なものだった。シーンの流れをかき乱した一枚だ。

しばらくは活動休止するかと思われていたところに、突然発表されたKNOTFEST JAPAN 2016。両日のヘッドラインは、もちろんSLIPKNOTだ。本作はジョーイとポールというバンドのイメージや作曲面で特に貢献度の高かった二人を欠いて作られた最新作。とはいえ不気味なSEをより際立たせることで、薄気味悪いエクストリーム・ヘヴィロックの、SLIPKNOTのあるべき姿と意地を見せつけている。