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つよしくん さんのレビュー一覧 

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     2009/11/03

    マーラーの交響曲の中でも第7は鬼門だと思う。第3楽章のスケルツォを中心とする相似形という、いかにもマーラーならではの独特の構成をしているが、この不思議な音型のスケルツォと終楽章の饗宴があまりにも異彩をはなっていることで、全体をまとめるのに難渋するケースが多いのではないかと推察される。その中でも、本盤はなかなかの健闘をしている佳演と言ってもいいのではないだろうか。第1楽章は中庸のテンポでオーソドックスなアプローチを行っているが、終結部でテンポを大幅に落とすなど一筋縄ではいかない。第2楽章と第4楽章の夜曲も、馥郁たる夜の空気を抒情豊かに表現しており、特別なことは何もしていないのに実に感動的だ。問題の第3楽章は、ヤンソンスならば、もう少しワサビの利いた表現も可能とは思うが、バイエルン放送交響楽団の各プレーヤーの技量の素晴らしさに助けられた面もあるとは思うが、平板に陥る寸前にとどまった感がある。終楽章は、下手をすると、にぎにぎしい無内容の演奏に陥りがちであるが、ヤンソンスは、バイエルン放送交響楽団の手綱をしっかり締めて、節度のある演奏を行っている。やや優等生にすぎるきらいがあり、もう少し踏み外しがあってもいいのではないかと思う面もあるが、空虚な響きに支配されるよりはいいのではないか。本盤のもう一つの魅力は、SACDマルチチャンネルによる高音質録音。コンサートホールの響きがかなり忠実に再現されるのは実に素晴らしい。

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     2009/11/03

    ラン・ラン、レーピン、マイスキーは、いずれも、それぞれの楽器演奏者の中でもトップを争う個性派であるが、本盤は、初顔合わせとは言えないくらい息のあった演奏を行っている。チャイコフスキーもラフマニノフも、情感溢れる曲であり、曲想も目まぐるしく変化するが、相手に合わせようという安全運転の箇所はいささかも見られず、むしろ、三者が、それぞれの思いのたけを全力でぶつけ合うような激しさがある。したがって、例えば、チャイコフスキーの第2楽章の終結部など、聴き手のドキモを抜くのに十分な迫力であるが、それでいて決して気品や美しさを失わないのは、三者の音楽性の高さの証左と言えるだろう。このコンビでの、更なる新録音を大いに期待したい。

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     2009/11/03

    ベートーヴェン、シューベルト、ブラームスという、独墺系の大作曲家の初期のピアノ曲という、相当な自信家でないとなしえないようなカプリングを行っている。研ぎ澄まされたテクニックと透徹した響きが持ち味のミケランジェリは、レコーディングの少なさでも知られたが、本盤の組み合わせは、いかにも完全主義者たるミケランジェリの面目躍如たるものだと思う。それだけに、ミケランジェリも相当な自信があったのだろう。決して、有名とは言えない各楽曲を、厳格なスコアリーディングの下、磨き抜かれた美音を駆使した圧倒的な演奏を繰り広げている。決して、安心して聴けるという性格の演奏ではなく、聴き手に相当な緊張を強いるタイプの演奏であるが、それこそがミケランジェリの真骨頂。録音の良さも相まって、ミケランジェリとしても会心の名演と言ってもいいのではなかろうか。SHM−CD化によって、更に音質が鮮明になり、ミケランジェリの透徹したアプローチがより明らかに聴きとることができるようになった意義は大きい。

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     2009/11/02

    英雄の生涯も未完成も、ザンデルリングならではの重厚にしてオーソドックスな名演だと思う。とにかく、安心して楽曲の魅力を心ゆくまで味わうことができるのが素晴らしい。英雄の生涯は、既に72年のライプチヒ放送交響楽団とのライブ録音が発売されており、それとの優劣をつけることはなかなか困難であるが、インテンポを基調としつつ、楽曲の持つドラマティックな要素をいささかも損なうことないという、ある意味では二律背反することを事もなげに成し遂げている点に、ザンデルリングの類いまれなる才能と、ドイツ音楽への適性を感じる。未完成は、ザンデルリングの演奏としては、初出ということらしいが、期待に違わぬ名演だ。英雄の生涯と同様に、中庸のテンポを基調とするオーソドックスな演奏であるが、だからと言って平板には陥ることはなく、深沈とした抒情を湛えた何とも言えない深みがあり、未完成の持つ魅力を最大限に表現してくれている。本盤の他に、現時点で録音が遺されていないのが不思議なくらいだ。録音も、コンサートの雰囲気を見事に捉えており、70年代のライブ録音としては優秀な部類に入ると言える。

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     2009/11/01

    おそらくは史上最も遅い部類に入るマーラーの第9だろう。過去の歴史的な名演を揚げるとすれば、戦前のワルターが70分前後、師匠のバーンスタインがCOAと録音した名演が約89分。これらと比べると、本盤の演奏の約96分というのは異常な遅さであることがわかる。まるでブルックナーにおけるチェリビダッケ(ミュンヘン・フィルと組んだ後年の録音)のようであるが、曲がマーラーだけに、こうした演奏も十分に許容範囲である。レコード芸術風に評価すれば、第1楽章は準推薦、第2楽章は無印、第3楽章と第4楽章はともに推薦で、トータルとして推薦に値する名演と評価したい。第1楽章はかなりの遅いテンポであるが、冒頭のヴァイオリンで奏される旋律に独特のためを入れたりするなど、はじめて聴くような新鮮な箇所もある。ややもたれる感もないわけではないが、聴きどころには事欠かない。第2楽章は、テンポの遅さが完全に裏目に出て、音楽が全く流れない。マーラーの作曲したシニカルな舞曲が、これでは台無しである。ところが、第3楽章。これもテンポは遅く、かのジュリーニ盤を思わせるが、ジュリーニ盤とは異なり決してもたれるということがない。それどころか、踏みしめるような思いリズム感が、内包するシニカルな悲劇を我々聴き手にダイレクトに伝えてくれる。これだけの遅いテンポで、最後まで緊張感が揺るがないのは、とてつもない至芸であると思う。第4楽章は、師匠のバーンスタインと表現が酷似。ゆったりとしたテンポで、マーラーの絶世の名旋律を心ゆくまで歌い抜いている。それにしても、ハノーファー北ドイツ放送フィルは、よくもこのような個性的な指揮についていったものだ。これは、相当に練習したであろうし、指揮者とオーケストラの深い絆がないとできない至芸であると言えるだろう。

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     2009/11/01

    バックハウス、ベーム、ウィーン・フィルのコンビは、両曲をスタジオ録音しているが、本盤におさめられたモーツァルトの第27番は5年後、ブラームスの第2番は1年後のザルツブルク音楽祭でのライブ録音である。スタジオ録音も歴史的な名演であったが、本盤のライブ録音も、それに勝るとも劣らない名演だと思う。モーツァルトは、バックハウスの芸風からしても、決して相性のいい作曲家とは言えないと思うが、最後のピアノ協奏曲である第27番だけは、作品の持つ枯淡の境地と相まって、バックハウスの芸風と見事に符合している。バックが、モーツァルトを得意とするベームとウィーン・フィルとなれば、名演にならないはずがないだろう。ブラームスは、巷間言われているように、バックハウスの派手さのない渋い芸風と、全盛期のベームの厳しい造型の下、寸分も隙間風の吹かない峻厳な指揮ぶりが曲想にぴったりであり、ウィーン・フィルの優美な音色と相まって、全体に潤いのある珠玉の名演に仕上がっている。残念なのは、いずれもモノラル録音ということであるが、音質はさほど悪くもなく、この歴史的名演を聴きやすい音質で味わうことができることを大いに喜びたい。

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     2009/11/01

    まずは収録された曲目に注目したい。本盤が録音されたのは1974年であるが、これは帝王カラヤンの全盛時代。収録された曲目はいずれもカラヤンの十八番ばかりだ。英雄の生涯はカラヤンの名刺代わりの曲。牧神午後への前奏曲は、名手ツェラーと2度にわたり録音した得意の曲。シューマンのピアノ協奏曲も、決して協奏曲録音を得意としない巨匠が、リパッティ、ギーゼキング、ツィマーマンと組んで3度までも録音した曲だ。協奏曲はともかくとして、いずれもカラヤンならではの豪華絢爛にして重厚な名演であった。そうした圧倒的なカラヤンの存在の中においても、本盤のケンぺの名演は立派に存在感を示している。ケンぺの演奏は、カラヤンと同じく重厚なものであるが、華麗さとは無縁であり、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団のぶし銀の音色をベースとした質実剛健さが売りと言えるだろう。英雄の生涯は、やや遅めのインテンポで一貫しているが、英雄の戦いの頂点での壮絶さなど、決して体温が低い演奏ではなく、この曲の持つドラマティックな表現にもいささかの不足はない。牧神午後への前奏曲も、冒頭からいかにもジャーマンフルートと言った趣きであるが、カラヤンのように、この曲の持つ官能性を強調したりはしない。しかし、全体の造型の厳しさや、旋律の歌い方などは、実に見事であり、カラヤンの名演とは一味もふた味も違う名演だ。シューマンは、この曲の持つファンタジスティックな魅力を損なうことなく、重厚な名演を成し遂げている。録音は、特に、英雄の生涯においてやや人工的な残響が気になるが、70年代のライブ録音としては、十分に合格点を与えることができる。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2009/10/31

    素晴らしい名演。成功のポイントは、ヤンソンスが自我を抑え、ゆったりとしたインテンポで、バイエルン放送交響楽団を無理なくならし、決して隙間風の吹かない重厚な演奏を行っている点にあるだろう。指揮者の解釈云々ではなく、ブルックナーの第7の音楽の素晴らしさ、美しさがダイレクトに伝わってくる。ノヴァーク版を使用しているが、第2楽章の頂点でのシンバルの音色を抑え気味にするなど、決して外面的には陥らないようにしている点も心憎い限りだ。それにしても、SACDマルチチャンネルは素晴らしい。冒頭の弦のトレモロの繊細な響きの再現など、正に真骨頂と言えるだろう。国内メーカーでも、エクストンが最近ではマルチチェンネルの発売から撤退しつつある中で、バイエルン放送交響楽団をはじめ、欧米のオーケストラの自主レーベルが、発売の努力をしているのは心強い限りだ。

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     2009/10/31

    古楽器奏法や演奏が一般的になりつつあるハイドンの諸曲であるが、本盤は、大オーケストラを指揮したシンフォニックな旧来型のハイドンであり、残響の豊かな録音と相まって、重厚な名演に仕上がっている。シンフォニアの明るく軽快な演奏を経て、交響曲第88番に入るが、これが実に見事な超名演だ。名演の前に超をいくつか付してもいいかもしれない。全体としてはややゆったりとしたインテンポで進むが、隋所に見せるセンス豊かなニュアンスの筆舌には尽くし難い繊細な魅力。バイエルン放送交響楽団が醸し出す南ドイツならではの温かい音色が曲想に見事にマッチしており、それでいて、決して田舎くさくはならず、あたかもモーツァルトの交響曲を聴くような高貴な典雅さに満ち溢れている。メインのミサ曲第14番も壮麗な名演であり、独唱陣も合唱も実に巧く、残響豊かな録音の見事さも相まって、至福の時間を味わうことが出来る。それにしても、SACDマルチチャンネルは素晴らしい。部屋にいながらにして、演奏会場の雰囲気を鮮明に味わうことができる。

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     2009/10/31

    ロシア人の指揮者とフランスのオーケストラという不思議な組み合わせであるが、これが実に素晴らしい名演なのだ。マルケヴィッチは、幻想交響曲の特徴的な各楽章を巧みに描き分けていく。時には、テンポを大きく動かしたり、優雅なレガートを施したりするなど。しかし、決して行きすぎということはなく、全体の造型にいささかの綻びも生じていないのは、マルケヴィッチのスコアリーディングの鋭さと、オーケストラを手足のように操る圧倒的な統率力、そして、鋭い感性ということに帰着するのではないだろうか。カプリングの2曲も名演であり、SHM−CD化による高音質化も見事である。

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     2009/10/31

    ルーヴィンシュタインのショパンは、実にゆったりとした気持ちで音楽の素晴らしさ、美しさを味わうことができる。もちろん、ここぞと言う時の打鍵の力強さにいささかも不足することはないが、聴き手に極度の緊張感を強いるような演奏方法ではない。それでいて、生ぬるさとかとは一切無縁なのは、ルーヴィンシュタインが、ショパンの本質を的確に捉えるとともに、大げさな言い方かもしれないが、血肉に至るまでショパンと同化しているからにほかならないと言えるのではないか。ルーヴィンシュタインは、あくまでも自然体で演奏しているのだろうが、それでいて、ショパンの魅力が聴き手にダイレクトに伝わってくるのだから、作曲者と演奏者のこれ以上の幸福な出会いというのはないだろう。本盤には、ショパンの楽曲の中でも特に有名なものをおさめているが、ワルツ第7番や夜想曲第8番のセンス満点の弾きぶりなど、人生の辛酸をなめ尽くした巨匠の諦観の境地といった趣きである。Blu-spec-CD化により、音質がかなり鮮明になったことを大いに喜びたい。

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     2009/10/31

    メンデルスゾーンの第2は傑作であるにもかかわらず、独唱や合唱が入ることや、1時間近くも演奏に要することもあって、録音点数がきわめて少ない楽曲である。そのような中で、シャイーが、本盤で2度目の録音を行ったというのは、メンデルスゾーンへの深い愛着と、知る人ぞ知る傑作への理解を示す証左と言うべきであろう。前回の録音と異なるのは、初版を用いたことであるが、メンデルスゾーンにゆかりの深いライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマスターに就任後の初のコンサートライブということもあり、作曲者への深い愛着をべースとした、熱気に満ち溢れた渾身の名演に仕上がっている。独唱陣や合唱も見事な出来であり、本名演に華を添える結果になっている。カプリングの真夏の夜の夢序曲も、初版を用いることで、シャイーのメンデルスゾーンへの並々ならぬ愛着を感じるが、演奏も、繊細さと力強さを兼ね備えた名演に仕上がっている。

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     2009/10/30

    ポストホルンが、70年という録音時期もあり、ベームならではの厳しい造型の下、ベルリンフィルならではの重厚さを活かしつつ、モーツァルトならではの高貴な優美さを兼ね備えた稀有の名演だと思う。第4楽章のゴールウェイとコッホという歴史的名プレーヤー同士の掛け合いや、第6楽章のアイヒラーによる朗々たるポストホルンの吹奏も実に素晴らしく、本名演により一層の華を添えている。他方、アイネ・クライネ・ナハトムジ―クについては、74年という、ベームの演奏のリズムにやや硬直化が見られ始めた時期の録音でもあり、決して凡演とは言わないが、やや生硬さが感じられるのが難点と言えるだろう。無いものねだりながら、ベームには、せめてポストホルンと同時期に録音をしてもらいたいというのが正直なところである。ルビジウム・カッティングの威力がどれくらいのものかはわからないが、録音は、70年代のものとしては優秀と言ってもいいと思われる。

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     2009/10/28

    死の島は、冒頭から低弦がすざまじい唸り声をあげる。ラフマニノフの重厚で重心の低いオーケストレーションを、これでもかというくらい圧倒的な重量感で歌い抜いている。他方、繊細な抒情にもいささかの不足もなく、BBC交響楽団が、あたかもロシアのオーケストラのような音色を出しているのも、スヴェトラーノフの類いまれなる統率力の賜物ということができるだろう。メインの展覧会の絵は、70年代にソヴィエト国立管弦楽団と録音した演奏も、いかにもスヴェトラーノフならではの重厚な名演であったが、本盤におさめられた演奏は、当該名演に、更にライブならではの熱気も付加された超名演ということができる。スヴェトラーノフは、各プロムナードの主題をやや早めに演奏して、組曲を構成する各曲の主旋律をややテンポを緩やかにして演奏することにより、各曲の性格の描き分けを効果的に行っている。こうした演奏は、円熟を通り越して老獪ささえ感じる至芸だと思うが、特に、ビドロの踏みしめるような重厚な歩みなどは実に印象的。キエフの大門の終結部は、打楽器の最強奏と相まって、空前にして絶後のド迫力を示している。終了後の熱狂的な拍手もむべなるかなと思われる。録音も99年のものだけに、非常に鮮明であり、スヴェトラーノフの至芸を高音質で味わうことが出来ることを大いに喜びたい。

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     2009/10/27

    ショルティが50年代後半から60年代前半に録音した「ニーベルングの指環」の全曲は、燦然と輝く歴史的名盤ではあるが、ショルティの若い時代の悪癖である、やや力づくの演奏も見られるなど、問題点がないわけではなかった。しかし、本盤は、あれから20年後の録音ということもあり、角がすっかりとれた円熟の名演に仕上がっている。テンポ設定も実に落ち着いたものとなっており、ゆったりとした気持ちで、ワーグナーの音楽の素晴らしさを満喫することができる。録音も極上であり、SHM−CD化によってさらに音質がナチュラルになった気がする。不満を一つ述べるとすれば、もう少し楽曲の収録を増やしてもらいたかったという点。例えば、神々の黄昏については、「夜明けとジークフリートのラインの旅」をなぜ録音しなかったのだろうか。収録時間にも余裕があるだけに、やや物足りない気がするのは私だけであろうか。

    8人の方が、このレビューに「共感」しています。

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