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風信子 さんのレビュー一覧 

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  • 6人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/08

    篦棒に面白い 漸く作品20がどういう風に鳴っていたのか識った 1772年のことだ そして”シュトゥルム・ウント・ドラング”とは何だったのかを耳で確かめた 疾風怒濤と訳されているからわたしも暗示にかかっていた 弾けるような躍動感みなぎる”切れの良さ・激しさ”をイメージしていた ハイドンの音楽から溢れんばかりの抒情を受け取ろうとは想像だにしなかった 理性に対して感情の優越を以って書かれたものを 結局古典主義の枠の中で転がしていたに過ぎない数多の演奏に耳を盗られていた 18世紀後半の弦と弓で弾けば ロングトーンは円弧を描き スタッカートはマルカート風になる 現代ヴァイオリン奏法に慣れた耳にはそれこそキレが悪く聞こえる もうここからは好悪の範疇になる 子どもの頃からハイドンは退屈で仕方なかった 大人になって納得顔していたけれど 木で鼻を括られたようで 心踊ったり胸を熱くして長い余韻に浸ることはなかった 音楽室に掲げられていた無愛想なおじさんの顔など誰が覚えていようか でもハイドン小父さんはこんなにフランクな人だった 記憶の中にいつまでも生きている美しい魂だった この血も涙もある音楽をお聴きになっては如何 

    6人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/07

    稀有稀代な全集のスタート曲”第1”には何のオーケストラを起用するか 出歯亀ならずとも興味津々となったものだ それにロンドンSOで応えたクーベリックだったが 当時なるほどと膝を打ったものだ 九つのオーケストラを見渡して ニュートラルで広い適応力を横溢させているLSOが最適だ 実際知情意の均整美を宿した彫像のごとき名演となった 続く”第4”はイスラエルPOへバトンが手渡った シューマン言うところの”ギリシャの乙女”ならぬ”第1”にも増して均整美がとれて ギリシャ彫刻を連想する引き締まり方だ スポーティな外観に優美さを纏いながら筋肉質の力を秘めているかのようだ 実に快適に鳴りながら淀みや拘りの片鱗も見せない潔さにただ聴き惚れた あっという間に二曲が過ぎた なんとも爽やかな涼感が残った 未来を見て躍動する若々しさにも似て清々しい 美しいディスクだ ピリオド気触れのわたしでもこの演奏に古さを感じなかった お聴きになっては如何 

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/07

    風は冷たくなったが 小春日和の昼 シナモン・カフェを啜りながら聞いた なんとも長閑な”田園”に微睡みかけた 集中すると苛苛が募っていくスローテンポなのだ 遠い記憶を手繰って懐かしむ質ではないので 退屈の神が忍び寄ってくると思いきや読書するに丁度良いテンポと気づく 昨日図書館で借りてきた本の続きを読み始める ‥管楽器の音色が耳に留まる 成る程パリ管だ 音楽は”農民たちの楽しい集い”に入っていた 本を置く ”雷雨”へ”牧人の歌”へと耳傾ける ベートーヴェンの楽天性が見える ”嵐”も驟雨で 人生の岐路に立つ深刻さはない ”田園”全体が人生や生命への感謝に満ちた音楽なのだ 生きる上に苦難はあるがこの気持ちを忘れてはいけない フィナーレ涙が溢れた ”セロ弾きのゴーシュ”(高畑勲作品)が観たくなったが2枚目へ 大好きな”第8”から聴く やはりこの全集の白眉にして ベートーヴェンの”第9”を脇に置けば 頂点であり究極の交響曲だ クーベリックの美点がクリーヴランドO.の音と機能を借りて結晶した演奏でもある 主題労作とデュナーミックの作曲家は音楽の未来を指し示してもいる 予言は20世紀に顕現した それはリズムが音楽を支配する時代の到来だった ”第7”へ戻る ヴィーンPO ムジークフェラインザールの音だ 悠揚迫らぬ風情が漂う DSDリマスタリング SACD化の効果覿面 ヴィーン・サウンドを愉しむ 今は自分の音楽を持っているから趣味じゃないが これだけは残しておきたい   

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/06

    時代が人肌を恋しがった20世紀前半に愛された音楽を無作為に並べて供する鷹揚さがパーム・コート・シアターにはある クラシックとかダンスホール音楽とかレッテル張ってる煩わしさを笑い飛ばす この”ピクニック・パーティ”では歌は兎も角 ソウ(鋸チェロ)あり口笛ありと意外なソノリティに出会うが 管楽器のソロも印象的で飽きさせない こうしたライト・ミュージックが消えないことを願うばかりだ こうした気を張らずに済むホモフォニー音楽を奏でるオーケストラがある町や地域であってほしい プロムナード・コンサートが身近で聞けるような場があってほしい プロばかりでないアマチュアが気軽に楽器を持ち寄ってそれこそピクニックにでも出かける仲間のように集まってきて音楽を奏でたい 聴衆も一緒にメロディを口ずさんで皆で音楽を愉しめる社会を築きたい なかなかPCTOのディスクは手に入り難くなっているがお聴きになっては如何 

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/06

    ー対位法、調性及びピアノ奏法の研究ーと銘打った”音の戯れ”は反十二音技法による無調音楽への試みと言っていい 調性音楽を拡張することで調性の香りを残しながら只管全十二音の均質平等等価による音楽へ接近しようとする 各所で響く和音は偶発せしものであり和声進行を前提としていない それでも随所に調性感を感じざるを得ない事実も突きつけている 演奏者は調性感を感知しながらも対位法として線の進行に専心しなければならず困難な均衡を取ることを常に強いられる ベレゾフスキー演奏の可否は作曲者ヒンデミットに引責がある 明らかに解決されないが和声音楽の書法に傾いてしまう部分があるからだ むしろ実験的な試みより音楽の渾身から滲み出す抒情性が浮上してきて聴く者の感性を撫でていく 曲が先へ進むに連れ”フーガ”は取り留めなく聞こえ 繋ぐ”間奏曲”の方に余韻というか余情が濃くなる 25曲目”後奏”は流石に曲も演奏も一頭地を抜く出来だと納得する 聴かないことには始まらないので お聴きになっては如何 ”ルードゥス・トナリス”の後で”1922年”は蛇足だろう   

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/04

    不智にして1枚目冒頭のバレエ曲には面食らったが 扉を押して分入れば宝珠の原だった ビーチャム=ディーリアスの”パリ”を久しぶりに傾聴した 見事だ この二人には4枚目でも再会できる プレヴィン&LSOは一際光彩を放つ ブリテン マクスウェル=デイヴィス エルガー ウォルトン 孰れも好かった プレヴィンのお膝元では軽いヨー・ヨー・マチェロがしっかと腰の据わった味わい深い音を奏でている コレクションの中核はバレンボイムのエルガーで両交響曲を柱にその世界を堪能させずに置かない RVWの二つの戦争交響曲をミトロプーロスとストコフスキーで聴く なんという贅沢 核心を突く名演に眼前の霧が晴れた思いだ 締めはウォルトンの曲をコストラネッツとオーマンディで聴く これが意外にも面白い アメリカで通俗曲を中心に演奏活動を展開した二人が現代作曲家ウォルトンを何故取り上げたのか 聴けば分かるが コステラネッツではまるで映画音楽の趣を醸し オーマンディは壮大な世界を開いてみせる お聴きになっては如何   

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/01

    ’70年代当時の”オーケストラ”の記録として忘れることができない 九つのオーケストラが一曲ずつベートーヴェン・シンフォニーを演奏して全集とする企画は痛快 クーベリックならばこその”華”となった 一個一個のオーケストラの特性が記録された 同時にレジデンスとしている ”音楽堂”の個性も伝えるものだ ここで言えば コンセルトヘボウの深く広がる響き そして ボストンSHの引き締まって弾力のある響き オーケストラの音色を左右するホールの性質と残響が手に取るように分かる DSDマスタリングによるSACD化によってより明瞭になった これは愉しい こうして生まれるサウンドがそのオーケストラの音楽に決定的な影響を与え向かうべき方向を示唆することは明白だ その上で選ばれた曲目となればさらに味わいが深まる わたしはピリオド演奏を支持する者だが このロマンチック時代遅れ演奏に満足している これだけは残しておきたい  

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/01

    神秘主義というと不確かな輪郭を以ってして定かならぬ夢幻性を表現し得たかといえば左にあらず ベトレンコ&OPOは見え得るモチーフを一つ残らず明瞭に提示しようとする 俄然交響楽は躁状態を来した様相を呈する センシティブな叙情性が消し飛んだかに見え幼稚な表現と忌避する向きもあるだろう だが立ち止まらず況してや立ち去らず 耳傾けてみれば これがスクリャービンが企図し幻想した音楽なのだと受け止められる ロマンチックだったり民族主義的だったりした”スクリャービン”は虚像だ アバンギャルドの道半ばで命を絶たれたことを忘れまい 折衷型スクリャービンを拒否したペトレンコを支持する 先ずはお聴きになっては如何

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2017/12/01

    明滅するともしびの海を遠くに望む丘の草はらに寝て 暮れようとする或いは明けようとする薄明の昊に抱かれている 気分は無辺の宇宙を駆け巡るようであり またわたつみに底なしの深みへ引き摺り込まれるようでもある 彼は誰か分からぬ 口笛が聞こえたような 誰かが泣いているのか 薄闇に幻影が跋扈し始める 彼が居ないことを知っている だが わたしは居るのか知らぬ グルジアはどこにある国だったろうか 異郷という故国から青い目に光を帯びた老人がわたしに語りかける おまえはどこからきたと そしてどこへ行こうとすると あなたと出会うことはないわたしが あなたを身の内に懐かしく憶うことを今日はじめました あなたの無窮に入っていくために

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/11/30

    奇しき演奏などというと 窮屈で近寄りがたいと思われる そうではない 霊妙なのだ このくすんだ音色こそラヴェルに不可欠だと言いたい 一聴おとなし目で地味に聴こえるから 平土間受けはしない これはラヴェルをこよなく愛する人には堪らない滋味溢れる逸品なのだ 大向こうだけに受ければいいと言っているのではない 素っ気無い者が つれない者が 頑なに見える者が必ずしもそうではないのだと言いたい ヒメノ&OPLの素晴らしさは筆舌に尽くし難い この呼吸と絶妙の間を聞届けてほしい ラヴェルが生涯描こうとして腐心したのは 樹間を航る涼風を描くことであり 魂の間に飛び交う電光や面影に宿る愛惜の情を音楽に留めることだった 黄昏や黎明の薄明に見る幻影としてこの交響楽をヒメノは体現し提示している どうか届いてほしいと願いつつお聴きになっては如何      

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/11/30

    ベルベット・サウンド 弾性を持った温かい質感で鳴る音響に惹きつけられる 人肌を持った”惑星”から齎される抱擁感に包まれる 死の闇と冷感に満ちた宇宙空間に温かい血の通った人間が旅立つ時 恐怖を超える冒険心に内在する楽天性の滑稽さと愉快さが見える だがそこに広がる未知の脅威は厳然とあり続ける事実 実際に人間が宇宙に飛び出した今 ホルストが書いた誇大妄想的”惑星”の姿は全く違ったものになったと言える 遠くはない未来確実に人類は惑星間を飛行しているだろう まだ知り得ぬ恐怖に直面することもあるだろう その現実の前でわたしたちはその時 ”惑星”はどう聴くのだろう 見果てぬ夢の象徴としてか また見たものとの齟齬に戸惑っているのか それをわたしたちは知る由もない ただ未来の私たちも”惑星”を聴いていると思う 宇宙に不思議がある限りそして人類が知ることを欲する生き物である限り幻想の窓は閉じられない これはいい お聴きになっては如何  

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     2017/11/30

    もう全集は手に入らない アンドリュー・デイヴィスが30代で録音したドヴォルジャークで聴けるのはこの”7番と8番”の一枚だけだ 古希を過ぎたA.デイヴィスには若気の至りと気恥ずかしい記録かもしれないが 必ず通らなければならなかった道だろう どんな形であろうと 今も40年前の演奏がこうしてわたしの手元に来るのだから 時を越えて愛され支持されてきた証拠なのだ フィルハーモニアOの充実したソノリティにはドヴォルジャークの音楽の豊かさと生命を伝える力が今もある 懊悩しながらも創作の火を絶やさなかったドヴォルジャークの”永遠の青春性”が直截わたしたちの胸を打つ 若いデイヴィスの熱情と希望の灯影が写り込んでいるとも言える この自然で素直な語りかけに引き込まれるように音楽の中に入ってしまう ドヴォルジャークの心情と克己する魂に共感する いい演奏だ お聴きになっては如何   

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/11/28

    シャンドス=RVW交響曲全集 故ヒコックスのピンチヒッターでA.デイヴィスが二度目の”南極交響曲”録音に挑んだ 英国を離れ北海を渡ったルノウェーのオーケストラが相棒となった SACDであることが引き継がれたのは上上 殊に ”シンフォニア・アトランティカ”が広大なデュナーミクの海を渡るには不可欠と言える力になる パイプオルガン コーラス 擬音を駆使して 氷の大陸に挑んだスコット隊を追尾し 計り知れない脅威の前で戦きながらも立ち向かう勇気を描写する時 悪魔の豪胆さと天使の繊細さで掬い取りたい音像が多々ある 実に明快な演奏で感心した 焦点が定まっていてブリザードの中で彷徨い方向を失うような演奏ではなかった 決然として凛とした魂の前進を見た 魅力ある”四つの最後の歌”を間奏曲にして”二台のピアノによる協奏曲”へ入った ’31に書いたハ長調のコンチェルトは初演はされたものの演奏困難曲とされた それを’46にピアノを二台にして再構成したものと聞いていた 聴けば素晴らしい音楽だ だがこれでも難曲という評判は消えないらしい 演奏者の苦労は知らず 大いに愉しんだ お聴きになっては如何       

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/11/28

    期待に違わない出来に満足した DSDマスタリング SACD シングルレイヤー SHM仕様の効果絶大 実演の音響は再現できずとも鑑賞に血湧き肉躍る愉しさは無類だ これが世界標準になれば価格も求めやすいものになる 何よりこうした往年の名作の復刻ではなく ”今”の演奏をこの形で届けて欲しい ディスク購買が低迷する時勢に夢物語だろうか 音楽配信は虚しい 音楽は瞬時に消えるものだから 音だけで存在を主張することができない そこに演奏家がいて歌手がいて楽器があって‥と音楽を生み出す象徴物の存在を目で確かめていたい それが”レコード”だったんじゃないか わたしは好まないが LPファンの増加を知らせる様子も見られるのは 消えて無くなる音楽だからこそそうしたアナログ物への愛着が浮上したのじゃないかしら 略してDSSS盤は高価なので 気軽にお勧めできないが オーケストラが歌手が目の前にいて演奏しているようだ 演奏会場の大きさや雰囲気まで見えるようだと言ったら言い過ぎだろうか チャンスがあったらお聴きになっては如何 

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/11/27

    素晴らしい”太陽クァルテット”の誕生 疾風のように駆け来ったか 逆巻く怒涛のように襲い来ったか 否 爽風が波頭を掠めて滑り込んできた 意表を突かれた ピリオド楽器ピリオド奏法による演奏であることを一瞬忘れた だがだからこその演奏なのだと気づく 呆気に取られているうちに聴き終わってしまう 慌ててスコアを引っ張り出す そうハイドンはこう書いている ハイドン以外何ものでもない それにして第1番の歌い回しの自然さ語りかけの親密さは”何だ” 圧倒されているうちに第2番 これまで名うてのクァルテットの演奏を幾つも聴いてきた 陰影を濃くし歌うを過多にしロマンチックに流れていたなと識る キアロスクーロQの演奏は構造が見えそれに情感が常に寄り添っている 知情意に司られた音楽と言ったらいいだろうか そして驚かされた第3番 音楽に遠近法が差し込まれより立体構造が感じられる ハイドンがそう書いているのだ ベートーヴェン音楽の予感がもうここにある キアロスクーロQは見えなかったものを聞こえなかったものをわたしの前へ提示してくれた 作品20はハイドンが生んだ奇跡の傑作である お聴きになっては如何  

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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