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ほんず内閣総理大臣 さんのレビュー一覧 

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/11/14

    だいぶ久々に聴きなおし。こんな見事な名演だったとは!!ウィーンフィルは剛と柔の両面を持つオーケストラですが、アバドは柔の特性を存分に生かして、静穏で美麗な演奏を完成させました。大管弦楽の咆哮もこの曲の魅力であり、その迫力もここには確かにありますが、それよりももっと深い世界の存在があることを気づかせてくれます。打楽器(特にティンパニ)の強打の不足にご不満の方々も多いようですが、でもこの曲、フィナーレにしても決して勝利の凱歌ではありませんよね。穏やかに、最高に満ち足りた気分で終わるアバドのこのアプローチ、私は素晴らしいと思います。そう言えば、ほぼ同時期のライヴがかつてFMで放送され、それはほとんどフェイドアウトに近い終わり方をしていました。それもまたよし。勇気と見識の現れのようにも思います。録音もよし。良いアルバムです。なお、このディスクについてはほめつつもアバドに対してはみなさん総じて批判(非難)が多いなあ〜。たまには誉め倒しましょうよ。

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     2010/11/07

    このアルバムに買いなおし、約20年ぶりくらいに聞きました。復活は録音も含め、けっこうお下劣ですな。第1楽章冒頭のいかにも!って感じのとこに象徴されます。録音がとにかくメイン楽器をひたすら強調する調子で、何だかSP時代のラッパ吹込み的な感覚ですな。ただ、ショルティのアプローチも正統派の直球勝負なので、この大曲をもたれることなくしっかりと聴かせます。その意味ではよい演奏かもしれませんね。録音も基本的には大編成のオケ・合唱をきちんととらえた優秀なもので、変な誇張とかしなけりゃよかったのにね、とやや残念です。巨人は意外に名演!ま、「夢がない」「雰囲気に乏しい」とかいう感じではありますけれど、大型交響作品としてしっかり再現され、何だか満足感があります。このアルバム、なかなかに評価しておきましょう。

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     2010/10/31

    繰り返し聞いてみましたが、どうにも心に訴えかけてくるもののない、残念な結果に終わったディスクかなあ、と思いました。オーケストラも頑張っていますし、指揮者もよく研究してアプローチしているとは思われるのですけれど、やっぱり、それ以上に、この曲への想い・この曲から生まれてくる情感、そういうものが乏しい気がするのですよね。美しいというだけではダメで、深さかないしは激しさを表現してほしかったなあ。

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     2010/10/13

    8番と同じようなアプローチ。但し、この9番という曲は、相当に難しい作品で、丹念に美しく再現しただけではだめなのですな。そこは指揮者もわかっていて、そこかしこにちょっと細工をしているのですけれど、全体的感動には至りません。オーケストラもちょっと扱いかねている感じかな。ゆったりテンポで美しく歌う9番を聴きたいという時にはよろしいでしょう。でも、9番に求めるのは、もっと高い境地のような気もするなあ。

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     2010/10/12

    これは私の愛聴盤です。ボニング独自のエディションで、その辺の評価はいろいろあるのでしょうけれど、こんな楽しい「ホフマン」は他にありません。その主な理由は、性格テノール、ユーグ・クエノーの快演(怪演)!クエノーと言えば、レヴァイン&メトの「トゥーランドット」で老皇帝を演じた彼です。ここでは見事な役者っぷりで、特にオランピアの幕では鮮やかと言うほかなし。早くからこの演奏で「ホフマン」になじんじゃったものだから、他の演奏はまじめすぎてちっとも面白くない。世評名高いクリュイタンスも負ける。バキエの強烈な歌もすごい。例の「輝けダイアモンド」など、もう一世一代の名唱。この歌、オリジナルではないということで省略するのが多くなってきましたが、なんてつまらない!以上の脇役二人の強烈さで、このディスクは比類ない価値を持っております。ドミンゴは比較的初期のディスク歴にあたりまして、ずいぶんバリトナルな声。甘さや陶酔はまあいいですが、役者っぷりはコヴェントガーデンでのDVDの方がさすがに円熟しております。サザーランド(本日訃報を聞きました。合掌)は例の美しい声!表現の奥行きはともかく、いいんじゃないのかなあ。少なくともこの演奏では不満は感じません。サザーランドは『レコ芸』ではいつも高崎保男氏に酷評され続け、推薦になったディスクは極少ですけれど、きっと実演だと映えたのでしょうな。日本ではいささか不幸な扱いに終わった歌手でした。その夫君ボニングの指揮は、ここでは優美さを大いに発揮してよい出来です。アントニアの幕などはドラマティックにやることも可能ですけれど、他の幕とのコントラストがつきすぎると全体の雰囲気が壊れる気がします。さて、ちょっと変わった「ホフマン」が聞きたい方、ぜひこの盤をどうぞ。強くお薦めします。

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     2010/10/10

    曲目は最初にペレアスで、後半がマーラー。ま、前半からヘビーなロマンの濃いプログラム。ペレアスは、まだなかなかなじみのない曲でしたが、テキストが字幕で表示されることもあって、曲想が表現したいものがわかって大いに結構であります。同じような悲恋・不倫ものでも、トリスタンなどとは違って二人にあまり同情できないのがこのストーリーですけど(少なくとも私には)、そこはシェーンベルグの音楽もうまくできていて、トリスタンや「グレの歌」よりもずっと屈折していますな。アバドのこれはいい演奏です。後半のマーラーは、いささかオーケストラの限界を感じてしまいました。もちろん、若者たち、よく演奏しています。但し、よく「表現」はしていないかな、と思われます。マーラーの中でも勢いや迫力で乗り切れない曲だけに、ちょっとしたパッセージでのフィーリングが感じられないと、魅力が薄くなってしまうのですね。そのあたり、先日出たインバル&都響は見事だったなあ。ま、総じて高水準の演奏でして、満足度は高いディスクです。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/10/09

    いかにもティーレマンらしく、ゆったりとしたテンポで、弱音の処理に相当気を使いながら丹念に仕上げた演奏。4番はそれがプラスに出て、大変良い出来栄えとなりました。7番は、やっぱりその丹念さだけでは乗り切れない何かが曲にあって、そこが今一つ聴き手に迫ってくるものがない結果となっているように思います。でも、精緻なオケが織りなす音の彩はとても美しいなあ。そういうつもりで聴くなら、相当に満足しますね。7番終了後、長い余韻(沈黙)があって、それがとてもいいですね。個人的好みとしては大いに気に入りました。日常とかけ離れた「音楽時間」を楽しむにはとてもよいディスク。勢いとか豪快さを求めるならば、他の演奏をどうぞ。

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     2010/10/03

    これは正直よろしくないなあ〜。フェドセーエフもそうでしたが、意味不明のテンポの揺れが目立ち、オーケストラはなんだかおっかなびっくり演奏している感じで充分に乗り切れておりません。きちっとテンポ=流れが定まれば、演奏者は安心して能力を発揮できるのに、「オレの出番?」「このテンポでいい?」とか迷いながらだとためらっちゃいますやね。声楽陣もさっぱり感心しません。テノールは変な声だし、女声も音程悪いし。合唱は特別感想はないけれど、特にいいとも言えませんやね。録音は問題あり。というよりも、そもそもホールだな。残響残りまくりの洞窟のようで、これで快速テンポで演奏したら音響混濁間違いなし。チェリビダッケのお説はごもっとも。録音スタッフの能力の問題ではなく、こういう場所でこういう演奏をされたらいい録音にはならない。そういうこと。総じて、このディスク、不出来であります!ゲルギエフのマーラー、今回も失望です。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/09/23

    これは、いいですね〜。聴き惚れました。楽器の特性上、制約とか限界はあるのでしょうけれど、ハープのための曲としてのゴルトベルクとしては、まことに美しく、堪能いたしました。ま、BGMっぽくなってしまうのはしかたありません。でもスピーカーの前でかしこまって聴くものでもないしなあ〜。とにかく、いいものはいいんです!どうぞ、みなさま、お聞きを!

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     2010/09/23

    初めて聴く指揮者にオーケストラ。評判がいいので興味を持って聴いてみました。じっくりと構えたブルックナーで、勢いとか、派手さとか、そういう方向とは無縁の演奏で、なかなか若い人らしからぬ方向性です。強いて言えば、チェリビダッケに近いんじゃないですかね。音楽の流れを丁寧に解きほぐすようにごく自然に作り上げていって、美的作品としてこの大交響曲が再現されました。ブルックナーについて一部でよく言われる、宇宙がどうしただのという、大言壮語的・妄想的な決め付けと正反対の、抒情的な、美しい仕上がりです。初耳のオーケストラもしっかりした技量で、大したものです。カップリングの7番のアダージオも流麗ですばらしい。大オーケストラの大迫力を期待する方には薦めませんが、しっとりじっくりとこれらの曲をいとおしみつつ聴きたい方には大変に適したアルバム。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/09/23

    ああ、これはいいですね。メータの傑作です。と言いながら、実はほんとにすばらしいのはウィーンフィルですけどね。オーケストラは朗々と鳴り、豊かなハーモニーと歌に大いにしびれます。かつてのショルティ盤でもウィーンフィルは派手に鳴っていましたが、あれは熱い鉄板の上で猫が跳ねているような、どこか無理矢理に踊らされたような、力づくのところがありました。それに比べ、メータは、オーケストラを自然に開放したような感じで、無理矢理のところがどこにもありません。豊麗なサウンドで、シューマンの音楽の良さを大いに堪能しました。お薦めしておきましょう。但し、セルの演奏などと比べると、音楽に対して抱く「想念」の大きさや格の違いが歴然と存在することもまた事実です。ま、それはそれ。この盤自体は一つの耳の楽しみではあります。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/09/19

    もうこの辺になると、演奏の良し悪しではなく、復刻の状態こそが焦点でしょうな。他盤を聴いたことがないのでこれだけに限定しますけど、オリジナルがそんないい音ではないのでしょうね。シューマンでは、よくいえばソフトフォーカス、悪く言えば「やわらかく崩れている」感じで、ちょっと締まりがない。チャイコフスキーは、いかにも古めかしい音で、打楽器に力強さがなく、量感もいささか不足。関係者の努力に敬意を払いつつ、限界を感じること多し、というところであります。ま、演奏についてもちょっとだけ。シューマンは有名な名物演奏ですから、確かに立派。よく言われた「デモーニッシュ」という感じが伝わります。チャイコフスキーは巨匠唯一の録音ですが、曲想にうまく合っていて、よい演奏です。テンポはかなり動きますが、それが曲想にみごとに沿っているので作為的要素はまるで感じられず、自然な流れを形成しています。4楽章の冒頭も遅いのですが、設計の上からはまさに必然的で、納得させられます。ダイナミクスもまた絶妙!見事なクライマックスを作って全曲が終わります。フルトヴェングラー、やっぱり偉大な指揮者でした。もちろん彼は大変な知性の持ち主でありましたが、こと音楽については、現場経験で培った自然な呼吸が、音楽を血の通った生き生きとしたものとしています。彼の実演が聞けたなら!せめて高音質の録音が残っていたら!人生上における音楽体験の意味までも考えさせられてしまいました。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/09/18

    リング以外の演目にかかわる管弦楽曲集。ローエングリンやオランダ人、パルシファルは、この時点ではカラヤンはまだ全曲盤を出していませんでした。さて、演奏は、重い!とにかく重い!!いわゆるイメージ通りの「ドイツ風」なのでしょうけれども、ま〜、重い!歌がないということで、純粋にオーケストラピースとして思う存分やってみたのでしょうけれど、テンポから響きから、万事が重い。なんだかちょっと憂鬱になってくるくらいの感じ。悪くはないんだけれど、もうちょっとやりようはあるんじゃないかねえという感想を禁じえません。2枚目ラストの「タンホイザー」序曲だけモノラル。個人的には、ヴェヌスブルクの音楽とつなげられると、ラストのトロンボーン炸裂の大終結の充実感がなくなってしまって、とても残念。だから最後が完結した序曲で終わってくれるのはうれしいけど、モノラルってのはねぇ〜。惜しいざんす。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/09/15

    子供の時によく聞いた、硬派の「新世界」の名演として記憶しておりました。約30年ぶりに聞きました。硬派はやっぱり硬派ですが、ただ何やらそっけない、はっきり言えば味わいの不足のような印象を持ちました。和声の推移による気分の表現、特に移調による気分の変化がほとんど感じられず(これをうまく出したのがクーベリックです)、何だか一本調子のように思います。思い起こせば、他の曲でもライナーの演奏は「歌」に欠けているのですよね。他の方のレビューとは逆の意見になってしまいますが、今回聞いた印象はそうなってしまいました。「新世界」の推薦ディスクとしては、私は挙げないなあ。一方、「謝肉祭」はまさに音楽が沸騰するような名演。スメタナも活気があふれています。ヴァインベルガーは初めて聞いた曲で、何とも言えません。(-_-;) 録音は半世紀前とは思えぬ見事なもの。但し、量感というか、音の「芯」がちょっと欠けているかもしれません。でも当時としては超ハイレベル。すばらしい。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/09/07

    この演奏、私、実は会場で聴きました(ずいぶん後ろの席でしたけど)。とても懐かしい。大変立派な演奏で、『朝日新聞』の評でも絶賛されておりました。大いに感動した演奏なのですが、どういう演奏だったのかは記憶がなく、今回、あらためてという感じで聴きました。近頃もてはやされる、曲者的なケーゲルの要素がそこかしこに表れていて、都響がいささかついていくのに苦しみながらも、全体としては見事な力演になっています。各楽章の性格分けをくっきりと描き、気分の変化をはっきりつけて、大きな流れをしっかりと構成した演奏(一夜)だったなあという記憶がよみがえってきました。実際の演奏会では楽章の間の時間がたっぷり取られていたので、そのあたりがますます明確でしたねぇ。そういえば、4楽章終了後、ケーゲルさんは、一度椅子に座って汗をふきましたが、顔面から頭に向けてまさに拭うように拭いたので、最前列方面のお客さんと目が合って笑顔を浮かべ、客席からも笑いがこぼれていました。そのなごやかな雰囲気のうちにあのフィナーレ開始!忘れられない光景です。ケーゲルさんといえばそのことが思い出され、彼の自殺の報には本当に悲しい想いをいたしました(今でも泣けてきます)。さて、「夜の歌」。多くの人がこの作品に対してとまどっているようですが、単純に、夜から朝への自然と心象の風景を描いたものととらえておいてよいのではありませんか。7番以降(9番を除き)、マーラーの交響曲は形式的にも内容的にも伝統的交響曲を逸脱しており、確かに大作曲家の大交響曲としてはなにか違和感はありましょうとも、もっともらしい理屈をつけて妙な解釈を与えようと苦労しなくてもいいのではないですかね。そういう形で開き直って歌うところは歌い、荒れるところは荒れると、これが実に魅力的なオーケストラピースになります。演奏会当日の記憶もない混ぜて、やや甘く評価して、「最高」にします。あらためて、合掌。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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