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村井 翔 さんのレビュー一覧 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/09/21

    昔はプッチーニ好きの間ですら『つばめ』が大好きと言うと馬鹿じゃないのと言われたものだが、1996年に素晴らしいCDを録音したコンビによる七十数年ぶりのメトでの上演。それだけでも感激ものだが、2009年1月の録画なので、二人の夫婦としての最後の共演だろう。風邪をひいていたというゲオルギューだが、この役ではいつもの癖(ヴィブラート)もさほど気にならず、やはり極めつけの演唱と言える。エンディングは最も普通の形が採用されているが、彼女の歌だとヒロインはミミのように死ぬのではなく、夏の終わりとともに「つばめ」は元の巣に帰るという「大人の結末」が最良なのだと納得させられる。「田舎出の純朴青年」に見えそうもないアラーニャがだんだんそう見えてくるというのもオペラならではのマジック。オロペーサ、ブレンチューのもう一組の恋人たちも良く、渋いオジサンになったレイミーが物語に重みを添えている。演出家は交通整理以上のことを何もしていないが、幕が上がったとたんに拍手が起きるようなアール・ヌーヴォー風の金のかかった舞台だけで十分。DVDなのでライブ・ビューイングの録画の方が画質が良いのだけは残念。

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     2010/09/20

    ヴィラゾンは2004年ネーデルランド・オペラの時から、熱血漢だが、お坊っちゃまゆえ未熟というこの役に最適と思っていたが、ますます良い。カレーラスに匹敵するドン・カルロ役だと思う。キーンリーサイド、フルラネットと揃った男声陣は鉄壁。ポプラフスカヤはクールな感触の演唱が好みを分けようが、この役には合っている。ガナッシは迫力不足だが、この役はエリザベッタを食ってしまうような猛女が多かったので、バランスとしては悪くないか。演出は抽象的(安上がり)な舞台にもかかわらず丁寧だが、決定的な新しさはなく、このオペラでは常に問題になるエンディングも良く分からないまま。スカラ座の意味不明なブロンシュウェグ演出よりはマシだが、先のネーデルランド・オペラでのデッカー(4幕版)、仏語版ではボンディ、コンヴィチュニー(別格)演出に及ばない。指揮も健闘しているが、シャイー、ガッティなど当面のライバル達に比べると今一歩。ボンディ演出の仏語版の時の方が良かったので、このあたりはコヴェントガーデンのオケの限界か。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/09/18

    それなりに面白いけど、今ひとつ決定的なインパクトに欠ける作品で、最近は上演も少なくなっているけど、これは刺激的な演出、精彩ある指揮に加えて主役5人に隙なく名歌手を揃えた素晴らしい上演。演出は時代を初演の時代、ナポレオン3世治下のパリに移しており、その点ではラヴェルリ演出と同じだが、あらゆる点で遥かにリアルでどぎつい。マクヴィカー演出は音楽自体がもともと雄弁なオペラでは、舞台上の細かい動きがうざく感じられがちだが、この曲に関しては圧倒的に面白く見せてくれる(ちなみにケース、解説書に彼の名前がクレジットされないのは何かトラブルがあったのか)。例のワルツの場面はキャバレー『地獄』での踊りに変えられているし、第4幕「マルグリートの部屋」以外は大きなカットはなく、「ワルプルギスの夜」のバレエもちゃんとあるが、『ジゼル』風19世紀バレエの痛烈なパロディで、ここが一番衝撃的かもしれない。アラーニャはさすがにフランスものでは他の追随を許さぬし、ターフェルももちろんハマリ役。おなじみのヴィブラートさえ気にならなければ、ゲオルギウも大変良い。最終場ではやや声の力に不足を感じるが、その分は体当たりの演技でカヴァーできている。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/09/11

    全曲目の内、LPを持っていたのはショパンの前奏曲集だけなので、復刻状態についてレポートするには役不足かもしれないが、色のパレットを捨ててモノクロームでショパンに挑むのかと驚いた、かつての音色は再現されているし、70年代初頭の録音としては上々のCD化ではないだろうか。ショパンのみ国内でも廉価盤として出るようだが、まだ発売日前ゆえ聴けていない。そのショパンに関しては門外漢の私は黙るべきだろうが、今回の私のお目当てはシューベルト最後の二つのソナタ。造形は概して端正でテンポも遅くない。変ロ長調の第1楽章では焦燥感を感じさせるほど速くなるところもある。しかし、エアポケットのように死の深淵をのぞかせる部分、たとえば変ロ長調の第1楽章提示部反復前の経過句、イ長調の第2楽章中間部などでは凄まじい形相で表現主義的演奏をみせるので、全体の晴朗な色合いとのギャップもあって非常に強い印象を与える。1973年収録のイ長調の録音があったとは知らなかったが(LPで出たことはあるのだろうか)、変ロ長調以上の出来とさえ感じられる。第2楽章最後の両手和音連打の箇所では、左手のみ和音を崩して弔鐘のように響かせるし、無重力状態のような第3楽章トリオのテンポ感も凄い。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/09/10

    『角笛』は二人の歌手が6曲ずつを分担、「死んだ鼓手」を前半最後の6曲目に入れた以外は珍しく出版譜通りの曲順で演奏されている。その二人の歌手が最高の適役で、大変な聴き物だ。F=ディースカウやクヴァストホフが歌うと、この曲集の詩は高級なリートになり過ぎてしまうきらいがあるが、ゲルハーエルには庶民的な風合いがあって実に好ましい。しかも彼には庶民を装っている自分を脇から眺める、もう一つの自意識もあって「塔の中の囚人の歌」では囚人の大言壮語に対するパロディの視点がちゃんと確保されている。コジェナーも「美しいトランペットの鳴り渡るところ」ではまことに情が深い。指揮は遅めのテンポで細やかだが、「死んだ鼓手」は緊迫感不足、「高い知性への賛歌」もテンポが遅く、だれてしまっている。アダージョは予想通り、室内楽的とも言える透徹した演奏。この楽章にまぎれもなくあるはずの、どろどろとした情念はきれいに消去されてしまっている。終盤の突発的なクライマックス直後も、今のトラウマはどこへやら、何事もなかったかのように元のテンポに戻ってしまうのには、ショックさえ覚える。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/09/07

    三つのダ・ポンテ・オペラの締めくくりにふさわしく、グート演出が相変わらず冴える。序盤はこんな話ありえないと良く言われる通りのこのオペラの不自然な設定を強調するため、『フィガロ』の時のようなストップ・モーションを多用するが、男心、女心の真実が露わになってくると、『ドン・ジョヴァンニ』の時のように外の「自然」が白壁の豪邸のなかに侵入し、「異国人」たちの白いスーツも泥だらけになってゆく。ドン・アルフォンソとデスピーナがそれぞれ異性不信になった原因である「心の傷」を露骨にさらけ出すこともあって、終盤はかつてないほどのドロドロの展開に。指揮のアダム・フィッシャーは、2006年グラインドボーンで振った弟のイヴァンの方が一枚上手かと思うが、オケの巧さにも助けられ、まあ悪くない。パーションはそのグラインドボーンでも、ちょっと笑えるほど操の堅い姉娘にぴったりだと思ったが、二つの大アリアではたっぷり笑わせ(第1幕)、泣かせて(第2幕)くれる。プティボンの弾けっぷりも楽しいし、スコウフスは苦みも感じさせる万全の狂言回し役。歌手陣はドラベッラのレナードがやや地味に見える以外、完璧だ。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/09/01

    どうしても1988年の録画との比較にならざるをえないが、文句なしに優れているのはデセイのツェルビネッタ。初の全曲市販映像となるが歌、演技ともに最高。大アリア「偉大なる女王様」には既に二種類の映像があるが、どちらと比べても遜色ない。しっかり演技しながら、この難曲を歌いおおせるのは驚異だ。演出は手堅いが、ナヤーデ以下の造形、色の対比(青と赤)による死の世界と生の世界の区分け、幕切れの構図、いずれも適切に品良く出来ていて秀逸。欲を言えば、アリアドネが死んで生まれ変わる箇所(ト書きには「口づけ」とある)がそのように描かれなかったのが残念。アリアドネのヴォイト(大幅減量前の映像)も、個々の言葉に対するニュアンスの濃さではノーマンに分がある。ヘルデンテナーなのに高音域が要求される難役バッカスのマージソンは声楽的には及第点だが、外見がもう少し若く見えればなお良かった。作曲家のメンツァーはやや老けた感じで、前のトロヤノスの方が上かな。指揮は相変わらず見事。既に過去の人のような言われ方もするレヴァインだが、緻密で劇的な盛り上げのうまい、オペラ指揮者としての手腕は高く評価されるべきだろう。

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     2010/08/29

    小澤の長い指揮活動の頂点をしるすと言っても過言ではないほどの素晴らしい名演。この作曲家の入り組んだポリフォニーがここまで精密に具現化されたことは、かつてなかったと思うが、それはもともと一人一人がソリストであるサイトウ・キネン・オケの力もあってのこと。短いモティーフがリゾーム状に増殖してゆくヤナーチェク音楽の「非西欧的な」特質を見事にとらえている。しかも細部は恐ろしく精緻にできているのに、決してクールな印象を与えず、全体としては温かい包容力を感じさせるのがいい。2006年のザルツブルク『ドン・ジョヴァンニ』では痛々しいほどの汚れ役(ツェルリーナ)を演じたベイラクダリアンの女狐も魅力的。ちょっと残念なのはペリーの演出。たくさんのダンサー達を動員した舞台は見て楽しいし、分かりやすいが、まぎれもなく原作の一面である、人間の営みに対する風刺・批判にはあまり重きが置かれていない。その点ではパリで収録された二種類の舞台(ハイトナー演出、エンゲル演出)に及ばないし、動物たちをほぼ完全な着ぐるみにしてしまったのも、まずい。オペラが故意に曖昧にしようとしている人間と動物の間の境界を、再びはっきりさせてしまった。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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     2010/08/28

    ベートーヴェンの7番は鮮烈そのもの。まだ指揮棒を持っていた頃の指揮姿が見られるが、近年はある程度、オケの自発性に任せて、あまり細かくキューを出さない小澤も、この頃はこんなに理に適った、分かりやすい指揮だったんだなと改めて思い出した。マーラー9番は音楽監督退任の際のお別れコンサートのライヴ。特別な機会の演奏であるがゆえに、第1楽章では指揮者、オケ双方とも「こわばって」しまっていて、音楽が硬いが、楽章を追うごとにほぐれてゆき、終楽章では感動的な「別れ」の音楽が奏でられる。楽章最後の盛り上がりから曲尾までの緊張感は異常なほどで、それゆえ初放送時には聴衆の咳がいかにも耳障りだった。今回のディスク化にあたっては、ノイズ除去の処置が講じられたようで、それはこのような一回限りの記録においても正しい処置だったと思う。

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     2010/08/27

    『ルル』最初のブルーレイディスクでもあるが、特殊な演出のせいで誰にでも薦められる出来にならなかったのは残念。舞台上にあるのは椅子一つだけ。重要な小道具であるはずのルルの肖像画も舞台上には出ない。衣装は白、黒、グレーに限られ、血糊の赤がいっそう映える。人物相互の演技に集中してもらいたいという演出意図だとしても、キスシーンはあっても性的描写はないに等しいし、経費節減以上の積極的な意義を認めがたい。見えない扉を破るために斧が持ち出されたり、死んだ医事顧問官やシェーン博士が出番を終えると立ち上がって歩み去るのには、むしろ笑える。最終場で幾つかト書き通りでないアクションがあるのが、せめてもの創意。しっかり演技のついた演奏会形式上演だと思えば不満も少ないか。しかし歌手陣は非常に強力。新星エイケンホルスは美人だし、歌、演技ともに、これまでのルル役に見劣りしない。脇を固めるラーモア、フォークト、フォレも文句なし。オケ・パートはもう少し情報量が欲しい気もするが、指揮者やオケのせいではなく、歌優先の音の録り方のせいだろう。

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     2010/08/26

    最初のプロコフィエフが前座どころじゃない超弩級名演。ユジャ・ワンは二年前のデュトワ/N響と共演した2番の協奏曲が既に驚異的名演だったが、今回の3番では一段とスケールアップしている。全盛期のアルゲリッチもかくやという突進力からセンシティヴな感性の冴えまで、どこをとっても超一級品。この才能にさっそく唾を付けてしまったアバド先生はさすがにお目が高い。余談ながら、彼女については「リアルのだめ」という声もあるようだが、私が思い出したのは1980年のハリウッド映画『コンペティション』で後のスピルバーグ夫人、エイミー・アーヴィングがこの曲を弾いた場面。この映画史上最高の弾きマネ演技をまだ未見の方は、you tubeでどうぞ。さて、後半のマーラーは、若書きのこの曲にはもったいないような、落ち着いた「大人の演奏」。今のアバドにそれを求めても無駄なのは分かっているけど、個人的にはこの曲には若々しい息吹きがほしい。ポリフォニックな要素のないこの曲では、せっかくのスーパー・オケも宝の持ち腐れだが、今回はホルン奏者起立があるのは、どういう心境の変化か。

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     2010/08/23

    録音レパートリーとしては先輩ラトルの後追いになりがちなハーディングだが、この録音を聴いて、違ったタイプの指揮者になりそうな予感がしてきた。ご存じの通り、和声的にはとてもシンプルというかアルカイックな曲だから、指揮者が存在意義を示そうとしたらアゴーギグをあちいちいじるぐらいしか、やることがない。ラトルはまさにそういうタイプの演奏で、テンポの操作に遊びがあるスマートで都会的な味わい。ところがハーディングはまったく逆で、テンポの緩急は楽譜通りのことだけというストレート勝負。「焼かれた白鳥の歌」の伴奏部を聴けば分かる通り、感覚的にはとても洗練されているけれど、オルフの本場ミュンヒェンでの演奏ゆえか、泰然自若の横綱相撲。これを若いのにご立派と褒めるか、若いんだからもっと暴れたらいいのに、と思うかで評価が分かれるが、私は後者の方。声楽陣は強力。ラトル盤と同じゲルハーエルも、第2部などかなり表情を作っていたあちらと違って、ストレートに歌うが、声質から言ってもキャラから言ってもこの曲には完全にハマリ。合唱、特に少年合唱のうまさとプティボンの魅力(ちょっと音程あやしいけど)でラトル盤に勝っている。

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     2010/08/19

    第1楽章序奏のチェロとホルンの遠近感の付け方(譜面上はチェロがpp、ホルンの合いの手がpだが、逆に聴こえる)から始まって、終楽章冒頭の特別にテンポの遅い2小節の扱い(これだけ遅いのは初めてではないか)まで、細部に色々と工夫のある演奏だ。第1楽章展開部頭のティンパニをppの指示に反して、強く叩かせるのも面白い。さすがに9番は名作、きっちり演奏されると聴き応えは十分だが、しかし肝心の音楽的感動に関しては、かなり留保をつけざるをえない。つまり、強さに関してはfff(「最大の力で」とドイツ語の注釈つき)だの、速さに関してはプレストだのと凶暴な表現が求められている所で、この録音はリミッターをかけてしまっているような印象があるのだ。このお上品さ、あるいは慎重さ、臆病さはこの曲に限っては肯定できない。バーンスタインのような主情主義的演奏が幅を利かせていた1960年代ならいざ知らず、なぜ今になって「出し遅れの証文」みたいに新即物主義的演奏なのかと、コンセプトには疑問もあったこのシリーズだが、カーペンター版での録音が予定されている10番には期待してますよ。

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     2010/08/17

    最も良いのはハンプソンの歌う『角笛』からの5曲で、劇的な表情が曲に合っている。彼はオケ伴での『角笛』歌曲集の録音はなかったので、できれば全曲録音してほしかったところだが、所詮はこれまでの落ち穂拾い録音、それは無理なのかもしれない。『さすらう若人の歌』はかのバーンスタインとVPO以来の録音。こちらは細やかな表情で歌っているが、室内楽的で精妙な伴奏はこれまでのシリーズ通り。第2曲、第4曲の終わりで一瞬にして明から暗に転じる和声の変化のつかまえ方は見事だ。『リュッケルト歌曲集』はシェーファー/エッシェンバッハの恐ろしく明晰で緻密な演奏を聴いたばかりなので、やや分が悪いが、あれはちょっと異例なほどの出来なので、グラハムの大柄な歌も決して悪いわけではない。

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     2010/08/11

    私がナマで聴いた東京での演奏会では、あまりに激しい打鍵のため、D.960の第2楽章中間部でピアノの弦が切れてしまった。複数ある(2本または3本か?)弦のすべてが切れたわけではないので、演奏会は続行できたが、実際、この絶望的に暗い第2楽章を聴いた後、第3楽章に進むのは難しい。この2枚組CDの1枚目がD.960の第2楽章で切れているのは、そのための絶妙な配慮かと勘ぐってしまう。この2枚組を聴き通すのは本当に難行苦行に近いが、晩年のシューベルトの心の深淵を覗いてみたい人は、ベスト100に入ったこの機会に買ってみても良いかもしれない。私もよほど体調万全、聴いた後しばらく落ち込んでも大丈夫な時しか聴く気になれない演奏だが、ある種の人にとっては一生の宝になるような文化遺産が1800円で買えるとは、考えてみればCDとは安いメディアかもしれない。

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