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Top 50 Singers of All Time - 48位

2006年11月14日 (火)

誕生:1943年11月07日  in Ft. McLeod, Alberta, Canada

もし彼女の音楽を聴かないで、60年代から活躍するフォークのおばさん、的なイメージを何となく抱いている人がいたら、その認識を改めてあげたい。実際にジョニ・ミッチェルの歌と音を聴いてしまうと、単に最近登場したミュージシャンというだけで新しい感じがする人達の数倍も、新鮮で瑞々しく、サウンドへの拘りが強い人だということがわかるだろう。ジョニの音楽にはどの時期にもそうしたところがあるので、どのアルバムから聴いてもいいと思うが、できれば初期の名作ブルーか、ジャコ・パストリアスら名うてのミュージシャンが参加している逃避行辺りからが良いかもしれない。そこではジョニ独特のうた(詞も含めた)の世界と、サウンドの斬新さが耳をひくことだろう。

1943年11月7日、ジョニ・ミッチェル(本名:ロバータ・ジョーン・アンダーソン)はカナダのアルバータに生まれた。ジョニは少女時代、サスカーストンで美術を学んでいたが、やがて成長するとカルガリにあるアルバータ美術大学に進む。そこで彼女が出会ったのがフォーク・ミュージックの魅力だった。ウクレレを弾きながらフォーク・ミュージックに惹かれていった彼女は、カフェなどで歌っていたが、その後オンタリオで開催された「マリ・ポサ・フォーク・フェスティヴァル」に出演。処女作「デイ・アフター・デイ」はこの頃書かれたものだという。そうしたことがあって音楽で身を立てる決意をしたジョニはトロントに移住。そのフォーク・シーンで名を高めていった。1965年、ジョニはフォーク・シンガーのチャック・ミッチェルと結婚。デトロイトに移り住んだ彼女たちは、地元のフォーク・クラブなどでデュオとして演奏を始めるが、結局この結婚は1年という短い期間で破局を迎えている。ソロ歌手として活動することになったジョニはデトロイトのフォーク・シーンで評判を得、やがてニュー・ヨーク進出。1967年にリプリーズ・レーベルと契約を果たし、プロの歌い手としてデビューすることになった。そして発表された彼女の作品は数多くのミュージシャンの目に留まり、すぐに高い評価を受けるようになった。トム・ラッシュは“サークル・ゲーム”を、フェアポート・コンヴェンションが“マイケル・フロム・マウンテン”を取り上げたり、といったこともあったが、やはり彼女の早くからの名声を決定づけたのは、ジュディ・コリンズの取り上げた”青春の光と影“だ。同名映画の主題歌である同曲は全米8位というヒットを記録したのだった。

1968年、 “青春の光と影”のジョニによるオリジナル・ヴァージョンを含む、彼女のデビュー作ジョニ・ミッチェルが発表された。プロデュースは元バーズ、のちCSNに加入するデヴィッド・クロスビー。その後ジョニ・ミッチェルブルーコート・アンド・スパーク逃避行といった名作、ジャズの要素も強く感じさせるユニークな作品ドンファンのじゃじゃ馬娘ミンガスシャドウズ・アンド・ライトトーマス・ドルビーのプロデュースでエレクトロニクスの要素を感じさせるドッグ・イート・ドッグなどの意欲作を発表し続けた。また私生活では恋多き女性として数々のミュージシャンと恋に落ちていくなど、その奔放な人間的魅力も彼女の魅力のひとつであり、そうした魅力と高い芸術性を持った音楽とで、多くのリスペクトを集める孤高のアーティストとして認められている。現在でもコンスタントに音楽作品を発表するほか、絵画の個展を開くなど、その方面でも活躍。ジョニ・ミッチェルは、旺盛な創作意欲を発揮した数々の活動を現在も続けている。

ジョニ・ミッチェル独特の歌唱を感じさせる直系のフォロワー的シンガーというのはすぐには思い浮かばないが、最近のシンガーで言うと、同郷のカナダ出身であるアラニス・モリセットフィオナ・アップルのエモーショナルなうたには、初期のジョニ・ミッチェルに通じる味があるようにも思う。またフォーク〜カントリーといった米ルーツに留まらず幅広い音楽性を持って活動しているナンシー・グリフィスにもジョニと同様の歌い手としての良さを感じるときもある。日本では金延幸子大貫妙子といった「はっぴいえんど」以降の女性ミュージシャンの中に、ジョニ・ミッチェルからの影響や、ジョニと共鳴するような良質の共通項を感じる。

ジョニ・ミッチェルは、ブルーで彼女自ら、歌は刺青のようなものと歌ったように、自分の心に刻まれた感情や体験をリアルに、そして音楽的に描写することが本当に似合うシンガー・ソングライターだ。また彼女には音楽活動と並行して絵画を描き、本格的に展覧会も開いている多才な面もある。絵画のほうは筆者のようなものには、よくは解らないけど結構好きだなぁ、彼女のパーソナリティを感じるなぁ、というくらいの感想しか正直なところ出てこないのだが、やはり音楽ファンとしては彼女の「うた」にこそ、最も心動かされるのは致し方ないところなのだろうか。ジョニ・ミッチェルが自己流の感覚で作り上げたアーティスティックな薫りの漂う、どこかロマンティックなうたの世界は、作風の違いはあれど近作でも貫かれているし、今後も成熟した年代なりのうたの世界を見せてくれるに違いないと思う。

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