【発売】ロト&レ・シエクル/リゲティ:室内協奏曲、他

2023年10月31日 (火) 18:00 - HMV&BOOKS online - クラシック


ロト&レ・シエクルによる驚愕のリゲティ!

毎回思いもよらぬ企画で音楽ファンの度肝を抜く奇才指揮者、フランソワ=グザヴィエ・ロト。2016年録音のリゲティが「harmoniamundi」から再登場します(旧品番:ASM26は廃盤となります)。
 1923年に生まれ、2006年に歿したリゲティは、2023年が生誕100年のまさに現代作曲家。それをピリオド楽器集団のレ・シエクルで演奏するというのが常人には思いつかない発想です。
 収められた3篇のうち2つは木管五重奏のための室内楽曲。このジャンルで重要なレパートリーとなっていますが、ピリオド楽器による演奏はもちろん初めて。レ・シエクルのメンバーであるマリオン・ラランクール(フルート)、エレーヌ・ムロ(オーボエ)、クリスティアン・ラボリ(クラリネット)、ミカエル・ロラン(バソン)、ピエール・ルジェリ(ホルン) の五重奏ですが、まず木管楽器の音色の違いに驚かされます。ことにバソン(ファゴット)とホルンは、今や絶滅寸前の19世紀的なフレンチ・サウンドを聴かせ、同曲の印象ががらりと変わります。
 さらに興味津々なのが、ロトの指揮する『室内協奏曲』。13人の奏者のための作品で、各奏者の力量とアンサンブルの難しさで知られます。リゲティならではの猟奇的な音楽が繰り広げますが、パステル画のような明るい音色でとっつきにくさや難解さは皆無。むしろあっと言う間の18分を味わえます。
 これを聴かずにリゲティは語れません。ロトとレ・シエクルの企画力と実力に脱帽。目が離せません。(輸入元情報)

【収録情報】
リゲティ:
1. 木管五重奏のための6つのバガテル (1953)
2. 室内協奏曲 (1970)
3. 木管五重奏のための10の小品 (1968)

 レ・シエクル
 フランソワ=グザヴィエ・ロト
(指揮)

 録音時期:2016年4月12-14日
 録音場所:フランス、アルル、メジャン礼拝堂&パリ、シテ・ド・ラ・ミュジーク
 録音方式:ステレオ(デジタル/ライヴ)

【リゲティ・プロフィール】
ジェルジ・リゲティは、1923年5月28日、旧ルーマニア領のトランシルバニア地方に銀行員の父と眼科医の母のもとに生まれたユダヤ系ハンガリー人で、のちにウィーンの市民権を得ています。
 リゲティは14歳のときにピアノを学び始め、その後すぐに作曲も開始しますが、15歳から18歳までは数学に熱中して科学者の道を志し、クルージュ大学の数学と物理の入学試験にも見事に合格。が、1941年当時のハンガリーには、ユダヤ人に対する入学許可人数に制限が加えられるという制度が存在し、志望大学への入学は拒否されることとなります。
 しかし、同地の音楽学校は、リゲティを受け入れ、ここで音楽理論と作曲を学び始めるのですが、戦争の勃発によって中断を余儀なくされてしまいます。
 第二次大戦中、リゲティはハンガリー陸軍に徴用され、ユダヤ系ということからそこで強制労働させられていましたが、家族はドイツの強制収容所に送られ、母親以外全員惨殺されるという凄惨な結末を迎えます。
 戦後、リゲティは音楽の勉強を完成させるべく、ブダペスト音楽院に進み、在学中にゾルターン・コダーイシャーンドル・ヴェレシュフェレンツ・ファルカシュらに作曲を師事します。そして1949年に同音楽院を卒業し、翌年から母校で教鞭をとり、和声・対位法・アナリーゼについて教えながら、ルーマニア民族音楽の収集をも行います。
 しかし1956年、ハンガリー動乱がソ連軍によって鎮圧されたのを機に、リゲティはウィーンに亡命する道を選び、その後、シュトックハウゼン、アイメルト、ケーニヒといった前衛的作曲家たちの知己を得、アイメルトに招かれてケルンの電子音楽スタジオで活動を開始します。そこで作曲した『グリッサンディ』、『アルティクラツィオーン』は評判となりますが、とはいえ、必ずしも電子音楽を気に入っていたわけではなかったリゲティは、その技法を応用し、“ミクロポリフォニー”という独自の手法へと発展させてゆくことになります。
 その結果、オーケストラ作品『アパリシオン』は、1960年、ケルンの国際現代音楽祭で初演され熱狂的に受け入れられ、さらに、翌年のドナウエッシンゲン音楽祭で発表された『アトモスフェール』によって一躍、国際的な知名度を獲得することとなるのです。
 この頃のリゲティ作品は、最もアヴァンギャルドなイメージが強く、トーン・クラスターや複雑なリズム、数々の特殊奏法、それに反音楽といった手法にこだわり、果ては宗教音楽にまでそうした要素を投影することで独自の世界を描き出します。
 しかし、リゲティの名が一般に広く知られるようになったのは、1968年に公開されたスタンリー・キューブリックの映画『2001年宇宙の旅』の中で、彼の作品、『アトモスフェール』と、『アヴァンチュール』、『レクイエム』、『ルクス・エテルナ』が使用されてからでしょう。大のクラシック通でもあるキューブリック監督は、その後、『シャイニング』で『ロンターノ』を、『アイズ・ワイド・シャット』で『ムジカ・リチェルカータ』を用いてリゲティマニアぶりを発揮しています。
 やがて、年月の経過とともに、アヴァンギャルドから調性的な音楽へと変貌を遂げつつあったリゲティの作風ですが、1980年代には再び多彩なアイデアに彩られた話題作を発表するようになり、レコーディングも数多くおこなわれるなど、リゲティの晩年は栄光に彩られたものであったと言えるかもしれません。
 リゲティはユダヤ系亡命ハンガリー人ということもあってか、歯に衣着せぬ過激な言動でも知られていましたが、不思議と東洋人に対しては礼儀正しい態度で一貫していたようで、数々の心温まるエピソードが伝えられています。(HMV)

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