Quiet Corner クワイエット・コーナー Vol.5

Quiet Corner クワイエット・コーナー

音楽を通して人と人とを繋ぐ、
カルロス・アギーレの一つの到達点。

それは恐らく2008年から2009年が始まりだったのだと思う。カルロス・アギーレを中心とした、現代的で洗練されたフォルクローレの音源が徐々に注目を集め、それまでアルゼンチンの音楽に然程興味を持たなかった多くの音楽ファンが、同時多発的に彼の音楽に魅了されたのだった。それはまた「静かなる音楽」を巡る動向の一つの端緒でもあった。2010年10月に、彼はいよいよ来日を果たし、さらなる信望者を得るに到った。この静かなる熱狂は今も覚めやらず、多くのファンが彼の新作を待ち望んでいた。そんな期待の中でリリースされた本作には、実に様々なアーティストが参加している。そのメンバーこそがこのアルバムの方向性を紐解く鍵となる。大凡を紹介すると、アルゼンチンからモノ・フォンタナ、フェルナンド・シルヴァ、ファン・キンテーロ、ホルヘ・ファンデルモーレ、セバスチャン・マッキ、ルイス・サリナス、キケ・シネシ、ブラジルからモニカ・サルマソ、グラストン・ガリッツァ、ウルグアイからウーゴ・ファトルーソ、チリからフランチェスカ・アンカローラなど。国境や音楽性を越えて幅広い視点から選ばれたメンバーは、近年アギーレが共演を重ねて来たアーティストである。つまり本作はアギーレ自身の音楽であると同時に、共演者たちと育んだ共同作業のマイルストーンでもあるのだ。勿論これまでの作品と同様に、透徹した美意識に貫かれた楽曲と、色彩感に溢れたサウンド、純朴でいて包み込む様に柔らかな歌声はそのままに、汎ラテン・アメリカ的な視点に立つ、ポップで軽やかなアルバムとして結実した。音楽を通して人と人とを繋ぐ、カルロス・アギーレの一つの到達点と言えるだろう。
文●石郷岡学(山形ブラジル音楽普及協会)

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