Quiet Corner クワイエット・コーナー Vol.5

Quiet Corner クワイエット・コーナー

古き良き時代のサウンドを静かに紡ぐラムチョップ楽団

ジェントルな語り口に柔らかなストリングスが寄り添い、美しくふくよかなメロディー・ラインが彩りを添える。古き良き時代を夢想させる懐かしくも切ない風景を描く、ナッシュビルのラムチョップ。“骨付きラム肉”、または米国の子ども向け番組に登場するハンドパペットの名称という、何とも人を食ったようなネーミングに彼らのユーモアとセンスを感じてしまうが、奏でる音楽もまた格別。いつも野球帽をかぶったフロントマンのカート・ワグナーを軸に紡がれる“ラムチョップ楽団”とも言うべきその演奏と歌には、フィリーソウルの甘さ、ネオアコの清々しさをカントリーの豊潤な空気の中に同列で配置した、南部在住の音楽マニアが思い描いたリスナー感覚が横たわる。そこにはマッスル・ショールズでダン・ペンがソウルの名曲を創作したような、プリファブ・スプラウトがアメリカへの憧れを表現したような、または70年代のA&Mやバート・バカラックが創造したビタースウィートなメロディーと同じ風合いを感じさせる。しかし常に15人以上で構成される大所帯の楽団が奏でる音楽を特別なものにしているのは、それだけの人数でありながら決して音を加え過ぎない絶妙の間(あわい)の美学にある。アンビエンスに重きを置いた彼らのサウンドは、簡素である事の美しさをロマンティックに雄弁に語りかける。そんな彼らの4年ぶりの新作『Mr.M』が届けられた。更に甘美に響く静寂のロマンスは、時計の針をも止めてしまいそう。この美しい作品が、彼らの音楽にも多大な影響を与えたシンガー・ソングライターの故ヴィック・チェスナットに捧げられているのも忘れてはならない。
文●河野洋志

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