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Erdinger さんのレビュー一覧 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2021/08/11

    1960年代半ば頃にDGGに録音されたカラヤンとベルリン・フィルのシベリウスは、今聴いても名演揃いだったと思う。何れもLPで馴染んでいるものだが、今回の3つのフォーマットで収録さたBDディスクも、瑞々しい音質で堪能した。5枚のCDも、オリジナルの組み合わせとジャケットデザインで楽しめる。組み合わせを変えれば4枚以内に納まってしまうのだろうが、そうしなかったことは適切な判断だと評価したい。CDの再生に関しては、NOSのDACを使うと、自然な音質で不満なく聴ける。規格としてはSACDやBDに見劣りするかもしれないが、CD本来の音質は決して低品質のものではないのですよ。

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     2021/05/18

    昨今、ピリオド楽器やピリオド奏法が幅をきかせるベートーヴェン演奏。モダン楽器のオーケストラでベートーヴェンの交響曲を演奏する意味は? という問いへの答えが、作曲者の生誕250年を機に次々と示されたが、小生としては、このブロムシュテットとライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団の演奏が最良の回答。ブロムシュテットは、若い頃より断然素晴らしい。音楽は溌剌として瑞々しく、老いの陰や枯れた気配など微塵も感じさせない。ゲヴァントハウス管弦楽団も生気に溢れ、その名に恥じぬ響きでありアンサンブルだ。指揮する、されるという関係が感じられず、まさに鞍上人なく鞍下馬なし、とはこういうことか。『ブロムシュテット自伝−音楽こそわが天命−』の224頁以降に、ベートーヴェンに関する興味深い記述があるので一読をお奨めしたい。

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     2021/05/13

    Blu-rayオーディオディスクがセットされないのがちょっと残念。

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     2021/04/27

    変奏曲の名手ベートーヴェンの力量を存分に味わえるセット。どうということもないテーマから次々と見事な構築物が出来上がる様はまさにcomposition。

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     2021/03/23

    昨今、ピリオド楽器が幅をきかせるベートーヴェン演奏。気鋭のドイツ人指揮者がモダン楽器オーケストラで才気煥発の演奏を聞かせてくれることを期待したが・・・・。
    例えば「英雄」。第4楽章62〜75小節の各パートをソロで弾かせているのは恐らくベーレンライター新版に従っているのだろう。しかし、第1楽章661〜666小節は旧来の慣習によりトランペットが主題を高らかに響かせる。
    もっとびっくりしたのは第4交響曲。第1楽章183小節目のチェロとコントラバスのF音を弾かせていること!ここはヴァインガルトナーが「うっかり飛び出してしまったように聞こえるから」削除するように勧めていた箇所。往年の指揮者たちは、楽譜通りの演奏を標榜する人たちであっても、ここだけはカットすることが大半だったはず。最近各社から出ている新版のスコアでは、この小節のチェロとコントラバスは旧版の誤植ということで全休止に訂正されている。
    その他、テンポ設定や強弱など、全9曲に色々細かい工夫が見られ、新旧のスコアを充分に研究したあげくの演奏であることは重々承知だが、やはり、真っ向勝負のベートーヴェンを聴きたかったなぁ。

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     2015/09/06

    シベリウス生誕150年で色々出るだろうとは思っていたが、コリンズ指揮の交響曲全集がLPで復活するとは思わなかった。かつて、BEULAHレーベルから全集CDが出ていたが、偶然耳にした英DeccaのオリジナルLPとの音の違いに驚き、それから、全6枚のオリジナルLP探しに奔走した。そのオリジナルの英Decca盤は、最初オレンジ地に金文字のレーベルで世に出たが、これは有名なffrrカーブによるプレス。その後、銀文字のグルーヴガード盤に変わり、イコライザーカーブもRIAAになった。(とされているが、色々聞いてみると、そう単純ではなさそう。)
     今回の復刻盤は、独オプティマル社の製作で、盤質がとても良好。最近、続々と登場する重量盤の中には、音質も製盤状態も期待はずれのものがちらほら見受けられるので、入手するまでは不安だったが、杞憂だった。(同じドイツでもP社のプレスでなくて良かった。)
     演奏は、墨痕鮮やかな太い楷書体。我々がイメージしたがる静謐透明な北欧の調べではなく、剛直で堅固、確固たる意志を貫き通す力感溢れる表現。ロシアの桎梏の下、独立を希求していたフィンランド人の熱いエネルギーを如実に実感させ、シベリウスの生きた時代を彷彿とさせる音楽に仕上がっている。
     音質も、オリジナルLPに比べ、レンジが上下に広がり、特に低域の伸びと力強さは迫力満点。何よりも、S/N比の良さは昔日の比ではない。
     再生に関しては、ステレオカートリッジ使用なら、アンプは必ずモノラルポジション、それも、単に左右チャンネルを混ぜるモノラルではなくて、針先の横方向の動きによる電流のみを拾うモノラルポジションが付いたアンプが最適。モノラルカートリッジを使うなら、新しい設計のモノラルカートリッジを。カッターヘッドも当然オリジナルLP時代のものではないので、古い設計の「名器」はやめた方が無難。 
     蛇足ながら、今回の復刻盤、レーベルはオレンジ地に銀文字だが、どうせなら、最初期の金文字にして欲しかったなあ。

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     2015/07/21

    本自体は興味深い内容だが、校正の甘さからくる誤植が気になる。編集者が歴史に詳しくないのか、その方面の誤記や、著者の記憶違いによる間違いもある。CDの音は水準以上の復刻だが、SP盤再生の段階で、もっと何とかなるのでは?と感じたものもあった。私もSP盤をよく聴くが、古いレコードだからヴィンテージ品を使えば良く再生出来るというものではないし、もっと設計の新しいアームやSP盤用カートリッジを色々試しても良かったのでは?と思う。また、愛好家に広く呼びかけて、もっと状態の良いSP盤を借用し、復刻出来たのでは?と思うものもある。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2014/09/28

     4枚組のうち、モーツァルトの3曲とブラームス「ドイツ・レクィエム」は10年以上前にそれぞれドイツ・グラモフォンとEMIから、ザルツブルク音楽祭70周年の記念盤として発売されていた。2枚もダブるので購入をためらっていたが、このほど思い切って購入。

     ベルリン・フィルとヴィーン国立歌劇場のシェフの座を手にして間もない覇気満々のカラヤン、その壮年期の輝かしい魅力が一杯に溢れた演奏が揃っている。やはり入手して良かった。
     デジタル・リマスタリングに携わっているのが、例によってO.E.氏なので音質には危惧を抱いていたが、予想外に聴きやすい。しかも、モーツァルトとブラームスはてっきり旧盤と同じマスターだろうと思っていたら、これが別物。このOrfeo盤の方がレンジが狭く、音量レベルも低いのだが、これが当時の放送録音の水準なのだろう。昔、ラジオで音楽番組を聴いていた頃の感触を思い出した。
     これに比べると、DGG盤もEMI盤も、高域を伸ばし低域を増強していたのが歴然とする。だから、ヴァイオリンやトランペットの高音は耳にきつく、低音は締まりがなく膨らんで聞こえたのかと納得。もともと無い音を付加しようとコンソールのつまみをいじれば、必然的にそういう結果となる。そういう意味では、このOrfeo盤の方が、物理特性は低くとも、自然で好ましい。SP復刻の場合もそうだが、あまりあれこれいじくり回さない方が、結果は良くなるのかもしれない。
     それにしても、古いDGG盤とEMI盤、手を加えた結果がそれぞれDGGとEMIのトーンになっているのが面白い。そのつもりはなくても、調整しているうちに各社固有のトーンになってしまうのだろうか。 

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     2014/07/23

     金聖響と玉木正之の対談に惹かれて読み始めたが、65〜66頁で引っかかった。曰く、「ピリオド奏法ではヴィブラートはほとんど使いません・・・・」、「ヴィブラートというのは、すごく新しい演奏法で、フリッツ・クライスラーという大ヴァイオリニストが1910年くらいから大流行させたもの・・・・」、「オーケストラの弦楽器奏者全員がヴィブラートをかけるようになったのは(中略)1930年頃からあとのこと・・・・」等々。

     この説は、著者も私淑しているらしいイギリスの指揮者N.R.が、自身のCDのライナーノートで書いていた内容そのままである。この説については、本書が出版される前に既に疑問が呈されているが(平林直哉著『盤鬼、クラシック100盤勝負!』(2006)の135〜136頁)、それを待つまでもなく、20世紀初頭〜1920年代に録音された幾多の弦楽器奏者やオーケストラのSPレコード、及び、その復刻盤を聴けば、事実に合わないことはすぐ判明する。

     また、大ヴァイオリニスト、カール・フレッシュ(1873〜1944)の自伝には、少年時代(1880年代!)、良き師に出会えず、仕込まれてしまったヴィブラートの悪癖の矯正に苦労し、多大な時間を要した旨が記されている。(佐々木庸一著『ヴァイオリンの魅力と謎』より)

     加えて、レーオポルト・モーツァルト著「ヴァイオリン奏法」(1756年初版)の第11章にはこう記されている。「私たちが、ゆるい弦や鐘を強く打つと、その後、打った音の一定の波動が聞こえます。・・・・ヴァイオリンでこの自然の震えのまねをして、再現するように努力して下さい。指は強く弦を押し、手全体を小さく動かします。その動きは・・・・前は駒の方へ、後ろは渦巻きの方へと前後に動くようにします・・・・」
    これは「トレモロ」という奏法の説明だが、明らかにヴィブラートのことであり、18世紀には「トレモロ」と呼ばれていたこともわかる。(但し、レーオポルトは「トレモロ」の乱用は厳に戒めている。これは現代奏法にも当てはまる。何でもかんでもヴィブラートをかければ良いというものではない。)

     一二の例を挙げただけだが、著者(とN.R.)の説が??なのははっきりするであろう。

     ピリオド奏法なるものが今や大流行で、これを手がけなければ時代遅れのレッテルを貼られかねない風潮だが、奏者も聴き手も、演奏法の歴史をもう少しきちんと踏まえてみた方が良いのではないか。研究者でなくても、著作を世に問おうというのなら、根拠の怪しげな説を引き写すのは軽率のそしりを免れまい。
     本書は評判の良い本だが、私自身は65〜66頁で引っかかったきり、後を読む気が失せてしまった。

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     2013/06/19

    ブッシュとゼルキンが遺したブラームスとシューマンのソナタ。未だにこれを超える演奏を探すのは難しい。音の輪郭が明晰な優れた復刻が、そのすばらしさをストレートに伝えてくれる。ただ、残念なのはブラームスのソナタ第1番の冒頭と、恐らく唯一の復刻であろうと思われるレーガーのソナタ第5番のアレグレットに、連続するティック音がはっきり入っていること。元のシェラック盤にあった傷に由来すると思われるが、無傷の原盤が入手できなかったのだろうか?

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     2013/01/27

    1935年、42歳の若さで医療事故により夭折したフランツ(フェレンツ)・フォン・ヴェチェイの、電気吹き込みによる全録音を収めたディスクである。1893年生まれでフバイの弟子、ヨアヒムに認められ世に出た。シゲティと同門、同世代。情熱と気迫に満ちているが、それをあからさまに表に出さず、骨格のしっかりした端然たる演奏をする人である。音色は素焼きの陶器のような質感。いかにもハンガリー系を感じさせる。ベートーヴェンのソナタ第3番が遺された唯一の大曲で、一本ぴんと筋の通ったまとまりは、同時期に録音されたブッシュ/ゼルキン、クライスラー/ルップの両盤を凌駕するかもしれない。小品ではクライスラーのような洒落た歌い回しはないが、でも、聞きものである。
    復刻はSPのサーフェス・ノイズを無理に除去せず、ヴァイオリン、ピアノの音をしっかり生かしていて良好である。高価でなくても良いから、最新のプレーヤーで再生した方がうまく再生出来るようである。高級機でも古い機種では、ノイズと楽音が混濁し、拙劣な復刻に聞こえてしまうのを経験した。

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     2013/01/27

    かつて、来日してこの曲を歌ったライヴ(確か高崎公演)をTVで視聴した。声のすばらしさは勿論だが、表情、仕草がなんと魅力的だったことか! さすらう若者の憧れ、希望、情熱、不安、孤独、寂寥・・・・、すべてがコヴァルスキーの心の底から自然に歌となって湧きいずる趣で、画面に釘付けであった。CDではあの姿は再現されないが、でも、充分聞きものである。

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     2012/12/28

    以前、某世界的ソリスト同士の協演(競演)による全曲CDを持っていたが、聴いたのは購入当初だけ。いつの間にか死蔵品になってしまって、結局、下取りに出してしまった。オールスターゲームは年1回で充分、毎日やられたら胃がもたれる、といったところか。ひるがえって、このCDは愛聴盤。「日本人による・・・・」などという注釈抜きに、真に見事なベートーヴェン演奏。木野氏は、私自身はトリオ・ミンストレルの演奏で馴染んでいるが、瑞々しい表現と滑らかな音色が印象的。そして、シュタインベルクのピアノ、その音色の暖かさまろやかさ! 現代グランド・ピアノは、古典派、ロマン派の室内楽で、しばしば協演楽器を圧倒し、時には威嚇してしまうことが多いと感じているが、思慮深く熟達した平沢氏の奏でるシュタインベルクはヴァイオリンとよく馴染み、互いの美点を引き出す二重奏を繰り広げている。この録音は平沢氏の主導で実現したようで、自身が撮影したパッケージの写真も、色温度の低い赤みを帯びた色調が雰囲気満点である。今回の3曲、8番はクライスラー&ラフマニノフから始まって、マルツィなど、単独で録音される機会もあったが、4番と6番、特に6番は、全曲演奏・録音の機会がなければなかなか聴くことが出来ない。今、その6番がとりわけ気に入っている。このデュオによるベートーヴェン、もう一枚出ているようだからいずれ聴いてみたい。また、チェロとの二重奏や、他の室内楽でも、このシュタインベルク・ピアノは好結果をもたらしそう。

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     2012/12/28

    シューマンの管弦楽曲は交響曲の余白を埋める形で録音されるケースが多い。曲の出来映えやオーケストレーションへの批判も昔から少なくなかった。しかし、こうして1枚のCDにまとめられてみると、どこを切ってもシューマンの凛々しい魅力が溢れ、聴き応えある作品ばかりだ。ベートーヴェンやブラームスと比べてどうのこうの言っても始まらない。シューマンがそう望み、そう書いたのだから、ここは一つシューマンならではの個性を受け入れよう。
     ポーランド国立放送オケという団体はワルシャワにも存在するが、このCDで演奏しているのはカトヴィツェに所在する団体。かなり前に来日したこともあったはずだが、実力充分の一流オーケストラである。その力を引き出している指揮者ヴィルトナーにも心から拍手を送りたい。
     録音もすばらしい。ナクソスには自前のプロデューサーやエンジニアはおらず、すべて現地契約だと思われるが、両スピーカーの間、やや後方に十分な広がりと奥行きを持って音場が展開し、響きの良いホールのステージから少し距離をとった席で聴いているような雰囲気が味わえる。推測だが、マイクの数は少なめで、直接音とホールの響きの溶け具合に意を用いつつ、録音後に色々いじくり回さずに、シンプルに丁寧に制作されたCDと見た。ソロ・パートがいきなり目の前に立ち現れたり、指揮者が振り向きざま、打楽器の一撃を見舞ったかのような、マルチマイク録音にありがちな不自然さがなく、金管やヴァイオリンの高音部も硬くならず、ざらつきもない。実に優れたオーケストラ録音である。

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     2012/07/13

    1940年代末に結成され、1950年代半ばまで活躍した名クヮルテットの遺した逸品。活動時期は短かったが、遺された録音はどれも一級品。ヴィオラのワルター・トランプラーが後にソリストとして名を成したので、トランプラー・クヮルテットなどと言う向きもあるが、それは違う。リーダーは第1ヴァイオリンのブローダス・アール。彼あってのアンサンブルである。実にしなやかで滑らかな音色の持ち主で、いかにもヴァイオリンらしいヴァイオリンを弾く人である。彼は1950年代後半に来日し、草創期の日本フィルのコンサートマスターとして楽団の発展に多大な貢献をした。そして、帰国後はエール大学音楽科教授を務める傍ら、再びトランプラーらとエール・クヮルテットを組織して1970年代まで活動を続けたはず。日本人の弟子たちも多かったと記憶している。また、チェロのクラウス・アダムはジュリアード・クヮルテットのメンバーとして、その全盛期を支えたのは周知の通り。このベートーヴェンはバルトーク・レコードBRS909として発売されたが、このレーベルは、ピーター・バルトークの卓越したマスタリングで、LP初期に父バルトークの作品を中心に、20世紀前半の諸作品およびバロック〜古典派の、知名度は低いながらも優れた作品のLPを制作、高音質レコードの代名詞として知られていた。初期の物はイクォライザー・カーブが特殊だが、それを含めてアナログ・プレーヤーを綿密に調整して鳴らせば、実に生々しい臨場感あふれる演奏が再現される。
    さて、このベートーヴェン2曲だが、聞きものはやはりラズモフスキーの第3。第1楽章の主部と、特に第4楽章のフーガの速いこと! 一糸乱れぬアンサンブルは痛快そのものである。と言ってもむやみに暴走しているわけではない。荒っぽさとは無縁で、技巧的には余裕さえ感じられる。2・3楽章は、表情記号に細心の注意が払われ、表現力豊かな歌が聴ける。機能的・技術的な側面ばかりの演奏ではないのである。また、「現代感覚」と称してやたらに攻撃的な演奏をする団体もあるが、そうした演奏とも完全に一線を画しており、全体として様式にも目配りが行き届き、実に格調高い演奏に仕上がっている。

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