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黒熊怪 さんのレビュー一覧 

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     2010/09/07

    BPOが自主制作CDに、54年最後の演奏会の第1番を選んだことが、痛いほどよく解る企画となっている。この時はもう耳が聞こえず、緩急の変化の速い楽章では、さすがのBPOもついて行けなくなっていた。フルトベングラーが生涯をかけて演奏したベートベンの作品を、その最も若い作品で告別したことは、その想いを言葉に形容し難い。特に、第2楽章Andanteは若い頃のベートーベンを知っている人が、その後、ドイツ音楽の旗手となってゆく彼を回想想しながら演奏するような、聞く人の心の中で永遠に生き続ける音楽となっている。

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     2010/08/31

    この第9は、数ある第9の中でも、屈指の名演に数えられる。メンゲルベルグは、後年になるほど異様な堅さが目立つ、荒れ狂う演奏が多いが、逆に30年代には、まだまだ素晴らしい柔軟な演奏が可能であった。それにしても、恐ろしい緊張の中で、徹頭徹尾メンゲルベルグ美学の結晶化に成功した驚異的なもので、これだけの集中力のみなぎった真剣の試合のような響きは、絶頂期のフルトベングラーか、52年ロンドンでのPOとトスカニーニのBr.悲劇的序曲の伝説的演奏が比肩するのみ。

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     2010/08/20

    希代の名演といえるだろう。クレンペラーが述懐しているように、VPOのブルックナーは素晴らしかった。ところがマーラーは、驚くべきことに出来がよくなかった。開始と同時に、VPOと指揮者が正面衝突したことが解る。九番の決定盤だったのではという長い間の期待は違っていた。むしろ、ミトロプーロスとの相性が好ましい。マーラー自身がVPOとは緊張の連続だったことも頷ける。それにしても、この室内楽的なアプローチによる録音思想のBOXの価値は極めて高い。実に立派な企画だと思う。演奏は、BPOのシュトレーゼマンが、ベルリンの演奏会をキャンセルしてウィーンに行ったことを嘆いただけあって、一代の巨匠、クレンペラーの集大成の趣がある。ベートーベンの5番は、その深層に圧倒的な緊張感をたたえ、知情意の均衡に成功した奇跡的演奏。これだけのベートーベンは、フルトベングラー以来だろう。そのフルトベングラーが嘗て彼に、ブルックナーを演奏するとVPOの真価が解りますよと云ったという。フルックナーの5番はそれが蘇った、極限的な美しい花のある演奏。

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     2010/08/20

    イタリアでのオラトリオ形式のこの演奏会は、確かに歴史に残るものであった。演奏が素晴らしいだけに、この録音の現テープが消去されてしまったことが、悔やまれてならない。ローマのオーケストラは、初めてリングを演奏したが、回を追う毎に夢中になっていったという。Rheingoldのコーダー神々の入場を聞くと、巨大なワーグナーの炎の核が燃え上がり、演奏する人々も聞く人々も、すべて一体となっていくのが手に取るように解る。まさにフルトベングラーの、勇将の下に弱卒なしという演奏だと思う。

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     2010/08/15

    戦時中の第7は、第二楽章の出来が極めて優れているので、以前から有名でしたが、夫人の証言にもあるように、戦時中の録音にはオリジナルの実験的なステレオ録音が残っているのではという期待が根強くありました。特に、第7では毎回、第一楽章の冒頭でそれを強く感じさせられます。やはり、これだけ多くの愛好家が、フルトベングラーのステレオ録音を話題にするのも、これら70年前の録音が異常な解像度を確保しており、フルトベングラーの演奏では、解像度が高ければ高いほど、新たな音響の世界が展望される点にあるのかもしれません。この点、同時代のメンゲルベルグの録音と比較すると、録音技術のイノベーションによる圧倒的な音質上の競争優位を感じさせます。また第九では、嘗てエベレスト盤が、疑似ステレオLPと銘打って出したのも何か因縁めいたものを感じさせます。但し、エベレスト盤LPはいつ聞いても、やはり疑似ステレオの感はまぬがれないのですが。 メロディア盤LPも、ステレオ感は殆ど感じられませんでした。それにしても、戦時中のフルトベングラーとベルリンフィルハーモニーという伝説的存在の、この録音が残されていなかったら、彼等の評価はまたかなり違っていたのではないかと考えます。その意味で、今日の先端的録音技術による芸術的に優れた演奏の復活には感謝してもあまりあるものがあります。大戦中、軍事命令送信の一種の暗号機として開発されたレコーダの音楽録音への活用、特にその周波数特性には、耳を疑う驚くべきものがあり、その後テープ録音が主流となっていったのも、なるほどとうなずけます。「魔弾の射手」「スカラサ座のリング」等々のステレオ的な音質は、ある日突然、若い時代のままの、昔の恋人に出会ったような、驚愕と神秘を感じさせます。

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     2010/08/04

    20世紀の弦楽四重奏団の最高峰と目されてきたブッシュSQのベートーベン。後期の作品群は、比類のない深い精神性をたたえている。恐らく、今後このようなベートーベンはないであろうし、最晩年の哲学的境地にまで到達した数少ない演奏であると思われる。この真にドイツ的なベートーベン弦楽四重奏曲の深淵と陰影は、彼ら以降絶えてないといわれた歴史的録音。今回は、あの時代の極限を超えた大フーガが入っている。音楽を愛する全ての人に聞いてもらいたい、ベートーベンが目の前にいるような驚くべき演奏。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/08/02

    CapetSQ.の演奏は、不思議な事に全く古さを感じさせない、いつ聞いても、今日、演奏するのを聞くような普遍性を感じる。電気吹き込み最初期の録音でありながら、音の切れ味は鋭く深く、それでいて流麗で美しい。ドイツ流の深刻さにとらわれず、最晩年のベートーベンの世界を、壮大なスケールで描き、力にとらわれずに自然に構築しながら、非常な力動感がある。約100年にわたり、作品を驚くほど深く、求心的に捉えた不滅の演奏として、伝説的な評価が捧げられた。フランスのSQ.によるこの演奏は、文化の異なるあらゆる国の人々に受け入れられる、音楽の真の意味の国際性が在るのだろう。

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     2010/07/29

    驚異的なバッハ演奏、クレンペラーのこの曲に対するフォルムは、第3番の巨大な拡がりと深い湖のような透明度を得ることに成功している。正にドイツのオーケストラと、ドイツ人以上のドイツ的音楽気質の持ち主といわれた彼による生粋のバッハ。あのマーラーが若きクレンペラーを評して、やがていつの日か大指揮者になるであろうと言ったという予言が見事に実証されている。バッハその人の精神の輝きと鼓動が、今に蘇る類のない演奏。

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     2010/07/28

    ユリアン・シュトコベッキーの稀代の名演1950年代エリザベートコンクール優勝の褒賞としてシベリウス録音が許されたらしい。コンクールではゴーガンをおさえ、より高く評価された。旧ソ連で党員でない彼には、安いハイオリンしか与えられなかったといわれるが、高い音楽性を備えた無類の使い手として、驚異的な演奏技術と、迫真の芯の強い音を持つ彼のバイオリンは、音楽の真実を語る力があった。あまりに若く多くの希望とともにガンで他界した。御夫人のベーラ・ダビットビッチと協演したモーツアルトVnソナタも素晴らしかったが、銘器を借りて演奏したと伝えられる、パガニーニがのりうつったようなVn.Cが、後々までかたりぐさとなって伝えられた、ビルトオーソの極致ともいえる恐るべき演奏だった。その御子息がドミートリ。恐らくこれだけの真剣勝負となったシベリウスは、もう聞けないだろう。

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     2010/07/19

    フリッチャイの演奏は、病気と共に57年頃から突如、急激にその姿を変えはじめた。スケールは1年ごとに大きくなり、作曲家の心をそのまま映し出す演奏が可能になっていった。初めてのワルキューレ演奏で、助言を求めたフルトベングラーを深く感動させたという彼は、晩年は、容貌までフルトベングラーにそっくりになった。VPO楽団長のシュトラッサーが、ガンと闘病する苦しい生活の中で精進を重ね、希にみる芸術家に仕上がっていったというフリッチャイの驚異的な名演奏。特に悲愴は、生きたいと望む当時の彼の心境が自然に表出したのであろう、客観性を透徹しながら美しく、圧倒的なスケールを得ている。まだまだ演奏を残して欲しかった、誠に惜しい立派な指揮者だったと想う。

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     2010/07/19

    白血病に冒されていたバルトーク最晩年の傑作第3番は、既に彼岸の世界から響いてくるような清明な境地に到達している。この演奏は半世紀にわたってバルトークの魂をとらえた傑作として知られていた。自分がいなくなった後も、精神を病んだ身寄りのない夫人が弾いて生計を立てられるようにと考えて創造されたという。しかしこの至高の名作は、人類の遺産となった。早逝したフリッチャイの最高傑作であろう。この曲、この同国の奏者達、この解釈によって、この演奏を聴いたあらゆる人の心の中に生き続けるであろう珠玉の演奏。

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     2010/07/19

    バルトークSQの全曲盤の中でも最も先鋭で、生粋の同国人でなければ体得できない、呼吸と間合いを兼ね備えた最高の名演として識られていた。このリズムの命脈と不協和音の響きは、とうてい言葉では捉えられない。バルトークその人が作曲した時に心に描いた世界に到達しているのではないかと思う。20世紀音楽に大きな衝撃を与えた、SQの神髄を聞くことが出来る、バルトークの面影を識っていた人達による、歴史的にも極めて優れた決定的演奏。

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     2010/04/19

    アーノンクールの最初期の録音だが、その美しさは限りない。感覚がとても新鮮で、音楽の姿を自然に写しだし、虚飾を排して進行する、後年の成功を予想させる真摯な姿がある。稀代の政治軍事上の天才といわれたフリードリッヒ大王は、驚くべき事に、とても軍人には向かない内向的な性格の芸術の天才でもあった。ドイツ参謀本部の参謀総長ゼークトは、フリードリッヒ大王の機動計画帳には、ダビンチの写生帳のデッサンと同じ芸術の美しさがあると云った。大王がバッハに与えたといわれるこの主題は、既に多くの人が倒れていくのを目の当たりにした人の、人生に対する深い諦観が、人の心の中にしみいるように静かに響き、無限に拡がってゆく。音楽の深淵を極めた最晩年のバッハにして始めてなしえた、前人未踏の境地だと思う。天才から天才に伝えられた魂の響きを、掛け値なく表すことに成功している。

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  • 9人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2010/01/23

    素晴らしく美しい音に復刻されている。音楽の正史に輝かしい名前をとどめるマリア・カラスの傑作だろう。絶頂期のベルカントの女王といわれた彼女を知る人達からは、とても受け入れられない声の状態だったというが、一つのシラブルからフレーズへの劇的な意味づけ、そこから生まれる緊迫感、瞬間的な深い真の把握力という点では、全く他の追従を許さない。まさにカルメンという生きた人間の女性の心が、歌となり永遠の生命を与えられ、このCDに生き続け実在している。この人は、3つの異なる声を持ち、深いかげりのある音色、魔法のような色調変化など、感情と表現の要求に応じて自由に使い分けることが出来たという神話が伝わっている。プレートルの指揮は、実に切れ味が鋭い、それでいてカラスの不調を暖かく助けている。VPOとのNYCは近来にない素晴らしさだったが、玄人好みの名指揮者になった。ずいぶんと角がとれ、さすがにマリア・カラスと共に、この偉大な録音を作り上げた人だと心から賞賛したい。

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     2010/01/09

    リスボンでBPOの演奏は実に味わい深い。教会の中のBPOの響きは重厚で暖かく、オルガン演奏を聴いているような深い落ち着きがある。曲の解釈は、かっての無比の精確性という切り口から離れ、角が取れていながら、より広大な深い世界を自然に映し出すことに成功している。BPOの力は大きい。驚いたのは、ビオラの首席奏者に清水直子氏がおり、その姿が極めて美しくとらえられていることだった。ドイツ人の音楽の批評眼は世界一だが、その彼らから見ても素晴らしい理解力なのであろう。彼女のバルトークのビオラCon.を聴きたいと思うのは、私一人ではない。あのフルトベングラーの崇高な伝統を受け継ぐBPOのトップに、日本の演奏家がいるのは真の壮挙で、心から御活躍をお祈りしたい。

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