トップ > My ページ > 遊悠音詩人 さんのレビュー一覧

遊悠音詩人 さんのレビュー一覧 

検索結果:608件中151件から165件まで表示

%%header%%

%%message%%

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/22

    リアルなピアノの響き!広い音域をカバーする楽器なだけに、普通の録音では必ずといっていいほどダマになっている部分があるのだが、さすがXRCD!杉本一家氏渾身のリマスタリングによって、見事に解れ、ルービンシュタインの指の動きまで目に映るほどの圧倒的なリアリティを獲得している。もっとも、オケの音響バランスはもう少し上を望む。明くる日のセッションである《火の鳥》および《金鷄》の録音では非常に安定していた定位や残響が、当盤ではやや癖のあるものとなっており、L⇔CおよびC⇔Rの拡がりが今一歩である。とはいえ、厚みや分離はとてもよく、一つ一つの音をばらして聴き取れるほどである。演奏はさすが円熟のルービンシュタインというべきものだ。無論、キレ味を取るのならライナー盤の方であろう。しかしその分、何とも言えない味わい深さを獲得しており、淡々とした中に曲に肉薄するエネルギーを宿すような表現はルービンシュタインならではといえよう。後年には望むべくもない粒だちの良さも健在であり、XRCDの抜群の解像力も相俟って、その至芸を十二分に味わうことが出来る。もっとも個人的には、カーゾン&セルの切れば血が出るような壮絶な演奏をより好み、ESOTERICあたりで復刻盤が出ないかと思っているほどなのだが、当盤も勿論ポイントは高い。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/22

    「弾丸ライナー」の異名を持ち、バルトークやリヒャルト・シュトラウスなどでは、剃刀で切ったような辛口アンサンブルを披瀝しているライナー。そのライナーが、ベートーヴェンの交響曲の中でもとりわけふくよかさが要求される《田園》をどう料理するか。期待と一抹の不安の中に購入。聴いて驚いた。アンサンブルは確かにいつものライナーの正確無比なものなのだが、響きがとても柔らかくみずみずしいではないか。第一楽章や第二楽章など、朝露に濡れた若葉にそよ風が靡くような印象だ。第三楽章も音楽が躍動しており、これぞ愉しい踊りに相応しい。第四楽章がこれまた凄い迫力で、雷鳴の轟音や稲妻の閃光が実によく再現されている。ティンパニの唸り方が尋常ではなく、思わず雨戸を閉めたくなるほど!第五楽章の推進力も説得力があり、ややすると穏やかさ一辺倒になりがちなこの楽章を、実にドラマティックに仕上げている。総じて、標題性云々を越えた極めてダイナミックな演奏といえよう。音質は、さすがXRCDというべき解像度の高さで、よくもこれだけの音を半世紀も昔の録音から引き出し得たと思う。低音域の迫力や高音域の伸び、なかんずく中音域の厚みなど、惚れ惚れするほどの超高音質である。名盤ひしめく中にあっても、ライナー盤は傑出した部類に属する一枚といえよう。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/22

    1955年の録音に、これだけの情報量が入っていたとは!さすがXRCD、音の厚みは歴然。やや左右を広げすぎた感じも無きにしもあらずな黎明期のステレオだが、マッシヴな管や艶やかな弦の魅力は完璧に収められている。ものが《運命》と《未完成》なだけに、星の数ほど競合盤が犇めいているが、落ち着き払った風格とたぎる情熱を共存させた当演奏は、さすが全盛期のミュンシュ&ボストン響ならではといえよう。主題の繰り返しは端折られているものの、構成は堅固で、堂々たるものである。昨今の軽量化したベートーヴェンやシューベルトとは好対照だが、学究的なことはさておき、我々を感動させる演奏とは、寧ろ重厚で味わい深いものの方ではなかろうか。半世紀以上の時を越えて超高音質で甦った当盤を聴くと、ますますそのような思いに駆られる。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/15

    これぞ《展覧会の絵》の最高傑作!半世紀以上の時を越え、最新録音もかくやというべき超高音質で蘇った!唸る重低音から抜けのよい高音まで、スピーカーを突き抜けて眼前で演奏されているかのような圧倒的なリアリティ。音質が破格なら演奏内容もこれまた破格で、ライナー&シカゴ響の名人芸全開!冒頭のトランペットのソロからして、完璧なピッチに驚かされる。《牛車》など、ロシアの圧政に対する民衆の怒りの念が込められているというが、ライナーの演奏ほどこのことを意識させるものはない。音が唸り、地を這うような低音が容赦なく迫ってくる。その恐ろしさには身の毛がよだつほど!《サミュエル・ゴールデンベルクとシュミイレ》の中間部には、難易度が非常に高いトランペットのソロがあるが、さすがはシカゴ響、リズムといいピッチといい非の打ち所がない。全く外さないのだ。《リモージュ》における超絶的なアンサンブルにも舌を巻くし、《ババ・ヤガー》のアグレッシブな打楽器群にも目が覚めるほどだ。《キエフの大門》の大音響も、優秀な録音で完璧に収められている。モノクロームな原曲に、ラヴェルが極彩色のオーケストレーションを施した作品だが、それを如何に魅力的に再現するかは、指揮者と楽団の力量にかかっている。私自身、実演も含めていくつも聴き比べているが、ここまで“聴かせる”演奏は後にも先にもないのではないか。演奏、録音ともに、自信を持って推薦したい。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/08

    スピーカーを突き破らんばかりの大迫力のサウンドで、切れば血が出るほどのミュンシュの熱演を聴ける喜び!さすがXRCD!収録曲はわずか二曲、価格も決して安価とはいえないが、それだけの価値は十二分にある。とにかく、音の唸り方が尋常ではない。恐ろしく抜けのよい金管、厚みのある弦、そして轟く打楽器群など、まさに手に汗握る怒涛の演奏である。《ロミオとジュリエット》にしても《ティル・オイレンシュピーゲル》にしても、語り口次第で面白くもつまらなくもなる曲であるが、ミュンシュの手にかかると、実にドラマティックに進行する。殊に後者は、希代のならず者の様々な悪戯が、まるで映像のように鮮明に展開する。最後には死刑判決を言い渡されるシーンがあるが、ここなど鉄槌の迫力が尋常ではなく、マーラーの《悲劇的》のハンマーもかくやというべき音圧だ。驚愕すること間違いなしの一枚。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/07

    1955年収録とは俄かに信じ難いほどの、驚愕の超高音質に脱帽!ライナー&シカゴ響の凄み全開、文字通り一糸乱れぬ大合奏!その集中力は恐ろしいほどで、まるで鋭い剃刀でスパッと切ったかのよう。フルオーケストラがここまで完璧に足並みを揃えるとは、ライナーの妥協一切なしの徹底的な指導力があってこそ。もっとも、抜き打ち試験を実施したり、一定のレベルに達しない団員へ即日解雇を命令したりなど、相当な荒療治ではあった。だが、過程はさておき、このような名演を残すに至った訳だから、やはり一定の評価は出来よう。昨今、指揮者の指導力不足が懸念されたり、さして上手くもないのにプライドだけは高いような楽団が跋扈したりしている(特に我が国のN響!)。だからではないが、絶対的権威を持っていた指揮者が腕を振るっていた時代が、懐かしく思えてくるのであろう。タイトで厳しい演奏だが、その中にふと現れる柔らかな響きが、そんな思いをいっそう強くしている。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/07

    底抜けに愉しいアルバム!サービス精神旺盛なフィードラーの持ち味が遺憾無く発揮された一枚。ものがマーチだからこそ、録音は絶対オン気味ではないと迫力が出ないのだが、さすがXRCD!年代離れした怒涛のステレオで、音のいちいちが熱く燃えている。何とも伸びやかで明瞭で、殊にパーカス群のノリのよいリアルなサウンドは他では味わえない。純ラシック作品からジャズ、ポップスから民謡まで、垣根を越えて愉悦に満ちた演奏を披露するフィードラー&ボストン・ポップスだが、決して三文芝居に陥ることなく、格調の高さも持ち合わせているのはさすが。やはり母体がミュンシュ率いるボストン響であるからでもあろう。こういう個性を持ったオーケストラ、現在では殆どなくなってしまい寂しい限りだが、最新録音に勝るとも劣らないXRCDでフィードラーの名演を聴けるのは、何より嬉しい。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/06/07

    例えノイズや欠落が若干あろうと、それを無理に除去しようとしないで、あるがままに復刻したエンジニアの判断に賛同したい。ライナー&シカゴ響の一連のXRCD復刻盤は、何れも年代離れした超高音質な録音である。しかし、さすがに半世紀以上前の収録であるため、マスターテープによっては、経年劣化による瑕疵があるものも存在する。この《悲愴》がまさしくそうで、ガサガサ、ブツブツというノイズが何カ所かある。ライナーノートにもことわり書きが付されているが、歴史的価値を重視し、あえて修正しなかったとのことだ。大方のCDの場合、機械的なノイズ除去によって修正されるが、そのぶん音が痩せることが多く、これでは、マスターテープに込められた厚みのあるサウンドを再現することを第一義とするXRCDの理念に反する。修正なしだからこそ生々しい迫力がダイレクトに伝わり、音の分離もよく、重層的なサウンドを味わうことが出来るのだ。ライナーならではのタイトな表現が、明晰な録音によって実にリアルに響いてくる。ありがちなセンチメンタリズムに傾斜することは決してなく、むしろ対極的に辛口である。だからといって感情に乏しいかといえばそうではなく、格調があり男性的である。この点、ムラヴィンスキーとの間に共通点を見出だすことも出来よう。ムラヴィンスキーの場合、有名なDG盤を除いて劣悪な音質のものが多いことを鑑みると、このライナー盤の存在価値は大きい。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/29

    ここに聴くコダーイの《孔雀》は、恐らく世界初演の実況録音ではないか。1939年はメンゲルベルクにとって当たり年で、有名なマーラーの交響曲第4番のライヴ録音も残している。メンゲルベルクといえばルバートやポルタメントが頻出するイメージが強いが、ここに聴かれる演奏は割とオーソドックスな解釈であり、自由闊達な表現よりスタンダードの確立に重きを置いたようである。とはいえ随所にメンゲルベルクならではの工夫も見え隠れし、特に終曲の盛り上がりはさすがだ。併録の《ダフニスとクロエ》など、ラヴェルが没してまだ間もない頃の録音だが、そうした新しい作品に対する柔軟性はピカ一で、メンゲルベルクの近現代音楽への造詣の深さを物語る。特に《全員の踊り》におけるテンションの高さと合奏の上手さは並々ならぬものがあり、後年のミュンシュもかくやといった感じだ。もっとも、録音は恐らくアセテート盤に記録された放送音源であり、音質は多くを望めないが、そうしたハンディを超えて確かに通ずるものがあると言える。戦後のスイス幽閉が響いて、戦前の四大巨匠の中で、唯一メンゲルベルクだけがLP盤を残せなかったのは残念だが、残された歴史遺産とも言うべき録音を、今日味わうことが出来るのは有り難い。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/25

    つい先日、フィラデルフィア管弦楽団が破産申請をしたとの知らせを聞き、耳を疑った。ラフマニノフやシベリウスなどから薫陶を受け、ストコフスキーやオーマンディが作り出すゴージャスなサウンドで一世を風靡した名門オケ。それが破産するということは、単に一楽団の終焉のみならず、クラシック音楽界の衰退を意味するようで、ファンとしては胸の詰まる思いがする。しかもXRCDも間もなく廃盤になるというから、寂しさは一入である。さて、オーマンディのコープランドである。コープランドの演奏としてはバーンスタインが有名であるが、オーマンディとて引けを取らない。鍛え上げたオケである。機能美は最高だ。色彩の鮮やかさ、リズムの正確さ、情感の豊かさ、何れも素晴らしい。やはり、オーマンディというオーケストラビルダーがいてこそのフィラデルフィア管なのだろう。現在、フィラデルフィア管に限らず、どこのオケにも、楽団を強力に牽引するタイプの指揮者が払底してしまっている。かつてのアメリカには、トスカニーニを筆頭に、ライナーやセル、ミュンシュやバーンスタインといった、強烈な個性と堅固な意思を持った指揮者がいて、それぞれに唯一無二の楽団を作り上げていった。だからこそ面白かったし、味があった。古い名盤がいまだに愛されつづけるには訳があるのだ。素晴らしいものにこそ投資する。つまらなければ離れていく。単純な原理だ。このCDは、フィラデルフィア管弦楽団、いや、全てのオーケストラの黄金時代を象徴する一枚かも知れない。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/25

    XRCDによって、超高音質で超名演を聴く喜びに浴しているところが、今般廃盤になるという知らせを受けてショックを受けている。コストパフォーマンスのせいなのだろうか、人々の関心は寧ろ、超激安廉価盤の方に向いてしまい、本当によいものにこそ投資をするという愛好家はどうしてもマイノリティになってしまっている。こうした風潮は、一歩間違えれば芸術遺産に対する冒涜になりかねず、ひいてはクラシック音楽文化の衰退を招くような気がしてならない。さて、ここに聴くドヴォルザークは、決して忘れてはならない名盤である。ピアティゴルスキーの人間味溢れるチェロと、ミュンシュの熱い棒が火花を散らしている。しかし、いわゆる「競争曲」や「狂騒曲」に陥ることはない。有名なロストロポーヴィチ&カラヤン盤など、うますぎるロストロポーヴィチにムキになってひたすら豪快なバックをつけるカラヤンに半ば嫌気がさすが、ピアティゴルスキー&ミュンシュにはそのようなことは皆無。人間の心の奥、作曲家の望郷の念が音の一つ一つにこもり、聴き手のノスタルジーを駆り立てるのだ。録音も、さすがXRCDというべきリアリティである。微細な音の一つ一つまで再現し尽くす。ピアティゴルスキーの弓使いまで手に取るようにわかるのだ。温もりのある木管や迫力のある金管、柔らかな弦や轟く打楽器など、バランスも絶妙だ。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/22

    圧倒的超高音質!さすがXRCD!年代を超越し、最新録音すら凌駕しかねない怒涛のサウンド!若きメータの表現意欲に溢れた快演が、余すところなく再現されている。アメリカのオケながら、シカゴ響に代表されるような切っ先鋭いサウンドではなく、ヨーロッパ的な豊潤なサウンドを創出しようとしたメータ。ロス・フィルの機能美を最大限に引き出し、迫力と潤いが調和した見事な演奏を繰り広げている。オケの各パートの音量配分が上手く、微細な音をも埋もれさせずに活かし切ることに成功している。これをCDでも感じ取れるのは、ひとえに、直接音と間接音とのバランスが絶妙なRCAの録音の賜物と言える。そして、オリジナル・マスターに刻まれた音を余すところなく置換出来たのはXRCDだけと言ってよく、妥協を知らないエンジニアの職人魂にはただただ敬服あるのみ。こういう音質を聴くと、例えばEMIの録音など、有名なムーティ&フィラデルフィア管の録音はおろか、最新のパッパーノ盤ですら、1965年のアナログの音に追いついていないとさえ思えてくる。音の厚み、広がり、繊細さや豪快さといった表現の幅、そうしたものが、とにかく桁違いのXRCD。他のレーベルの音もこれくらい良かったらと思うのは、私だけではあるまい。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/21

    「あの独裁者ライナーに、シュトラウス・ファミリーに始まるウィンナ・ワルツが合うものか」。大方はそう思われるかも知れない。筆者もそうだった。しかし、一聴すればその魅力の虜に!ウィンナ・ワルツの演奏といえば、ウィーン・フィルに代表されるように、アンサンブルの僅かなズレを逆手に取って、あたかも踊り子のフリルのような柔らかさを醸す演奏が一般的だ。ライナーの演奏は、そうした女性的なものとは実に対照的だ。ものがウィンナ・ワルツだろうが何だろうが、一糸乱れぬ合奏と几帳面な三拍子で、引き締まったサウンドを聴かせてくれる。あたかも、可憐な踊り子をエスコートする健康的な体躯の男性を想起させるのだ。フリルの華やかさはないが、スタイリッシュなタキシードの格好よさはピカ一で、逞しいだけではなく上品な色香がある。特に《薔薇の騎士》は、若い頃ドレスデン国立歌劇場の指揮者を務め、リヒャルト・シュトラウスと交流があり、また彼の作品を何度となく演奏してきたライナーの面目躍如たるものだ。やや冗長な嫌いもあるケンペ編曲版よりもタイトな編曲であり、絢爛なサウンドも相俟って、これ以上ない出来になっている。《舞踏への勧誘》のチェロ独奏は、クレジットこそないがヤーノシュ・シュタルケルとみて間違いないであろう。これら名演を、さすがXRCDともいうべき驚愕の音質で聴けるのが何より嬉しい。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/11

    本当に1955〜56年の録音か!?恐るべき音質に驚愕あるのみ!モア&レイトンの名コンビによる超弩級の録音が、XRCDによってサウンド全開!《1812年序曲》など、合唱はおろか大砲すら入っていないが、そんなことなど何のその、ド迫力の音響に完全にノックアウト!並み居る盤を完全に押し退け、即王座決定!《メフィスト・ワルツ》など、半世紀以上の時を越えて、眼前に鳴るが如し。咆哮するブラスといい重厚な低音といい、“血湧き肉踊る”という形容がぴったりだ。イチ押しは《シュヴァンダ》で、絢爛豪華な目眩く音響美を、かくも明瞭に再現するとは!旋律の裏で忙しなく動く各楽器の音の一つ一つが、まるで手に取るように分かる。この、混濁することを知らぬ見通しの良さが、ステレオ黎明期の録音に存在していたこと自体、“歴史的大発見”ともいうべき驚きであり、そんな驚きに誘うJVCのエンジニア諸兄には、ただただ脱帽と感謝あるのみ。XRCDの新譜が出なくなって久しいが、是非とも他の歴史的録音も復刻して欲しいと願うのは、私だけではあるまい。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/05/02

    “世界最高峰”と呼ばれるオケとピアニストだが、そんな言葉に騙されてはいけない。アバドやポリーニを好む人の中には、盲目的な程に両者を信頼し、挙げ句、批判的意見には牙を向けるという、自分の偏狭さを棚に上げて排他的論説を繰り広げるような厄介なタイプがいる。そういう人には申し訳ないが、アバド時代のベルリン・フィルは、カラヤンとラトルの間に挟まれた不遇な時代だったのではないか。はっきり言って音が貧弱である。ピッチやアンサンブル自体、往年のベルリン・フィルを知る者なら疑問符を抱きかねないような不徹底ぶりである。有名なギレリス盤の、地鳴りのような底力はどこへやら。萎えた音にただ落胆あるのみ。ライヴ録音と銘打っておきながら、会場ノイズがコロコロと変わり、音場フォーカスも不自然であり、継ぎ接ぎだらけなのは一目瞭然!あくまで噂だが、ポリーニはライヴではミスタッチばかりな癖に、筋金入りの完璧主義だから、何度もリテイクを重ねてミスのない録音に仕立てているのだとか(この完璧さを一方では高く評価する向きもあるが……)。これだから、RCAのリビングステレオに代表されるほぼリテイク無しのスタジオ録音と、ポリーニのように加工しまくったライヴ録音とでは、断然前者のほうがライヴに近いというのが実情である。ポリーニの本来輝くようなタッチが、よく“機械的”と酷評される所以は、こうした録音姿勢も多分に影響しているものと思われる。もっとも、第3楽章の拙速なテンポ設定や左右の手のバランスなど、録音云々以前の問題もある。何をそこまで弾き急ぐことがあろうかと思う。実のところ、愛聴しているカッチェンのライヴ盤の方がタイム的にも速いのだが、カッチェンの切っ先鋭い表現が勝り、決して拙速に聴こえることはない。この差がやはり、ポリーニの弱点であろう。分離の乏しさにも惜しいものがある。中音域の抜けが悪く、篭ったように聴こえる。ヴァイオリン・セクションの細部情報が曖昧で、フルートを中心とした管楽セクションが威張る。バランスが悪いのだ。広い音域をカバーするピアノの音色などモロに影響を受け、抜けが悪く、そのくせ一部の音がやたらに強く出るような音に変貌している。対するお手本というべき音質なのがカーゾン/セル&ロンドン響盤(1962年DECCA)で、冒頭の一音から圧倒必至!轟く重低音、唸る管楽器、切っ先鋭い弦楽器、厚みのあるピアノなど、完璧。さすがカルショウの名録音。勿論演奏も壮絶で強烈!怒涛の打ち込みから、繊細至極な表情まで、表現の幅の広いこと!知・情・意全てが完璧!ポリーニだけが全てと思うなかれ。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

    このレビューに共感する

検索結果:608件中151件から165件まで表示