第21位
2005年8月2日 (火)
伝説のバンド
正統派ブリティッシュ・ロック・グループとして人気バンドとなったFreeはわずか5年余りという活動期間ながら、いまなお伝説の存在として語り継がれている。
ブルースをベースにした熱狂的なロックという点で、第2のRolling Stonesなどとも言われたFreeだが、彼らの場合にはストーンズのネバっこいリズム感覚とは違う、シンプルでタイトな独特の重さを持ったハードなロック・サウンドが身上だった。
それは熱を帯びたロックというスタイルをとりながらも、飽くまで全体的にはどこかドライな印象を残す、という魅力を生み、ここ日本の同時代のバンドにも大きな影響を与えた。
バンド結成 〜 デビュー
1968年春頃、元Brown SugarのPaul Rodgers(vo,g)、Black Cat BonesのメンバーだったPaul Kossoff(g)、Simon Kirke(ds)らが出会い、Freeの原型となるバンドが出来た。 ロンドン郊外の「フリックル・ピックル」というパブで出会い、意気投合した3人は、元John Mayall & BluesbreakersのAndy Fraser(b)を加え、バンド活動を開始する。
活動開始当初はまだBlack Cat Bonesを名乗っていたが、1968年秋頃からはFreeという名前で活動するようになった。この名はAlexis Kornerのバンド、Free At Lastからとられたもので、またAlexis Kornerが彼らに譲った名前だとも言われている。そしてFreeはAlexis Kornerの協力もあって、ロンドンで人気を高めていった。
また有名なDJ兼音楽評論家のジョン・ピールの協力も受けた彼らは、アイランド・レコードと契約。1968年11月アルバム 『Tons of Sobs』でデビューした。 しかしこの作品は高い評価を受けたもののセールス的には決して成功したとはいえなかった。
1969年に入るとFreeはEric ClaptonやSteve Winwoodらを擁するスーパー・グループ、Blind Faithのサポートとして全米をツアー。名前をある程度売った帰国後に制作されたセカンド・アルバム『Free』を同年10に発表している。これは全米トップ30入りするヒットとなり、Freeの存在は以前に比べて大きくクローズ・アップされるようになった。
『Fire & Water』での絶頂期
何と言ってもFreeの人気は、翌1970年6月に発表された3rdアルバム『Fire & Water』で決定づけられた。
この中からシングル・カットされた"All Right Now"が全英ナンバー・ワンを獲得。
自分達のスタイルを確立したこの作品は"All Right Now"に代表されるシンプルなリフやリズムの刻み方を強調した独特のサウンドにしても、バラード的な歌にしてもどこかストイックな感触がある。
また同年12月には早くも4thアルバム『Highway』を発表。この当時メンバーらはまだ20歳そこそこであったが、彼らの人気はここで絶頂を迎えた。 1971年に入るとFreeは全米ツアーを行い、これも大成功のうちに終える。またこの後同年5月には初の来日公演を敢行。しかし驚いたことにこの直後のオーストラリア公演終了後にフリーはあっけなく解散してしまうのだった。
新生Free誕生へ
好調な活動のさなか解散を表明したFreeは、その後ライヴ作『Free Live』をリリース。またバンド解散後、メンバーはそれぞれユニットを組んだが(Paul RodgersはPeaceというグループを結成)、結局どれも長続きはせず、成功を収めるには至らなかった。
そして1972年になるとFreeは何と解散から一年もしないうちにオリジナル・メンバーで再結成する。新生Freeは同年5月に『Free At Last』を発表。その後ツアーも開始し再び順調な活動を続けていくように見受けられた彼らだったが、そのツアー中にPaul Kossoffの病気が悪化し、彼がツアーをリタイア。またこれをきっかけにPaul KossoffとAndy Fraserの脱退という事態も招いてしまう。
その直後、1972年8月に再来日を果たしたFreeのメンバーはこのとき、Paul Rodgers 、Simon Kirke、日本人の山内テツ(b)(この後Facesへも加入する)とアメリカ人、John "Rabbit" Bundrick(key)という4人編成となっていた。
1973年1月、その4人となった新生Freeは『Heartbreaker』を発表。 "Wishing Well"ヒットも生まれ、高い評価を得たがその後予定されていたツアーを前に、Paul RodgersとJohn "Rabbit" Bundrick
の権力争そいがもとで、結局この年を最後にFreeは本当に解散してしまった。
正統派ブリティシュ・ロック・バンド
ひょっとすると現在のやや過剰なロック・サウンドに耳が馴れているリスナーには、Freeのサウンドは地味過ぎるように感じられることがあるかもしれない。
彼らのサウンドをよく聴いていくと、シンプルさを身上とした美学と、テクニックに裏打ちされた隙間を生かしたアンサンブルの絡み合いなど、そのサウンドの見事さに徐々に気づくに違いない。そうした通好みのするサウンド美学と、その短命なバンド生命による伝説度の度合いも相俟って、Freeの鮮烈な活動は今でも語り継がれ、どこかロマンティックな輝き方をしているように思う。
Bad Company誕生
解散と同じ年、Paul RodgersはSimon Kirkeとともに元Mott The HoopleのMick Ralphs、元King CrimsonのBoz Burrellという強力な布陣とともに新バンド、Bad Companyを結成した。
輝かしいキャリアを持つメンバーが集まったこの"スーパー・バンド"は注目を集め、デビュー・アルバム『Bad Company』は全米No.1を獲得したほか"Can't Get Enough""Movin' On"の2曲のシングル・ヒットを生んだ。 Free時代に培ったブリティッシュ・ハード/へヴィの威厳を保ちつつも、キャッチーさに長け、独自のオリジナリティを確立させたサウンドが受け、その後も『Straitght Shooter』、『Run With The Pack』、『Burnin' Sky』、『Desolation Angel』とヒットを放っていった。
Paul RodersがQueenへ参加
2005年、Paul RodgersがQuenn再結成のヴォーカルに抜擢されたというニュースが飛び込んできた。Freddie Mercuryの繊細な歌い方とPaul Rodgersのヴォーカル・スタイルが違うため、果たしてQueenのサウンドと合うのか?と言われていたのだが、蓋を開けてみるとい意外なことにしっくり来た。
Paul Rodgersを加えた新生Queenは現在ヨーロッパ各地をツアー中、そしてファン待望の日本公演も遂に決定している。
Paul RodgersのQueenへの参加ということもあり、再びFreeにも注目集まるときがやってきた。
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。
フィーチャー商品
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- 15. Chieftains
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- 21. Free
- 22. Stylistics
- 23. Little Richard
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