第24位

2005年7月27日 (水)

元祖黒人ロッカー率いる伝説のサイケバンド

Love

『過小評価されているアーティスト』の第24位のアーティストは...ロック&ポップスからLoveがエントリー。

Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリックス)とも交流のあった黒人ミュージシャン、Arthur Leeが在籍したバンド、Loveは60年代後期のアメリカ西海岸シーンを代表するサイケデリック・ロック・バンドです。70年代のバンドだけでなく、Pale FountainsAztec Cameraなど80年代ネオ・アコースティック/ギターポップ系のバンドにも大きな影響を与えたグループとしても知られています。特に、Pale FountainsのMichael Headは相当のマニアとして知られており、後年Arthur Leeと共演を果たすまでに至ります。

Loveの歴史

Loveは1965年、中心人物のArthur Lee(Vo,G)と、当時Byrdsのローディーを務めていたというBryanMaclean(G,Vo)を中心にロス・アンジェルスにて結成されました。結成当初のLoveByrdsの影響下にある典型的な(?)フォーク・ロックのスタイルをとっており、1965年発表のデビュー・アルバム『Love』は駄作とまでは言わないまでも、決定力不足な作品である印象は否めません(ただLoveにハマったら迂回してでも必聴)。

Loveが特別な存在へと進化したのは、やはり67年発表の2ndアルバム『Da Capo』からと言えるでしょう。本作以降、Loveは劇的な進化を遂げるのです!本作でのフルートとハープシコードをフィーチャーしたサウンドは正に唯一無二の個性。ただLP時代のB面すべてを使用した長尺ナンバー"Revelation"は蛇足との声もチラホラ。

そして『Da Capo』と同じ67年に最高傑作の誉れ高い『Forever Changes』が発表されます。商業的に成功した作品とは言いがたいですが、歴史的名盤と断言する事が出来る大傑作。当時のサイケデリック・ロック・シーンを代表する作品でもあります。

この後のLoveはオリジナル・メンバーがArthur Leeだけとなり、彼のソロ・プロジェクト的な側面が強くなります。その後、解散〜再結成を含めLoveの作品が幾つか発表されていますが、『Forever Changes』を超える作品は...。

Arthur Leeの逮捕などもありましたが、Loveは現在も活動を続けています。2003年には名盤『Forever Changes』をライヴで完全再現。そのときの模様は『Forever Changes In Concert』としてパッケージ化されています。

最高傑作『Forever Changes』について

このアルバムに纏わるエピソードについても触れておきましょう。

当初プロデューサーに予定されていたのは、なんとNeil Young。結局実現はしなかったものの、M4の"Daily Planet"に参加していると言う説も残っています。

チャート的にはアメリカでの最高位は154位と振るわなかったのですが、イギリスでは意外にも24位という高位置をマークしました。

歌詞的な面では精神的に不安定だったというArthur Leeの深層心理が描かれているようです。歌詞・対訳を眺めながら聴くと、より一層この世界観にハマることができるでしょう。

他の誰にも似ていない唯一無二の個性

メンバーに黒人を擁している事や、Arthur Leeの精神状態も影響しているのでしょうが、Loveは本当に他の誰にも似ていない唯一無二の個性であったと言えます。

メロディ・メーカーとしての才能を開花させたArthur Leeの紡ぐメロディと、緻密で美しいストリングス、変幻自在なホーン・セクションが融合した『Forever Changes』は頭に超が付くサイケ名盤とされていますが、型にハマっていないとでも言いましょうか。とにかく独特なのです。

当時は珍しかったメジャー・セブンスを多用した曲構成、ノリにくいけれどもハマるリズムとコード感は圧倒的にオリジナル。67年というロックの黎明期にしてオルタナティヴの扉を叩いていた、とでも言っておきましょう。

新しい音を探している若いロック・リスナーにも必ずや新しい発見がLoveにはあると思います。

BeatlesRolling StonesJimi Hendrixの次に聴くべきな偉大なる無名バンド、それがLoveなのです。

※表示のポイント倍率は、
ブロンズ・ゴールド・プラチナステージの場合です。

Love - THREE OF THE BEST