『犬10』 本木克英監督・インタビュー
Thursday, March 27th 2008
『犬と私の10の約束』本木克英監督・インタビュー
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第5回 「監督についてとメッセージ」
本木克英監督(以下、本木) 一映画ファンだったんです。で、大学4年のときに松竹が助監督を募集したので、試験を受けて入ったんです。助監督試験っていうのがその年だけあったんですよ。 就職活動の一環で受けました。先入観とかもなく、映画が好きだか受けてみよう、と。 --- それで受かってからイチから映画のことを勉強したのですね。 本木 いや、イチどころか、ゼロからです(笑)でも、その当時に付いていた監督たちが割りといろいろな作品を取っていたので、そういう環境は今に役立っていると思います。 --- 監督をするにあたって、参考にする作品などはありますか? 本木 実際に新作に取り組むときは実はあんまり映画を観ないですが、『犬10』に関しては1本だけラッセ・ハルストレムの『マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ』を観ました。結構好きだったものですから。あの映画も少年少女の成長を描いた作品で、ああいう感傷的ではないタッチで人間の深い感情を描くというのは、なかなか日本の映画監督の中には少ないんで。 あとは、木下作品、小津作品は暇があると見ています。 --- 『犬10』のあと、今は『ゲゲゲの鬼太郎2』を撮られていますが、気持ちの切り替えはスムーズに行くんですか? 本木 切り替えは問題なく出来ます。まったく別の作品だと思えるので、『ゲゲゲの鬼太郎』みたいに半分がCGみたいな作品をやると、次は『犬10』のようなCGがない、アナログな作品をやりたいと思うし。切り替え自体は大事だと思います。 幸い今、取る機会に恵まれているので上手くいかなくなるまでは(笑)、撮り続けたいと思っています。監督業も大変なので(笑) --- 『ゲゲゲの鬼太郎』の話ですがシリーズものの手掛けるという難しさみたいなものはありますか? 本木 続きものっていうのはあまり得意じゃないんですよ。だからタイトル的には続きものでも全く別のタッチにしたいです。『ゲゲゲの鬼太郎』に関しては、前作が結構軽いタッチだったので、今回は割りとダークな感じにしたいと思います。 --- 先ほどの話と少し重なってしまうかもしれませんが、監督の作品作りにおける原動力はなんでしょうか? 本木 原動力ですか、それは観客の反応です。 『てなもんや商社』(監督デビュー作)を撮ったときなんですけど、実際劇場に足を運んで、最前列から観客の反応を見たりしてました。予想もしないところでお客さんが笑ってくれたりすることに、この上ないエクスタシーを感じて(笑)それでしばらくはコメディをやってたんです(笑) そういうこともあって、俳優の演技に溺れないように、割と冷静に客観的な立場で観客にとってこれは面白いものなのかっていうのを考えながら撮っています。 --- ミュージシャンのライヴみたいな感じですね。 本木 そうかもしれないですね。それだけに批判をされると非常に弱いです(笑) --- 題材を決めて、撮るまで、撮った後もプロモーションとか色々あるので、本当に気持ちが入っていないと長い間作品とむきあえないですよね。 本木 そう思います。妥協しないというかっこいい言葉は使わないですけど、全編満足してやらないとやっぱり自分の作品だ、とはいえないんでそこだけはこだわっているところですね。 --- 最後にHMVユーザーにメッセージをお願いします。 本木 多分、何度見ても同じ感動を味わえる作品になったと思うので、映画館で観たあとにはDVDでも観てください(笑) あとは、劇中のあっちむいてホイとか、犬のシーンは99%アナログでとっているんでそれをチェックしながら観ると楽しいかな、と。どうやって撮ったの?とかロボットを使ったのは1シーンだけで、あとはすべて生身の犬なので、そういう目線でも作品を楽しんでください!
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本木克英監督 プロフィール |
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1963年富山県生まれ。87年松竹入社。『てなもんや商社』(98)で監督デビュー、第18回藤本賞新人賞を受賞。以後『釣りバカ日誌イレブン』(00)、『釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇』(01)、『釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!』(02)、『ドラッグストア・ガール』(04・宮藤官九郎脚本、田中麗奈主演)、『ゲゲゲの鬼太郎』(07・水木しげる原作、ウエンツ瑛士主演)など。TVドラマ作品は『天切り松 闇がたり』(04・CX/主演:中村勘九郎)、『丹下左膳』(04・NTV/主演:中村獅童)、10時間ドラマ『天下騒乱 徳川三代の陰謀』(06・TX/主演:西田敏行)、『めぞん一刻』(07・EX/主演:伊東美咲)などがある。
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