『犬10』 本木克英監督・インタビュー

--- 次にキャスティングについてお聞きしたいと思います。主人公のあかりを演じた田中麗奈さんとその少女時代の福田麻由子さんがあまりにも似ていて、奇跡のキャスティングだ！と思いました。

本木克英監督（以下、本木）　　 そうですね！加瀬君の少年時代を演じた佐藤翔太君もそうですけど、絶対に守りたかったのはとにかくたたずまいが似ているということで、結構これにはこだわりました。

もう既に主演の田中麗奈さんは決まっていて、少女時代の役に何人か推薦されてその中に福田さんもいて、確かに似てるんだけどあかりの10年前の姿にしてはちょっと大きいかな、と思ってたんですね。それでもうちょっと探そうかってなったときに、福田さん本人がすっ飛んできて（笑）「私どうですか？」って

--- 自ら売り込んできたんですね！（笑）

本木　　 それで実際に会ったら、一目見て、ああ決まった！となりました（笑）

--- あの田中さんと福田さんの同一人物っぷりがあるからこそ、そこで観客もドップリ感情移入してしまうのではないかと思いました。

本木　　 そうなんですよ！まさしくそこがポイントで、10年経ったときにちゃんと観客を引きずりこめるかどうかが重要だったんです。そこですんなり行けばこの映画が良くなると思っていました。

--- その田中麗奈さんは『ドラッグストアガール』『ゲゲゲの鬼太郎』、今回の『犬10』と監督の作品に多く出演されていますけれども･･･

本木　　 はい。ほんとにこれはたまたまです。

--- たまたまだったんですか！監督のお気に入りなのかと思っていました。

本木　　 お気に入りはお気に入りなんですよ！なんでも受け入れられる器がある方なので。『ゲゲゲの鬼太郎』の猫娘みたいなはじけた役もやりすぎても違和感を感じないというか、器用ではないんだけど、どんな役にも魂から入っていく珍しい映画女優だと思います。

ただ本当に一緒の作品が多いのは偶然です。撮影のときはまた次もやりましょうよ、みたいな感じになってますけども。

--- 監督にとって良い俳優、女優というのはどういう方ですか？

本木　　 そうですね、どんな役でも、その脚本に書いてある役を素直に受け入れられる人です。なんか作りこんで見せてやろうとかそういうことはしないで割りとナチュラルに噛み砕ける人が良い役者だと思います。なかなかいないんですけどね。

それから、気が長い人（笑）ちゃんと待てる人。イライラしないヒト（笑）が良いんじゃないでしょうかね。待ち時間が長いですからね。

--- 役者さんたちは空いている時間に何をしているのかな、とちょっと思いました。

本木　 待ち時間がその作品をより良いものにするための時間になったらよいんですけれど、なかなか人ってそうはいかないので。そういう間に今どういうシーンなのか？とか、監督はなにを欲しがっているか？とかを考える時間になってくれれば良いんです。

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