―まず、全米では初登場1位を記録したそうですね、おめでとうございます。2位との差もかなりついていましたね。
トビン・ベル(以下、トビン):(上げた手をグルグル回して喜びながら)やはり、シリーズものだからレベルをキープしてくことがすごく大変なのです。その分だけ逆にがんばらなければならないわけですし、観客に対しての責任もありますからね。スタッフ皆ががんばった結果だと思います。
イギリス、日本、ブラジル・・・どの国に赴いてもそうなんですが、特にファンの方に接すると、やはり皆さんいいファンでいらっしゃって、それだけに我々もいいものを創らねばと真剣になるのですよ。
―ジグソウという残忍なゲームの支配者を演じられて、その映画がヒットしているということに関しては、ご自身どう思われていますか?
トビン:自分自身のことを彼(ジグソウ)は残虐だと思っていないと思うのです。人がそう思うのは分りますけれどね。彼は自分の仕事を大切にしていますし。また、他者から悪人と呼ばれる人も、自分のことをむしろ悪いとは思ってはいないと思います。東京、ニューヨーク、ロスアンゼルスの街を歩いている人々の中には悪人と呼ばれる悪い人もいるわけです。そこで彼らは必ずしも自分のこと悪人だとは思ってはいないと思いますし、自分なりに自分を正当化する方法を持っていたりすると思うのです。自分のやっていることの存在理由を皆さん持っているのですよ。
例えばトミー・リー・ジョーンズの『死刑執行人』を見れば、彼はゲイリー・ギルモア役として10人殺しますよね。でもね、彼がどんな男であるかということを垣間見れる窓みたいなものがそこにはあるし、あるいは『片目のジャック』のマーロン・ブランドは80人殺す役ですが、観客の方は何がしか感じるものがあるわけです。
そういうキャラクターが登場する作品である場合、その人がどうしてそうなってしまったのか・・・動機、そういうものが見える、分る、窓を作ってあげると作品としてより豊かになると私は思います。そうでなければ、すごく一時限的な作品になってしまうじゃないですか。
―今、“動機”というお話をされましたけど、今回の『SAW4 ソウ4』ではジグソウの過去が今までのシリーズ作品より鮮明に描かれていると思うのですが、犯人になったジグソウと、(犯行とは関係なかった)過去のジグソウとは演じ分けなさったのですか。
トビン:そうですね。もちろん犯人になってからの彼は・・・そう事故の後ですね、彼は病に倒れ、車椅子であったり、ベッドでチューブを挿されたままの寝たきりの状態ですし、それ以前の彼は目ももっと輝いているし、もっと心も温かいものであったと思います。そして、彼の人生にも美しい女性がいたわけです。
アマンダ役のショウニー・スミス、そう殺人ゲームを犯すようになってアマンダという美しい女性もい居たわけですがね。それ以前の彼は、自分の人生にすごく希望を感じていたし、もっと楽観的なところがあった。だからもうすこし先のことに希望があった・・・そこがちがうのではないかと思います。そこで、自動車事故にあってしまう・・・
(HMVスタッフに)ところで、『SAW4 ソウ4』はご覧になりました?
―はい、観ました。エキサイティングでした!
そういえば、『SAW4 ソウ4』のプレスシートに、監督のダーレン・リン・バウズマンが、トビンさんがジグソウの人物像を書き記した分厚い革の手帳をお仕事で持ち歩いてるって書かれてましたが本当ですか?
トビン:持っています。
今回のキャラクターに限らず、全て演じたキャラクター、例えば『ザ・ファーム 法律事務所』であったり『ザ・シークレット・サービス』であったり、全部持ってます。ただね、ダーレンは“全てを”って言っていたみたいだけれど、すべてのディテイルを知りえることなんて無理ですよ。
というのも、まず脚本を読んだときからいろいろとメモをとり、「これはどうなんだろう?」という自分なりの質問なども書いていきます。その答えを自分で見つけながら・・・。見つけると、さらに多くの質問を見つけてしまう・・・。というかたちで作業は進むので、結果的に、全ての詳細部分までを把握できたり理解できるだなんてありえません。
俳優としてカメラの前に立ったときに、そのキャラクターに足るだけの情報であったりディテイルだったり知ることができれば演じられるのですけれども、それでも、全部知ることは不可能なのです。
人は誰しもそうです。あなた方も、今朝起きてから、ここにきてこの場でお座りになるまでのディテイルはすべて頭の中のコンピューターにあるわけで、人は自分の人生のディテイルを全部メモリに持っているはずです。それは、我々にとってふつうの事ですよね。けれども、想像上の、フィクションのキャラクターを創りたいと願うならば、それも自分の気がおかしくならずに創り上げたいと思うならば、もっと足りないディテイル考えたりとか・・・そういった行為は必要となってくるのです。
それゆえ、『ソウ1、2、3、4』の日誌それぞれ全部持っています。このように1人のキャラクターを演じ続けられるということは、そういった、分らない空白部分をどんどん埋めていけるものなのです。そうは言っても、さっき申し上げたようにすべての質問に答えられることはできませんね。
―『SAW4 ソウ4』の作品から離れた質問をさせていただきます。今回日本は初めてということなんですけれども、印象はいかがでしょうか?
トビン:ニューヨークみたいだ。(全員爆笑)
皆がいろいろな土地から同じ処に集まってきているなぁとか、そういう感覚が近いし、高速とか鉄橋とか、また、こういう皆を迎えるようなかたちとか。だからこれは都市のとても中央にあるんだなという、そういうかんじが好きです。そして日本人の方はそれぞれ自分のスタイルをお持ちだな、自分のルックスに非常に気をつかっておられるなという印象を持ちました。
―これから、東京以外に日本でどこか行かれる予定はありますか?
トビン:ありません。すぐにロスに戻らなければなりません。時間がないのです。
―では、また是非来て下さい。
トビン:ご招待いただいて、ありがとう(笑)
―はい(笑)是非!
―ところで、この『SAW4 ソウ4』のエンディングテーマ曲を日本のX JAPANというとても有名で人気のあるバンドが演奏しているのですが、おそらくこのバンドのファン、今までに加え、まったく別のファン層もこの作品を観ると思うんです。
トビン:彼らの楽曲がすごく特別な要素を作品の最後に与えてくれているので、やはりそれを聴きに来てほしいです。私自身、もう聴いているのですが、本当に独特のムードを持っていて、それがこの作品に合っていると思いましたので嬉しく思うし、できれば(X JAPANに)お会いしたいなと、楽しみにしているんです。
―普段はどんな音楽を聴かれるのですか?
トビン:DIDO、ERIC CLAPTON、VAN MORISSON、SMOKEY ROBBINSON・・・です。
―(DIDOが意外な感じ!)
それでは最後にこれから『SAW4 ソウ4』を観る日本のファンに向けてメッセージをお願いします。
トビン:ワンダフル・トラップ、ワンダフル・トリック、ビックリしてしまうようなスペシャル・サプライズを期待してください。
そして、ジョン・クレイマーという人物が、ジグソウの本名であり、ジグソウ自身ですね、彼の人生について多分より知ることになるとおもいますし、また、どうして彼が現在このような道を歩んでいるのかということも多分おわかりになると思います。
―どうも、ありがとうございました!
トビン:GOOD LUCK !!