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【連載】 森は生きている 「コラム」 第三回 「影響」(3)-リズムのこと-

2014年12月5日 (金)

森は生きている
連載「コラム」

森は生きている、メンバー全員登場の「無人島〜俺の10枚」が、めでたく完結し、今度はなんとコラムの新連載。アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

【連載】 森は生きている 「コラム」 一覧

第三回 「影響」(3)-リズムのこと-

 森は生きているの2ndアルバム『グッド・ナイト』が発売されて一週間。一年程作業をしていたので、まだ発売したばかりということに些かの違和感を感じる。とは言え、不思議なもので、発売した途端にアルバムでやりたかったことと直結するようなものに出会うことが増えた。意識による思い込みかもしれないが、新しい影響を受けることに変わりはなく、なかなか満足はさせてくれないようだ。第一回で、コラムが終わる頃には全然違うことを言い出しているかもしれない、というようなことを書いたが、強ち冗談とも言えないかもしれない。しかし、アルバムを改めて自ら思い返す心境に完全に至るまでにはもう少し時間がかかりそうだし、それに至った時に素直に向き合えるようもう少し時間を流そうとも思う。

 幼少期の頃から打楽器に興味があった。それは、非常に漠然としたもので、プールの中で感じた永遠の時間や、高いところに登って感じた恍惚感と似たようなものを、テレビやカーステから流れる民族音楽や、音楽室にあったパーカッションのフォルムから勝手に感じ取っていただけだった。稀に楽器に触れる機会があっても使い方がわからず、イメージと違う自分の出す音に愕然としながら、美しいフォルムに見とれ、本来それぞれの楽器が出すはずの音や雰囲気を想像して、それで満足するのであった。
 そんなことはとっくに忘れた中学2年の頃不良友達とバンドをすることになりドラムを始め、少し時間を置いて音楽に本格的にのめり込んだ頃には、凝り固まったリズムが身に沁み込んでいた(小学校高学年から聴いたJ-POPも影響しているだろう)。ボーナムもチャリー・ワッツもマイケル・ジャイルスもフレーズは覚えたのにどうも雰囲気が出ない。悩んで最初に出した答えは「3」の感覚だった。6/8系のリズムは世界的に見たらごく自然なリズムであるが、田舎で何の音楽教育も受けずに育った当時の自分には全くない感覚であった。ボーナムの、チャーリー・ワッツの、ガッドの8ビートに「3」を発見した。今思うと笑える話だが、当時は目から鱗の大発見だった。そんな高校の終わり頃、地元で開かれたパーカッショニスト、ヤヒロ・トモヒロ氏のワーク・ショップに参加し、「発見」は確信に変わり、同時に衝撃を受けた。「3」なんて難しいことではなく、彼の振るカシシの豆の動きにリズムの根源を感じた。それは、拍と拍の間を自由に遊泳していた。
 かくして、僕のリズム研究が始まった。リズムのことを言葉で語るのは非常にややこしい側面があるのだが、そこで自ら設けた「影響」というテーマを利用したいと思う。難しいものと思ってもらっては本末転倒。体を委ねて欲しい。

〈頭に低音のいないリズム〉

・tony allen

 現在日本で自然と耳に入る音楽のほとんどに頭にバス・ドラムがいるだろう。でも、そうでないリズムや音楽も沢山ある。世界的に見たら頭に低音がある音楽の方が少ないかもしれない。もちろん頭に低音がいることを否定しているわけではない。『グッド・ナイト』でも例外はプレリュードくらいのものだし、ジャズなんて相当自由である。ただ、そういう音楽もあるということ。それにこれから紹介するリズムも頭に低音がいてはいけないというわけではない。総じて言えることは、非常に気持ちいいということ。


 アフロ・ビート最大のドラマー、トニー・アレンのビートは頭にいきなりスネアがくることが多い。彼は、右手、左手、右足、左足、自分の中に4人のドラマーがいると語り、躍らせること以外のためにドラムを叩いたことがないと語る。その力抜けまくり、躍らせまくりのドラミングに体を委ねて欲しい。

【HMV特集】 太鼓の達人:トニー・アレン

・パルチード・アルト

 ブラジルのパルチード・アルトというリズムも、変わったリズムであるが一度体に入るとやみつきになる。



Rosa Passosの「pano pra manga」という曲だが、0:16〜のリズムがパルチード・アルト。そして、0:26〜のサンバへの移り変わりが最高に気持ちいい。何より素晴らしいシンガー。

・カンドンベ



 ウルグアイのカンドンベというリズムも独特の雰囲気を持つ。ブラジル音楽界では有名なウルグアイ人のピアニスト、ウーゴ・ファットルーソと、その弟オズバルド、またウルグアイの打楽器タンボールのプレイヤーでもあり楽器職人でもあるレイ・タンボールというチームによる演奏であるが、6/8系のリズムから始まり、途中所謂カンドンベになり、また6/8に戻る。その移り変わりすべてでがんばっていない。低音は一番大きな太鼓タンボール・ピアノに委ねられているが、頭で鳴っていることは少ない。そして、そんなことどうでもいい。一番小さな太鼓タンボール・チコの(あえてアカデミックに言えば)16分の2つ目で鳴るアクセントも心地いい。
(続く)
森は生きている 増村和彦(Dr.etc.)

【連載】 森は生きている 「コラム」 一覧はコチラから!

【連載】 森は生きている 「コラム」 
森は生きているが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を発売した。アルバムの発売を祝し、メンバーによるコラム連載がスタート!アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

第一回 : 「影響」(1)-序- | 第二回 : 「影響」(2)-幼少期のこと- | 第三回 : 「影響」(3)-リズムのこと-


『グッド・ナイト』 森は生きている [2014年11月19日 発売]

『グッド・ナイト』 森は生きている 予てよりバンドが血肉化してきた数々の有機的な音楽遺産に加えて、このセカンドアルバムでは、サイケデリックロックや、時にはプログレッシブロック〜アヴァンギャルド的な語法も交えつつ、枚挙するに戸惑われるほどの数多の要素や音楽美が溶かし込まれている。レコーディング〜ポストプロダクションにおいてもバンドの完璧主義が全面的に敷衍され、ベーシックトラックに於けるアナログテープ録音から、様々な楽器音・電子音の重層的配置、更にはリーダーの岡田拓郎自らによる偏執的とも言える精緻かつ玄妙なミキシング作業までを通して、生鮮と爛熟が奇跡的にバランスする、圧倒的な音楽世界が作り上げられている。そして、ファーストアルバムでも独自の美意識を薫らせていた歌詞表現も更に奔放な羽ばたきを得て、音像と詩的心象がただ一つに融解していくように、聴くものを幻夢の世界へと誘い混む。それは恰も、歴史に晒されながらも清廉を保つ芳醇なシンフォニーのようでもあり、かつてモンパルナスに集った吟遊の芸術家集団による狂騒歌のようでもあり、老練の工人によって紡ぎ出される生活歌( ブルース) のようでもあり、そして、いつか見た未来を朧気に映し出す幻燈の静寂音のようでもある。2014年という時代に屹立する、森は生きているという純音楽集団にしか創り出し得ない圧倒的名盤にして孤高の作品が、ここに誕生した。

【HMVオリジナル スペシャル音源特典】
森は生きている「early tape of “グッド・ナイト” vol.2」CD-R

[収録内容]
1.プレリュード demo
2.青磁色の空 demo

※特典は無くなり次第終了となります。ご購入前に必ず商品ページにて特典の有無をご確認下さい。

『グッド・ナイト』収録楽曲

  • 01. プレリュード
  • 02. 影の問答
  • 03. 磨硝子
  • 04. 風の仕業
  • 05. 痕跡地図
  • 06. 気まぐれな朝
  • 07. 煙夜の夢 (a,香水壜と少女 / b,空虚な肖像画 / c,煙夜の夢(夜が固まる前))
  • 08. 青磁色の空
  • 09. グッド・ナイト

森は生きている プロフィール

岡田拓郎(Gt.,etc.) /竹川悟史(Vo.,etc.) /谷口雄(Pf.,etc.) /増村和彦(Dr.,etc.) /大久保淳也(Flute,Reeds, etc)
柔軟な吸収力と表現力を武器に、滋味豊かでいて瑞々しい独自の音楽を生み出す「純音楽楽団」、森は生きている。
2012年、リーダーの岡田拓郎を中心に東京で活動を開始。その年の末、ファーストCD-R「日々の泡沫」を発表し、自主制作盤にもかかわらず各レコード店にて軒並みソールドアウトを記録。2013年にはP-VINE RECORDS よりファースト・アルバム『森は生きている』をリリース。音楽シーンを代表する作品として各界から高い評価を得、発売を記念して行われた各地でのリリースツアーも大盛況のうちに終える。その後もさまざまなイベントやフェスへ出演するなど活発な活動を繰り広げる中、2014年にはファースト・アルバムのアナログ盤をリリース、それに合わせバンド初となるワンマン公演を東京渋谷WWW にて大盛況のうちに開催。11 月には待望となるセカンド・アルバム『グッド・ナイト』をリリースする。
カントリー、ソフトロック、サイケ、スワンプロック、アンビエント、モンド、トロピカル、ジャズ、ブルース、アフロ、クラシック、現代音楽etc…数々の音楽遺産を深く咀嚼しつつもあくまで現代的な表現として昇華する有機的且つ先鋭的なプロダクション、卓越した演奏、そして仄かに文学の匂いが薫る歌詞世界。森は生きているの奏でる音楽が、時代の心象を儚く切り取るように、そこここへ満たされていく…。

http://www.moriwaikiteiru.com/


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