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【連載】 森は生きている 「コラム」 第一回 「影響」(1)-序-

2014年11月21日 (金)

森は生きている
新連載「コラム」
スタート!


森は生きている、メンバー全員登場の「無人島〜俺の10枚」が、めでたく完結したばかりですが、今度はなんとコラムを新連載いたします。アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

【連載】 森は生きている 「コラム」 一覧

第一回 「影響」(1)-序-

 このコラムの連載が始まる頃には、森は生きているの2ndアルバム『グッド・ナイト』が発売されていて、賛否両論ともかく何気ない会話の一部にでも話題が上ることがあるのなら---それは僕たちの知る由もない場所や時間、幸いであるが、今は、まだアルバムの在庫も届いていない楽器とレコードと書籍に侵された黴臭い小さな部屋でこれを書きながら、発売前の不安を濁している。連載が終わる頃には杞憂であったと思えることを祈る。

 1stアルバム『森は生きている』が発売した後、バックグラウンドについて、取り分け「ルーツ・ミュージック」という言葉を使って、聞かれることが幾度かあったが、影響は多岐に渡り、模索中の対象も数多く、またそれらを限られた表現の中(形としてはまだ一枚のデモ・シングルと一枚のアルバムしか世に出ていなかった。)でどう処理したかと問われても、その場の質問に対する答えはできたとしても、そもそもやりたいことの一部でしかないとしか言いようがなかった。まだ駆け出しであったし、今もそうだ。

 芥川龍之介の『文芸的な、余りに文芸的な』に、興味深い一文がある。

「日本人は模倣に長じてゐる。僕等の作品も紅毛人の作品の模倣であることは争はれない。しかし彼等も僕等のやうにやはり模倣に長じてゐる。ホイツスラアは油画の上に浮世画を模倣をしなかつたか? いや、彼等は彼等同志もやはり模倣し合つてゐる。更に又過去に遡れば、大いなる支那は彼等の為にどの位先例を示したであらう? 彼等は或は彼等の模倣は「消化」であると云ふかも知れない。若し「消化」であると云ふならば、僕等の模倣も亦「消化」である。同じ水墨を以てしても、日本の南画は支那の南画ではない。のみならず僕等は往来の露店に言葉通り豚カツを消化してゐる。」

 長い時間の中で洗練と衰退を繰り返してきた様々な尊ぶべき事象、またその中で幾度も刻印されは、均され、また刻印される「模倣」、そしてその時間時間に浮かび上がる「豚カツ」。僕らが、民族音楽やブルースを尤もらしく語ることは恐れ多い側面もあるが、学ぶ意味は大きいし(楽しいし)、往昔の偉人達のように100年単位で物事を話す余裕はまだないが、「The Band」や「はっぴいえんど」はオルタネイトだし、そして今現在に僕らは生きる。さらに言うと、「豚カツ」(核心とユーモアを同時に示した面白い言葉だと思う。)を大事にする一方、オリジナリティをそこだけにおいているわけではない。「村八分」は、ストーンズの曲まんまみたいなことをやっても、圧倒的に彼らだった。「音」にオリジナリティを求める。それは普段考えていることがすべてそこに流れ込む嘘のつけない「音」。

 ---影響について胡散臭いことを書き連ねてきたのは何を隠そう、コラムのテーマ決めに迷ったからだ。次回からは音楽に限らず、実際に影響を受けたものを紹介していけたらと思う。しばらくは、増村が受け持つことになったこのコラムではあるが、「他のメンバーが書く際も同じテーマで」というルールを鑑みて、悪知恵を絞って出したどうにでもなり得るテーマである。裏を返せば、適当なことを書いたのではすべて自分に返ってくるテーマでもあろう。単なるレビュー・コラムと見られるかもしれないが、回を重ねる中で作品に与える違う印象が出てくるかもしれないし、自分自身での発見もあるかもしれない。コラムが終わる頃には全く違うこと言い出しているかもしれないことを先に詫びつつ、第一回の筆を置く。
(続く)
森は生きている 増村和彦(Dr.etc.)



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【連載】 森は生きている 「コラム」 
森は生きているが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を発売した。アルバムの発売を祝し、メンバーによるコラム連載がスタート!アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

第一回 : 「影響」(1)-序-


『グッド・ナイト』 森は生きている [2014年11月19日 発売]

『グッド・ナイト』 森は生きている 予てよりバンドが血肉化してきた数々の有機的な音楽遺産に加えて、このセカンドアルバムでは、サイケデリックロックや、時にはプログレッシブロック〜アヴァンギャルド的な語法も交えつつ、枚挙するに戸惑われるほどの数多の要素や音楽美が溶かし込まれている。レコーディング〜ポストプロダクションにおいてもバンドの完璧主義が全面的に敷衍され、ベーシックトラックに於けるアナログテープ録音から、様々な楽器音・電子音の重層的配置、更にはリーダーの岡田拓郎自らによる偏執的とも言える精緻かつ玄妙なミキシング作業までを通して、生鮮と爛熟が奇跡的にバランスする、圧倒的な音楽世界が作り上げられている。そして、ファーストアルバムでも独自の美意識を薫らせていた歌詞表現も更に奔放な羽ばたきを得て、音像と詩的心象がただ一つに融解していくように、聴くものを幻夢の世界へと誘い混む。それは恰も、歴史に晒されながらも清廉を保つ芳醇なシンフォニーのようでもあり、かつてモンパルナスに集った吟遊の芸術家集団による狂騒歌のようでもあり、老練の工人によって紡ぎ出される生活歌( ブルース) のようでもあり、そして、いつか見た未来を朧気に映し出す幻燈の静寂音のようでもある。2014年という時代に屹立する、森は生きているという純音楽集団にしか創り出し得ない圧倒的名盤にして孤高の作品が、ここに誕生した。

【HMVオリジナル スペシャル音源特典】
森は生きている「early tape of “グッド・ナイト” vol.2」CD-R

[収録内容]
1.プレリュード demo
2.青磁色の空 demo

※特典は無くなり次第終了となります。ご購入前に必ず商品ページにて特典の有無をご確認下さい。

『グッド・ナイト』収録楽曲

  • 01. プレリュード
  • 02. 影の問答
  • 03. 磨硝子
  • 04. 風の仕業
  • 05. 痕跡地図
  • 06. 気まぐれな朝
  • 07. 煙夜の夢 (a,香水壜と少女 / b,空虚な肖像画 / c,煙夜の夢(夜が固まる前))
  • 08. 青磁色の空
  • 09. グッド・ナイト

森は生きている プロフィール

岡田拓郎(Gt.,etc.) /竹川悟史(Vo.,etc.) /谷口雄(Pf.,etc.) /増村和彦(Dr.,etc.) /大久保淳也(Flute,Reeds, etc)
柔軟な吸収力と表現力を武器に、滋味豊かでいて瑞々しい独自の音楽を生み出す「純音楽楽団」、森は生きている。
2012年、リーダーの岡田拓郎を中心に東京で活動を開始。その年の末、ファーストCD-R「日々の泡沫」を発表し、自主制作盤にもかかわらず各レコード店にて軒並みソールドアウトを記録。2013年にはP-VINE RECORDS よりファースト・アルバム『森は生きている』をリリース。音楽シーンを代表する作品として各界から高い評価を得、発売を記念して行われた各地でのリリースツアーも大盛況のうちに終える。その後もさまざまなイベントやフェスへ出演するなど活発な活動を繰り広げる中、2014年にはファースト・アルバムのアナログ盤をリリース、それに合わせバンド初となるワンマン公演を東京渋谷WWW にて大盛況のうちに開催。11 月には待望となるセカンド・アルバム『グッド・ナイト』をリリースする。
カントリー、ソフトロック、サイケ、スワンプロック、アンビエント、モンド、トロピカル、ジャズ、ブルース、アフロ、クラシック、現代音楽etc…数々の音楽遺産を深く咀嚼しつつもあくまで現代的な表現として昇華する有機的且つ先鋭的なプロダクション、卓越した演奏、そして仄かに文学の匂いが薫る歌詞世界。森は生きているの奏でる音楽が、時代の心象を儚く切り取るように、そこここへ満たされていく…。

http://www.moriwaikiteiru.com/


無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】 一覧はコチラから!

無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】 一覧 
森は生きているが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を11月19日に発表する。アルバムの発売を祝し発売日に向け連載された『無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】』

第一弾 : 増村和彦 | 第二弾 : 谷口雄 | 第三弾 : 大久保淳也 / 五野上欽也 | 第四弾 : 竹川悟史 | 第五弾 : 岡田拓郎

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グッド・ナイト

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森は生きている

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発売日:2014年11月19日

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