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『犬10』 本木克英監督・インタビュー

Wednesday, March 26th 2008

無題ドキュメント
犬と私の10の約束
『犬と私の10の約束』本木克英監督・インタビュー

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第4回
「『犬10』とキャスト2」


--- 撮影時間という話が出ましたけど、プロダクションノートを見ると撮影が3回の季節に分かれていたということなんですが、撮影の合間のモチベーションのキープはどのようにされていましたか?

本木克英監督(以下、本木)   これは難しいと思ったんですけど、最初冬に入って、4ヶ月くらいあいて春を撮ったんですね。実は冬の撮影時にはまだ脚本がそれほど固まっていなかったこともあって、考える時間が欲しかったんですよ(笑)

それでとりあえず手探りでクランクインして俳優さんたちに動いてもらい、なんとなく作品の世界をつかんで、空いた期間に更に脚本を練ってから、春からの撮影に臨めたということで、ぼくにとってはとてもよかったです。

俳優さんたちも演じる役があまりにも普通の人たちが多いので結構悩んでいたみたいなんですよ。

--- あまりにも普通の日常を描いているからですか?

本木   そうです、自分がどんな人間で何を考えているのかとか・・・。最近の映画って結構キャラクターが立った役が多いので、特殊な事情を抱えたというか、そういうのが全くないごく普通にささやかに生きている人たちの話だから。

そういう意味では、最初に撮影を少しやって、それから間が空いたことによって、結構みんないろんなことを考えたんじゃないかな、と。共演者のこともわかったし、犬のことも。ちょっとインターバルが空いた間に、作品を各自それなりに練る時間があってよかったのかな、と言う感じです。

--- 短期間で集中的に撮るよりも良い効果があったのですね!

本木   そうですね。あと、最初ものすごく寒かったんで(クランクインは冬の北海道)、春の撮影が待ち遠しいというモチベーションもありました(笑)

--- なるほど(笑)。脚本が固まっていない状態で撮影に入るということは、製作の現場でよくあることなんですか?

本木   よくあります!もう慣れっこになっています(笑)どれだけ書き込んだ脚本でも、実際俳優さんに動いてもらうと矛盾が見つかったりするので。だから、脚本を変えるな、という脚本家の方とは僕は仕事しないです。(笑)

--- 次に脇を固める役者さんたちについてです。池脇さん、布施さん、ピエール瀧さんが演じている役たちがキャラクターが濃いな、と思ったのですが(笑)

本木   あえて濃くしたんです(笑)あえてですね。実はこの映画はそういう脇の人たちにすごく助けられているところがあって、例えば、池脇さんなんかはぼくが思うにとても器用な女優さんで、今の若い20代の女性を代表するようなキャラクターを詰め込んで濃くしたという感じですね。ピエールさんは、今や少なくなってきた職人肌のコワモテの、最近いないからぼくがみてみたいな、というキャラクターを作りこんでもらったり、こころとは裏腹のキツイ言葉をいって弟子を育てるみたいな。あと布施さんは最後に美声を披露していただいて(笑)撮影現場では拍手が起こりました!

こんなかんじであえて脇の方たちを濃厚にすることでかえって主軸の人たちを浮かび上がらせることができましたね。

--- 池脇さんが連れていた犬も濃かったですね(笑)

本木   ビジョンフリーゼっていう犬種で、あのシーン(見てのお楽しみ!)は脚本の段階では面白くなるかどうか判らなかったんです。寒くならないか?と。で、やってみたらみんな結構おもしろがっていたので、じゃあこれは劇場でも大丈夫だな、と(笑)

ぼくはいつも観客の反応がどうなるかっていうのを気にしながら撮っているんで、自分の見せたいものを追求するよりも、お客さんはどんなものを見たら楽しんでくれるかな、というような意識しながら撮っています。

--- そうだったんですね。

本木  ええ。だから加瀬君なんかは、やりにくそうだったというか、ちょっと戸惑っている部分も最初はあったみたいですよ。自然にやってくれれば、ぼくたちはそれを感じますから、と伝えてやってもらったんですけれど(笑)

--- 監督の意見を役者さんに聞いてもらうというのではなくて、ですか?

本木  『犬10』の場合登場人物は普通の人でそれほど強い目的意識をもっていきているわけではないし何も考えずにぼーっとしている時間もあるわけで、そういう雰囲気がだせれば上手くいくと思っていました。

なるべく造りこまないで日常的に日常的に、と

--- こういう演出方法は本木監督の特色と言ってしまっても良いのでしょうか?

本木 そうですね、でも『ゲゲゲの鬼太郎』みたいなエインタテインメントを追求したような作品では全く違うので・・・(笑)。まだ、自分はこうだ、みたいなのは決めたくないですね。

『犬10』特集ページはコチラ

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本木克英監督 プロフィール
1963年富山県生まれ。87年松竹入社。『てなもんや商社』(98)で監督デビュー、第18回藤本賞新人賞を受賞。以後『釣りバカ日誌イレブン』(00)、『釣りバカ日誌12 史上最大の有給休暇』(01)、『釣りバカ日誌13 ハマちゃん危機一髪!』(02)、『ドラッグストア・ガール』(04・宮藤官九郎脚本、田中麗奈主演)、『ゲゲゲの鬼太郎』(07・水木しげる原作、ウエンツ瑛士主演)など。TVドラマ作品は『天切り松 闇がたり』(04・CX/主演:中村勘九郎)、『丹下左膳』(04・NTV/主演:中村獅童)、10時間ドラマ『天下騒乱 徳川三代の陰謀』(06・TX/主演:西田敏行)、『めぞん一刻』(07・EX/主演:伊東美咲)などがある。

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