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【連載】 森は生きている 「コラム」 第八回 「影響」(8)-影響の交換-

Friday, January 16th 2015

森は生きている
連載「コラム」

森は生きている、メンバー全員登場の「無人島〜俺の10枚」が、めでたく完結し、今度はなんとコラムの新連載。アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

【連載】 森は生きている 「コラム」 一覧

第八回 「影響」(8)-影響の交換-

 「影響」と題して悪文を重ねて来たが、もう数回お付き合いを。
 影響を受けるということは、一つのセンスであり、それ自体詩や歌になりうる。先人達のそれも、作品、インタビュー、コメント、批評、書簡など至る所で浮かび上がっているので、少し覗いてみたいと思う。

 まず、芥川龍之介の『蜃気楼』に対しての三島由紀夫の批評。微妙な心の動きが、絶妙に表現されている(いや、表現はされていないのか。描写から香ってくるというか、柔らかい描写に否応なしに読み取らせる力が宿っている不気味さがある。)芥川最晩年の傑作である。

 「鮮明な物象が提示されて、物象が物象のままに、作者の心の象徴をなし、そこに詩が漂っている。」

 うまい。この批評自体にも詩が漂っているようにも思う。
 それにしても、この作品とほぼ同時に書かれた『河童』や、太宰治の『グッド・バイ』に感じる死の直前を感じさせるユーモアは何であろうか。その二つの作品は全然違うのだが、どちらもここまで来たかという無駄のなさを感じる。何か面白い批評があったら教えていただきたい。

 その芥川が、稲垣足穂の『一千一秒物語』へ寄せたコメントがまたいい。

 「大きな三日月に腰掛けているイナガキ君、本の御礼を云いたくてもゼンマイ仕掛の蛾でもなけりゃ君の長椅子へは高くて行かれあしない。」

 なんとニクい。足穂の魅力を伝えると同時に、自身のダンディをも十分に伝える。それも、この短さで。ニクい。

 悪口...失敬、鋭い批評で有名な足穂のエッセイに『銀河鉄道頌』というものがある。「頌」はほめたたえること。「銀河鉄道」とは、言うまでもなく宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』である。足穂が「頌」で、もう信用ならないが、冒頭から辛辣な批評が始まる。でもどうにか読んだらしく、その時の感想が、

 「これを英国式のカラーフィルムにしたいと、まず第一番に私は思ったものだ。」

 と、描かれてある。感動した。何故だかわからないけど。文の締めもまた面白いので(強く同感した)オススメしたい。(自分は『タルホフラグメント』というエッセイ集で読んだ。まりの・るうにい氏の装画も素晴らしいことを特に記したい。)
 このエッセイでは、足穂が言うところの、「ついに「銀河鉄道の夜」を読まなければならない羽目にな」るに当たって、黒沢明や野尻抱影との繋がりが少し書かれてあったりして面白い。僕の中ではゴシップと影響は繋がっている。

 長田弘の『ねこに未来はない』の解説にあった、なだいなだのコメントも興味深い。長田の実際のことや、詩や小説の批評の鋭さを、「おっかない」として、

 「ぼくが彼に切られて、生きながらえているのは、ぼくが中枢がいくつもある下等動物で、医者がだめなら小説を書き、小説がだめならエッセイを書き、それがだめなら、政治家の悪口を書くという、切られたら二つの個体になるおばけひとでのような人間であるからだ。」

 とある。医者も小説もできるなんてそれこそおばけなような気もするが、そんな次元に到底及ばないまでも、ドラムがだめならパーカッション、どっちもだめなら言葉と、多趣味と誤魔化して逃げるように少しづつものを覚えていった自身には効いたコメントであった。今年も逃げ続けようと思う。

 おっと、バンドのコラムなのに文豪の話ばかりになってしまった。最後に、Lou Reed & John Cale「Hello It's Me」を紹介したい。Andy Warhol が亡くなった時に2人が作ったという曲。昨今は、ミュージシャンの死の直前の演奏などが、動画サイトに投稿され、専ら「後光に包まれる」という枕詞と共に賛辞が送られるが、辛い隠し撮りみたいな映像より、敬意に満ち、皮肉を帯びた、次に繋がるものに心動かされる。



(続く)
森は生きている 増村和彦(Dr.etc.)



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【連載】 森は生きている 「コラム」 
森は生きているが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を発売した。アルバムの発売を祝し、メンバーによるコラム連載がスタート!アルバムへの理解を深めるサブテキストのような連載をどうぞお楽しみに!毎週金曜夕方更新を予定しています。

第一回 : 「影響」(1)-序- | 第二回 : 「影響」(2)-幼少期のこと- | 第三回 : 「影響」(3)-リズムのこと- | 第四回 : 「影響」(4)-リズムのこと(2)- | 第五回 「影響」(5)-リズムと言葉- | 第六回 「影響」(6)-リズムと言葉(2)- | 第七回 「影響」(7)-新年のご挨拶- | 第八回 「影響」(8)-影響の交換-


『グッド・ナイト』 森は生きている [2014年11月19日 発売]

『グッド・ナイト』 森は生きている 予てよりバンドが血肉化してきた数々の有機的な音楽遺産に加えて、このセカンドアルバムでは、サイケデリックロックや、時にはプログレッシブロック〜アヴァンギャルド的な語法も交えつつ、枚挙するに戸惑われるほどの数多の要素や音楽美が溶かし込まれている。レコーディング〜ポストプロダクションにおいてもバンドの完璧主義が全面的に敷衍され、ベーシックトラックに於けるアナログテープ録音から、様々な楽器音・電子音の重層的配置、更にはリーダーの岡田拓郎自らによる偏執的とも言える精緻かつ玄妙なミキシング作業までを通して、生鮮と爛熟が奇跡的にバランスする、圧倒的な音楽世界が作り上げられている。そして、ファーストアルバムでも独自の美意識を薫らせていた歌詞表現も更に奔放な羽ばたきを得て、音像と詩的心象がただ一つに融解していくように、聴くものを幻夢の世界へと誘い混む。それは恰も、歴史に晒されながらも清廉を保つ芳醇なシンフォニーのようでもあり、かつてモンパルナスに集った吟遊の芸術家集団による狂騒歌のようでもあり、老練の工人によって紡ぎ出される生活歌( ブルース) のようでもあり、そして、いつか見た未来を朧気に映し出す幻燈の静寂音のようでもある。2014年という時代に屹立する、森は生きているという純音楽集団にしか創り出し得ない圧倒的名盤にして孤高の作品が、ここに誕生した。

【HMVオリジナル スペシャル音源特典】
森は生きている「early tape of “グッド・ナイト” vol.2」CD-R

[収録内容]
1.プレリュード demo
2.青磁色の空 demo

※特典は無くなり次第終了となります。ご購入前に必ず商品ページにて特典の有無をご確認下さい。

『グッド・ナイト』収録楽曲

  • 01. プレリュード
  • 02. 影の問答
  • 03. 磨硝子
  • 04. 風の仕業
  • 05. 痕跡地図
  • 06. 気まぐれな朝
  • 07. 煙夜の夢 (a,香水壜と少女 / b,空虚な肖像画 / c,煙夜の夢(夜が固まる前))
  • 08. 青磁色の空
  • 09. グッド・ナイト

森は生きている プロフィール

岡田拓郎(Gt.,etc.) /竹川悟史(Vo.,etc.) /谷口雄(Pf.,etc.) /増村和彦(Dr.,etc.) /大久保淳也(Flute,Reeds, etc)
柔軟な吸収力と表現力を武器に、滋味豊かでいて瑞々しい独自の音楽を生み出す「純音楽楽団」、森は生きている。
2012年、リーダーの岡田拓郎を中心に東京で活動を開始。その年の末、ファーストCD-R「日々の泡沫」を発表し、自主制作盤にもかかわらず各レコード店にて軒並みソールドアウトを記録。2013年にはP-VINE RECORDS よりファースト・アルバム『森は生きている』をリリース。音楽シーンを代表する作品として各界から高い評価を得、発売を記念して行われた各地でのリリースツアーも大盛況のうちに終える。その後もさまざまなイベントやフェスへ出演するなど活発な活動を繰り広げる中、2014年にはファースト・アルバムのアナログ盤をリリース、それに合わせバンド初となるワンマン公演を東京渋谷WWW にて大盛況のうちに開催。11 月には待望となるセカンド・アルバム『グッド・ナイト』をリリースする。
カントリー、ソフトロック、サイケ、スワンプロック、アンビエント、モンド、トロピカル、ジャズ、ブルース、アフロ、クラシック、現代音楽etc…数々の音楽遺産を深く咀嚼しつつもあくまで現代的な表現として昇華する有機的且つ先鋭的なプロダクション、卓越した演奏、そして仄かに文学の匂いが薫る歌詞世界。森は生きているの奏でる音楽が、時代の心象を儚く切り取るように、そこここへ満たされていく…。

http://www.moriwaikiteiru.com/


無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】 一覧はコチラから!

無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】 一覧 
森は生きているが1stアルバムのさらに上いく圧倒的完成度のセカンドアルバム『グッド・ナイト』を11月19日に発表する。アルバムの発売を祝し発売日に向け連載された『無人島 〜俺の10枚〜 【森は生きている 連載編】』

第一弾 : 増村和彦 | 第二弾 : 谷口雄 | 第三弾 : 大久保淳也 / 五野上欽也 | 第四弾 : 竹川悟史 | 第五弾 : 岡田拓郎

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