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風信子 さんのレビュー一覧 

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     2017/10/13

    戦禍から立ち上がる時 否応無く人間は自己と向き合わなければならない 己とは何か 何者なのか 理不尽な社会で生きる”私”は如何に生き得るのか どう在らねばならないか 自身を苛む問いかけは止むことがない 少なくともどう”在りたい”かは薄っすら思い浮かぶ ショスタコーヴィチだけではない 世界の人間が長い戦いに疲れ傷ついた しかしまた生きていく今日を明日へと D.SCH.の生きんとする表明が第10交響曲で在り 逝った人々を惜しみ生き残った者たちを鼓舞する音楽だ ここに戦争交響曲は完結する 作曲者の心底には恐れと怒りとが渦巻いている 辛い音楽だが紛れもない真実の芸術だ 歴史の巡り合わせとはいえ生涯に書いた交響曲の三分の一が戦争に誘発されたものとは残酷 20世紀とは酷い百年だった ヘルビヒは楽曲の心髄に目が届いている スコアに語らせる直截な演奏が第10交響曲の真影を炙り出している お聴きになっては如何

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     2017/10/12

    郷土の誇りなどという田舎臭い科白は吐かないのが神奈川横浜の人間浜っ子だ だが彼の音楽が聴けて嬉しいわたしも神奈川川崎の出だ 早坂文雄より7つ年上で3年早く亡くなった須賀田 それも同じ結核が因だった 戦時中に疎開した佐野の地に止まりそこで逝った 書き残された楽譜がその地に半世紀も埋もれていたとは驚く 郷土神奈川のオーケストラが蘇演して日の目を見たのも喜ばしい 神フィル(かなフィル)は近年充実した態勢と演奏を披瀝して音楽ファンの支持を得ている ここに聞かれる演奏は誰をも納得させる実力を示している 神フィルを世に知らしめる一枚でもある 須賀田の音楽は20世紀が辿った音楽の潮流を映しそこに日本と東洋の音楽観を織り込まんとした生命力が慥かに刻まれている 同時代の早坂らが歩いた道でもある こうした東洋の一島国に展開した西欧音楽摂取の記録は後の世界はどう評価するのだろう お聴きになっては如何     

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     2017/10/11

    何もしていないのが好い 何もしていない筈はないのだが なんとも幸せな気分にしてくれる”レコード”なのだ ワーグナーだブルックナーだと大曲を揮るイメージが先行してしまうクナッパーツブッシュが残したこの小品集を忘れられない スタイルだテンポだと日頃五月蝿がられる小生だが 詰まらん御託を並べる気が失せる素直な演奏に魅せられてしまう 数えられないほど聞き付けても飽きないどころかいつも新鮮な気に包まれる 初恋の人に逢っているかのようにワクワクドキドキが止まらない 愉しいとはこのことだ 音楽が好きで堪らない仲間に出会えた歓びなのかもしれない 全8(15)曲全部好きだ そんなことはないとは思うが もしまだなら お聴きになっては如何

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     2017/10/11

    全てが真ん中にある 交響曲創作の折り返し点であり同時に頂点に達した感が慥かにある ”第8交響曲” その全五楽章も 第3楽章Allegro non troppoを境に様相が一変する 第1第2楽章は過酷な世情(戦場)で苛まれる人間の心情が吐露される 凶暴な第3楽章から続く第4楽章Largoで静かだが傷つき苦しむ魂を見つめ そのまま雪崩れ入るフィナーレに至ってやっと傷ついた一人一人が微かだが小さい声をそれぞれが上げ始める それは偉大なる号令でもなければ勝利の凱歌でもない 再び立ち上がって生き始めようとする産声なのだ これを戦禍から再生しようとする民衆の声と聞けなかった当時の政治指導者の愚劣を歴史は伝えて入る ショスタコーヴィチの才能と努力は私たちが知っている ヘルビヒもこの交響曲の偉大さを見抜いている これほど明晰な理解に根ざした演奏はそうそう聴けるものではない もしまだであれば お聴きになっては如何

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     2017/10/10

    モーツァルトが完成していたのは第一曲”レクイエム”だけだった 第二曲”キリエ”から第十曲”オスティアス”までの歌唱声部とバスそして器楽声部の主要音型を書き残して逝った 残る三分の一には手もつけていなかった これを未完成から完成へ引き上げるのに多くの人の手が入ったようだ それでも名曲として不動の”レクイエム”の座を占めている 後世作られ添えられた逸話を聞かずとも 人の心をつかむ力が備わっている モーツァルトが書いたかどうかも問う意味を感じない魅力に富んでいる 演奏形態も自由でいい 音楽の持つ力だけで時間と空間を切り裂いていける このビラー盤はわたしの識る”モツレク”の中で再び三度と聴きたくなる一枚だ この簡素と呼べるほど聞かせよう感のない雰囲気が心地よい 通りかかった教会の内より漏れ聞こえるような情趣が好ましい 教会音楽とはこう在りたい お聴きになっては如何 

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     2017/10/09

    トラッペットの音楽だ それが”未完のフィナーレ”復元版の第一印象だった だが実際トラッペットの下降音階テーマが登場するのは 虫食いのように空白だらけのスコアを見てみると フィナーレが180小節も進んだ頃なのだ 呼びかけと応答を繰り返しながら生成されるカオスの中に射す一条の光のようにトランペットが進入してくる 神々しいまでに美しい 魂を救済する愛のようだ ヨゼフソン版のフィナーレそしてギボンズ&ASOの演奏が見事だ その”光のトラッペット”が生かされている 当然オーケストラの1パートとしてトラッペット音は随所に使用されているのだが オーケストラのマス・トーンに溶け込ませて突出させない 通常”第9”として演奏されている三楽章も小気味の良い音運びで爽快にして味わい深い これは注目されなければいけない成果だ お聴きになっては如何

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     2017/10/09

    マーラーの”未完成交響曲”は略式スコアの形で出来上がっていた 1911年の夏休みが来ればオーケストレーションの整ったスコアが完成するはずだった 連鎖球菌による亜急性細菌性心内膜炎になり夏休みが来なかったため未完として残った 以後クルシェネクに始まって多くの人が”第10番”の演奏可能な総譜作りに挑んできた そのいずれもがマーラー自身が書き残したスコア部分にはほとんど触らずそれ以外を補筆した このガムゾウ版にはオーケストラ・スコアを実現するとともに精緻化をしたと明示している すなわち全曲を通してガムゾウの手が入っている 作曲者のオーケストレーションも変更している これはマーラーが自ら指揮して初演した後にスコアを補筆していた事実からもあってしかるべき処置だ 演奏を聴けば納得できる 自然な進行と展開に違和感はない 何より音楽の流れがいい グロテスクな強調に気を取られなくなった 音楽に静謐な品のようなものが漂い出した この世への告別 様々な打撃による絶望と虚無などなどこれまで言い准えられてきた”第10交響曲”のイメージに風穴を開けたスコアであり演奏である 枯淡と言おうか 老境に入ってより深遠な洞察の窓を開こうとするマーラーが見える お聴きになっては如何   

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     2017/10/07

    グリーグのパート・ソングなのだ ホモフォニー様式に終始しているからパート間に対抗も応答もない ハーモニーの豊かな響きを味わう 発声は非ベル・カントで胸声と中声を主体にした落ち着いたもの 軽やかだが地の響きを聴くようで胸に沁みる ア・カペラの静謐な空間がどこまでも続くようだが 曲集は後半変化を見せる ”過ぎし春”と抒情小曲集からの”民謡調に”でソリスティックな緊張の糸を張る 音楽に艶が乗り誘引感が湧く ”4つの詩篇”に入るとホモフォニーではあるが ポリフォニー的に声部を動かしソロ歌唱も頻出させる変化に富んだ面白さが加わる グリーグの創作というよりノルウェーの教会で歌われてきたメロディーを自由に編曲したこの4曲にこそグリーグの真価が表れている お聴きになっては如何

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     2017/10/06

    ハルモニームジークの粋を聴く 木管合奏の牧歌性がこれほどしっくり嵌る音楽はロッシーニ以外にない 管弦楽を用せずともその音楽の全貌が音化できる 見通しの良いスコアから漏れてしまう音符はない 膨よかな管楽器の音質は肌合いもよく 豊かな倍音は音楽に一層の弾性をもたらし推進力を上げている ”セビーリャの理髪師”などは原曲を凌駕する愉悦を与えてくれる コンソルティウム・クラシクムの音色とアンサンブルの素晴らしさは論を俟たない 彼らが演奏する楽曲は選ばず聴きたいものだ ぜひ一大集成を発売して欲しい 何はともあれこの一枚は手元に置いてしばしば愉しみたい お聴きになっては如何

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     2017/10/05

    未完の魅力 それは忘れられない人や思い出のように 時としてわたしの脳内から回帰する ”未完成”と呼称される楽曲は言わずと知れたシューベルトのロ短調交響曲D.759だが シューベルトには未完で終わった曲の楽譜や草稿が多数残ることは周知の事実だ ”未完成交響曲”と呼ばれる一曲だけがコンサート・プログラムとして聞かれている 近年は4楽章を想定した版も見かける しかしわたしの胸に還りくる幻想の交響曲はD.936Aが付くニ長調交響曲なのだ これが”グムンデン=ガシュタイン交響曲”かそれとも最晩年ウィーン・フィルから依頼されていた交響曲かと論議が尽きない代物 兎にも角にもシューベルトが書いていた最後の交響曲だろうということで とりあえず”第10番”と仮称される ニューボルトのRaelisationによって演奏が可能になっている このマッケラス盤とマリナー盤があったと思う わたしの手元にはスコアもある 聞けば魅力ある音楽なのだ こうしたレコードの入手が難しくなっているのはいかにも残念だ 再発売を望む   

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     2017/10/04

    自作品は2曲で 他はルネッサンスやバロック曲そして民謡などのグレインジャーによる編曲だ グレインジャーもサクソフォーンが好きだったと知り嬉しくなった サックスの持つ声楽の趣を愛したとあって その技巧の長けを聞かせようとはせず 音響の美しさを引きだす選曲と編曲に労を傾けている とりわけ多声部が絡み合うポリフォニーの楽曲は美しく 時に原曲を凌ぐ魅力を放つ マショー デ・プレ フェラボスコ2世 ジェンキンス ロウズそしてバッハの曲に聞き応えがある 繰り返し聴きたくなった グリッグスを筆頭に七人のサックス奏者が結集して最高のソノリティを実現している お聴きになっては如何  

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     2017/10/03

    これが総てだ グリーグは64年の生涯に7つの室内楽曲しか残さなかった ピアノ・トリオと弦楽四重奏曲ヘ長調はやはり未完だから実質5曲とも言える 3曲あるヴァイオリン・ソナタだが Op.45のハ短調が図抜けて充実している チェロ・ソナタはグリーグの知と情が均衡を保てていない憾みがある 最も親しまれているだろう弦楽四重奏曲ト短調はこのチェルノフ以下のロシアの奏者で聴くと 魅力あるモチーフを入念に展開し艶めく逸品に仕立てたが どこか作り物めいた作為のようなものが覘いてしまう それに比べて未完のへ長調に興趣と魅力を見出した グリーグが完成させなかったのはどうしてか不思議でならない 7曲どれにもグリーグの味わいがある ただわたしは後年の作ほど面白く愉しんだ お聴きになっては如何  

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     2017/10/02

    面白い 一曲は1999年だが今の音楽 21世紀の作品ばかりだ ここでは三つの楽器が愉しめる ヴァイオリン(一曲はピアノとのデュオ) サクソフォーン 打楽器それぞれのソロとアンサンブルが入れ替わり聴かれる モーの音楽はミニマムを基底として生成し運動する 始まりも終わりもないと云えば語弊があるが 存在するが展開はしない 家具のような音楽と言おうか 凝った題名に拘わりなく非叙情性を持つ タペストリーを愛でるに等しい味わいは即物的であるがそこはかとなく漂い出る情緒に浸っている心地よさに気づく わたしもひょんなことで出会った作曲家だが お聴きになっては如何  

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     2017/10/01

    何時かはと思いつつ今になってしまった ”抒情小曲集”全曲を一気に聴いた グリーグが生涯にわたって書き続けた小品集はそう演奏され聴かれるために書かれたはずはない 一曲一曲につけられた小さな題名の示すように折々の生活を記録して綴られた日記の如きものだろう グリーグがそうしたように 日々の暮らしの中でランダムに拾って演奏し聴かれるべきものをひとまとめに聞き下す邪道を行ってしまった 管弦楽編曲のある第5集から後ろへ進み初めへ戻った すると 今第10集の掉尾を飾った”思い出”がまた始まった 第1集の冒頭に置かれた”アリエッタ”のテーマを使って35年間に及ぶ”Lyriske stykker”の円環を閉じたことも知らなかった グリーグの粋に笑みがこぼれた 呟くように密かに”吐露された”こぼれ日や落ち葉のような幽けき儚き歌の欠けらに心惹かれる 15年の間隔を経て40歳で再開した第2集と続く第3集にシンパシーを強く感じまた好きになった 語り過ぎていないのがいい 全集は意外にも数がないようだ アウストボーでなくてもお聴きになっては如何      

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     2017/10/01

    月影の下 秋風に吹かれながら聴く これは掘り出し物だ 自国の音楽”グリーグ”と呼べるノルウェーの人々が羨ましい 私たち日本人の魂を音楽にする作曲家を持てるのは何時だろうか ノルウェーの演奏家によるグリーグの代表曲5曲を集めている ラシライネン&NROの”ペール・ギュント”から響の肌触りが違う サラリとして居ながら決して冷涼ではない 拘泥せずとも親しげである人にようだ 激しても怜悧である知と情の均衡を保つ 率直であって押し付けがましさがない 実に流れの良い演奏で気持ちがいい シルヴァイ&HSの”ホルベルク” カンガス&OCOの”悲しき旋律”も共感に溢れる演奏で ラシライネンと同様の余韻が残る ノルウェーへの親愛の情が深まるようだ お聴きになっては如何        

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