【第40回】バイヤー寺町知秀のわくわくPOPSランド

2019年11月05日 (火) 16:30

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HMV&BOOKS online - ロック

HMV渋谷をはじめ計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当する寺町知秀が洋楽の森からオススメ作品をピックアップするコーナー「わくわくPOPSランド」。社内外から信頼を集める生粋の洋楽バイヤーが、今月の洋楽の森からオススメする必聴の5枚とは?

【第40回】もっとロマンが欲しい。

「25歳以下の音楽ファンの内15%がアルバムを通して聴いたことがない」というトピックが周囲で話題に上ることが多いのですが、時代の流れを感じつつも、アルバムにはストーリーがあり、ロマンがあることは忘れてはいけないかと。コモン『Be』のオープニングの高揚感に胸を焦がすのって、その後のストーリーがあるからこそで。


『燃えよウータン』から25年、このところコラボレーションが続いていたゴーストフェイス・キラのソロ名義最新作が凄い熱量を放っています。一触即発なヒリヒリした危険なヴァイブスが充満。ウータンファミリーからメソッド・マン、インスペクター・デック、マスタ・キラや、息子サン・ゴッドをはじめ一族が集結した総力戦。



ソロ名義ではアンビエント作品を出したりと多才なエミリー・スプレイグ率いるブルックリンの男女4人組バンド、フローリスト最新作。タイトルからもわかるようにエミリーの実質ソロと言ってもよさそうなアシッド・フォーク作品で、オーセンティックでありながらもそこはかとなく漂う淡い浮遊感が今っぽい。



キム・ゴードン初のソロ・アルバム。サーストン・ムーアとの別離もあり、辛い時期はラップを聴いて自身を鼓舞したというさすがのキム姐御。キャリアを重ねても衰え知らずの、アグレッシヴでアヴァンギャルドでチャレンジングな音楽制作意欲に驚きを禁じえない超力作。



現代のUKヤング・ブルーアイド・ソウルの旗手、レックス・オレンジ・カウンティの新作がとても調子いい。敬愛するスティーヴィー・ワンダーへのリスペクトが湧き出しては止まないストレートな楽曲(特にバラードでは顕著)も、ナウな世代だからサラッとやってのけてみせるんでしょうね。



デヴ・ハインズは自身のルーツであるマイケル・ジャクソンやプリンスなどのブラック・コンテンポリー・ポップスを、卓越したバランス感覚でチルアウト・ソウルと融合させていて、このミックステープでその過程を惜しげもなく披露。トロ・イ・モワをフィーチャーした「Dark & Handsome」は超名曲。それでは来月お会いしましょう。



バイヤー寺町知秀のわくわくPOPSランド

寺町知秀(てらまち ともひで)

1999年にHMV渋谷入社。HMV立川など7店舗で店長を務め、計13店舗の勤務を経て現在は本社にて洋楽バイヤーを担当。

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