Keyco インタビュー

2008年8月28日 (木)

 

KEYCO インタビュー

text : HOSAKA & HORITA(HMV)


家具であれ音楽であれそうだと思うんですけど、
ソウルの籠った温かいエネルギーは時代を越え、
残って行くと信じているところがあるんです。



--- 環境が変われば音楽も変わりますよね。でも、そのようなプライベートな変化を音楽に落とし込む行為って簡単なようで実は難しかったりしませんか?

KEYCO  もう既に、私にとっては自然なことになって来てますけど、プライベートをさらけるという意味では難しいものがあるかもしれないですよね。ただ、 たまたま私が好きなアーティストというのが、どちらかというと、自分の内面やプライベートとか人生観とか.....そういう人間的なものを音楽に反映させる人が多かったんですね。エンターテインメントとして全てのプライベートをシャットアウトしてアーティスト像を創り上げるやり方も否定するつもりはないんですけど、やはりライフスタイルと密接に音楽を生み出しているアーティストに心惹かれる。。。今回の作品でカバーさせてもらったアーティストの方々なんか、まさにそうですし。

--- 「上を向いて歩こう」にしろ「花」にしろ、まさに、歌い手のライフスタイルや思想を心の奥底から本当に思い描いているものを作品にしているものですもんね。

KEYCO  ソウルを感じるんですよ。「上を〜」にしても「花」も「People〜」もソウルミュージックなんですよ、私にとって。彼らの歌からメッセージというか祈りに似たものを受け取るんです。非常にポジティブなね。心に自然に湧き上がる感情と直結しているから唄にソウルがこもる、ソウルが宿るんだって、そう思います。
 ついでに言わせてもらうと、このアー写で私が座っている木のベンチなんですけど、祖母の形見なんですね。私の祖母は昔旅館をやっていたんですけど、母屋の立て替え工事の際に、古ーい良質な木が廃材として沢山出たらしいんですね。本来ならゴミとして処分される筈だったその木を見て、大工の棟梁さんが「この木を使ってベンチを創ってあげましょう」って、その場でサササーって、釘一本使わずにこのベンチを創ってくれたそうなんです。想い出のいっぱい詰まった母屋の柱が、こうして見事に生まれ変わったわけですね。祖母はその時の事を嬉しそうに話してくれました。今きっと100年近く経っているんですよ、このベンチが柱だったその時から。私はいつかこのベンチを娘に譲りたいなぁって、そう思っているんです。粋な大工さんと祖母のソウルを受け渡したいなぁって、大事に残して行けたらなぁって、そう思うんです。
 家具であれ音楽であれそうだと思うんですけど、ソウルの籠った温かいエネルギーは時代を越え、残って行くと信じているところがあるんです。傷がついていてもオンボロでも、修復したり磨いたりしながら、少しでも永く後世に残せればいいなって思います。

--- 最近、いわゆる、ロハスとかエコという言葉だけが流行っていて。本質的なところが見えなくなってきているところで、そういうソウルというのは本当に大事ですよね。

KEYCO  そうなんですよね!あと、ゴミ問題とかも真剣に考えなきゃマズイですよね、ってなんかすごく話が大きくなって来てますけど大丈夫ですか(笑)。

--- いやいや(笑)。続けてください!

KEYCO  では(笑)。あの、エコエコっていうのもね、その言葉の意味が企業のイメージアップに繋がるから使うっていうのも多くなってしまってきている気がするんですよ。でも現状はどうなんだろう?それをアピールする企業の社員の意識はどうか?とか、実生活で何か実践してんのかしら?とかね(笑)もちろん、こうした流行がいろんな人の意識改革のきっかけになってゆくことは良いことだと思うのですが、流行りが終わったら“ハイ、オシマイ”なんて、そんなことじゃダメなわけでしょ?きっかけをつかんだら個々に勉強してみる。実践してみる。そうしていくうちにいろーんなことが見えてくる。で、心から“そうだよなー、やんなきゃマズイよなー”って思った時、本当に意識が改革されるんだと思う。
 やっぱりやれることから実践あるのみだよな〜って思います。ものを大事に使うとか、すぐにゴミになるようなものは買わないとか、ちょっとしたこと。心のゆとりとでも言うのかな、何か行動に移す前に一瞬考える時間を持つってすごく大事だと思う。これはクリエイトする側、生産販売する側の人間にも大事なことなんであって、極力良いものを、長〜く残して行けるものを創るってことにも繋がるんじゃないのかな?って思います。

--- なるほど。では、子供を産んでから、Keycoさん自身の音楽の聴き方自体も変わって来ましたか?

KEYCO  年齢を重ねてきたということもあるとは思うんですけど、よりメッセージに関心が向くようになって来たと思います。表面だけじゃなくて深い部分を知りたいっていうか.....。
 例えば子供にね、“どんな音楽を聴かせてあげようかな…”とか考えるんですよ。そうすると、ボブ・マーリーやカーティス・メイフィールドなんていう音楽家がマストに上がってくるわけなんですよ。余談ではありますが、娘の2歳の誕生日にエリカ・バドゥの「ライヴ」というCDをプレゼントしたんですよ。そうしたら懐中電灯をマイク代わりにして、まだ日本語もままならないのに勝手な英語フィーリングで唄って、完コピしてて(笑)。子供の吸収力ってすごいんですよ。だから聴かせるCDなんかもしっかり選ぶ必要があるなーって思いました。
 そういえばそのCDのジャケットって、エリカの背中に喋々の羽が描いてあったんですけど、女の子のツボを突いたんでしょうね.....「オカァちゃん、蝶々の羽欲しい〜!」って羽を作らされました(笑)。しばらくそれ付けて三輪車乗ってましたよ(笑)。

--- (笑)。なんかKeycoさんが掲げている「部屋聴き」という言葉がそのまま、インタビューで発言されている言葉を集約していますよね。

KEYCO  日常に普通に流れている音楽であって欲しいかなっていう感じですね。昔はね、例えばダンスホールの曲を演っていた時には、もう、クラブに行くときに車の中でがっしがしに流してもOKみたいな曲をイメージして創ったりしてました。でも今回は自分のライフスタイルに合ったもの。掃除機かけながらとか、ご飯作りながらとか、ほっと一息ついた時にとか、そんな時間に普通に聴けるカンジ。そういえば子供を産んでから、ティータイム的なゆっくりした流れの中に身を投じる....とか、一瞬深呼吸して考える.....とか、そんな時間が人間には大事だなぁって改めて気づかされた気がする。今回のCDは、そういう時間のお供にBGMとして流してもらえたら嬉しいなぁ。

--- なるほど。では、最近はまっている日常の趣味のようなものってありますか?

KEYCO  そうですねぇ、うちの子、絵を描くのがもの凄く好きなんですよ。放っておくとモノも食べずに一日中ずっと描き続けているくらい。それが結構周りの人にも好評で。海を越えてファンがいるくらい(笑)!その絵の額縁は私が創るんですけど、或る程度作品がたまったら、個展をひらいたりしてみようかなと考えていますね。趣味というのとはちょと違うかもしれないですけど(笑)。ゆくゆくは世界に向けても発信していきたいなって思っていますね。
  っていうかうちの子の話ばかりになってますね、スミマセン(笑)。

--- (笑)。では、最後に作品の話を!このインタビューを読んでいただいたみなさんに最後にメッセージをお願いします!

KEYCO  今回の作品はカバーが中心ですが、大事に歌い継いで行きたい普遍的なソウルミュージックを、今の等身大なKeycoが唄っているというところを感じてもらえたら嬉しいですね。あと、今回はインディーからリリースすることになったんですが、それ故に自分が思い描いている世界をCDジャケットからサウンドの方向に至るまで、よりダイレクト に表現できたんじゃないかと思っています。なので今まで以上にリアルな私を感じてもらえると思います。普遍的に残っていくイイ音楽を皆さんとシェアしたい!ずっと大事にしていきたい!ってそんな作品なので、どうぞ聴いてくださいね!
 そしてKeyco再始動、応援よろしくおねがいします!

 


おわり…

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01 手の鳴る方へ
02 A Love Song
03 カントリー・ロード
04 上を向いて歩こう
05 前に
06 People Get Ready
07 花