GOTYEインタビュー(ページ崩れ)
2008年6月25日 (水)
Pic by Junko Yoda
texst : Takehiko Hosaka (HMV)
今の僕の基準では、
GOTYE (流暢な日本語で) 3回目。高校のときにホームステイをしていて、前は別のバンドで日本に来ました。 --- すごい…発音も上手いですね…(笑)。 GOTYE (またまた流暢な日本語で) ありがとう! --- (笑)。まずは、まだGOTYEというアーティストを知らない人が日本には沢山いると思います。そこで色々とお聞きしていたいのですが、GOTYEはソロで活動しているんですよね? GOTYE そうだね。 --- YOU TUBEであなたのことをチェックさせてもらったんですが、ラジオ局のスタジオでドラムを叩きながら歌い、上音は全てシーケンスで流して演奏している姿を見てビックリしました。 GOTYE あ、それは、“JTV”というラジオ局がオーストラリアにあって。その時に演奏したライブ映像だと思うよ。 --- そのライブ映像でのドラム・テクニックを見るところによると、あなたはドラムから音楽を始めたのかな? と思ったのですが…。 GOTYE その通り。 --- それ以外の、ドラム以外の音も全てあなたが作り上げているんですよね? GOTYE うん。様々な場所からあらゆる音を取り込んで、それをコラージュしてサンプリングしてね。それでたまにドラムの生音のビートを入れていったりしてるんだ。いわゆる“宅録”というような形でレコーディングしていくっていう手法で、GOTYEの音楽が生まれているんだよ。 --- あなたが影響を受けたアーティトで、DJシャドウやKLFというアーティストの名前を挙げていらっしゃっているんですけど、彼らのどのような部分から影響を受けたのでしょうか? GOTYE まずはサンプリング手法に一番影響を受けたね。あとは、DJシャドウやKLFなどのアーティストは、自分達の音楽を作るに当たって、自分達の音楽的スキルの枠を超えて新しいものを作ろうとしている姿勢があって。そこからの影響もあると思うよ。 --- 今、あなたのオリジナルのサンプリング手法の巧みの素晴らしさを称して、“新世代のベック”だとメディアがこぞって取り上げていますが、そのような評価に対してどのように思われますか? GOTYE ベックというアーティストを尊敬しているし、彼は何枚も素晴らしいアルバムを作り上げているので、そう言われることは光栄だよね。彼の音楽は先進的でもあるし、非常に冒険心のある作品ばかりだからね。だから僕も彼と同じように先進的な作品を常に作り続けられるようにと思っているよ。 --- “新世代のベック”と称されているとはいいつつも、この2ndアルバム『Like Drawing Blood』を聴くと、ベックのような巧みなトラック使いも秀逸ながら、メロディーラインがとても流麗ですよね。 GOTYE そういってもらえると嬉しいね。トラックを作るにあたって、ベックは僕にインスピレーションを与えてくれる素晴らしい存在ではあるけれども、メロディーという側面で言うと、他のアーティストからの影響のほうが強いよね。ベックには、音楽のクールさや先進性やプロダクションのクオリティというものがあるんだけど、たまにそういったモノが曲の良さを凌駕してしまうときがあるんだよ。でも「ミューテーションズ」や「シー・チェンジス」などの彼の作品は、メロディーをより押し出した作りをしているから。彼はほんと、ミュージシャンとしてアルバムごとに違った表現をしているので。そういうところに僕はとても憧れているし、尊敬しているという感じかな。 --- またベックとの比較になってしまうのですが。彼の音楽の多様性は作品ごとに移り変わっていると思うのですが、GOTYEのこの2ndアルバム『Like Drawing Blood』は、その彼にも勝るとも劣らないほどの音楽の多様性が全て1枚に集約されていると言っても過言ではないのかなと。それほどバラエティに富んだアルバムになっていると思いました。 GOTYE すごい嬉しいね! そういってもらえると。 --- ではアルバム収録楽曲のお話を。「Puzzle With A Piece Missing」を聴いたとき、かのポリスからの影響があるかなと感じまして。また、他の楽曲に関しても通じることなんですが、あなたの歌声がスティングに似ているなと…。 GOTYE そうだね。よくスティングに歌声が似ているとも言われるね。それと、「Puzzle With A Piece Missing」においては、確かにドラムのプラミングにおいて、ポリスのドラマーのスチュワート・コープランドのドラムを想像しながらやったしね。 でも、実際、ドラム自体はサンプリングしないで、ハイハットだけをサンプリングしているだけだからね。 --- あなたのサンプリング手法において、あなたなりのルールというか趣向という自分にしかない音楽的機軸が存在しているのならば教えて頂きたいのですが。 GOTYE サンプリングにあたっては、出来るだけ世の中に知られていない音源を使うことに注視しているよ。それと、使う音源に関してはあまり長いものを使わないということだね。長いものをより短くカットアップして使うんだ。その短いものを繋ぎ重ね、改めて自分の音楽として作り直して、出来るだけ元ネタのテイストを自分のものに変換して使うということを心がけている。 --- ただシンプルにサンプリングさせて、音源をループするようなサウンドではないですよね。その辺りの音使いは素晴らしいと思います。 GOTYE まあループさせている部分もあるにはあるんだけどね、一度曲を作って、その後に単なるループを利用した音楽にならないように何度も音を足していってという作業をしているから、そう思われるんじゃないかな。 --- そのような音楽的手法を元に作られたこのアルバム収録曲全てに言えることなんですけど、メランコリックかつ哀しみを帯びている楽曲もありながらも、結果的に気分をアップリフトしてくれる音楽が通低音としてあなたの音楽に流れていると思うのですが。 GOTYE 実は今まで自分がよく作る楽曲というのはメランコリックなものが多すぎてね。でも、たまたまこのアルバムを作るにあたって、「Learnalilgivinanlovin」のようなすごく明るくて、アップリフティングな曲が産まれ出してきて。他の楽曲に関してもそうなんだけど、今までに比べると完全にメランコリックな感じにならずに収まっているというか。 --- 「Hearts a Mess」のPVなんかまさにそのようなイメージが伝わってきますよね。メランコリックかつ、ユーモアもあり。見終わった後にハートウォーミングな感じになると。 GOTYE そうだね。単なるメランコリックで終わらせていないPVになっているからね。
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