インタビュー 【柚木隆一郎】 後編
Friday, June 27th 2008

interviewer : Nishio/Horita(HMV online)
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前編 『熱が冷めないうちに』 |
2008-06-18 |
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『 快感原則に乗っ取ってやった 』
柚木隆一郎 どこまで解体できて小規模でやるかなど、小さいところでやるならわりと多面的に考えてはいます。そもそも弾き語りでどこまでできるのかとか。時々曖昧にギター一本でとかやってみるんですけど、そういったものもおもしろいかなと。 --- 先日エルマロのライブを見させてもらったのですが、やはりアルバムとは違って、アルバムを解体して再構築するようなステージが印象的だったのですが。 柚木隆一郎 そうですね。集めたバンドでやるっていうのは、新しい音で再構築する感じですかね。 --- ではアルバムの収録楽曲に関してですが、2曲目の奇数拍子の感覚は天才的だと思いました。 柚木隆一郎 あれは山本達久くんという若いドラマーなんですが、奇数拍子を多様してますが、一緒にやっってくれた共同プロデューサーの石橋英子さんもわりとプログレッシヴな音が好きで。オレはわりと単純な反復は好きなんですけど。 最初にそういったところの上でどんどん奇数で解釈していって。 --- 今回のアルバムのなかでは曽我部氏との楽曲がかなり異彩を放っているのですが、あの曲はどういった経緯で録音にいたりましたか? 柚木隆一郎 笑)あれはやっぱり最後の方に誰かと一緒にやろうかと。 (曽我部さんと)付き合いは長いんだけど、一緒にスタジオにはいったことは今までなかったので、それでまあ、だいたいこんな感じの曲かなっていうのはボクの頭の中にあって、バックはわりとトリオ編成くらいのシンプルなもので、一晩でセッションで作った感じなんですけど。ベーシックは3時間くらいかな。--- あの曲はすごいですよね。あの曲まででかっちりと流れがあるんですけど、あの曲からアルバムが分断されるというか。 柚木隆一郎 アルバムとしてはパッケージとしてあの曲の前で一旦終わって、アンコール的な意味合いですかね。ちょっとライブな感じをだしています。 --- 気になった曲では、12曲目の「Blengin' Song」はヘンリーダーガーからインスパイアされたということですが、どういった面で影響を受けましたか? 柚木隆一郎 「Blengin」は、ヘンリーダーガーの作品にでてくるカタツムリみたいな背中に羽の生えたキャラクターで。悪いヤツと良いヤツがいて、Blenginは良い方かな。 --- この曲は展覧会、もしくはその後上映された映画からインスパイアされて作成されたのですか? 柚木隆一郎 原美術館でやってた展覧会を見に行きましたね。場所もいいじゃないですか。 いつも展覧会とか行ってもすぐ飽きて売店とか行っちゃう方なんですけど(笑)、めずらしく飽きずに。ちょうどソロアルバムを作る前で、これぐらいぐちゃぐちゃに良いものも悪いものも出せればいいなあと思っていて。--- こういった感じで音楽以外のものにインスピレーションを受けることは多いですか? 柚木隆一郎 今回のものはそうですね。 --- そういう中で音楽的に最近興味を持たれたものなどありますか? 柚木隆一郎 友達のやっているDJイベントとかライブをやってる仲間と飲みに行って、いい曲がかかっていたら興味は持ちますが、レコーディングが続いてたからね。もちろん若いときに聞いた時とは聞こえ方もどんどん変わってきているし、再発見もあったりするんですが、でもまあ、若い時に好きだったフランクザッパとか聞き方も変わってきているかなと。 --- ジャケットワークはどういったコンセプトでしょうか? 柚木隆一郎 これはわりと知り合いのデザイナーに頼んで二転三転したのですが、最終的に共産圏アートっぽく仕上げました。精子は生命の躍動感をイメージしていて、ほんとうは夜行塗料で光る感じにしたかったんですけど、諸事情で却下となりました(笑) --- では、がらっと話しは変わってアイゴンさんのソロ作品は聞かれましたか? 柚木隆一郎 もちろん聞きましたよ。 --- それでは最後にアルバムのオススメどころをおねがいします。 柚木隆一郎 よくも悪くも内容が濃いと思いますので、できればお店で買って聞いてください、ということで(笑)参加してくれた共同プロデューサーの石橋英子さんとか、彼女がやっているPanicsmileっていうバンドを含めて、今、色々おもしろいことをやっているので、そういったものの集積回路というか、上澄みを拾って作っているというか、そういうことを含めて聞いてもらうとおもしろいかと思います。
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