HMVインタビュー: Hiroshi Watanabe

2008年5月30日 (金)

無題ドキュメント
Hiroshi Watanabeインタビュー

「彼以外に歌ってもらいたいという人が見つかりませんでした。」


--- 本アルバムの構想はいつごろから進められていたのですか?

Hiroshi Watanabe  実に構想スタート地点としますともう1年以上も前になりますね。

---曽我部恵さんを今回のアルバムでのメイン・ヴォーカリストしてフィーチャーされた経緯を教えて頂けますか?また曽我部さんとの出会いなども教えて下さい。

Hiroshi Watanabe  実は以前に曽我部氏からの直接の依頼を受け、KAITOリミックスをした事がありました。「WHITE TIPI」という楽曲でした。5年位前でしょうか、、、僕はその時にとても彼に対して共感する何かを感じ、それはある意味では同じ歳であり、子供を持つ 父親でもあるという部分からでもあり、とても勝手ながらに何か僕の中でもの凄く近い存在感を感じておりました。
その時の感覚というものをずっと心の中に秘めておりまして、今作品に新たに和えて歌というものを作ると決めた時に、その思いを辿って行くと彼以外に歌ってもらいたいという人が見つかりませんでした。

--- 曽我部さんがダンス・ミュージック好きなことは一部のファンには知られていますが、やはりイメージ的には「インディーズ・バンド」的なイメージも強いと思います。渡辺さんが思い描く曽我部さんのイメージをお聞かせ下さい。

Hiroshi Watanabe  ジャンルは全く関係が無く、存在としてもの凄いエネルギーを感じています。鋭く、甘く、優しく、激しく、全ての要素を常時同じテンションで移り渡る事の出来る素晴らしいアーティストだと思います。

watanabe & sokabe


---お二人での楽曲制作はどのように進められたのですか?それと、制作期間はどのくらいですか?

Hiroshi Watanabe  実際に本格的に制作に入ったのが昨年の10月からでした。それまではずっと構想を練っていました。まずはとにかく僕はアルバムの核となる何かを作り上げる事へ意識を傾け、初めに出来た曲を聴き、僕の中でアルバムのラストナンバーが出来たという直感が走りました。それは最後まで変わる事はなく、結局ラストナンバーとなった訳です。僕にとってはこの単純な出来事でも何故だかとても不思議な感覚に陥り、今作品の指向、定めの様なものを1曲目で全て感じ取ったかの様でした。
二人の作業の手順としては、まず僕がデモ楽曲を作り、聴いてもらう、そして僕のスタジオにて彼に自由に歌ってもらうというパターンです。基本的なメロディの流れ、もしくは感覚をある程度彼に伝え、その中から彼が膨らまし、言葉を実際に当てて作り込んでいきました。「Song for a Family」などはもうガンガン即興的に歌をレコーディングしていったものをエディットして構成を作り込んでいます。
とにかく、ある種のその即興性という部分においても僕と彼のやり方はとても似ている所があり、感覚で攻める要素と絶対的にこうであると意識的にラインを引く部分などがとても近い事から正直に作業はどの曲もスムーズでした。こういう事はやり始めないと分からない事もあります。もしかしたらもっとぶつかり合っていた可能性もある訳です。でもお互いの中でどうも見えている感触はとても近かったので何も苦しむ事はなく、むしろその神秘的な作業をお互いに楽しんだのではないかと思っております。
最終的に作業を終わらせたのは今年に入って2月の半ばでしたね。

---お二人のやり取りの中で、苦労した点や、逆に驚いた点など、楽曲制作やレコーディングの際のエピソードを教えて下さい。

Hiroshi Watanabe  上記で述べてしまったかも知れませんが、、、一番重要な事を言ってしまえば、やはりそれは互いに感じて生きている部分がかなり近いという事でしょうか。自分と家族という関係、その中で音楽を作り込むという感覚、とても近いのです。レコーディング中は地球環境の事について延々とディスカッションをしたり、子ども達の事や家族というものについて考えたり、実際の作業以外にかなり時間を設けていたかも知れません。それはきっと単なる作業だけで終えるにはなし得ない互いの距離感というものを更にその事で縮めていったのでしょう。
ちょうど、真冬になってしまっていましたので、実は僕のスタジオのエアコンが夜中に全く機能しなくなってしまって、、、、二人で凍えそうになりながらギリギリな感じで作業をした事は今は笑えます!その時は結構辛くって息も白かったです。(笑)

---今回のアルバムは渡辺さんのディープな側面が色濃く反映されているという印象を強く感じました。KAITOをはじめとした名義を多数使われている渡辺さんが、本人名義「HIROSHI WATANABE」でやろうとするのは何なのか教えて頂けますか?

Hiroshi Watanabe  そうですね、それは正に僕の中の全ての壁を取り除いた作品にしたいという事でしょうかね。そもそもに音像というか、音そのものから得る人間が無意識的に想像される果てしない空間というものを僕は幼少期の頃から思い続けていました。
今後も本名を使って作る作品はジャンル、名義というものを全く意識しない作品として作り続けたいと思っております。魂の宿る音、音楽というものが本当に作りたいと心から思い続けています。

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Hiroshi Watanabe プロフィール
1971年東京、作曲家の父、ジャズピアニストの母の間に生まれる。
高校卒業後にボストンのバークリー音楽学院への留学を期に94年秋から本格的にニューヨークに拠点を移し、数々の名義を使い分けながらDJやハウス系の作品をリリースし始める。現在は日本在住。これまでの主なリリース作品は、“QUADRA”名義でEP2枚とアルバム、“TREAD”名義でアルバム4枚、”KAITO”名義でアルバム3枚、さらに”Hiroshi Watanabe”名義でアルバム2枚、と実に多作な世界的にも人気のハウス・プロデューサー。
http://www.hiroshiwatana.be

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