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shef さんのレビュー一覧 

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  • 7人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/30

    セルのハイドン、モーツァルトPコンときて今度はクーベリックとは!ソニーのバーゲンセールはうれしいやら悔しいやら。持っていなかったら即買いのアイテム。 
    モーツァルトは抜群の安定感と気品ある戯れが絶品。シューマンもラインが少々もたつく感がある(恰幅のいい大河のイメージ)ものの、1番「春」では随所に感性が輝き、まさにシューマンの天才さが発露している。 ブルックナーの4番はがっちりとした構造に裏打ちされ、よどみなく音楽が流れ、気品あふれる演奏。 
    どれもこれもいまだにスタンダードそして現役。 逆にこのレベルを超えない演奏には物足りなさを感じてしまう。

    クーベリックって地味なイメージがぬぐえ切れない音楽家だけど、これら聴くとじんわりと心が発熱する。 何度聴いても新たな発見がある。

    本当の音楽を表現できた数少ない指揮者だ、と、そして、彼の音楽に出会えてよかった、と思える。 

    7人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/09

    4番の評価、低いですよね。 凄くよくまとまった演奏なんだけど、こじんまりしているというか、中性的といか。でもマゼールがセルの遺産であるクリーブランドの技術が落ちる前に録音してくれて幸運、とも思うんです。 どことなくセルがLSOを録音した4番を彷彿させるところもあるし。
     
    情熱とか運命に打ち勝つ、みたいなモチーフとは距離を置き、リズムの面白さや、構成力に重きを置いた演奏で、作曲家の足跡が透けて見えるような「論理的演奏」あるいは「機能美」を追求した演奏がいかにもマゼール様式で、この個性的、あるいは知的な演奏が好きなんです。同時期に録音した5,6番もロシア的な風合いとは距離を置き、音楽の骨格や構成を前面に押し出した演奏です。特に5番は一聴の価値ありです。

    0人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/12/05

    ジャケットのシャガールのようにロマンティック、大胆かつ色彩的な演奏だった。パリ管も健闘、パレットの色の多さは華やかで弦はしっとり唸る。 ロジェストベンスキーが振ったパリ管(ロシア管弦楽曲集)の切れ味の良さと万華鏡のような色彩の豊かさを彷彿させる。
    演奏の方向性は真っ向「感覚的」で、構造性とか構築性を感じさせるようなどっしりした安定感には欠ける(この点ではBPOを振ったマゼールが良い)。 ただここまで感覚的、情緒的に演奏されてしまうと頭が下がる。 これも有りだよね、と。
    アルマニャックのグラスを片手に、ソファにくつろいで何も考えずに聴くには最高のシェエラザードであることは間違いなく、それだけであっても持つべき価値のある1枚だと思う。 心身ともに疲れたとき、最高の、そしてゴージャスな時間をもたらしてくれる。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/11/27

    30年ほど前になるか、と思うと感慨深い。明快かつ切れ味の良い演奏。 葛藤とか苦悩、不条理とは距離を置く「元気の良い」演奏だ。 まるで因数分解したかのようにマーラーの曲をきちんと割り切ってしまう。透明感ある音質、ブラスの咆哮、インテンポの運び方。 ダイナミックだが、余韻というか情緒に欠ける分、音楽は前に進む強いエネルギーを放つ。
    聴き終わるとそれなりに満足感に包まれる。
    しかしこの爽快さは何だろう?
    マーラーの多層的な音楽構造をシンプルに表現してしまう大胆さがもたらす感覚なのか?

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/11/24

    かなり昔、所要でシカゴに滞在したとき、ショルティが振った「スタミナドリンクを飲みすぎのシューベルト」に接し、以来彼の音楽には食指が動かなかった。
    数日前、友人が持参したこのCDを聴き、過去のイメージが覆された。 ダイナミックだが精緻で端正なマーラーじゃないか、と。 もっとエネルギッシュで鋭角的な演奏を想像していただけに肩透かしを食らわされた。考えてみれば、90年代以降、厚化粧の、あるいはワーグナー的な、どろどろしたマーラーが氾濫していた。こうした時代を通り越して再びショルティのマーラーを聴くと一服の清涼剤のように感じてしまうのは皮肉なものだ。
    まるで古典派のようなマーラーと評したい。 くっきりと刻むリズム、基本インテンポ。 まさに機能美という様式美。 今頃になってショルティをいろいろと聴きたくなった。

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/11/18

    ドラティとコンセルトヘボウの組合せは、想像以上に彼の美点を引き出している。それはゆるぎない構成と(ちょっと乾いた)情に流されないリリシズム。 そしてコンセルトヘボウの透明感ある響きと弦のしなやかさがドラティのややドライな音楽に適度な潤いを与えているからだ。バルトークのオケコンも素晴らしい仕上がりだった。
    チェコ風な民族色から距離を置いた演奏スタイルで、ノイマンのような郷愁とか郷土愛が前面に出る演奏ではない。 むしろ音楽の構築性がしっかりと表現され、こんなにも力強い音楽をスメタナは書いたのだ、と感心させられる。
    ドラティはもっと評価されるべき指揮者だと思っている。

    3人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/11/10

    最初に言ってしまうが、クレ・ファンではないし、どちらかといえば、相性が悪い。にもかかわらず、数枚のCDを持っているし、時たま聴いては、「やはりクレだな」と妙に納得してしまう不思議な存在でもある。それだけ「個性的」であり「唯一無二」の音楽家なのだろう。 

    フランクもまるでルオーの絵画のように原色の絵の具で分厚く重ね合わせたような重厚感に溢れている。しかも黒い線の縁取りが音楽を際立たせ、聴く者を圧倒する風圧を備えている。 その様は「えっ!ワーグナー」と言いそうになるほど。 
    どっりした構えには風格があり、ゴツゴツした風合いも苔むし寄生植物に覆われた巨木の太い幹のようで、凄まじいパトスを放っている。

    これがクレのフランク、と言ってしまえば、晩年のクレの特徴が良く出た「凄い演奏」だと思う。 しかし、フランクが求めた音楽、響きと次元が異なることは如何ともしがたい。

    それを理解したうえで、クナの音楽を楽しむ、というならそれはOKであり、フランクの真髄をというなら、ジュリーニが同じフィルハーモニアを振ったCDとヘレヴェッヘを私は推す。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/11/09

    諸兄の評価通り、終楽章に難あり、というのはわかる。 確かにオバサン声のソプラノには興ざめするし、後半の4声の部分など、ちょっと耳を覆いたくぐらい醜い。 録音はモノラルだが、満足できる音質。

    1〜3楽章は、男気あふれるガチッとした演奏で好感が持てる。1楽章はもたもたせず、キリッと締まったフォルムがいい。2楽章もリズムが死んでいない。カミソリではないが、鉈のような切れ味。3楽章の凛としたリリシズムも申し分なし。 総じて「また聴きたい」と思わせる。

    ルードヴィッヒ師には失礼だが、9番って終楽章割愛で聴くケースが多いので、個人的に☆4つ。

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/11/07

    1番は音がこもり、不明瞭。 最後まで聴くのは辛い状態。 3番はややデッドな録音だが、明瞭。 
    3番の1楽章の出だしは楽譜の指示通りアレグロ コン ブリオ。哀愁よりも、がっしりした構造性が表に出て、個人的に好みの演奏。即物的、楽譜どおりという評判だが、テンポのゆれが「ゆらぎ」のように音楽に表情を与え、輪郭がはっきりした音楽の無骨さと相まって、なかなか味わい深い3番だった。19世紀の指揮者というイメージよりもっと近代的な精神に裏付けされた音楽家のように感じられた。当初は懐古趣味的な興味だったが、きちんと対座して聴きたくなった。

    ☆評価は3番のみ。 1番は無☆かな。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/23

    今は多くのピアニストがドメニコのソナタを録音しているが、同じジャケットのレコード時代、ほとんどなかったのではないか? とにかく衝撃的な出会いだった。こんな凄いピアニストがいるのか!、と。数分にも満たない短いソナタ集だが、多彩な音色とタッチを駆使したホロヴィッツの手にかかると、煌く小宇宙と化す。
    ナポリ生まれのドメニコは音楽的には辺境のポルトガル王女の音楽家として仕え、王女がスペイン宮廷に輿入れした再に一緒に付いて行く。望郷の思い、辺境での生活、報われない作曲家生活、そんな彼にとって救いだったのが王妃のための音作りだったのではないかと思わせる曲集で、ホロビッツの演奏からは、そうした鬱屈したドメニコの思いや愛情が溢れている。

    ホロヴィッツの数多いCDから1枚、と問われたら、私はこれを選ぶ。
    まさに天才の音楽がここにある。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/23

    レヴューの好評さに誘われて購入。凄まじい戦争経験とプラハの春騒動。まさに歴史に翻弄された音楽家の一人でしょう。そうした彼が描くマーラーに興味もありました。

    想像以上に知的でした。音楽は堅固にして感情移入でデフォルメされることなく、淡々と枯れています。おそらく1960年代のマーラー演奏を聴いただけなら、知的な演奏として満足したと思います。
    しかし、当時のチェコフィルと現代のオケでは精度が違うのは致し方ないとして、現代のオケの緻密な演奏を聴いた後では、表現に物足りなさを感じました。マーラーの音楽には色彩感が必要で、モノクロの世界では表現されない要素が多すぎます。  

    特に巨人には「春の芽吹く新緑の生命力」を感じますが、残念ながらそれが表現されているとは感じませんでした。 9番は巨人より好ましかったのですが、こじんまりした印象から抜け出せませんでした。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 12人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/20

    祝・全集復活。 でも安いねぇ。ちょっと悔しい! 大人のためのベートーヴェンです。 騒がず、わめかず、感情的に爆発しない。 といって、迫力に欠けるわけではなく、カタルシスは経験できます。どの曲もフィナーレになる頃には拳に汗がにじみます。 特に素晴らしいのが6番。まさに小川に沿って木漏れ日の中を散歩しているような気分。オケの特質も加味されているのでしょうが、つい奥日光に行きたくなる1枚です。

    「古典的な佇まい」と「しっかりした構成」を基礎にデイヴィスは丁寧に音楽を練り上げています。慈愛と共感、それが大黒柱。
    そして、いつも感じるのは、どことなく「能」の幽玄さに通じる道があること。ベートーヴェンが生きた過去と我々が生きている現代がまるで裏表一体となったような感覚。

    持っていて絶対に損のない全集です。

    12人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/05

    N響との公演には足繁く通ったが、当たりハズレが激しかった印象がある。この「我が祖国」は重厚で野暮ったく、洗練さとは距離を置く演奏。時折ハッとするような表情が表れるが、全体的に人工的な香りが鼻を突く。噎せ返るほどのロマンティシズムにちょっと閉口する。 スラブ的というかチャイコフスキーの音楽のような風合いが気になる。
    たしかに興味深い解釈の「我が祖国」で、一聴の価値はあると思うが、愛聴するかと問われると首を傾げざるを得ない。

    スメタナの音楽って、こんなに大上段に構える必要はないように思うのだけど、どうかしら? そのあたりで好き嫌いが分かれそう。個人的には、もっと客観的に素直に演奏された「我が祖国」に惹かれる。たとえばドラティとコンセルトヘボゥの演奏のような。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/01

    ワルターのこの演奏との付き合いはレコード時代から。 私にとって巨人の原点だけでなくマーラーの原点。 とはいえ、これまで数多くの1番を聴いてきたが、いまでも大好きな演奏であることは驚きに値する。いろいろな解釈や演出を備えた演奏もあったが、ワルターの巨人は「太い毛糸、それも生地(油抜きしていない)で、ざっくりと編んだ、着こなしたフィッシャーマンセーター、それもちょっと大き目の」のようだ。 少々汚れていようがほずれがあろうが、暖かく抱かれるような安堵感とほのかな母性愛を感じられる。羊のかすかな匂いがヒースに覆われた緑の丘を連想させる。マーラーが求めたのも、こんな感情なのだろうな、と同感できる。
    そうした親密さを感じられるのも、長年聴き込んだせいかもしれない・・・・。

    もうこうなる理屈がどうこう言う問題を通り越してしまうのだが、個人的な経験から言って、聴いて欲しい巨人であることにはかわりはない。

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2011/08/01

    もともと爆演風のフロイト的な演奏は好みではなく、ワルター、ジュリーニ、ハイティンクが好きだったが、最近はブーレーズに手が伸びる。
    ブーレーズのマーラーはスケルトンの精密な機械時計のように微分的で明晰な音楽だ。その透明感は美的だが、後期ロマン派のごてごてした質感ではない。むしろ、新ウィーン学派、あるいは印象派の質感に近い。
    この巨人もドラクロアやゴヤのようなゴテゴテした質感ではなく、カンディンスキーやデュフィに似た質感を感じる。 それゆえ、不満を抱く聴き手も多いと察する。 1mov.は森の中を漂い流れ霧(風景をぼやかす)ではなく、細かいレース模様のカーテン越しに見る森のようだ。2mov.はウィーン風のレントラー(舞曲)ではなく、モダンで、速めに演奏される。そして複数の旋律がまるで3Dのように絡み合う3mov. バルトークの音楽に通じるものを感じさせる、フィナーレこそ、もっとドロドロした、フロイト的なリビドーや感情の爆発を期待したくなる向きはあるが、逆にユングのように構造をくっきりと浮かび上がらせている点は、実に面白い。 だから飽きもせず、何度も聴きたくなるのだろう。
    マーラーの音楽にまとわり付いた時代性や人間性(ユダヤ、世紀末など)を切り離して、音楽そのものを再構築する、というブーレーズの意図は高く評価する。

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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