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2012/12/23
素晴らしい!としか言い様がない。クレーメルのものも好きだ。でも,少しシャープ過ぎ…。切れ味鋭く,玲瓏感…触れたら切れそうだ…。ハーンもいい。若々しく,美しい。少し背伸びをしたかのような端麗さもあり,微笑ましい。ハイフェッツ&ミュンシュ,オイストラフ&クリュイタンスといった大御所の魅力は言うに及ばず。そういった中,このファウスト&アバド…まるでお気に入りのいいところを全部取って集めたかのような感さえある。だからこそ,繰り返し聴いていくと飽きてしまうのだろうか…。クレーメル,ハイフェッツ,オイストラフは飽きがこない。聴くたびに新しい何かを私に残してくれる。ファウスト&アバドも果たしてそうなるのだろうか…。
ベルクも名演。私の中ではクレーメルの一人横綱でしたが,両横綱が揃ったって感じ。そして,このアルバムの決定的な魅力は,ベルクとベートーヴェンのつながり(ファウストも言っている通り)! ベルクはベートーヴェンを引き立て,ベートーヴェンはベルクの意味を改めて考え直させる。素晴らしい相互関係。
そしてアバドのバック。ほんと,アバドって人はソリストを引き立てるのが上手い人だ。コンチェルトの相方としては最高の指揮者かもしれない。