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風信子 さんのレビュー一覧 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/30

    わたしが愛用する”音楽作品名辞典”は広汎な作曲家とその主要作品を掲載している バターワースの名も四つの作品名と一緒に発見することができる このディスクではその凡てに加えて”二つのイングランド牧歌”を聴くことができる 三つの管弦楽曲ではマリナー&AStMFの繊細な妙演を聴くことができる そこはかとない牧歌性と郷愁を誘うソノリティはバターワースの個性でありまたマリナーたち演奏者の共感し愛おしむ対象なのだろう 二つの歌曲集はバリトンで歌われている ラクソンとウィリンソンは素朴な中にも歌謡に内在する風土性を匂い立たせている 温かく聴き易い歌に強い印象は残らないものの 一時でも生を共有できた静かな歓びに心が華やぐようだ 今はもう古里の音沙汰無くなった人へ親愛の思いを遣りながら聴きたい あたなも如何

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  • 5人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/29

    様々な楽器による編曲演奏を見うける”ゴルトベルク変奏曲”だが 際物という色眼鏡を外してこのリコーダー・クィンテット版を見て欲しい 実はリコーダー好きのわたしですら色グラス越しに覗く向きがなかったと言えば嘘だ どこか甘齧りする姿勢で聞き始めた 初めはリコーダーの特性が禍していると感じた 響の豊かさ柔らかさに最大の効果を認めると同時に対位法の特性である横へ続くフレーズの線が曖昧になり綾なす音の織物の模様が霞んでしまう弊が耳に付いた リコーダーの低音域は緩慢さを払拭できない だが 後半に入ると俄然音楽(演奏)は光彩を放ち出す 第16変奏・序曲から加速度的拡大が始まる 音楽が広い空間へ広がり 声部の一つ一つが際立ったラインを描き始め くっきりとそれぞれの表情を見せて 見事なコントラプンクトが展開される さらに際立ち耳惹きつけられるのが第22変奏から第25変奏で 7度のカノン〜アラ・ブレーヴェ〜8度のカノン〜ト短調へ至る山嶺は美しさの極みだ 日常わたしはクラヴィコード演奏を愛聴するが セルダム・セネRQの演奏も日々に糧としていくだろう あなたも如何

    5人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/27

    オブリガートでヴィオラが寄り添う”二つの歌”Op.91から聴く ”秘めたる憧れ”と”聖なる子守唄”は好きな歌だ 愛の歌であり宗教色を感じさせもし一度聴いたら忘れられないもの よくぞヴィオラを加えたとブラームスを賞賛したい フェルミリオンの声質も好ましく美しい Op.120のソナタはクラリネットで聴くことが多い 初めピアノの雄弁性に気圧されるやに見えたヴィオラが次第に存在感を増していく クラリネットでは押し出しが強く濃厚な情緒に傾く印象があったが ヴィオラは内省を感じさせ静謐に語りかける風情を醸し出す これはいい こうでありたい 音楽の語らいを大切にしていきたいものだ ハーゲン兄妹によるクァルテットも魅力的だが こうしたソロもそれぞれにもっと聴かせてほしい 一人もいいがやはり心許す人と聴きたいか あなたも如何  

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/26

    いつもCDを5chあるいは7chに増幅して聴いている シングルレイヤーSACDはやはりDirectで聴くに限る そこにOSCCの面々とクリュイタンスが居るではないか 音楽を聴き始めた頃の愛聴盤LPが懐かしい それこそ擦り切れるまで聴いた ある夜酔っ払った父が土産だと言って30p盤を差し出した日のことを今も覚えている 芸術に疎い父がただ一つ知っていたメロディーが”アルルの女”のテーマだった 酔いに任せて町のレコード屋でそれを口ずさんで持たせられたLPがこのクリュイタンス盤だった これがわたしのフランス音楽との出会いになった 今は無きパリ音楽院O.の音色と歌い回しが少年の耳に染み込んだ それにしても何という個性 実に味わい深い音じゃないか 音楽はこうあらねばならないと肝に銘じたものだ 音色とリズムは詞以上に雄弁なのだと知った 意味も感情もそして人を取り巻く世界も同時に映し出してしまう 音楽って凄い‥ 春が来ると父の5回忌だ 久しぶりに余所見する面影と一緒に聴こうか あなたも如何  

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/26

    故ヒコックスが全集を完成せず逝った後 空白を埋めたのはA.デイヴィスだった 自身が成した全集以上に音が緊密に寄せ来て凝縮する印象がある 畳み掛けるのではなく目の詰んだ織物のように強靭であり風合いも豊かだ 勿論”第9番”が聴きたくて求めたが 仮面劇と呼ばれるバレエ音楽”ヨブ”の不思議な魅力に惹きつけられた 舞踊のための音楽としては穏やかなテンポと曲想に面食らう 実際当初バレエではなく管弦楽曲として初演されたと記録がある 振付師もさぞ困惑したことだろう らしいといえば如何にもRVWらしい風情なのだ ヨブの信仰心を試すために神が様々な試練を与えるという天上の人々の身勝手な物語を踊ろうというのだから面白い キリスト教には教えられる面も多々あるが随所に偏個人主義が顔を出すのには閉口する 全12曲の”ヨブ”の中で第3曲”サタンの勝利”の活き活きと跳ねる音楽 第7曲”ヨブの慰め役たち”のサックスからヴァイオリンへ継がれるモノローグそしてオルガンの轟音へ至る音楽 第8曲”若く美しいエリフ”のカガンによるヴァイオリン・ソロは聞き耳を立てた あなたも如何

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/26

    何という透明感 碧空を舞う風の翼を手に入れたようだ 壮大でありながら重さを感じさせないワーグナー観は新しい モーツァルトのように音楽が透けている これでいいのだと思う ワーグナーが書いた線描画の一線一線がよく見える 縦に積み重ねられた音塊の音楽ではなく 横にたなびく雲のような綾模様として織り直されたかのようじゃないか 管弦楽曲にゲルネを主体とした歌唱を挟む構成が美しい 七つのオペラの触りをランダムに組み合わせたようでいて 意識の流れが出来上がっている その方向を見つけるのは聴き手に委ねられて良いのではないか もしワーグナーを厭う人があれば聴くを奨めたい わたしもぜひ親しき朋に呼びかけて共に聴き意見を交換したいと思う あなたも如何

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/25

    もともと忘れられた交響曲の3番4番 4番までは出版されることもなく長い間公にする作品として番号に数えられていなかった LP初期のレコードなど”新世界より”には5番が振られていた 整理し番号が付け直されても 自然4番までは演奏機会に恵まれない それはディスクの世界においてもやである 故スイトナー&SkBは旧東ドイツで唯一全曲録音を残したが 大変優れた演奏だったことを記憶する その中でもこの一枚が白眉だった 他の指揮と演奏で聴いてはいたが 後期の傑作群ほどの強い印象が残っていなかったから驚いた 二つの交響曲の個性と魅力が直截伝わってきて聴き入ってしまった あれから何十年を経たのだろう それでもあの強烈な感動が今も消えていない カタログに存在を認めて思わず求めてしまった 数十年ぶりに聴いて心揺すぶられる感興が戻ってきた 気がつけば肩を振り聴いている やはり素晴らしい ワクワクが止まらない もう叶わない人もいるが その昔聴いて共に興奮した音楽の朋と久しぶりに会って聴きたいものだ あなたも如何     

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/25

    パート1は笛の音が全曲を覆っている 冒頭の篠笛が印象的なのは言うまでもなく様々な大きさのフルートが愛の曳航の痕をなぞっていく パート2は弦が支配的だが木管の谺も漏れ出てくる ロングトーンの受け渡しと重なりがベースとなって進行する楽曲は音色を表現の必要条件としたフランス印象派の末裔であることを明かしている 半音階への執着はワーグナーの洗礼を受けたことをも隠していない ただ無調に到達することはない 時間がゆっくり流れている音楽と見るか 漂う造形という観点で見るか 音楽の様々な可能性追求の一翼を担ったことは確かなのだろう 鑑賞音楽としては市民権を得ることはあるまいが こうした映像や他の表現媒体の一端を担う音楽として極めて有効であり 芸術表現の手段として芸術全般の宇宙を広げることに貢献している 後の運命は映画の生命が握っている 映画が人々の記憶の中に残る限り武満の音楽も聞かれる 映画を離れては生きられない 実に職人気質に徹した仕事だ

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/24

    28年前ベルリンの壁は崩壊した 東西ドイツの統一は民主主義の希望をもう一度抱かせてくれた ベルリン・フィルの慈善コンサートの記録は何度聴いても胸が熱くなる 高が音楽が 高々ベートーヴェンが歴史を動かせる筈もない 余技余興に過ぎない音楽にも人の心は解る 音楽を脇に置いて自分の心を写す鏡にはできようか この音の記録にはその日旧西ベルリン側のフィルハーモニーを聴いた旧東側の人々の心が投影されている そしてまた迎えた側のバレンボイム&ベルリン・フィル楽団員とコンサートスタッフの心も乗り移っているのは言うまでもない ベートーヴェンが19世紀初め音楽に託して歌い上げた人々の連帯を20世紀の終わりに同国人が勝ち取り凱歌を挙げたのだった 涙無くして見られない光景だったが 泣いている時間はない 怨恨も悔恨も捨て明日へ向かう建設が始まったのだ 音楽は一刻一刻を噛みしめるように進んでいく 尽きせぬ想いがまた零れ落ちる 落ちてしまった音に饒舌に過ぎた歌にも目くじら立てず同席したいものだ あなたも如何   

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  • 3人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/24

    ”展覧会の絵”の前に置かれた三つのオペラからの音楽が既に刺激的だ ムソルグスキーという異形の存在を彌が上にも意識させるに十分だ 出版譜と自筆譜の差異が分からない 偏に演奏者が作曲者に訪れた霊感を感じ取れるヒントになったのだろうか 小川の演奏は楽譜の細部に至るまで書かれた音を放出してやるという意思に貫かれている ロマンチックでなく表現主義でもなくピアノを如何に鳴らすかに集中している 音楽以上に絵画 壁画というよりモニュメントなる造形物に感じられる しかしピアノが良くなっているから爽快な風の中にいるようだ 第9曲ババヤーガの小屋から第10曲キエフの大門へは一際壮大な風景の中に立たされたようで 雄々しくまた溢れる熱情に包まれる 賞賛と喪失感が綯い交ぜになって特別な高揚感が突き上げてくる 友情の証としてムソルグスキーの”展覧会の絵”を弾き切った稀有な例となった 久しぶりに会った朋と肩並べて聴きたい あなたも如何

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/24

    技法を越えて音楽そのものへ到達している バッハはそう書いたのだが 後世演奏に臨んだ者の気負いか迷走か フーガにおける音列の流れとその交錯が織りなす綾取りに気を取られること屡 ダントーネはチェンバロ独奏の退屈を凌ぐために オルガンと弦楽四重奏を加えた六重奏でバッハと対峙した この三種の発音体 撥弦 擦弦 吹奏の異なりを組み合わせることでバッハの音楽構造を立体的に展示し得た だが 六者が同時に演奏する瞬間は数えるほどしかない 曲がりなりにも全員が登場する曲は20曲中4曲なのだ チェンバロ・ソロが3曲 オルガン・ソロが2曲 弦楽だけの曲は1曲であり 全曲を見渡せば鍵盤楽器が主人公であることは明白だ 何れにしてもここには迷宮もなければ迷子になることもない 明晰にバッハのフーガ技法が開示されている それが家具の音楽になる程スタイリッシュで垢抜けしているから際物と誤解される 気の許す朋が集まったら掛けておきたい タペストリーのように あなたも如何 

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  • 4人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/24

    観て聴けたことに感謝する モーツァルトの30代に室内楽が多く書かれる切っ掛けがあったことを知って鑑賞意欲が昂まった それは皇王室貴賓室作曲家への採用とズヴィーデン男爵家のサロンとの関わりだそうだ 端的にいえば演奏の場が与えられバッハとヘンデルに邂逅した と言ってもその楽譜を読み演奏をしたのだが モーツァルトの音楽に新たな出発の機会をもたらすに十分な条件だった 6曲の五重奏曲の5番6番がそれに当たる ポリフォニーの技法を全編に織り込んで新境地が切り拓かれている カプソンらは見事なプログラムで楽曲への洞察を披瀝している 初期作品で初め所謂モーツァルトらしいとして巷間に人気のある3番4番で終わる その中間に革新の二曲を挟む構成をとる 聴衆の集中力を保つ絶妙さだ 五人の手練れのアンサンブルは丁々発止なれど見事な調和と高揚を生んでいる 何より映像があることで 五つの弦の遣り取りが当に手に取るように見える モーツァルトの書いた音楽の面白さがいや増す結果となった 気の置けない朋と目で語り合いながら聴きたい あたなも如何 

    4人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 2人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/23

    音楽は生き物だ 生死の意味ではない その意味では不滅だが 一度も命の輝きを発せず彷徨う楽曲もある 音楽は生まれた瞬間に消滅する いつも新しく生まれているとも言える 音楽から新鮮な生命の息吹を吹かせるために演奏家はいる 作曲家は霊示を受けた音列音塊音群に魅入り執着して言葉となり身振りとなり表情となる意味を語れるまでに育て上げる ベルリオーズのみならず天才の奮励努力の跡を愛しむミンコフスキに深く共感する ”ピリオド”と”現代”の楽器が同居する状態は19世紀は疎か最近まで日常風景だった 況してやベルリオーズの時代は楽器の改良革新が日進月歩だった 当然”幻想”も寄せ集め的編成状況で演奏されてことは想像に難くない それを敢えて今やって見たのがミンコフスキだ 演奏は即物的表現主義的傾向に貫かれ 軽快なテンポを崩さない ロマンチックを敢えて排して風のように吹きすぎる そこからベルリオーズの創造精神が如何に無辺の大空を飛び回っていたのかが透徹して見えてくる 見事だ お聴きになっては如何 

    2人の方が、このレビューに「共感」しています。

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  • 0人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/21

    何より心に染み入る演奏なのだ 古楽復興初期の現代楽器によるピリオト・アプローチの記録であることに 今寧ろ驚きを感じる ロココ後に前古典派と呼ばれる音楽は未だソナタ形式に辿り着けずリトルネロ形式の中で踠いている 歯痒さは感じるものの創造の泉は懇々と尽きせぬ夢を湧き出させていた 目を見張る精華だけが輝きを発しているわけではない 聖地に至る道程にも花は咲き詩情は溢れる 道端の野花を愛でる心は日々に旅にある者を慰める バッハの子として生まれ 後世から見れば時代の過渡期に持て囃され 天才の出現の陰に隠れてしまったバッハと名乗った子らに目向け耳傾ける時間が残されていてもいい お聴きになっては如何 

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  • 1人の方が、このレビューに「共感」しています。
     2017/12/21

    どんな人が好きか と訊かれることはあっても 嫌いなのはどんな人とは訊かれない 腹がたつと自問自答する 嫌いなのは「食わず嫌い」 味わいもせず嫌う品性の貧しさを見ると遠去かりたくなる だが これがわたしにもある オペラとバレエだ 碌に知りもしないのに退屈の極みのように言って遠ざけていたから マイアベーアの音楽を知らなかった 仮令耳にしていても聴いていなかったに等しい ある音楽史書を読むことがあり 著者からその重要性を説かれて聴いてみた 魂消た 面白い 管弦楽の色彩感に耳を奪われた フランス・グランドオペラを創始したドイツ人としか記憶していなかったマイアベーアに俄然興味が湧いた そしてさらに驚いたのがニュージーランドSOの優秀なこととダレル・アンなるシンガポール人指揮者が如何に才能豊かであるかということ 大いに注目していこう あたなも如何   

    1人の方が、このレビューに「共感」しています。

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